創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

プロローグ

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匿名ユーザー

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この内容が世界に公開されたとして、
あの戦争の認識はどう変わるのだろう。
所詮、一つの例えとして終わるのだろうか。
今となってはそれが一番気になることだ。
ん?
戦争とはって?
そりゃあ悪いことさ。
OFPでも死んだときにそう言ってるだろ?

                            01.09.2125
          メイソン 自室にて

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私は……、
そうだな、
名前はメイソンとでもしておこう。
某国のジャーナリストだ。
名ばかりで売れてはいないが……。

私は今までに一つの戦役を経験し、
その戦役で奇跡とも言える逆転劇を垣間見た。
偶然なのか神の悪戯なのかは判らないが、
この奇跡によって一つの国の存亡が叶ったと言っても過言ではないだろう。
今回はこの奇跡の内容を個人的観測と地道な調査で解析し、
知りえた情報の全てを公開する事にした。
なぜ興味を持ったかって?
奇跡なんて胡散臭い言葉で戦争が終わったとなっちゃ裏があるに決まってるからさ。


―――――時代(とき)は世界暦2120年。
世界は2つの大国が繰り広げる戦争の話題で持ちきりだった。
事のきっかけは些細な国際問題だった筈だ。
しかしそれが飛び火して火種が点くと間もなく両国は戦争状態に入った。
後に言われる「海峡戦争」といわれるやつだ。
海峡と言っても僅かな距離しか離れてはいないのだが、
そこを挟んで大規模な戦闘となったのが由来らしい。
西の軍事大国エイジスと東の産業大国セスレン。
それまでは両国とも問題なくやっていたというのに
些細ないざこざで戦争とはなんとも世知辛い時代だったのかもしれない。

この戦争の特徴は会戦後十数日でほぼ実質的な勝敗が決しているところだ。
戦争状態が30日に満たないのも近年稀に見る短さだ。
(近代戦争の恐ろしさを物語っているとも言えるが)
元々軍事のエイジスと産業のセスレンで共存していた両国だったこともあり、
軍事で勝るエイジスがセスレンを陥落させるのは赤子の手を捻るも同然だっただろう。
世界の誰が見てもエイジスの勝利は目前。
世界情勢もエイジス側に寄っていて株や為替も然りだった。
そんな余裕が生んだ悪夢、なのかどうかは定かではないが、
(少なくともエイジスや資産家にとっては悪夢であろう)
あの事件が起こる。
「運命の黄昏」
悪夢の10日と例えられたあの出来事が。

――――――運命の黄昏。
後にそう呼ばれるこの事件。
致命的な状況のセスレン情勢を一気に押し上げ、
エイジスとの対等な立場で行われた和平交渉はまさに奇跡と言わざる得ない。
この超短期的に行われた行動の全てが未だに謎に包まれているってのも凄いことだ。
これで心を揺さ振られない奴はジャーナリストじゃない!

―――――なんてな、ちょっと嘘をついてみた。

実は最近になってやっと興味を持った話で、
ついこの間までは関心なんて全く無い事件だったんだ。
当時の情勢ってのもあっただろうが高レベルでの情報統制が見え見えで、
この戦争の内容は情報操作が大きく効いていた。
運命の黄昏という言葉が世に広まったのもつい最近の話だ。
軍関係者がうっかり漏らしたのが発端と聞いた。
まあ事が事だけに良くある話だが、
何処を見回しても真実という言葉が見えもしないんじゃ心に種火も点かないってもんさ。
終戦後の現在もこの情報操作は続いていると言っても間違いない。
運命の黄昏発言以降、これといった有力な情報が全く集まって来ないのがその証拠だ。
大手のコミュニティでは連日連夜、呼び名から始まり、実態、経緯と、
憶測が憶測を呼び様々な意見が世界中を飛び交っている。
幸いにも事実を探って消されたと言う厄介な話を聞いたことは無いが、
真相に近づいたと言う話も聞いたことが無かった。
終戦からまだ数年しか経ってないのもあるがね。

憶測と噂に嫌気が差してても始まらない。
そもそも何が発端でこの戦争が起こったのか。
運命の黄昏を機に私はまずそこから調べ始めた。
当時の軍関係者、関連書物、地域、天候、風土、名産品、お勧め観光地、酒の旨い店……。
途中で関係ないモノも見受けられたがそれはそれ調査の産物と言う事で留めてもらいたい。
毎日、毎日憶測と噂ばかりを頼りに地方を駆け巡ったよ。
そして、馬鹿にならない出費にいよいよ資金が底を尽き始めた頃だった。
ある人物から私の元に手紙が届いた。
匿名で届いた手紙には住所と一言だけメッセージが添えられていたのを覚えている。

