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パーソナルトレーニングの様子
“桃弧棘矢”、燃実。
N◎VAの裏社会において、ここしばらくの期間で名を挙げた渡世人の名だ。
ふらりとアサクサに現れた彼女は、組長誘拐という鎌原組の危機を救い、あれよあれよという間に食客として招かれた。
その電撃的な厚遇ぶりに白い目を向ける周りの目を気にすることもなく、日が出れば子供と街中で遊び、雨が降れば煙草を味わう。
だが、ひとたび”仕事”となればその様獣、いいや悪鬼が如し。
狙われた標的は組織ごと消え、護衛につけば刺客は皆帰らなかった。
『鎌原に牙をむくな、荊の矢を落とせぬのであれば。』
若くして、そんな噂をアサクサの街に広がらせていた彼女は今──。
N◎VAの裏社会において、ここしばらくの期間で名を挙げた渡世人の名だ。
ふらりとアサクサに現れた彼女は、組長誘拐という鎌原組の危機を救い、あれよあれよという間に食客として招かれた。
その電撃的な厚遇ぶりに白い目を向ける周りの目を気にすることもなく、日が出れば子供と街中で遊び、雨が降れば煙草を味わう。
だが、ひとたび”仕事”となればその様獣、いいや悪鬼が如し。
狙われた標的は組織ごと消え、護衛につけば刺客は皆帰らなかった。
『鎌原に牙をむくな、荊の矢を落とせぬのであれば。』
若くして、そんな噂をアサクサの街に広がらせていた彼女は今──。
「………うぇ、まだきもちわるい」
N◎VAから遠く北の地で、船酔いの後遺症に苦しんでいた。
N◎VAから遠く北の地で、船酔いの後遺症に苦しんでいた。
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かつて離島であった対馬。”天災”に見舞われたこの地に、その面影はカケラもなくなってしまった。
地殻変動によって隆起した大地に巻き込まれた形で、大陸と島国を渡す橋のような半島へと変貌したツシマという都市は、侵攻目論む大陸勢力と日本軍が衝突する前線となり、一度完全に消滅した。
焼け野原となり。ヒトのいなくなったツシマに蠢いていたのは、のちにクロガネと呼ばれる意志持つ鉄屑の集まり。
そこへ各都市から逃げ出してきたヒルコたちが身を寄せ、かくしてヒトの滅ぼしたツシマはヒトでないものたちの街へと変貌を遂げていった。
鋼鉄に覆われた要塞大地、ツシマFORTЯЭSSと名を変えて。
地殻変動によって隆起した大地に巻き込まれた形で、大陸と島国を渡す橋のような半島へと変貌したツシマという都市は、侵攻目論む大陸勢力と日本軍が衝突する前線となり、一度完全に消滅した。
焼け野原となり。ヒトのいなくなったツシマに蠢いていたのは、のちにクロガネと呼ばれる意志持つ鉄屑の集まり。
そこへ各都市から逃げ出してきたヒルコたちが身を寄せ、かくしてヒトの滅ぼしたツシマはヒトでないものたちの街へと変貌を遂げていった。
鋼鉄に覆われた要塞大地、ツシマFORTЯЭSSと名を変えて。
ツシマFORTЯЭSS 南東端 イズハラ港
華爛街
華爛街
「オネエさんさぁ、大丈夫ゥ?」
「うっわ、ちょっとカワイイじゃん?」
下心を隠さない含み笑いを漏らしながら自らにかけられた声に、燃実は反応するのに少し時間がかかった。
振り返ると、サングラスをかけた軽薄そうな男と汚い長髪を後ろでまとめた痩せた男がニヤニヤと笑いを浮かべていた。
あぁ、こいつらは私を水商売と勘違いしてんのか
男たちの背後の壁に無造作に貼られたケバケバしい張り紙の跡と、消灯しているネオンパネル
