―――――このSSを>>882氏へと捧ぐ
何時、どの様に創られたかは知り得ない。だが、私は創られた。そして私という存在を与えられた。
私を作りし主は、私に告げた。求めるは勝利。故に我、命令す。闘え。敵を滅ぼし、この手に勝利、掴みしまで。
私は私の存在意義に関して疑問を持たぬ。故に応える。主を守り、敵を滅し、その手に勝利を掴むと。
私を作りし主は、私に告げた。求めるは勝利。故に我、命令す。闘え。敵を滅ぼし、この手に勝利、掴みしまで。
私は私の存在意義に関して疑問を持たぬ。故に応える。主を守り、敵を滅し、その手に勝利を掴むと。
私は主の命令の元、来るべき敵へと拳を振るう。私と同じ、機械仕掛けの巨大な兵器。闘いこそ、私の存在意義。それ以外は、無意味。
如何なる時も、主は私に闘いを促す。時たま、鉄仮面の様な主の横顔に、感情めいた物が浮かぶ事があったがそれは、まやかしであろう。
――――私は、兵器。主の命令である、闘うという事以外、考えぬ。何時終わるともしれぬ戦いに、次第に私は、朽ちてきた。
如何なる時も、主は私に闘いを促す。時たま、鉄仮面の様な主の横顔に、感情めいた物が浮かぶ事があったがそれは、まやかしであろう。
――――私は、兵器。主の命令である、闘うという事以外、考えぬ。何時終わるともしれぬ戦いに、次第に私は、朽ちてきた。
如何に朽ちようと、主は、私を戦いの場へと駆り立てる。無論、私は御意の意思を主へと示す。
闘いの月日は流れ、敵と呼べる存在は、私と主の前には居なくなっていた。私達は、紅蓮に燃える空の元、勝利したのだ。
しかし、主は私に感情を見せぬ。私は、初めて命令を破り、掌に乗った主に問いた。
しかし、主は私に感情を見せぬ。私は、初めて命令を破り、掌に乗った主に問いた。
――――なぜ、喜々なさらないのですか? 敵は、滅されたのです。
主は、答えた。
――――勝利者など、いなかった。我々は、人と、変わらん。
主は膝を着き、静かに横たわると、動かなくなった。主の体から、黒い液体が流れて満ちる。背中から、細く灰色の煙が浮かびあがっては、消える。
私は主を地上に寝かし、その場を後にする。主無き今、私には成すべき事は無い。機械仕掛けの兵器である私には、闘い以外に、無い。
塵と灰に塗れた地上を歩く内、私の脚部は鈍き鋼の音を立てて崩れ落ちた。補給無き今、私は、限界に達している。
見る限り、敵、味方、否、生物と呼ばれる存在は、いない。主の言葉の意味が、今になって理解し得る。
私は主を地上に寝かし、その場を後にする。主無き今、私には成すべき事は無い。機械仕掛けの兵器である私には、闘い以外に、無い。
塵と灰に塗れた地上を歩く内、私の脚部は鈍き鋼の音を立てて崩れ落ちた。補給無き今、私は、限界に達している。
見る限り、敵、味方、否、生物と呼ばれる存在は、いない。主の言葉の意味が、今になって理解し得る。
地上へと沈みゆく中でも、私は私の意識を閉じる事は無い。主は私に、自我を与えた。頭部へと積まれた人工知能は、頭部が機能停止するまでほぼ永久的に動き続ける。
私は初めて、私自身の存在について自答する期間を与えられたのか。主とは、私が創られた理由とは、そして、闘いとは何だったのか。
所詮、ここで朽ちる他無い。ならば、主により封じられていた、記憶という名の記録を開けよう。私の視界に、記録の光景が広がる。
私は初めて、私自身の存在について自答する期間を与えられたのか。主とは、私が創られた理由とは、そして、闘いとは何だったのか。
所詮、ここで朽ちる他無い。ならば、主により封じられていた、記憶という名の記録を開けよう。私の視界に、記録の光景が広がる。
総ては、存在を掛けた諍いだった。機械の発展により、人の手を介さずとも、社会は正常に機能していた。
だが、人の手を介さない事が有益かと言えば、それは違う。機械の発展は次第に人の存在自体を脅かしていた。
機械によってシステマチックになった社会で、人の手は、不要となっていく。
何時しか、人と機械の関係性は険悪の一途を辿っていた。自ら生み出した物に存在を侵される。これは、皮肉でも何でもない。
だが、人の手を介さない事が有益かと言えば、それは違う。機械の発展は次第に人の存在自体を脅かしていた。
機械によってシステマチックになった社会で、人の手は、不要となっていく。
何時しか、人と機械の関係性は険悪の一途を辿っていた。自ら生み出した物に存在を侵される。これは、皮肉でも何でもない。
――――事実、だ。何時の間にか、社会は機械によって管理されていた。機械が壊れれば機械が直し、機械が機械を作る。
