この世界の成り立ち
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[この世界の成り立ち]
全くの虚無の中から、私達の宇宙とは異なる別の宇宙が新たに生まれ、膨張を始めました。
熱に満ちた小さな宇宙は爆発的に広がり、宇宙のあらゆる物事を形作る様々な粒子達が生まれ、広大すぎる空間に拡散していきます。
そして、充分に長いといえるほどに時間が過ぎ去った後。ある小さな銀河の片隅の惑星で、
その宇宙で最初の生命が産声を上げました。彼らはそこから更に長い年月を経て単純な形態から次第に複雑な能力を身に着けていき、
遂には最初の文明を作り上げ、星々の間を飛び交うまでに成長したのです。彼らは科学を極め、自分達の身内の諍いや憎しみ合いさえも乗り越えて、
呆れるほどの長い間星々の海を渡り歩いた探索の日々の果てに、
自分達の世界の全てを知り尽くすという恐らくは空前にして絶後の偉業、究極の栄華に辿り着きました。
ですがその栄華も、最後の銀河を知り尽くした時に明らかになったもう一つの、しかし残酷な事実によって意味の薄いものとなってしまったのです。
熱に満ちた小さな宇宙は爆発的に広がり、宇宙のあらゆる物事を形作る様々な粒子達が生まれ、広大すぎる空間に拡散していきます。
そして、充分に長いといえるほどに時間が過ぎ去った後。ある小さな銀河の片隅の惑星で、
その宇宙で最初の生命が産声を上げました。彼らはそこから更に長い年月を経て単純な形態から次第に複雑な能力を身に着けていき、
遂には最初の文明を作り上げ、星々の間を飛び交うまでに成長したのです。彼らは科学を極め、自分達の身内の諍いや憎しみ合いさえも乗り越えて、
呆れるほどの長い間星々の海を渡り歩いた探索の日々の果てに、
自分達の世界の全てを知り尽くすという恐らくは空前にして絶後の偉業、究極の栄華に辿り着きました。
ですがその栄華も、最後の銀河を知り尽くした時に明らかになったもう一つの、しかし残酷な事実によって意味の薄いものとなってしまったのです。
何故なら、この宇宙には彼ら以外の種族が存在していなかったからなのでした。
広大な宇宙にいる生き物は彼らだけ、いくら期待に胸を膨らませて宇宙を調べ尽しても
広大な宇宙にいる生き物は彼らだけ、いくら期待に胸を膨らませて宇宙を調べ尽しても
…そこには、誰もいなかったのです。
彼らを打ちひしいだ大きな悲しみは、大昔に自分達の祖先が克服した筈の「対立」を再び生むという災いも残していきました。
彼らは、自分達以外の友を持つという経験を、当然ながら知りません。
それゆえ彼らの中で、「宇宙に友がいなければ、己の手を以ってしても彼らの生まれるきっかけを作りたい」という人々と、
初めて友を持つということに恐れを抱き「そうして生まれた者達が本当に友となる保障は無い」と考える人々に別れたのです。
彼らは、自分達以外の友を持つという経験を、当然ながら知りません。
それゆえ彼らの中で、「宇宙に友がいなければ、己の手を以ってしても彼らの生まれるきっかけを作りたい」という人々と、
初めて友を持つということに恐れを抱き「そうして生まれた者達が本当に友となる保障は無い」と考える人々に別れたのです。
聡明な彼らは争うことこそしませんでしたが、
友を望む人々が宇宙に散らばり生命の生まれる環境を創る機械「エメト」を無数に建造して宇宙に放流を始めると、
友を望まない人々は「エメト」とエメトの作り出した生命を抹殺する機械「メト」を作り出し、同じように無数に宇宙に放ったのでした。
放たれたエメト達は自分の使命を達成するのに適した星を探して宇宙を駆け抜け、メト達は全てのエメトを破壊すべく後を追います。
知り尽くされてからしばらくのあいだ静かだった宇宙に、再び変化が起ころうとしていたのです。
友を望む人々が宇宙に散らばり生命の生まれる環境を創る機械「エメト」を無数に建造して宇宙に放流を始めると、
友を望まない人々は「エメト」とエメトの作り出した生命を抹殺する機械「メト」を作り出し、同じように無数に宇宙に放ったのでした。
放たれたエメト達は自分の使命を達成するのに適した星を探して宇宙を駆け抜け、メト達は全てのエメトを破壊すべく後を追います。
知り尽くされてからしばらくのあいだ静かだった宇宙に、再び変化が起ころうとしていたのです。
[魔界誕生]
やがて、幾星霜の時が過ぎ去ったでしょうか。これまでには宇宙に散らばったメトがエメトを破壊し、
それを免れたエメトが方々の星を生命の生まれやすい環境に作り変え…時にはその地で生まれ、
文明を創るまでになったその申し子たちがメトに見つかって滅ぼされ、そこにまたエメトがやってきて…という循環が繰り返されました。
そもそもの発端である「最初の人々」も、いつの間にか姿を消してしまい、
その生み出した所の創造の機械と破壊の機械の使命の繰り返しが、数を減じながらも各地で続いていました。
それを免れたエメトが方々の星を生命の生まれやすい環境に作り変え…時にはその地で生まれ、
文明を創るまでになったその申し子たちがメトに見つかって滅ぼされ、そこにまたエメトがやってきて…という循環が繰り返されました。
そもそもの発端である「最初の人々」も、いつの間にか姿を消してしまい、
その生み出した所の創造の機械と破壊の機械の使命の繰り返しが、数を減じながらも各地で続いていました。
