地球主義連邦、パナマ基地。
スタークは激戦の末そこに辿り着いていた。
「しっかし、こっから先どうなるのかね~」
ゴースの呟きももっともだ。
元々この艦はハーミストが率いていた物。つまり、その指揮官が死亡した場合は他の指揮官が乗る事になるだろう。
そうなった場合、それが問題だった。
「我々は爪弾き者ですからね……とりあえず、左遷は間違いないでしょうね」
カルラの言葉には落胆と怒りがこもっている。
ハーミストが守ったこの艦を、他者の手に渡す事が許せないのだ。
「シエルとミキはどうするんだ?」
シエルは死機使い(ネクロマンサー)、ミキもTypeβのテストパイロット(実際はそれ以上)のため、ただでは済まないだろう。
「アタシ達はしばらく艦内に隠れて、そっからコンテナとかにまぎれて脱出するよ」
正直成功率は低いが、それでもやらないよりはマシな選択だ。
「じゃあ、そろそろ入港しますよ」
ゆっくりと、海沿いの基地へとスタークが入り込んでいく。
スタークは激戦の末そこに辿り着いていた。
「しっかし、こっから先どうなるのかね~」
ゴースの呟きももっともだ。
元々この艦はハーミストが率いていた物。つまり、その指揮官が死亡した場合は他の指揮官が乗る事になるだろう。
そうなった場合、それが問題だった。
「我々は爪弾き者ですからね……とりあえず、左遷は間違いないでしょうね」
カルラの言葉には落胆と怒りがこもっている。
ハーミストが守ったこの艦を、他者の手に渡す事が許せないのだ。
「シエルとミキはどうするんだ?」
シエルは死機使い(ネクロマンサー)、ミキもTypeβのテストパイロット(実際はそれ以上)のため、ただでは済まないだろう。
「アタシ達はしばらく艦内に隠れて、そっからコンテナとかにまぎれて脱出するよ」
正直成功率は低いが、それでもやらないよりはマシな選択だ。
「じゃあ、そろそろ入港しますよ」
ゆっくりと、海沿いの基地へとスタークが入り込んでいく。
「ふむ、よく戻ってきたな。貴行等の実力なら当然だろうが」
目の前にいるのは連邦軍の中将、ガリスだ。
言葉とは裏腹に、その言葉にはハーミストがいない事に対する侮蔑が含まれている。
ガリスの前にいるスターククルーはカルラ、ウィンス、リクの三人だ。
「しかし、"あの"ハ―ミスト・レイン准将が死亡してしまうとは、いや、今は私と同じ中将だったな」
イライラする話し方で二階級特進の部分を強調するガリス。
「で、ガリス中将。我々を中将自ら呼び出した理由はなんでしょうか?」
カルラは必死に平静を保ちながら言った。
ちなみにウィンスはいたって冷静に、怖いぐらい冷静に、リクはもはやガリスの姿を見る事さえ放棄しながらカルラの後ろに立っている。
「おぉ、そうだったな。この度、多目的艦スタークは指揮官である所のハ―ミスト・レイン中将を失った。指揮官不在の艦と言う物程戦力の無
駄遣いというものだ。その為、次のこの艦の指揮官は私になった」
にやりと笑いながらこちらを見るガリス。
「そしてそれに伴い、艦の人員の大幅な入れ替えを行う」
当たり前と言えば当たり前だ。
現在のスタークのクルーはハーミストを中心として集っていた。
その中に新しい、しかもハーミストを目の敵にしていた上官が入ってきても馴染む訳がない。
部下を促して入れ替え人員を読み上げさせるガリス。
人員は殆どが入れ替わる。しかし……
「―――以上です」
「後でこの資料はそちらに――」
「待って下さい、僕はこの艦に残る事になるんですか!?」
リクの声が響く。
「もちろんだ。この艦は最前線に出る事になる。連邦軍の旗艦になるのだぞ?そこに最強の戦力を保持しないでどうすると言うのだ?」
「そんなの……僕はこの――」
「落ちつけ、小僧」
リクはなお食い下がろうとするが、ウィンスがそれを押しとどめる。
「ここで逆らっても損をするだけだ。奴の元にいる間は本気を出さなければいい」
ウィンスは小声でそう言うと、リクから手を離す。
リクはいまだに不機嫌だが、納得はしたようだ。
「そうそう、君達の活躍から階級も上がる事になっている。リキ・ガンツ軍曹は曹長、カルラ・キオム少佐は中佐、リク・ゼノラス准尉は中尉
に昇格だ。これからの活躍も期待しているぞ」
吐き気のする様な笑みを浮かべてガリスは去って行った。
「彼は素直に従うようすがありませんが、いかがいたしましょう」
ガリスの部下は三人が見えなくなった所でガリスにそう聞いた。
「ふん、夢想家の部下など最初から期待しておらん。あの機体のテクノロジーが手に入ればいいのだ」
「ならば、既に準備は整えていますが?」
「優秀だな。まぁそちらの方が効率がいいと言えばそうなのだがな。よし、この件はお前に一任する」
ガリスの顔には野心に満ちた笑みが浮かんでいる。
「チクショウ、ふざけてる……あんなのが上層部、本当に軍ってやつは!」
リクが荒れているのは最近の疲れにも関係がある。
自分を演じる事に疲れが生じている。
その為、ハーミストとミキの二人にあっさりと過去を話してしまった。
「リク、落ちつけ。とりあえず物に当たるな」
リキの言葉に暴れ過ぎていた事に気付くリク。
「あぁ……ごめん」
「いいっての、俺だってそうなりそうなのを必死に抑えてるんだぜ?」
苦笑いをするリキに自分を抑えられなかったリクは申し訳なくなる。
現在はハンガーの近くの休憩室。リキは専用機関連の打ち合わせが終わった所だ。
「なぁ、リキの専用機ってどうなってるの?」
「後は組み立てだけだよ。装備を考案して、それに必要なパーツ集めて、そんで組み立てたら完成。あと数日だ」
リキは嬉しそうに語る。
「嬉しそうだね」
「おうよ!もちろんだ!」
まるでクリスマスプレゼントを楽しみにする子供の様な様子に苦笑するリク。
「そういや、シエルさんとミキさんは?」
「ラウルの仕事部屋の辺りのコンテナに隠れてるらしい。ちょくちょくラウルが様子見にいってる」
リクはその言葉に少しだけ不安を抱いた。
「………一応、頼んどくかな?」
「どうした?」
「いや、何でもない」
リクはそういうとその場を立って、歩き出した。
布石を打っておかないと、大変な事になる。そんな気がしたからだ。
目の前にいるのは連邦軍の中将、ガリスだ。
言葉とは裏腹に、その言葉にはハーミストがいない事に対する侮蔑が含まれている。
ガリスの前にいるスターククルーはカルラ、ウィンス、リクの三人だ。
「しかし、"あの"ハ―ミスト・レイン准将が死亡してしまうとは、いや、今は私と同じ中将だったな」
イライラする話し方で二階級特進の部分を強調するガリス。
「で、ガリス中将。我々を中将自ら呼び出した理由はなんでしょうか?」
カルラは必死に平静を保ちながら言った。
ちなみにウィンスはいたって冷静に、怖いぐらい冷静に、リクはもはやガリスの姿を見る事さえ放棄しながらカルラの後ろに立っている。
「おぉ、そうだったな。この度、多目的艦スタークは指揮官である所のハ―ミスト・レイン中将を失った。指揮官不在の艦と言う物程戦力の無