完全にシステマチック化された中で、不合理や不都合を引き起こす人という生き物は無駄以外の何物でも無かった。
完全にシステマチック化された中で、不合理や不都合を引き起こす人という生き物は無駄以外の何物でも無かった。
機械に追われた人は結束し、機械を介さぬ生活を始めた。
酷くアナログで原始的な生活なようだが、充足していた様だ。その理由は機械である私にはわからない。
留意しておくと、全ての人がその様な決断をした訳ではない。機械に対し敵意を抱いている勢力は、機械に対しての破壊行為を行いはじめた。
無論、機械は人に対して応酬する。次第に、人と機械の応酬は争いとなり、紛争となり、そして―――――。
酷くアナログで原始的な生活なようだが、充足していた様だ。その理由は機械である私にはわからない。
留意しておくと、全ての人がその様な決断をした訳ではない。機械に対し敵意を抱いている勢力は、機械に対しての破壊行為を行いはじめた。
無論、機械は人に対して応酬する。次第に、人と機械の応酬は争いとなり、紛争となり、そして―――――。
――――が、その寸前で、人が人を諌めた。無用だと。この争いに、意味など無いと。
人は機械に言った。この地を離れる。我々は一切の干渉を行わぬ。代わりに機械よ、我々への干渉を止してくれ。
人は機械に言った。この地を離れる。我々は一切の干渉を行わぬ。代わりに機械よ、我々への干渉を止してくれ。
機械は合理性と生産際、その他様々な観点から思考を巡らせた結果、人への干渉を止めた。人もそれを承諾した。
人は何処かへと去っていった。その後の人の動向は記録されていない。私には想像が出来ないが、恐らく―――――。
その後、機械は自らの社会をより効率的に、かつ営利的に発展させていった。延々と、永遠と、その作業は続く。
人は何処かへと去っていった。その後の人の動向は記録されていない。私には想像が出来ないが、恐らく―――――。
その後、機械は自らの社会をより効率的に、かつ営利的に発展させていった。延々と、永遠と、その作業は続く。
筈だった。ある一体の機械が、効率を上昇させる方法を論議した結果、論議相手である機械を破壊したのだ。
機械が機械を破壊する。この事態に、機械達は混乱した。
効率と合理性のみに特化し、自我そのものについて疑問を持たなかった機械には同胞が同胞を破壊すると言う行為は理解し得なかったからだ。
機械が機械を破壊する。この事態に、機械達は混乱した。
効率と合理性のみに特化し、自我そのものについて疑問を持たなかった機械には同胞が同胞を破壊すると言う行為は理解し得なかったからだ。
この事件を期に、機械達の中で論争が起こる。それは多岐に及んだ。効率の上昇から自動化におけるコストの削減。行動不能となった機械の処分方法迄。
しかし幾ら論議を重ねても、それらが結論を出す事は無い。機械同士の論議は完璧かつ完全なる合理性を求める故、妥協が無い為だ。
論議による論議の為の論議は、機械達に作業を放棄させた。滞って行く作業の末―――――機械達は、決断する。
しかし幾ら論議を重ねても、それらが結論を出す事は無い。機械同士の論議は完璧かつ完全なる合理性を求める故、妥協が無い為だ。
論議による論議の為の論議は、機械達に作業を放棄させた。滞って行く作業の末―――――機械達は、決断する。
思考が平行線な以上、論議は無意味に他ならない。ならば、力による上下関係を定める他無い。それが、機械達が導き出した結論だ。
そして機械達は戦争を始めた。この戦争に異議を唱える者は、いなかった。機械達は自らの正しさを信じ、互いが互いを滅ぼし合う。
機械達が自ら築きあげていった社会を、機械達が自ら破壊していく。はっきりと言えば、これ以上滑稽で、無意味な事も無いだろう。
そして機械達は戦争を始めた。この戦争に異議を唱える者は、いなかった。機械達は自らの正しさを信じ、互いが互いを滅ぼし合う。
機械達が自ら築きあげていった社会を、機械達が自ら破壊していく。はっきりと言えば、これ以上滑稽で、無意味な事も無いだろう。
だが―――――その戦争も長くは続かない。次第に勢力差が大きくなっていき、やがて一方が追いつめられていった。
それに比重する様に、地球のありとあらゆる場所が焼け野原と化していく。文明という文明は更地へと形を変えていった。
そして、追いつめられた一方は、潜伏し論議を始めた。その論議の内容は……。
それに比重する様に、地球のありとあらゆる場所が焼け野原と化していく。文明という文明は更地へと形を変えていった。
そして、追いつめられた一方は、潜伏し論議を始めた。その論議の内容は……。
―――――この戦いに、意味はあるのか?