「―――黄昏のトリガーを引いたのは私だ。」

匿名で届いた手紙とその内容。
今までの手紙はうそ臭い臭いがプンプンしていたが、
何故か今回の手紙はそれを感じることが無かった。

―――直感。
そうこれはジャーナリストの直感だ。
胡散臭いだろうがまさにその一言に尽きる。

今まで読んできたフェイクの手紙等は、
内容はそれなりに書かれてはいるのだがやはり嘘を拭えない影を残す。
関係者っぽい雰囲気を漂わせるだけと言うか、
きっとこれも個人的な感覚だろう。
文屋のくせに言葉に表すのが難しいとはこれじゃあ二流以下だな……。
まあ、結局のところ嘘か本当かは会って確かめるしかない。
私はそんな期待と不安を胸に合流場所へと赴く事になる。
この後に起こる出来事を想像することも無いままに。


MAR 25 2122 NEAR A DISPUTED BORDER ――――


指定された場所は戦争当時の国境近くにある小さな町だった。
非戦闘地域だったらしく町の周辺は殆ど無傷で残っている。
田舎の雰囲気をそのまま残すその場所は自然に溢れ空気がうまかった。
爽やかな風、鳥の囀り、……たまに香る家畜の糞臭。
都会暮らしの私には久しぶりに心が落ち着く良い場所に感じたよ。
たどり着くまでに1一日一便というバスを乗り継が無くてはならないという一点を除いてはね。

バスは終着地点のアナウンスと共に停車する。
乗っているのはもちろん私一人だけだ。
長時間乗ってたせいもあって腰が痛い。
私はバスからゆっくり降りると周りを見回した。

――――誰も居ないな。

ロータリー周辺にも人影は無く誰かが待ってる様子も無かった。
仕方ない、足を使ってこの先の情報を集めるか……。
私はこの町での第一歩を踏み出そうとした。
そんな時だ、
数メートル先に見える公衆電話が突然鳴り始めたじゃないか。
新たな一歩を踏み出す事無くこの状況。
正直なところ私は受話器を取るのを戸惑ったよ。
動こうとした時に鳴った=監視されているって事だろ?
B級の映画じゃないが出たとたん爆発でもするんじゃないかと本気で思ったさ。
今でもあの心臓の高鳴りは覚えているよ。
しかし、鳴り響く電話と睨めっこしてても話は進まない。
私は恐る恐る受話器を取った。

「――――メイソンだな」

受話器の奥から私の名前を呼ぶ男の声が聞こえる。
別に期待はしていなかったが少し残念だった事を言っておく。

男は淡々と私の行き先を告げると呆気なく電話を切った。
さてどうする、―――メイソン。
私は自分に問いかけた。
危険性は無い…、筈だ。
心で言い聞かせても身体は少し怯えていた。
こういう時は一度心をリセットすれば道が開けるはずだ。
そう思った私は目の前に広がるのどかな町並みを見つめると大きく深呼吸した。
爽やかな風と共に鼻の中いっぱいに香る馬糞の臭い。
本気で吐きそうになったよ……。

――――――行くか。

あまりの臭いに少々動揺したが私は指定の場所へと向かう事にした。
ここまで来た以上行く以外に何がある!
私はそんな言葉で自分の心を奮い立たせると、この町での第一歩を踏み出したんだ。

言われた場所までは町の中心から結構歩いた記憶がある。
私は何も無い道をしばらく歩くとその場所には小さな民家があった。
きっとこの家に違いない。
見た目はそうだな、これといった特徴のない普通の家だ。
何とも伝わり辛いかもしれないがそれ以上に言い様がないほど普通だった。

ドアの目前に水溜り、ワイヤートラップや指向性地雷などは見受けられない。
―――どうだ普通だろ?

さらに窓から銃口やレーザーサイトが狙っている様子も無かった。
―――普通、実に普通だ。

こんな事を書き残している当時の私は相当不安だったのだろう。
メモを読み返して大笑いしたよ。

扉の近くへ行くと同時にドアが開く。
言わせてくれ、
この時は本気で身がすくんだ。

そして、奥から出てくる一人の男。
見た感じはどうだろう、
大柄で40代前半だろうか、
何処にでも居る男の風格を漂わせている。
しかし、
その目から感じる力強い威圧感は確かに常人とは違う鋭い光を走らせていた。

「あんたか、あのときの事を知りたがってるって奴は」

男はちょっと呆れたような口調で言葉を走らせると
首を小さく捻らせ私を室内へと招きいれた。
声からは僅かな気さくさも感じられる。
こっちとしては今凄まれると卒倒しそうだったので助かった。

「あがりな、立ち話じゃ済まない話だろうしな」

そう呟くと苦笑いにも似た笑みを男は浮かべた。

―――――私は男に続いて家の中へ入る。
急激な明暗の差にしばらく目の前が真っ暗になった。
それに気づいたのか男は歩く速度を緩める。
薄暗い木造の廊下を奥へと進む。
歩くたびにギシギシと鳴る床板。
ある程度進んだ所で男は右に曲がる様に腕を伸ばす。
そこには可愛らしいアーチ状の小さな扉が見えた。