駄遣いというものだ。その為、次のこの艦の指揮官は私になった」
にやりと笑いながらこちらを見るガリス。
「そしてそれに伴い、艦の人員の大幅な入れ替えを行う」
当たり前と言えば当たり前だ。
現在のスタークのクルーはハーミストを中心として集っていた。
その中に新しい、しかもハーミストを目の敵にしていた上官が入ってきても馴染む訳がない。
部下を促して入れ替え人員を読み上げさせるガリス。
人員は殆どが入れ替わる。しかし……
「―――以上です」
「後でこの資料はそちらに――」
「待って下さい、僕はこの艦に残る事になるんですか!?」
リクの声が響く。
「もちろんだ。この艦は最前線に出る事になる。連邦軍の旗艦になるのだぞ?そこに最強の戦力を保持しないでどうすると言うのだ?」
「そんなの……僕はこの――」
「落ちつけ、小僧」
リクはなお食い下がろうとするが、ウィンスがそれを押しとどめる。
「ここで逆らっても損をするだけだ。奴の元にいる間は本気を出さなければいい」
ウィンスは小声でそう言うと、リクから手を離す。
リクはいまだに不機嫌だが、納得はしたようだ。
「そうそう、君達の活躍から階級も上がる事になっている。リキ・ガンツ軍曹は曹長、カルラ・キオム少佐は中佐、リク・ゼノラス准尉は中尉
に昇格だ。これからの活躍も期待しているぞ」
吐き気のする様な笑みを浮かべてガリスは去って行った。
「彼は素直に従うようすがありませんが、いかがいたしましょう」
ガリスの部下は三人が見えなくなった所でガリスにそう聞いた。
「ふん、夢想家の部下など最初から期待しておらん。あの機体のテクノロジーが手に入ればいいのだ」
「ならば、既に準備は整えていますが?」
「優秀だな。まぁそちらの方が効率がいいと言えばそうなのだがな。よし、この件はお前に一任する」
ガリスの顔には野心に満ちた笑みが浮かんでいる。
「チクショウ、ふざけてる……あんなのが上層部、本当に軍ってやつは!」
リクが荒れているのは最近の疲れにも関係がある。
自分を演じる事に疲れが生じている。
その為、ハーミストとミキの二人にあっさりと過去を話してしまった。
「リク、落ちつけ。とりあえず物に当たるな」
リキの言葉に暴れ過ぎていた事に気付くリク。
「あぁ……ごめん」
「いいっての、俺だってそうなりそうなのを必死に抑えてるんだぜ?」
苦笑いをするリキに自分を抑えられなかったリクは申し訳なくなる。
現在はハンガーの近くの休憩室。リキは専用機関連の打ち合わせが終わった所だ。
「なぁ、リキの専用機ってどうなってるの?」
「後は組み立てだけだよ。装備を考案して、それに必要なパーツ集めて、そんで組み立てたら完成。あと数日だ」
リキは嬉しそうに語る。
「嬉しそうだね」
「おうよ!もちろんだ!」
まるでクリスマスプレゼントを楽しみにする子供の様な様子に苦笑するリク。
「そういや、シエルさんとミキさんは?」
「ラウルの仕事部屋の辺りのコンテナに隠れてるらしい。ちょくちょくラウルが様子見にいってる」
リクはその言葉に少しだけ不安を抱いた。
「………一応、頼んどくかな?」
「どうした?」
「いや、何でもない」
リクはそういうとその場を立って、歩き出した。
布石を打っておかないと、大変な事になる。そんな気がしたからだ。
「これって軟禁みたいなもんだよな……」
[アタシ達の方が状況的には酷いんだけど?コンテナの中って固いのよ?]
リリはパナマ基地の休憩室の一つにいた。
基地にやってきた兵士が羽根を休めるための部屋だが、現状で言えば外には衛兵が巡回しているし、出来るだけ部屋から出ない様に言われてい
るし、発信機変わりとしか思えない端末の携帯を義務付けられるしで状況は軟禁であった。
通信の相手はシエル。
ブリッジクルーの中で女子どうしの為仲が良くなった。シエルの方から誤魔化しをしているらしいから通信が傍受される心配はない。
[しっかし、連邦軍も酷いねー。死にそうな目にあって、帰ってきた兵士にさっさとどっか行けって……]
「仕方無いっちゃ仕方ないんだけどな。それだけオレらの無茶が過ぎたって事だし」
実を言うとこの通信も無茶の一つだとシエルは思うのだが、あまりにも一般常識が違い過ぎてたまに頭が痛くなる。
「ふぃ~、暇つぶしに料理でもするかな」
[え、料理できるの?]
「失礼だな、オレは料理は得意だぞ?菓子とか艦の中だとかなりの評判だぞ?」
意外な趣味に驚くシエルに少しばかりむっとしながら言うリリ。
[へ~、じゃあさ。それでリク君を落としたらいいじゃん]
シエルの意見ももっともだが……
「……料理を結構まめにふるまったりしたんだけどな……反応薄いんだよ……」
たそがれるリリに苦笑しかできないシエル。
[あれ、通信。ごめんねーちょっと切るよー]
「ふふふ……男女の機微ってむずかしーなー」
少し壊れてるリリを放っておき、シエルは通信の主に返す。
「はいはい、どちら様?」
[リクですけど、ごめんなさい、いま大丈夫?]
「わーお、リク君!で、どうしたの?愛の告白?いやーん、私ってば罪なお・ん・な?」
シエルはしなまで作ってウィンドウ越しのリクにウィンクするが、リクはそれを完璧に無視した。
「………無反応は酷くない?少し傷ついたんだけど」
[そんなことより、少し頼みがあるんだ]
「スルーされたし。まぁ冗談だからいいけど。で、何?」
[既にゴースさんにも頼んだんだけど―――]
リクはある推論を話していく。
それを聞いてシエルの目が変わる。
「それ、確かなの?」
[あくまで可能性の話。だけど状況的に考えてみると……]
「確かにまずいかもね……分かった。いざとなったらミキちゃんにも頼んで一緒に動くよ。本人には?」
[悪いけど、囮になってもらう。そうでもしないと尻尾を出さないし、そうでないと……]
「そうでないと?」
リクは一旦区切ると、暗い感情をこめてこう言った。
[あんな野郎の下になんて一時もいたくない]
[アタシ達の方が状況的には酷いんだけど?コンテナの中って固いのよ?]
リリはパナマ基地の休憩室の一つにいた。
基地にやってきた兵士が羽根を休めるための部屋だが、現状で言えば外には衛兵が巡回しているし、出来るだけ部屋から出ない様に言われてい
るし、発信機変わりとしか思えない端末の携帯を義務付けられるしで状況は軟禁であった。
通信の相手はシエル。
ブリッジクルーの中で女子どうしの為仲が良くなった。シエルの方から誤魔化しをしているらしいから通信が傍受される心配はない。
[しっかし、連邦軍も酷いねー。死にそうな目にあって、帰ってきた兵士にさっさとどっか行けって……]
「仕方無いっちゃ仕方ないんだけどな。それだけオレらの無茶が過ぎたって事だし」
実を言うとこの通信も無茶の一つだとシエルは思うのだが、あまりにも一般常識が違い過ぎてたまに頭が痛くなる。
「ふぃ~、暇つぶしに料理でもするかな」
[え、料理できるの?]