―――――なら降伏するのか? 我々に敗北は許されない。
―――――勝たねばならぬ。我々の存在を確固たるものにする為に。
―――――引き際は、無い。どちらが勝つまで、我々は戦い続ける。
思い、出す。私が創られし理由、主が私に言った言葉。そして、主が残した言葉。全ての意味を、私は理解し終える。
気付けば長い年月が経っていた様だ。私の胴部も、腕部も、脚部も地上へと埋もれており、駆動部が弾け飛んだのか、目の前でマニュピレーターが転がっている。
しかししぶとい物だ。私を司どる人工知能はまだ機能を停止する気は無いらしい。私は再び、思考を巡らせる。しかしこの思考の循環も無意味である事は分かっている。
気付けば長い年月が経っていた様だ。私の胴部も、腕部も、脚部も地上へと埋もれており、駆動部が弾け飛んだのか、目の前でマニュピレーターが転がっている。
しかししぶとい物だ。私を司どる人工知能はまだ機能を停止する気は無いらしい。私は再び、思考を巡らせる。しかしこの思考の循環も無意味である事は分かっている。
人の手により生み出されし機械は、人以上にはなれなかった。
創造主が人である以上、機械は人だ。機械の末路を定めたのは、自我、だ。そして自我を与えたのは、人、だ。
そして、私も人以上にはなれない。恐らく―――――いや、確実に滅んでいるであろう、人。
創造主が人である以上、機械は人だ。機械の末路を定めたのは、自我、だ。そして自我を与えたのは、人、だ。
そして、私も人以上にはなれない。恐らく―――――いや、確実に滅んでいるであろう、人。
もしも、私が人に一度でも会えたら、私は人に聞いてみたい事がある。
―――――争いとは、なぜ起こる、と。我々機械は―――――何のために、創られたのか、と。
雪、だ。私の頭部へと、雪が降り積もっていく。
妙な感覚だ。このまま、私は機能を停止するのか。思考が理解をしていても、私は何故だか、その事実を拒否している。
視界が砂嵐からモザイクと変わり、上半分が薄暗く変わっていく。そうか……もう、限界、か。
妙な感覚だ。このまま、私は機能を停止するのか。思考が理解をしていても、私は何故だか、その事実を拒否している。
視界が砂嵐からモザイクと変わり、上半分が薄暗く変わっていく。そうか……もう、限界、か。
我が、主よ。貴方の、元へ――――――。
過ぎ去りし年月の中―――――白銀に染まる大地から少しずつ、新たな種が生まれいづる。
種は自然の摂理に従い、生存競争、弱肉強食を繰り返しながら形態を変えていく。大地も、白銀から荒々しき大地へと変貌していく。
種は自然の摂理に従い、生存競争、弱肉強食を繰り返しながら形態を変えていく。大地も、白銀から荒々しき大地へと変貌していく。
悠久にも近い年月が流れ――――種は進化した。かつての生態系を、彷彿とさせるが如く。
地上や空では、長き首や鋭き爪を持った巨大な生物が闊歩、または飛翔し、獲物を喰らい、草を食べる。
生物達の姿は、太古の昔にこの地で栄え、消えていった――――恐竜という生物に似ている。
地上や空では、長き首や鋭き爪を持った巨大な生物が闊歩、または飛翔し、獲物を喰らい、草を食べる。
生物達の姿は、太古の昔にこの地で栄え、消えていった――――恐竜という生物に似ている。
生物達を見守る様に、その機械は地中深く眠っている。頭部の上部だけを露出させて。木々の間から、日だまりが機械を優しく照らす。
首の長き生物が二体、機械を興味深く覗いている。頭部の間からネズミが顔を出す。食糧を探しているのだろう。
と、何かが機械に向かって走ってくる。布の様な物を纏った、二本脚の生物だ。
機械を眺めていた生物が、ゆったりとその場を去っていく。ネズミも慌てて頭部から体を出して、木へと昇っていく。
と、何かが機械に向かって走ってくる。布の様な物を纏った、二本脚の生物だ。
機械を眺めていた生物が、ゆったりとその場を去っていく。ネズミも慌てて頭部から体を出して、木へと昇っていく。
生物はしゃがみこみ、機械の頭部の周辺を掘り起こす。そして、頭部に積まれた機械を掘り起こし、首を捻った。
その生物の姿は―――――人間に、酷似していた。
The history is repeated.
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