扉を抜け再び陽の下へと戻った私はその明るさに目を細めた。
通されたのは小さいながらも穏やかな日がさすテラスだった。
家の中に入らなくても行ける作りらしい。
これは普通じゃなく上等と言えるだろう。

「どこでもどうぞ。家のソファーに指定席はない」

男はそう言って中央にある赤いソファーを指差すと、
テーブルに置いてあるカップにコーヒーを入れ始めた。

私はよほど緊張していたのだろう、
自己紹介もしないままに突然インタビューを始めてしまう。
今思えば恥ずかしい限りさ。

「当時の通称と貴方の所属していた部隊、その目的を―――」

男はもてなしのコーヒーカップを私の前に置くと
やれやれといった表情でソファーに腰掛け口を開いた。

「おいおい、挨拶も無しにそれかよ。よっぽど知りたいらしいな」

その言葉で私は我に帰るとあわてて自分の事を男に話し始める。
時折笑いを見せる男の崩れた仕草でやっと自身の緊張が解れた感じだった。

「―――じゃあ、次は俺かな」

軽く咳払いをしてそう言うと
男は自分の事を話し始めた。

―――告げられた内容。
それは私にとって衝撃以外の何でもなかった。
男、いや、彼の名前それは……。

 カーティス"Lightning"ウィンストン。
 元エイジス陸軍機械化機動歩兵師団第266遊撃隊 WarEmpress隊隊長
 『閃光で死を紡ぐ者』
 本名 カーティス・ウィンストン

「本当は本陣営でダラダラとしてたんだが、ちょっとお痛が過ぎて国境警備に派遣されちまった」

これでいいかい、と
投げやりな感じで話し終えると彼はコーヒーを口にする。
私はこの時、体中に驚きの衝撃が走り動けなくなっていた。
今回の訪問は匿名での封書をもらってのアクセスだった為、
実際に会って聞かないと判りえなかったのもあったが、
まさかこんな重要な人物からの手紙とは……。
これは想像すらつかない事態に発展する。
私は心からそう思った。

……おっと、すまない。
あまりの興奮にこの記事を読んでる皆様方が置いてけぼりだったな。
今回話を聞かせてもらった彼、カーティス・ウィンストンは、
圧倒的な実力で対峙した者を瞬時に撃破する姿から『閃光で死を紡ぐ者』と畏怖され恐れられた人物だ。
彼のTACネームもこれにちなんで来ているのだろう。
セスレンにとって最も憎っくき相手でありエイジスの英雄と言われる一人だ。
手元にあった資料を覗いてみると、
当時の写真からだと判らないくらい今の彼は痩せていた。
これじゃ見た瞬間に判らなかったのも頷ける。
それでもこの威圧感たっぷりの眼光の鋭さは変わらないらしい。
彼は、出撃回数・敵機撃破数・作戦遂行数の世界記録を持っている近接戦闘エースで
セスレン機械化歩兵の約6割を消し去ったとされている。
(かなり過大評価的だがセスレンの機械化歩兵が少ないってのもある)
戦時中のエイジスで知らない人は居ないといわれる程の人気者だった。
その類まれなる強さは宣伝塔の役割もあったんだろう。
しかし、そんな彼の噂も運命の黄昏以降はぱったり途絶えてしまう。
突然表舞台から消えた常勝無敗の雷帝。
その時の経緯を含めて彼にインタビュー出来るんだ、
真相に近づく手がかりにならない訳は無いと私は確信した。

興奮が止まぬうちに次の質問へと移ろうとした私に、
彼は呟くように語り始める。


 -なあ、あんた知ってるか?
 
 -エースと言われるやつには3つのタイプがある。

 -ただひたすらに強さを求めて強くなるやつ。

 -自尊心が高くて頭ん中がカッチカチだが結果は出すやつ。

 -奇抜な戦術と戦略眼で相手を出し抜いて勝つやつ。

 -俺が知ってるのはこの3つだ。

 -能力に逸脱した強さを持つ者がエースと呼ばれる。

 -俺はそう思っていたし、自負していたところもある。

 -しかしだ、

 -言葉なんてのはそう信用出来たもんじゃない。

 -今言ったエースは誰でも知っている平凡なエースだからな。 

 -何故かって?

 -俺は戦ったのさ。

 ――――本物のエースって奴と。

思い出すかの様に語り始めるカーティス。
無敗と称された彼が称する「奴」とは誰なのか?
私はその言葉に引き込まれるように耳を傾ける。
そして、
誰も知りえなかったあの真実がここで解き明かされていったのだ。


「――――あれは雪の降る寒いクリスマスの夜だった。」


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           Pheriss Strike!
        - The War Of Strait -

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   Presented by minamo kimura 2010

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