「失礼だな、オレは料理は得意だぞ?菓子とか艦の中だとかなりの評判だぞ?」
意外な趣味に驚くシエルに少しばかりむっとしながら言うリリ。
[へ~、じゃあさ。それでリク君を落としたらいいじゃん]
シエルの意見ももっともだが……
「……料理を結構まめにふるまったりしたんだけどな……反応薄いんだよ……」
たそがれるリリに苦笑しかできないシエル。
[あれ、通信。ごめんねーちょっと切るよー]
「ふふふ……男女の機微ってむずかしーなー」
少し壊れてるリリを放っておき、シエルは通信の主に返す。
「はいはい、どちら様?」
[リクですけど、ごめんなさい、いま大丈夫?]
「わーお、リク君!で、どうしたの?愛の告白?いやーん、私ってば罪なお・ん・な?」
シエルはしなまで作ってウィンドウ越しのリクにウィンクするが、リクはそれを完璧に無視した。
「………無反応は酷くない?少し傷ついたんだけど」
[そんなことより、少し頼みがあるんだ]
「スルーされたし。まぁ冗談だからいいけど。で、何?」
[既にゴースさんにも頼んだんだけど―――]
リクはある推論を話していく。
それを聞いてシエルの目が変わる。
「それ、確かなの?」
[あくまで可能性の話。だけど状況的に考えてみると……]
「確かにまずいかもね……分かった。いざとなったらミキちゃんにも頼んで一緒に動くよ。本人には?」
[悪いけど、囮になってもらう。そうでもしないと尻尾を出さないし、そうでないと……]
「そうでないと?」
リクは一旦区切ると、暗い感情をこめてこう言った。
[あんな野郎の下になんて一時もいたくない]
スタークがパナマ基地に着いて数日がたった。
クルーは各自の私物を纏めて、後は運び出すだけ。艦の引き継ぎ作業も順調に進んでいた。
ラウルはスタークのハンガーにある自分の仕事部屋に向かう。
仕事部屋のグラビレイト関連の資料は既にロックしてある。
技術者としては実現寸前だった様々な機能を実現できない事はかなり残念だが、こればかりは仕方がない。
既に完成寸前だった新装備は、失敗策として破棄するように後で頼む事にする。
まずは仕事部屋の片づけを先にしてしまおうと足を進める。
そう言えば、後で隠れてる二人の方にも行かなければと考えている時だった。
突然、ラウルの周りを顔を隠した謎の男たちが囲った。
「な、なんっすか!?あんたら――」
次の瞬間には後ろから羽交い絞めにされて前からナイフを首筋に添えられる。
「騒ぐな。今から貴様を連行する」
「ひっ!?」
ラウルの脳内には軍に入りたての頃、誰も味方がいなかった時の光景がフラッシュバックする。
数人の男の中心で殴られた腹を抱えてうずくまる自分。
さらにつま先を脇腹に入れられて、それでも痛みのあまり呻く事も出来ない自分。
そんな自分に一人の男が見せつけたのは、銀色に光るナイフ。
男はそれで………
「っうぁ……ぁぁ!?」
少し声をあげたら腹を殴られた。さらに記憶に痛みがプラスされて動きが止まる。
なす術も無く、ラウルは連れて行かれそうになるが―――
「まったく、卑劣極まりないわね」
ラウルを羽交い絞めにしていた男の後ろから声が聞こえると同時に、その男の首に手が添えられて引かれる。
首をひねられて男は声もあげずに倒れる。
ラウルは自分が助かった事を理解すると、自分を救った人物を見る。
そこにはミキとシエルがいた。
「貴様ら、どこから入り込んできた」
「どこからもなにも、最初から」
シエルはそう言ってほほ笑むとホロウィンドウのボタンを押す。
反撃の狼煙――仲間への連絡のボタンを。
「何をしている!」
「それはこっちのセリフよ」
二人目の男をミキは背負い投げの要領で地面に叩きつけてその首を足で踏みつけて首を折る。
左右から迫る男二人に対しては地面に手をついて、一気に足を振り上げる。
一人の首を相手のスピードを利用して狙い、その男が倒れると同時にもう一人の男の顔を足で挟み、ひねる。
一人になった男にさらに迫ると反撃の隙も与えずに足を払って、うつ伏せに倒れる男の背骨に踵を落とす。
「お見事!」
「これくらい出来ないでどうするのよ。義父さんからは必須技能として教え込まれたわよ?」
平然と言ってのけたミキは艦内の衛兵を始末するために動き出す。
クルーは各自の私物を纏めて、後は運び出すだけ。艦の引き継ぎ作業も順調に進んでいた。
ラウルはスタークのハンガーにある自分の仕事部屋に向かう。
仕事部屋のグラビレイト関連の資料は既にロックしてある。
技術者としては実現寸前だった様々な機能を実現できない事はかなり残念だが、こればかりは仕方がない。
既に完成寸前だった新装備は、失敗策として破棄するように後で頼む事にする。
まずは仕事部屋の片づけを先にしてしまおうと足を進める。
そう言えば、後で隠れてる二人の方にも行かなければと考えている時だった。
突然、ラウルの周りを顔を隠した謎の男たちが囲った。
「な、なんっすか!?あんたら――」
次の瞬間には後ろから羽交い絞めにされて前からナイフを首筋に添えられる。
「騒ぐな。今から貴様を連行する」
「ひっ!?」
ラウルの脳内には軍に入りたての頃、誰も味方がいなかった時の光景がフラッシュバックする。
数人の男の中心で殴られた腹を抱えてうずくまる自分。
さらにつま先を脇腹に入れられて、それでも痛みのあまり呻く事も出来ない自分。
そんな自分に一人の男が見せつけたのは、銀色に光るナイフ。
男はそれで………
「っうぁ……ぁぁ!?」
少し声をあげたら腹を殴られた。さらに記憶に痛みがプラスされて動きが止まる。
なす術も無く、ラウルは連れて行かれそうになるが―――
「まったく、卑劣極まりないわね」
ラウルを羽交い絞めにしていた男の後ろから声が聞こえると同時に、その男の首に手が添えられて引かれる。
首をひねられて男は声もあげずに倒れる。
ラウルは自分が助かった事を理解すると、自分を救った人物を見る。
そこにはミキとシエルがいた。
「貴様ら、どこから入り込んできた」
「どこからもなにも、最初から」
シエルはそう言ってほほ笑むとホロウィンドウのボタンを押す。
反撃の狼煙――仲間への連絡のボタンを。
「何をしている!」
「それはこっちのセリフよ」
二人目の男をミキは背負い投げの要領で地面に叩きつけてその首を足で踏みつけて首を折る。
左右から迫る男二人に対しては地面に手をついて、一気に足を振り上げる。
一人の首を相手のスピードを利用して狙い、その男が倒れると同時にもう一人の男の顔を足で挟み、ひねる。
一人になった男にさらに迫ると反撃の隙も与えずに足を払って、うつ伏せに倒れる男の背骨に踵を落とす。
「お見事!」
「これくらい出来ないでどうするのよ。義父さんからは必須技能として教え込まれたわよ?」
平然と言ってのけたミキは艦内の衛兵を始末するために動き出す。
