登録日:2026/10/06 Tue 01:55:14
更新日:2026/10/06 Tue 02:51:52NEW!
所要時間:約10分で読めます
「Mr.ゼロ…! もうあなたにお願いするしかないのです。
この世から失われた、アニヲタwikiの項目を……どうか甦らせていただきたい────ッ」
「ふ…ん。報酬は、あンたの全財産だ」
「なっ……」
「わかりました…お願いします…」
「承知した────ッ」
(数日後)
「待たせたな
これが本物の項目だ────ッ」
「こ、これは……まさに本物────」
『ゼロ THE MAN OF THE CREATION』とは、原作:愛英史、作画:里見桂による漫画作品である。
集英社の『スーパージャンプ』にて1990年から2011年まで連載された。単行本は全78巻。
概要
「神の手」を持つ贋作者「ゼロ」を主人公とした
一話完結型
のオムニバス作品(例外あり)。
陶器・絵画・彫刻はもちろん、この地球に存在する全ての物を「本物」に複製する創造主(ザ・マン・オブ・ザ・クリエイション)。この世にただ一つしかないかけがえなき物の復元を願う人々の心を癒し、諌め、時に裁く。
ほかにも刀剣・料理・工業製品・古文書・失われた古代の遺物に至るまで、この世に存在する、あるいは
かつて存在した
ありとあらゆる物を完璧に再現してしまう男の活躍を描く。
単行本全78巻に加え、傑作選として『ゼロ Masterpiece Collection』『ゼロ The Special Edition』『ゼロ The Great Selection』も刊行されている。
20年以上にわたる長期連載だったが、掲載誌の休刊と時期を同じくして完結した。
作風・特徴
扱われる題材は実在の芸術家・歴史上の人物・事件が中心だが、
作中の依頼品そのものは架空のものもあり
、史実の解釈にも創作が入ることもある。
ムー大陸やオーパーツ、宇宙人といった疑似科学・オカルト寄りのネタも登場し、
それを肯定するか否定するか、科学的に解釈するかは
回によってまちまち
。
つまり「歴史・美術ミステリー」と「ムー的ロマン」と「人情ドラマ」がごった煮になった作品であり、
読者は毎回「どこまでが史実なのか」とツッコミつつも、その知識量と勢いに押し切られるのがお約束である。
この漫画で初めて名前を知った芸術家がいる読者も多いのではないだろうか。
また、架空の独裁国家(アフリカや東欧など)が舞台になることもあり、
その場合はゼロの作った「本物」が革命や民主化のきっかけになる展開が多い。
エピソードのパターン
基本的な流れはおおむね以下の通り。
原則として一話完結のオムニバスゆえ、ゼロの関わり方にはいくつかの型がある。
最も基本的なパターン。失われた美術品や伝説の品の再現を依頼され、作者になりきって製作する。
完成した「本物」によって、依頼品に隠された真実や依頼人の嘘が暴かれることも多い。
-
ゼロは無関係だったが、行きがかり上巻き込まれて解決する
サーフィンや釣りなどオフの「至福の時」を邪魔された結果、無報酬で事件に首を突っ込むことがある。
旅先で出会ったトレジャーハンターの話を気に入り、出資してしまうことも。
また、ゼロ自身が災難に巻き込まれ、自身を救出した者の困り事を解決するという形で恩返しをすることも。
ゼロを利用・逮捕・陥れようとした人物が、ゼロの作った「本物」によって逆に追い詰められる。
不誠実な依頼人の作品にはトラップが仕込まれていることもあり、殺人などの犯罪に手を染めている場合には時に命を奪うこともある。
真相を突きつけられた悪党の絶叫は、「ウガ────ッ」と独特なセリフのため親しまれている。
各国警察から要注意人物としてマークされている一方で、
事件の真相究明のために警察側がゼロへ依頼を持ち込む回も多い。
基本的に単独で製作するが、他人の助けを借りたり、
作者になりきらせた別人に製作させたりすることもある。
アフリカや東欧などの架空国家が舞台となり、
ゼロの「本物」が革命や民主化のきっかけになる。
歴史上の名料理や幻の食材を再現する。料理回は数多く、美術品回とはまた違った人情話になりやすい。
単行本1巻・55巻のエピソードや、第400~401話の特別編で、榊零としての少年時代が描かれる。
-
ゼロがほとんど登場しない回
もあり、依頼人や周囲の人物のドラマが主軸になる。
- 後期には、依頼人になろうとした相手の弟子に啖呵を切られ、あえて身を引きつつ真相へのヒントだけを与えた回もある。
- 最終巻(78巻)は、
1冊丸ごと1エピソード
という異例の構成。
結末はほぼ二択。
-
誠実な依頼人
→ 全財産を失っても後悔しないほどの精神的充足を得て、新たな人生へ再出発する
-
不誠実な依頼人
(私利私欲で美術品を利用する、ゼロを陥れようとする等) → 経済的・社会的に破滅、あるいは死亡する