を眺めながら、燃実はぼんやりと状況を把握した。
到着後、燃実が港である程度スッキリしてから戻ると、彼女の他の面々はどこかへと姿を消していた。
厳密にはグランギニョルはいるにはいたのだが、声をかけど反応がないので諦めて適当に近くの通りをうろつくことにしたのだが。
「ちょっとサ、オレの知り合いの店こっから近いから休んできなよォ〜」
よもやこんな絡まれ方をするなんて。こんなこと、一体いつぶりだろうか。
「うっかりしてたな……。」
年若い女がレッドエリアをうろつこうものなら、こうなることは自明の理だというのに。
燃実の嘆息は男の耳には入らなかったようで、間を詰めてくる。
「な、ちょっとくらいいいだろォ?」
そう言いながら肩に腕を回そうとしたサングラスの男の世界がぐるりと回る。
男が自分が投げ飛ばされたことを理解したときには、背中から落ちた激痛でそれどころではなかった。
「このクソガキィ!殺されてえのか?!」
長髪の男は顔を真っ赤にして鋭いナイフを燃実の鼻先に突きつけた。
「あのさ、私今そんなに気分良くないから、ヨソでやってよ。」
眼前のナイフを冷めた目で見つめながら、激昂した男が突き出してくる様を燃実は冷静に見ていた。
鼻先で切っ先を避けると、伸ばされた腕を抱え込みそのまま捻りあげる。
長髪男の悲鳴にうんざりしながら燃実は言葉を続ける。
「だからヨソでやれって。もしくは今日のことを教訓にして真面目に働くんだね。」
男の腕を突き放し、燃実がその場を去ろうとしたとき。
「ジャッキーの兄貴に何してやがる!」
「おい、ヤンくんもやられてるぞ!」
「よそ者がでかい顔してんじゃねえぞ!!」
「落とし前つけてもらおうじゃねえか!!」
「「「「「ぶっころしてやる!!!!!」」」」」
いつの間にか、殺気立った大量の群衆に囲われていた。
「うっわ、ちょっとカワイイじゃん?」
下心を隠さない含み笑いを漏らしながら自らにかけられた声に、燃実は反応するのに少し時間がかかった。
振り返ると、サングラスをかけた軽薄そうな男と汚い長髪を後ろでまとめた痩せた男がニヤニヤと笑いを浮かべていた。
あぁ、こいつらは私を水商売と勘違いしてんのか
男たちの背後の壁に無造作に貼られたケバケバしい張り紙の跡と、消灯しているネオンパネル
を眺めながら、燃実はぼんやりと状況を把握した。
到着後、燃実が港である程度スッキリしてから戻ると、彼女の他の面々はどこかへと姿を消していた。
厳密にはグランギニョルはいるにはいたのだが、声をかけど反応がないので諦めて適当に近くの通りをうろつくことにしたのだが。
「ちょっとサ、オレの知り合いの店こっから近いから休んできなよォ〜」
よもやこんな絡まれ方をするなんて。こんなこと、一体いつぶりだろうか。
「うっかりしてたな……。」
年若い女がレッドエリアをうろつこうものなら、こうなることは自明の理だというのに。
燃実の嘆息は男の耳には入らなかったようで、間を詰めてくる。
「な、ちょっとくらいいいだろォ?」
そう言いながら肩に腕を回そうとしたサングラスの男の世界がぐるりと回る。
男が自分が投げ飛ばされたことを理解したときには、背中から落ちた激痛でそれどころではなかった。
「このクソガキィ!殺されてえのか?!」
長髪の男は顔を真っ赤にして鋭いナイフを燃実の鼻先に突きつけた。
「あのさ、私今そんなに気分良くないから、ヨソでやってよ。」
眼前のナイフを冷めた目で見つめながら、激昂した男が突き出してくる様を燃実は冷静に見ていた。
鼻先で切っ先を避けると、伸ばされた腕を抱え込みそのまま捻りあげる。
長髪男の悲鳴にうんざりしながら燃実は言葉を続ける。