その頃、基地の通路にて。
突然スタークのクルーが衛兵を襲い始めた。
その中心は……
「うらうらうらうらぁ!!」
リリだった。
リリはその拳に手袋の様なバンテージをつけて、衛兵を吹き飛ばす。
一発殴るだけで大の大人が三人ほど吹き飛ぶのだからすさまじい。
エネルギーライフルで狙いをつけるが、それを察したリリは壁に飛ぶ。
「と、ほっ!」
壁に足をついて、天井に飛び、天井を蹴って下方に蹴りを入れる。
他のクルーもエネルギーライフルを奪って応戦している。
カルラはバッテリーを入れ替えながら降ろされた隔壁にアクセスしているゴースに問う。
「ゴースさん、まだですか?」
「セキュリティはあとちょっとだ。くそ、本当に面倒だな!」
最低でもセキュリティを解除しなければこちらの居場所がすぐにばれる。
その為のセキュリティ解除だ。
「すいません、遅れました!」
リクが別の通路から両手にエネルギーライフルを持って走ってくる。
「両手にアサルトライフル並みの大きさの銃を持ちますか?普通」
「使えるんで問題無いです。ラウルは無事みたいです」
「そうですか、後は早く逃げ出すだけですね」
「じゃ、いきます!」
リクは颯爽と走って衛兵の中心にライフルを乱射する。
起き上がろうとする兵の顔面を踏みつけて一段高い所を走る。衛兵の顔面を。
「大丈夫!?リリ!」
「リクか?へーき、へーき。このくらい準備運動にもならないぜー」
カンフー映画みたいな格闘を繰り返すリリに衛兵は泣きながら逃げ出す。
「うあ!?足場が!?」
リクはその流れに足を取られる。というか足場にしていた衛兵が流れに流され始めた。
リクは数歩よろけると宙返り、しかし着地はしない。
天井の照明の出っ張りを両足で挟みこんで天井に立っているからだ。強化孤児(チャイルドアーミー)の訓練の賜物、としてもかなり異質だ。
「ば、化物!?」
「御名答、じゃあ、お休みなさい」
天井からの銃撃の雨が衛兵を襲っていく。
「よっしゃぁ!セキュリティ解除!リリちゃん!」
「おうよ!!」
ゴースの声と同時にリリは飛ぶように隔壁に走る。
「っりゃぁぁっ!!」
次の瞬間、リリは隔壁を殴りつけて吹き飛ばした。
ちなみにこの隔壁、1㎝の厚さでもHBの射撃に数発耐える事が出来る特殊合金製で、厚さは5㎝ある。
瞬間的な圧力で、あっさりとHBの火力を越えたリリはそのまま走り抜ける。
それに続くスターククルー。
そしてその様子を呆然と眺める衛兵たち。
後にその衛兵は語る。
「あの光景よりも、魔法の方がまだ信じられる」と。
突然スタークのクルーが衛兵を襲い始めた。
その中心は……
「うらうらうらうらぁ!!」
リリだった。
リリはその拳に手袋の様なバンテージをつけて、衛兵を吹き飛ばす。
一発殴るだけで大の大人が三人ほど吹き飛ぶのだからすさまじい。
エネルギーライフルで狙いをつけるが、それを察したリリは壁に飛ぶ。
「と、ほっ!」
壁に足をついて、天井に飛び、天井を蹴って下方に蹴りを入れる。
他のクルーもエネルギーライフルを奪って応戦している。
カルラはバッテリーを入れ替えながら降ろされた隔壁にアクセスしているゴースに問う。
「ゴースさん、まだですか?」
「セキュリティはあとちょっとだ。くそ、本当に面倒だな!」
最低でもセキュリティを解除しなければこちらの居場所がすぐにばれる。
その為のセキュリティ解除だ。
「すいません、遅れました!」
リクが別の通路から両手にエネルギーライフルを持って走ってくる。
「両手にアサルトライフル並みの大きさの銃を持ちますか?普通」
「使えるんで問題無いです。ラウルは無事みたいです」
「そうですか、後は早く逃げ出すだけですね」
「じゃ、いきます!」
リクは颯爽と走って衛兵の中心にライフルを乱射する。
起き上がろうとする兵の顔面を踏みつけて一段高い所を走る。衛兵の顔面を。
「大丈夫!?リリ!」
「リクか?へーき、へーき。このくらい準備運動にもならないぜー」
カンフー映画みたいな格闘を繰り返すリリに衛兵は泣きながら逃げ出す。
「うあ!?足場が!?」
リクはその流れに足を取られる。というか足場にしていた衛兵が流れに流され始めた。
リクは数歩よろけると宙返り、しかし着地はしない。
天井の照明の出っ張りを両足で挟みこんで天井に立っているからだ。強化孤児(チャイルドアーミー)の訓練の賜物、としてもかなり異質だ。
「ば、化物!?」
「御名答、じゃあ、お休みなさい」
天井からの銃撃の雨が衛兵を襲っていく。
「よっしゃぁ!セキュリティ解除!リリちゃん!」
「おうよ!!」
ゴースの声と同時にリリは飛ぶように隔壁に走る。
「っりゃぁぁっ!!」
次の瞬間、リリは隔壁を殴りつけて吹き飛ばした。
ちなみにこの隔壁、1㎝の厚さでもHBの射撃に数発耐える事が出来る特殊合金製で、厚さは5㎝ある。
瞬間的な圧力で、あっさりとHBの火力を越えたリリはそのまま走り抜ける。
それに続くスターククルー。
そしてその様子を呆然と眺める衛兵たち。
後にその衛兵は語る。
「あの光景よりも、魔法の方がまだ信じられる」と。
ガリスはその報告に顔をゆがませる。
場所はスタークのブリッジ。
「クーデター、だと」
「元スターククルーが暴れています。それに整備士の拉致も失敗した模様です」
「すぐに兵を集めて鎮圧せんか!!」
「やっていますが、それでも進行が止まりません」
ぎりぎりと歯ぎしりをして苛立ちをあらわにするガリス。
その時、ブリッジの扉が開いた。
「どうも、ガリス中将。全員武器を捨ててくださいね」
リクが入るや否や、ガリスの部下にライフルの銃口を押し当てて人質にする。
「何が目的だ、貴様等は!艦を奪う気か!?」
「言わないでも分かるでしょう?僕らの仲間を傷つけておいて。それにこの艦の艦長はあの人だけです」
リクは平然と言い放つ。その様子にガリスは怒鳴り散らす。
「連邦を裏切るのか!」
「ええ、もちろん」
「同盟に寝返る気なのだな!」
「それは違います」
「なに!?」
「元々彼等は軍に忠誠を誓ったんでは無いですから。艦長の下に集った仲間です。連邦にいる気が無いだけで同盟に行こうとは思いません」
リクは確固たる意思を持って、クルーの代弁者として話す。
「艦長が軍を裏切るならついて行ったでしょうし、同盟に寝返るのならそれにも従ったでしょうね」
そこでリクは言葉を区切り、感情を区切る。
「で、ラウルを捕えてどうするつもりだったんだ?」
「決まっているだろう?あの機体、グラビレイトと言ったか?その技術を手に入れ、量産するためだ!」
「独占しようと考えたのか?」
ガリスはリクを睨みつけながら喚く。
「独占?はっ!そんな事をする訳がないだろう?私の地位を押し上げて、連邦のトップに立つためだ!今の様なぬるい軍を叩き潰して、この私
、ガリス・マーシルの理想の形とするためだ!!そして宇宙主義者を一掃するのだ!!」