ラストでゼロが新聞記事で依頼人の顛末を確認して終わる、というパターンもよく見られる。
なお報酬は回が進むにつれて「全財産の半分」「1/4」などに下がったり、
依頼人が研究や仕事に打ち込んでいる場合は
「一生かけてそれを成し遂げることが報酬だ」
と金銭的な報酬を放棄をすることも多い。
金額は経費とは無関係で、あくまで「依頼人がそれだけの価値を感じているか」の試金石らしい。
実際には短期間で製作を行うため、莫大な経費がかかる場合もある(1話からして推定40億の経費に対して依頼人への報酬は20億のみ請求していた)
美術界のゴルゴ13とされることもあるが、エピソードや本人の性格からすると、どちらかと言えばブラック・ジャックに近い。
ゼロは何を製作するのか
「何でも」である。
-
美術品
:絵画、彫刻、陶磁器、ガラス、漆器、仏像など
-
工芸・道具
:刀剣、時計、楽器、茶道具、人形、オートマタなど
-
文書
:古文書、楽譜、手紙、失われた書物など
-
料理・飲み物
:歴史上の名料理、幻の食材、酒、茶、コーヒーなど
- 「太陽王」ルイ14世のバゲット、カレー、古代ワインなど、料理回も多い
-
古代の遺物
:伝説の金属、古代文明の秘宝、果ては化石まで
製作の真髄は「
オリジナルが作られた時点での作者の心理状態を分析し、作者になりきる
」ことにある。
そのため製作中のゼロは作者の境遇を徹底的に追体験し、時には浮浪者になったり、
果ては毒を飲んで中毒症状に陥り死線をさまよったりする。やりすぎ
そうして作られた品は
どんな手段を用いてもオリジナルと区別できない
。
登場人物
※単発の依頼人・ゲストは割愛し、複数回登場した人物のみ記載。
ゼロ
「承知した──ッ」
「神の手を持つ男」
本作の主人公。本名は''榊零(さかき れい)''。年齢不詳。
豊富な知識、常人離れした五感と記憶力を持つ究極至高の贋作者。
自分の作品はあくまで「本物」であると主張し、「贋作」呼ばわりされることを極端に嫌う。
これはゼロ本人が「贋作の向こうに本物が見える」という意識のため。
そのため、「贋作を作ってほしい」と言われると露骨に機嫌が悪くなる。
口癖。本物が2つある状況になると片方を破壊してしまうことが多い(大抵はゼロが作ったほうを残す)。
日本語、英語などは言うに及ばず、世界の主要言語を流暢に扱える。
驚異的な記憶力により、一度見た物(美術品、本など)は細部も含め記憶することができる。
目隠しで連行、拉致されても、音や空気の流れから行き先を言い当てるほどの五感を持つ。
依頼人の話しぶりから心理を見抜くプロファイリング能力にも長け、
不誠実な依頼人の作品には
トラップを仕込んで破滅させる
ことも。
身体能力も高く、砂漠や山岳地帯を素材探しで歩き回り、チンピラ程度なら軽くあしらう。
ロゴ入りカードの投擲も得意。
口では「ヒューマニズムは嫌い」としつつも、実際には依頼人の状況を察して便宜を図ったり、気を回すことも多々ある。
つまりツンデレ。
依頼の受け渡し時はオールバックにクリーム色のダブルスーツがほぼ定番。
製作中は前髪を下ろし、作者になりきるために様々な格好をする。
FBIをはじめ各国警察から要注意人物としてマークされ、逮捕・投獄されることもあるが、
証拠不十分や政財界上層部からの圧力で
必ず釈放される
。
一方で警察関係者が事件の真相究明のためにゼロへ依頼することも多い。
ゼロが作成したことが分かっていたとしても、贋作の鑑定が事実上不可能になることから、美術関係者からは基本的には嫌悪されている(能力や美術を純粋に楽しむ姿勢を認めている者もいる)。
リアリストではあるが、一方で反戦、平和主義者であり、また罪の無い人々が苦しむこと、カースト制度や差別などにも怒りを見せる。作中で所謂「死の商人」に対し、「平和な世界をよしとしない貴様ら死の商人……反吐が出るッ!!」と激怒したこともある。
世界各地に別邸や工房を持つ。
休日はサーフィン、釣り、クレー射撃などを楽しみ、朗らかな表情を見せる。
この「至福の時」を邪魔されると、無報酬で事件に首を突っ込むことすらある。
トレジャーハンター的な話も大好き。
陶芸家・榊万作の息子。父と共に世界中の美術館を巡って育った。
単行本1巻・55巻のエピソードで断片的に、第400~401話の特別編で少年時代が語られている。
榊万作
ゼロの父親。陶芸家。
息子の芸術的才能を幼い頃から見出していたが、旧知の美術商に騙されて須恵器の贋作を作ってしまい、「芸術家は命より名を惜しむ」として、そして零に「全ての引き際を教えるため」自ら命を絶った。
この一件がのちの「ゼロ」誕生の礎となっている。
ゼロの過去が語られるエピソードで回想として登場する。
日陰
美術商。榊万作とは旧知の仲だったが、彼を騙して須恵器の贋作を作らせた張本人。