「だからヨソでやれって。もしくは今日のことを教訓にして真面目に働くんだね。」
男の腕を突き放し、燃実がその場を去ろうとしたとき。
「ジャッキーの兄貴に何してやがる!」
「おい、ヤンくんもやられてるぞ!」
「よそ者がでかい顔してんじゃねえぞ!!」
「落とし前つけてもらおうじゃねえか!!」
「「「「「ぶっころしてやる!!!!!」」」」」
いつの間にか、殺気立った大量の群衆に囲われていた。
燃実は知る由もないが、ツシマFORTЯЭSSは迫害され逃げ延びたヒルコ達が身を寄せ合ったことが街の始まり。
地元の人間のつながりは、一般的な家族の関わりよりも強い結束力を持ち、外敵への敵意は何よりも強かった。
普段の燃実ならば、潜入早々騒ぎを起こすことを良しとせず、自分がよそ者であるという点に重きを置き、なんとか交渉に入って穏便にことを進めたであろう。
だが、今日この時に限っては。
先だってのヒャクヨウとの戦いの敗北、突然面通しをされた異形の面々、そこから流されるように遠くツシマへ上陸。そして船酔い。
「先に喧嘩売ってきたのはそっちだろうが………。」
そう、燃実はものすごく機嫌が悪かった。
地元の人間のつながりは、一般的な家族の関わりよりも強い結束力を持ち、外敵への敵意は何よりも強かった。
普段の燃実ならば、潜入早々騒ぎを起こすことを良しとせず、自分がよそ者であるという点に重きを置き、なんとか交渉に入って穏便にことを進めたであろう。
だが、今日この時に限っては。
先だってのヒャクヨウとの戦いの敗北、突然面通しをされた異形の面々、そこから流されるように遠くツシマへ上陸。そして船酔い。
「先に喧嘩売ってきたのはそっちだろうが………。」
そう、燃実はものすごく機嫌が悪かった。
「死にてえなら、全員かかってきやがれ!!!」
《難攻不落》使用直後
ツシマFORTЯЭSS 南東端 イズハラ港
雨水道管
雨水道管
「レーダーには一切の検知がないにも関わらず『砲撃の着弾』と見られる衝撃が華爛街
で観測された。
現場映像を確認した結果、軍用サイボーグと見られる不法入国者が関与しているものと判断。
外見年齢19~16歳。
対象は迫撃砲に相当する武装を使用し、近隣住人を攻撃したものと思われる。
通報を受けたパトロールの追跡を振り切り現在も市街に潜伏中とみられ──。」
「誰が軍用サイボーグだ、誰が」
下水道に反響する無線機から漏れる音声に突っ込みながら、燃実は受信機を踏み潰す。
燃実の周囲には、叩きのめされた哀れなパトロール部隊が転がっている。
「やばいよね、これ……。一櫻とか無事だといいけど……。」
で観測された。
現場映像を確認した結果、軍用サイボーグと見られる不法入国者が関与しているものと判断。
外見年齢19~16歳。
対象は迫撃砲に相当する武装を使用し、近隣住人を攻撃したものと思われる。
通報を受けたパトロールの追跡を振り切り現在も市街に潜伏中とみられ──。」
「誰が軍用サイボーグだ、誰が」
下水道に反響する無線機から漏れる音声に突っ込みながら、燃実は受信機を踏み潰す。
燃実の周囲には、叩きのめされた哀れなパトロール部隊が転がっている。
「やばいよね、これ……。一櫻とか無事だといいけど……。」
この燃実が巻き起こした騒ぎによって、パトロールが大きく人員を割かれ、ツシマのセキュリティへ予想外の負荷をかけた続けた事でグランギニョルらに大きく利する結果を招いたとは、結局誰も気がつかないままであった……。
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