「また分かりやすいおっさんだな」
リクの一言にこめかみを引き攣らせるガリス。
「貴様、私の理想に文句があるのか?」
「大ありだ。そんな物の為に俺達がこんな面倒な事をしているんだぞ?だからさ、もうあんたの理想、じゃないな。妄想をぶっ壊すから」
「ふん、壊せるものなら壊してみろ!貴様ら程度の羽虫が喚いた所で私の地位は揺るがんわ!!」
そう言って、ガリスは懐から銃を取り出して人質を撃った。
「てめぇ……」
「これで貴様を守る盾は無くなったな?これで終わり―――」
「はい、カット!」
リクの突然の声にその場にいた全員が目を丸くする。
「は?」
「いい役者になれるよ、あんた。イザナミ!」
『編集終了です。テスト放送を行いますよ』
姿の見えない声に驚くガリス。
「いや、え?……な!?」
『私、ガリス・マーシルはこの艦を奪い、連邦を裏切る!連邦の羽虫を叩き潰して私が連邦のトップに立つ!その為に私はグラビレイトの技術
を独占、量産し、同盟と連邦を壊し、私の理想を形にする!』
ガリスはその音声に驚きを隠せない。
「いやー、ここまでうまくいくとはね。これを外に向けて流せばそれであんたはおしまい。僕達も逃げ出せるんだよ」
「わ、私はこんな事、断じて言っていない!何なんだこれは!」
にやりとリクが笑うと、姿の見えない声が言った。
『私が貴方の声を録音して編集しました。我々AIは音声データを編集して声にしますからこの程度はすぐに出来るんですよ。つまり、私は某ネ
ットアイドル的な存ざ――』
「さーて、後はさっきの部下を撃ったシーンと合わせて外に流すだけだ」
『マスター、無視ですか』
「うん」
「ま、待て!」
しかしリクは非情にもこう告げた。
「せいぜい、隠れ蓑として役に立ってくれよ?」
場所はスタークのブリッジ。
「クーデター、だと」
「元スターククルーが暴れています。それに整備士の拉致も失敗した模様です」
「すぐに兵を集めて鎮圧せんか!!」
「やっていますが、それでも進行が止まりません」
ぎりぎりと歯ぎしりをして苛立ちをあらわにするガリス。
その時、ブリッジの扉が開いた。
「どうも、ガリス中将。全員武器を捨ててくださいね」
リクが入るや否や、ガリスの部下にライフルの銃口を押し当てて人質にする。
「何が目的だ、貴様等は!艦を奪う気か!?」
「言わないでも分かるでしょう?僕らの仲間を傷つけておいて。それにこの艦の艦長はあの人だけです」
リクは平然と言い放つ。その様子にガリスは怒鳴り散らす。
「連邦を裏切るのか!」
「ええ、もちろん」
「同盟に寝返る気なのだな!」
「それは違います」
「なに!?」
「元々彼等は軍に忠誠を誓ったんでは無いですから。艦長の下に集った仲間です。連邦にいる気が無いだけで同盟に行こうとは思いません」
リクは確固たる意思を持って、クルーの代弁者として話す。
「艦長が軍を裏切るならついて行ったでしょうし、同盟に寝返るのならそれにも従ったでしょうね」
そこでリクは言葉を区切り、感情を区切る。
「で、ラウルを捕えてどうするつもりだったんだ?」
「決まっているだろう?あの機体、グラビレイトと言ったか?その技術を手に入れ、量産するためだ!」
「独占しようと考えたのか?」
ガリスはリクを睨みつけながら喚く。
「独占?はっ!そんな事をする訳がないだろう?私の地位を押し上げて、連邦のトップに立つためだ!今の様なぬるい軍を叩き潰して、この私
、ガリス・マーシルの理想の形とするためだ!!そして宇宙主義者を一掃するのだ!!」
「また分かりやすいおっさんだな」
リクの一言にこめかみを引き攣らせるガリス。
「貴様、私の理想に文句があるのか?」
「大ありだ。そんな物の為に俺達がこんな面倒な事をしているんだぞ?だからさ、もうあんたの理想、じゃないな。妄想をぶっ壊すから」
「ふん、壊せるものなら壊してみろ!貴様ら程度の羽虫が喚いた所で私の地位は揺るがんわ!!」
そう言って、ガリスは懐から銃を取り出して人質を撃った。
「てめぇ……」
「これで貴様を守る盾は無くなったな?これで終わり―――」
「はい、カット!」
リクの突然の声にその場にいた全員が目を丸くする。
「は?」
「いい役者になれるよ、あんた。イザナミ!」
『編集終了です。テスト放送を行いますよ』
姿の見えない声に驚くガリス。
「いや、え?……な!?」
『私、ガリス・マーシルはこの艦を奪い、連邦を裏切る!連邦の羽虫を叩き潰して私が連邦のトップに立つ!その為に私はグラビレイトの技術
を独占、量産し、同盟と連邦を壊し、私の理想を形にする!』
ガリスはその音声に驚きを隠せない。
「いやー、ここまでうまくいくとはね。これを外に向けて流せばそれであんたはおしまい。僕達も逃げ出せるんだよ」
「わ、私はこんな事、断じて言っていない!何なんだこれは!」
にやりとリクが笑うと、姿の見えない声が言った。
『私が貴方の声を録音して編集しました。我々AIは音声データを編集して声にしますからこの程度はすぐに出来るんですよ。つまり、私は某ネ
ットアイドル的な存ざ――』
「さーて、後はさっきの部下を撃ったシーンと合わせて外に流すだけだ」
『マスター、無視ですか』
「うん」
「ま、待て!」
しかしリクは非情にもこう告げた。
「せいぜい、隠れ蓑として役に立ってくれよ?」
スタークは太平洋上に出ている。
クーデターと中将の演説(偽装)による混乱に乗じて全速力で逃げたのだが。
「レーダーに反応有り、まだ追ってきやがる……」
「水中ソナーは反応なし、厄介な奴はいない筈だけどね」
二人の言葉に溜息をつくカルラ。
「一応同士討ちになるんでしょうかね?」
「うるせー、あんな奴ら仲間でもなんでもねーよ!」
リリの怒りももっともだ。
話を聞く限り、ガリスはさらに上との交換条件で動いていたらしい。
グラビレイトのテクノロジーを手に入れれば、地位を強くできてさらに理想に近づける筈だったと叫ぶガリスを縛り上げて蹴り飛ばしたのが数
時間前の出来事。
つまり、軍に残る限りこのような危険と隣り合わせになる。
その為、結局は脱走する事になった。
現在向かっているのは南太平洋中立国家群だ。
そこまでいけば連邦の追手はついてこれないし、上手くいけばかくまってもらえるかもしれない。
「敵艦接近!数3!」
「HB部隊出撃準備!艦内は第一種警戒態勢に移行します!」
スタークの新たな戦いが始まる。
ミキは部屋で考え込んでいた。
自分にやるべき事は何か。
確かに脱走に協力して艦内の衛兵の始末はしたが、またHBに乗って戦うかどうかは別物だ。
リクの過去を聞いて、その決意は酷く揺らぐ。
「彼ほどの強さを、私は持てていない」
強さに意味がある。弱い者は死ぬしかない。
そんな中で、強い者に頼ってしまう様な状況下で、自分は強く在れるのだろうか?