これにより万作は芸術家としての名を汚され、自ら命を絶つことになる。
のちにゼロ(零)は報復として、
贋作の須恵器を日陰の取引先に大量に送りつけ
、彼を失脚させた。
ゼロの過去回想に関わる人物。
北山代議士
老政治家。榊万作の作品を愛好していた人物。
55巻収録のエピソードに登場し、ゼロの過去を知る数少ない人物の一人。
ただし、榊零とゼロが同一人物であるという物的証拠までは掴めなかったらしい。
ゼロが世界各地に持つ別邸の
最初の一軒
は、この北山から依頼の報酬として受け取ったものであり、
現在の別邸の大部分はそれを元に建てられたという。
京香
北山代議士の孫娘。祖父とともにゼロの過去に関わる人物。
当初は「頭悪そう」「インチキくさい男」呼ばわりするなど、
印象は良くなかったが、徐々にゼロに対する態度を軟化させていった。
ライトン先生
39巻で初登場し、67巻で再登場した修復家。
稀代のオカマキャラ
であり、「オーホッホッホ」という高笑いが特徴。
登場回数は少ないにもかかわらず、そのキャラの濃さから読者人気は
作中屈指
。
スピンオフを望む声すらあったとか。
ジャック神父
#381
『ヴォイニッチ手稿 悪魔のコード』にニューヨーク州の神父として登場し、
#485
『カリオストロの手紙』でもイタリアのサン・レオ村に姿を見せた神父。
「サンタクロース反対──ッ」について
クリスマスが近づくとネット上のあちこちに投下されるAA。
元ネタは本作''39巻収録の#255「Joyeux Noël!」''の一場面である。
\_WW从WWW从WW从WWW从从WW从从WWW/
≫ ≪
≫ サンタクロース、反対━━━━━━ッ!! ≪
≫ ≪
/MMMMMM从从MMMM从MMMMM从MMMM、\
∥
∥;;从;从;
______o!(从!!从)! ボォォォッ
/ ィ(;从;人;从)
/ニニニ) ;从;从;从/
(`Д´ ) 川川/ U
V L 川川○
元ネタのあらすじ
サンタクロースの姿を見ると発作を起こして倒れてしまう老婦人。
その原因は、幼い頃のクリスマスに目撃した父親──ある
神父
の最期にあった。
20世紀半ば、キリストの降誕祭であるはずのクリスマスが、出自の知れない「サンタクロース」に乗っ取られていくことに
教会側は強い危機感を抱いていた。
作中では教会の上層部がサンタクロースの格好をした者を厳しく罰するよう定めたとされ、
信仰のためとはいえ犠牲者が出ることを良しとしなかった神父は、
自らサンタクロースの姿で衆人環視の中に立ち、自らに火を放ち、
「サンタクロース反対──ッ」と叫んで殉教する……という壮絶な話である。
実は笑えない話
AAだけ見るとシュールなギャグにしか見えないが、
元の話はキリスト教とサンタクロースの起源を踏まえた
大真面目な宗教ドラマ
。
AAで元ネタを知った人が原作を読んで、その重さに言葉を失うのもまたお約束。
ちなみに現実にも、1951年のクリスマスにフランスのディジョンで、
聖職者たちがサンタクロースの人形を「火あぶり」にした事件が起きており、
このエピソードの着想元と考えられている。
(作中の神父の殉教が史実かどうかは定かではない)
余談
本作の「────ッ」という独特の伸ばし棒は、
ハイフン(-)や長音符(ー)ではなく罫線(─)
である。
読者の間では、語尾を伸ばすときは必ず罫線を使い、最後は小さい「ッ」で締めるか何も付けず、「!」は付けないのが作法とされている。
本項目でも伸ばし棒には罫線を使用しているので、追記・修正の際はご注意を────ッ
9巻のとあるエピソードの「ソッコル」「お待ち申し上げておりました」というやり取りが、なぜか読者の間でカルト的人気を得た。
そして最終話では
「ソッコル」という名前の犬
が登場。ファンサービスなのかは不明。
- 本作の終了後、里見桂が『グランドジャンプPREMIUM』で連載した『ファウスト』の最終話にゼロが登場している。
- 小説『万能鑑定士Q』シリーズのヒロイン・凜田莉子の愛読書でもある。
最終話ではギザの大ピラミッドで錬金術の奥義が記された「エメラルド・タブレット」を発見するも、
その場で致命傷となる銃撃を受けてしまう。
ゼロはとっさにタブレットを自らの体内に取り込み死亡したかに見えたが、
実は
自身の意識を移植したクローン
を作り出しており、最終的に作品は依頼者の手に渡された。
連載初期のクローン人間ネタがここで回収されたこともあり、
読者の間では「ゼロ複数人説」がほぼ公式になってしまった。
「ありがとうございますMr.ゼロ、これが私の全財産の小切手です」
「ふん…あなたがこのwikiを追記・修正をすること、それを私への報酬とする────」
「!!
…Mr.ゼロ…深く…深く感謝します────」
最終更新:2026年10月06日 02:51