クーデターと中将の演説(偽装)による混乱に乗じて全速力で逃げたのだが。
「レーダーに反応有り、まだ追ってきやがる……」
「水中ソナーは反応なし、厄介な奴はいない筈だけどね」
二人の言葉に溜息をつくカルラ。
「一応同士討ちになるんでしょうかね?」
「うるせー、あんな奴ら仲間でもなんでもねーよ!」
リリの怒りももっともだ。
話を聞く限り、ガリスはさらに上との交換条件で動いていたらしい。
グラビレイトのテクノロジーを手に入れれば、地位を強くできてさらに理想に近づける筈だったと叫ぶガリスを縛り上げて蹴り飛ばしたのが数
時間前の出来事。
つまり、軍に残る限りこのような危険と隣り合わせになる。
その為、結局は脱走する事になった。
現在向かっているのは南太平洋中立国家群だ。
そこまでいけば連邦の追手はついてこれないし、上手くいけばかくまってもらえるかもしれない。
「敵艦接近!数3!」
「HB部隊出撃準備!艦内は第一種警戒態勢に移行します!」
スタークの新たな戦いが始まる。
ミキは部屋で考え込んでいた。
自分にやるべき事は何か。
確かに脱走に協力して艦内の衛兵の始末はしたが、またHBに乗って戦うかどうかは別物だ。
リクの過去を聞いて、その決意は酷く揺らぐ。
「彼ほどの強さを、私は持てていない」
強さに意味がある。弱い者は死ぬしかない。
そんな中で、強い者に頼ってしまう様な状況下で、自分は強く在れるのだろうか?
「悪い、まだTypeαの準備が終わらないんだ……」
「気にするな、まだ大丈夫だから。それに元を言えば僕が囮なんていいだしたのが悪いんだし……」
ラウルは必死に震えを抑えながらTypeαの準備をしていた。
Typeαは追加装甲と追加武装を取りつけている真っ最中だ。
その隣には既に追加装甲の取り付けが終わったTypeβがある。黒い筈の装甲は、白い追加装甲に包まれていた。
しかしAIによるパイロット登録の問題でリクはまだTypeβに乗れない。
「リク、ごめん。本当にごめん。俺が弱いからさ……こんなに……」
「だから謝るなよ。僕だってトラウマの一つや二つくらいあるんだからさ」
ラウルはナイフを突き付けられた事でトラウマが甦ったらしい。
急ピッチで作業は進められる中、1機のHBがハッチに向かう。
「あの機体、まさか……」
リクはその機体を見る。
[そのまさか!俺の専用機だよ]
リキの声がスピーカーで響く。
「おい、お前それは!」
[俺が望んだ事だからな。これで俺は飛ぶ。お前の隣で、お前の背中を守るために。その為なら多少はリスクがあっても問題ないさ!]
そう言ってリキは飛び立った。
「気にするな、まだ大丈夫だから。それに元を言えば僕が囮なんていいだしたのが悪いんだし……」
ラウルは必死に震えを抑えながらTypeαの準備をしていた。
Typeαは追加装甲と追加武装を取りつけている真っ最中だ。
その隣には既に追加装甲の取り付けが終わったTypeβがある。黒い筈の装甲は、白い追加装甲に包まれていた。
しかしAIによるパイロット登録の問題でリクはまだTypeβに乗れない。
「リク、ごめん。本当にごめん。俺が弱いからさ……こんなに……」
「だから謝るなよ。僕だってトラウマの一つや二つくらいあるんだからさ」
ラウルはナイフを突き付けられた事でトラウマが甦ったらしい。
急ピッチで作業は進められる中、1機のHBがハッチに向かう。
「あの機体、まさか……」
リクはその機体を見る。
[そのまさか!俺の専用機だよ]
リキの声がスピーカーで響く。
「おい、お前それは!」
[俺が望んだ事だからな。これで俺は飛ぶ。お前の隣で、お前の背中を守るために。その為なら多少はリスクがあっても問題ないさ!]
そう言ってリキは飛び立った。
リキはコックピットの中で目を閉じる。
この機体に乗る意味を、専用機という重みを感じる。
「いっくぜぇ!」
目を開き、そして飛ぶ!
リキの乗る機体は背中のウィングブースターをふかして、上昇する。
そしてある程度までいった所で一気にその翼を開く。
澄んだ音が響く。それは、既にいない筈のエースの象徴だった。
全ての兵の目がそちらに向く。そこにはそのエース、金若王(トップガン)と同型、しかし外見は似ても似つかぬ機体が飛んでいた。
カラーリングは白と金から、暗い紫と赤に。
背中の大型レーザー砲はやや小ぶりの二連装レーザー砲に。
腰に下げる射撃武器は二丁のレーザーライフルから二連レーザーチェーンガンに。
そしてその手には、機体より大きいレールガンがプラスされている。
「吹き飛べぇ!!」
レールガンが発射され、その戦場は動き出す。
両肩に二連装レーザー砲がセットされて、攻撃の準備を開始する。
二組のレーザー砲は、二つのレーザーを一組にしている。
その二つのレーザーは平行にセットされているように見えて、実は互いに銃口をほんの少し寄せている。
「弾幕、喰らえ!」
両肩のレーザーは発射される。しかし、それは数機に掠るだけで戦場を抜けていく。
その時、二つのレーザーがぶつかった。内側に寄っていたレーザーは一定距離をとってぶつかり、周囲に海栗の棘のようにレーザーをまき散ら
す。
まき散らされたレーザーは周囲の敵機を巻き込んで伸びていく。だが、その間隔は一定距離を離れた敵機には大きすぎるため、すぐにかわされ
ることになる。
しかし、そこでレーザーは不可解な広がりを見せる。角度も滅茶苦茶に、四方八方から蜘蛛の巣のように広がる。
レーザーの衝突点は一つの砲につき一つ。両肩の砲によって生まれた2つのまき散らされるレーザー球からのレーザー同士がさらにぶつかり、
そこを中心としてレーザーが散る。さらに散ったレーザーもまた別のレーザーにぶつかり散る。
またたく間にリキの機体は向く方向を全てレーザーの網に捕えてしまった。
「これが力、か……末恐ろしいが、存分に振るわせてもらうぜ!」
リキはただ撃つ。守るために、壊さないために、狂ったように、守護者であろうとする。
「あいつ……」
「あと少し、待ってくれよ!」
敵のHB部隊はどんどん増えている。
リキが膨大な弾幕を張るが、それでも何機かは抜けてくる。
その数も、敵の数が増えれば同じ様に増えてくる。
ろくな弾薬が無い状態では灰被り(グレーボマー)も活躍できない。
「くそっ!あと4分でセットアップが済むのに!」
「なら、その時間は私が稼ぐ」
ラウルの半泣きの言葉に答える声。それはミキの物だった。
「私がTypeβで時間を稼ぐ。構わないでしょ?」
「……いいの?本当に」
ミキは笑いながら言う。
「あなたが言った事でしょ?戦って、生きる目標を見つけろって」
「そう、ですね」
笑みを返すリク。
「だからね……」
「はい?」
ミキはリクの目を見据えて言う。
「あなたも戦う理由、見つけなさい。人にやれと言ったんだから自分でもやりなさいよ?」
リクは目を丸くする。
「でも、僕は……」
「でもじゃない。あなたは自分で出来ない事を人にやらせる気?それとも私が出来る程度の事も出来ないと?」
「うっ………はぁ……分かりました、やってやりますよ」
溜息をついたリクは、その目を真剣にしてミキに宣言する。
「絶対に、戦う理由を見つけて、貴女に負けないようにしますよ」
ミキはそれに頷くと、手を差し出す。
リクも手を差し出す。
互いに握手をして頷き合う。
「そう言えば、名前聞いて無いわね」
「そうですね、では改めて、リク・ゼノラスです」
「ミキ・レンストル。これからもよろしく!」
そしてミキはコックピットに走って行く。
コックピットでミキはヘルメットを被り、機体を起動する。
「あ、そうだ。整備士の、えーっと」
[ラウルっす]
「ラウル。後でいいからこれを機体に……」
ある画像データを送るミキ。
[これ……]
「今は聞かないで。後でこの艦の全員に話すから」
ミキはTypeβに取り付けられた新装備の調子を確認しながらハッチから出ていく。
ラウルに渡された画像データ、そこには黒い蝶のモチーフが描かれていた。
「ミキ・レンストル、グラビレイトTypeβバージョンマルチブースター、出撃します!」
この機体に乗る意味を、専用機という重みを感じる。
「いっくぜぇ!」
目を開き、そして飛ぶ!
リキの乗る機体は背中のウィングブースターをふかして、上昇する。
そしてある程度までいった所で一気にその翼を開く。
澄んだ音が響く。それは、既にいない筈のエースの象徴だった。
全ての兵の目がそちらに向く。そこにはそのエース、金若王(トップガン)と同型、しかし外見は似ても似つかぬ機体が飛んでいた。
カラーリングは白と金から、暗い紫と赤に。
背中の大型レーザー砲はやや小ぶりの二連装レーザー砲に。
腰に下げる射撃武器は二丁のレーザーライフルから二連レーザーチェーンガンに。
そしてその手には、機体より大きいレールガンがプラスされている。
「吹き飛べぇ!!」
レールガンが発射され、その戦場は動き出す。
両肩に二連装レーザー砲がセットされて、攻撃の準備を開始する。
二組のレーザー砲は、二つのレーザーを一組にしている。
その二つのレーザーは平行にセットされているように見えて、実は互いに銃口をほんの少し寄せている。
「弾幕、喰らえ!」
両肩のレーザーは発射される。しかし、それは数機に掠るだけで戦場を抜けていく。
その時、二つのレーザーがぶつかった。内側に寄っていたレーザーは一定距離をとってぶつかり、周囲に海栗の棘のようにレーザーをまき散ら
す。
まき散らされたレーザーは周囲の敵機を巻き込んで伸びていく。だが、その間隔は一定距離を離れた敵機には大きすぎるため、すぐにかわされ
ることになる。
しかし、そこでレーザーは不可解な広がりを見せる。角度も滅茶苦茶に、四方八方から蜘蛛の巣のように広がる。
レーザーの衝突点は一つの砲につき一つ。両肩の砲によって生まれた2つのまき散らされるレーザー球からのレーザー同士がさらにぶつかり、
そこを中心としてレーザーが散る。さらに散ったレーザーもまた別のレーザーにぶつかり散る。
またたく間にリキの機体は向く方向を全てレーザーの網に捕えてしまった。
「これが力、か……末恐ろしいが、存分に振るわせてもらうぜ!」
リキはただ撃つ。守るために、壊さないために、狂ったように、守護者であろうとする。
「あいつ……」
「あと少し、待ってくれよ!」
敵のHB部隊はどんどん増えている。
リキが膨大な弾幕を張るが、それでも何機かは抜けてくる。
その数も、敵の数が増えれば同じ様に増えてくる。
ろくな弾薬が無い状態では灰被り(グレーボマー)も活躍できない。
「くそっ!あと4分でセットアップが済むのに!」
「なら、その時間は私が稼ぐ」
ラウルの半泣きの言葉に答える声。それはミキの物だった。
「私がTypeβで時間を稼ぐ。構わないでしょ?」
「……いいの?本当に」
ミキは笑いながら言う。
「あなたが言った事でしょ?戦って、生きる目標を見つけろって」
「そう、ですね」
笑みを返すリク。
「だからね……」
「はい?」
ミキはリクの目を見据えて言う。
「あなたも戦う理由、見つけなさい。人にやれと言ったんだから自分でもやりなさいよ?」
リクは目を丸くする。
「でも、僕は……」
「でもじゃない。あなたは自分で出来ない事を人にやらせる気?それとも私が出来る程度の事も出来ないと?」
「うっ………はぁ……分かりました、やってやりますよ」
溜息をついたリクは、その目を真剣にしてミキに宣言する。
「絶対に、戦う理由を見つけて、貴女に負けないようにしますよ」
ミキはそれに頷くと、手を差し出す。
リクも手を差し出す。
互いに握手をして頷き合う。
「そう言えば、名前聞いて無いわね」
「そうですね、では改めて、リク・ゼノラスです」
「ミキ・レンストル。これからもよろしく!」
そしてミキはコックピットに走って行く。
コックピットでミキはヘルメットを被り、機体を起動する。
「あ、そうだ。整備士の、えーっと」
[ラウルっす]
「ラウル。後でいいからこれを機体に……」
ある画像データを送るミキ。
[これ……]
「今は聞かないで。後でこの艦の全員に話すから」
ミキはTypeβに取り付けられた新装備の調子を確認しながらハッチから出ていく。
ラウルに渡された画像データ、そこには黒い蝶のモチーフが描かれていた。
「ミキ・レンストル、グラビレイトTypeβバージョンマルチブースター、出撃します!」
飛びだしたTypeβは背中の4つのブースター、両肩の10のブースター、両足の12のブースター、胸部の9つのブースターをフルに活用して
2秒と掛からずに最高速度に達する。
「さて、この装備のせいでまた気絶とかにならないわよね?」
『問題ありません、マスターの戦闘データのサンプリングはしてあるので一時的な操縦の譲渡も問題ありません』
イザナギは淡々と告げる。
「え、そうなの?」
『ほかにもイザナミから渡された粒子制御の効率的な配置、情報処理の効率化に関するデータ、さらに新装備の運用に関するもありますので殆
ど私に任せて貰っても構いません。どうしますか?マスター』
「え、えーっと」
ミキは前回のイザナギとの激変ぶりに少し戸惑う。
しかしその戸惑いも一瞬。
「じゃあ、粒子制御、情報処理の二点をデフォルトに配置。戦闘に関する操縦は私がやる。新装備のデータは邪魔にならない程度にウィンドウ
に流して」
『了解しました』
武器はTypeβの初期装備の小銃と刀に加えて、両腕にワイドグラビティ、そして刀と違う方の手、右手には砕け散った対艦刀の峰部分を改良し
た物が握られている。
対艦刀の無事だった峰部分には大容量の粒子を溜めこめる。それを新たな武装に転用したのだ。
右手の粒子対応型対艦刀改は白い粒子を光らせながら、ふり抜かれると共にその粒子で刃を構築。一気にその刃を長距離に伸ばした。
「凄い……これが新武装!」
『敵機4機接近、注意を』
「やぁっ!」
左手の刀を1機に突き刺して、そこから再び右手の粒子ブレードを振り抜く。
一気に切り裂かれる4機のHBの爆炎を突き破るミキ。
「私は戦う!」
そう叫び、三度斬る。
「あいつの……」
誰にも見せずに声だけで泣いていたリクの。
「いや、自分自身の為に戦う!!」
彼の先駆けになるために、自分を見据えて戦う。
2秒と掛からずに最高速度に達する。
「さて、この装備のせいでまた気絶とかにならないわよね?」
『問題ありません、マスターの戦闘データのサンプリングはしてあるので一時的な操縦の譲渡も問題ありません』
イザナギは淡々と告げる。
「え、そうなの?」
『ほかにもイザナミから渡された粒子制御の効率的な配置、情報処理の効率化に関するデータ、さらに新装備の運用に関するもありますので殆
ど私に任せて貰っても構いません。どうしますか?マスター』
「え、えーっと」
ミキは前回のイザナギとの激変ぶりに少し戸惑う。
しかしその戸惑いも一瞬。
「じゃあ、粒子制御、情報処理の二点をデフォルトに配置。戦闘に関する操縦は私がやる。新装備のデータは邪魔にならない程度にウィンドウ
に流して」
『了解しました』
武器はTypeβの初期装備の小銃と刀に加えて、両腕にワイドグラビティ、そして刀と違う方の手、右手には砕け散った対艦刀の峰部分を改良し
た物が握られている。
対艦刀の無事だった峰部分には大容量の粒子を溜めこめる。それを新たな武装に転用したのだ。
右手の粒子対応型対艦刀改は白い粒子を光らせながら、ふり抜かれると共にその粒子で刃を構築。一気にその刃を長距離に伸ばした。
「凄い……これが新武装!」
『敵機4機接近、注意を』
「やぁっ!」
左手の刀を1機に突き刺して、そこから再び右手の粒子ブレードを振り抜く。
一気に切り裂かれる4機のHBの爆炎を突き破るミキ。
「私は戦う!」
そう叫び、三度斬る。
「あいつの……」
誰にも見せずに声だけで泣いていたリクの。
「いや、自分自身の為に戦う!!」
彼の先駆けになるために、自分を見据えて戦う。
「セットアップ完了!これでいけるよ!」
「分かった、すぐに出る。と言いたいところだが、どうなってるんだ?」
リクが疑問を抱くのも仕方がない。グラビレイトTypeαの強化装備、バージョンアサルトはハッチではなく艦底レールガンの弾倉にいる。
「この機体の為に改造したんだ。ぶっ壊れてたしね」
「いや、まて。色々大丈夫なのか!?」
レールガンの加速力を生身に受ける恐怖を感じていると。
「問題無いよ、……多分」
「多分って言ったか!?今!?」
ラウルは笑いながら手元のパネルを操作する。
「お前ならやれるって、信じてるからな!」
「り、理不尽だ……はっ、ひょっとして仕返しか!?」
ラウルは笑っていて答えない。
すぐにTypeαは外の景色が見える所まで降ろされた。純白の機体はVを横にした様な両肩のウィングアンテナで機体をレールガンに固定する。
リクはミキに言われた事を思い出す。
「人にやれと言ったのだから、か」
酒のせいにして、忘れたふりをして誤魔化した記憶。リリが泣きそうになりながらも言ったあの言葉と、やらせようとする事は同じ。
人の中に押し入って、その中から無理矢理ひきずりだそうとするような行為。
きっと彼女等は受け入れたら絶対に諦めさせてくれない。絶対に傍で変化をするための手助けをしてくる。
だからリクはその言葉を拒絶した。リクにとって仲間を持つ事が、支えを持つ事がただの悲しみにしかならないから。
そのせいで不機嫌になって、それすらも酒のせいにして誤魔化した。
だが、今のリクは二人の言葉を受け入れる覚悟を決めようと思った。
自分とういう運命の中で戦う理由を探して、その為に死に物狂いで戦う事を決意した。
恐れていた仲間を作ってみようと思った。
まず、その一歩として本当の自分を、晒してみよう。
「もう、「俺」は……殺す事を躊躇わない」
リクは目をつぶり、開く。
「だけど、「僕」を捨てる訳じゃない」
ただ一人で立ち向かう、傲慢な「俺」でもなく。
周囲に怯えて自分を隠す、臆病な「僕」でもなく。
自分が自分である為に。
「リク・ゼノラス、グラビレイトTypeαバージョンアサルト、出撃する!」
「分かった、すぐに出る。と言いたいところだが、どうなってるんだ?」
リクが疑問を抱くのも仕方がない。グラビレイトTypeαの強化装備、バージョンアサルトはハッチではなく艦底レールガンの弾倉にいる。
「この機体の為に改造したんだ。ぶっ壊れてたしね」
「いや、まて。色々大丈夫なのか!?」
レールガンの加速力を生身に受ける恐怖を感じていると。
「問題無いよ、……多分」
「多分って言ったか!?今!?」
ラウルは笑いながら手元のパネルを操作する。
「お前ならやれるって、信じてるからな!」
「り、理不尽だ……はっ、ひょっとして仕返しか!?」
ラウルは笑っていて答えない。
すぐにTypeαは外の景色が見える所まで降ろされた。純白の機体はVを横にした様な両肩のウィングアンテナで機体をレールガンに固定する。
リクはミキに言われた事を思い出す。
「人にやれと言ったのだから、か」
酒のせいにして、忘れたふりをして誤魔化した記憶。リリが泣きそうになりながらも言ったあの言葉と、やらせようとする事は同じ。
人の中に押し入って、その中から無理矢理ひきずりだそうとするような行為。
きっと彼女等は受け入れたら絶対に諦めさせてくれない。絶対に傍で変化をするための手助けをしてくる。
だからリクはその言葉を拒絶した。リクにとって仲間を持つ事が、支えを持つ事がただの悲しみにしかならないから。
そのせいで不機嫌になって、それすらも酒のせいにして誤魔化した。
だが、今のリクは二人の言葉を受け入れる覚悟を決めようと思った。
自分とういう運命の中で戦う理由を探して、その為に死に物狂いで戦う事を決意した。
恐れていた仲間を作ってみようと思った。
まず、その一歩として本当の自分を、晒してみよう。
「もう、「俺」は……殺す事を躊躇わない」
リクは目をつぶり、開く。
「だけど、「僕」を捨てる訳じゃない」
ただ一人で立ち向かう、傲慢な「俺」でもなく。
周囲に怯えて自分を隠す、臆病な「僕」でもなく。
自分が自分である為に。
「リク・ゼノラス、グラビレイトTypeαバージョンアサルト、出撃する!」
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