そして最初の人々の生まれた銀河の遥か彼方の、
これまた小さな銀河の端の――後に渚の地平と呼ばれることになる惑星をある一基のエメトが作り変え、命溢れる大地となっていた頃の事です。
エメトはその使命を終え、深い眠りについていました。
彼の子供達は知性を高め、ヒト、つまり人類へと進化していきましたが、ここでエメトにとっても、人類にとっても予想外の事態が起きます。
偶然から「エメト」を発見した人類はその中に入り込み、持って生まれた好奇の心からそれを再起動させてしまったのです。
それが何をもたらす存在か知らないまま…。
緊急起動した「エメト」は暴走し周囲の生態系を大きく作り変えてしまいました。
森は歪み、鳥や獣、そしてヒトすらも奇怪な姿へ変貌していきます。渚の地平の東半分を作り変えたところで「エメト」はその機能を停止し、
今度こそは完全な眠りに就きました。
これまた小さな銀河の端の――後に渚の地平と呼ばれることになる惑星をある一基のエメトが作り変え、命溢れる大地となっていた頃の事です。
エメトはその使命を終え、深い眠りについていました。
彼の子供達は知性を高め、ヒト、つまり人類へと進化していきましたが、ここでエメトにとっても、人類にとっても予想外の事態が起きます。
偶然から「エメト」を発見した人類はその中に入り込み、持って生まれた好奇の心からそれを再起動させてしまったのです。
それが何をもたらす存在か知らないまま…。
緊急起動した「エメト」は暴走し周囲の生態系を大きく作り変えてしまいました。
森は歪み、鳥や獣、そしてヒトすらも奇怪な姿へ変貌していきます。渚の地平の東半分を作り変えたところで「エメト」はその機能を停止し、
今度こそは完全な眠りに就きました。
一方、「エメト」が作り変えた異形ともいえる生き物達は子孫を残し、種族として生きていくことが出来ました。
それどころか宇宙に無限に存在するエネルギー「バーラ」を取り込むことも出来、元の生き物達より強固な肉体を持っていました。
彼らは自らを「エメタリス」と呼ぶようになります。
人類は自分たちと異なる体の形を持ち、バーラを取り込み奇跡を起こすエメタリスを「魔族」、
彼らの住まう土地を「魔界」、
その奇跡の技を「魔法」と呼んで恐れました。
それでも人類とエメタリスは「渚の地平」の東西に住み分け、時に争い、時に理解しあい、複雑に交流しながら奇妙な均衡状態を作り上げて行き……
それどころか宇宙に無限に存在するエネルギー「バーラ」を取り込むことも出来、元の生き物達より強固な肉体を持っていました。
彼らは自らを「エメタリス」と呼ぶようになります。
人類は自分たちと異なる体の形を持ち、バーラを取り込み奇跡を起こすエメタリスを「魔族」、
彼らの住まう土地を「魔界」、
その奇跡の技を「魔法」と呼んで恐れました。
それでも人類とエメタリスは「渚の地平」の東西に住み分け、時に争い、時に理解しあい、複雑に交流しながら奇妙な均衡状態を作り上げて行き……
そして、5千年の歳月が流れました。
[災い来たる]
人類とエメタリス、そして融和が進みつつあった彼らの間に生まれた魔法を扱う魔女と呼ばれる人々との関係が爛熟に差し掛かりつつあった頃、
深宇宙から悪意ある訪問者がやって来ました。
エメトの再起動を知って5千年の時をかけ、暗黒の星の海をひた走ってきた生きる者の敵、メトです。
ですが気が遠くなるような時間他の銀河で幾多の文明を屠ってきた「彼」は既に寿命を迎えつつあり、力は殆ど残っていませんでした。
残り少ない力でその使命を果たす為に自らが何をなすべきかを考え、地に満ちたエメトの子らを睥睨した末にメトは決を下します。
「エメトの子らに諍い齎さん。最早平穏なく、内に不和溢れ、外は猜疑に満ちん」
人類とエメタリスを争わせ、戦争による自滅を促す。その計画を実行に移すべく、メトは「渚の地平」へ降下します。
ところで、万一メトの力で平らげ切れないほどの強さを持つ敵が相手となった際に、創造主が知性の他にもう一つ、メトに与えた力がありました。
「生命の実」をゆがめる力、つまりエメトの子らを作り変え、その心を操る力です。
その振るわれる所として、渚の地平に落着したメトは僅かな力を振り絞り、東南大陸の環境と、そこに住まうエメタリスを改造しました。
こうして命の敵の僕、滅びの尖兵「メテオリス」と彼らの国家「ミレオム」が生まれたのです。
メトはメテオリスに偽りの歴史とメトを神とする「ミレオム聖教」を与え、
同時にそれを疑う心を彼らから奪い去って磐石を期したものの、些か不安もありました。
力で互するエメタリス、数に勝るヒト、両者が共通の敵を前に手を組めば、メテオリスは目的を達することなく滅ぼされるかも知れない。
深宇宙から悪意ある訪問者がやって来ました。
エメトの再起動を知って5千年の時をかけ、暗黒の星の海をひた走ってきた生きる者の敵、メトです。
ですが気が遠くなるような時間他の銀河で幾多の文明を屠ってきた「彼」は既に寿命を迎えつつあり、力は殆ど残っていませんでした。
残り少ない力でその使命を果たす為に自らが何をなすべきかを考え、地に満ちたエメトの子らを睥睨した末にメトは決を下します。
「エメトの子らに諍い齎さん。最早平穏なく、内に不和溢れ、外は猜疑に満ちん」
人類とエメタリスを争わせ、戦争による自滅を促す。その計画を実行に移すべく、メトは「渚の地平」へ降下します。
ところで、万一メトの力で平らげ切れないほどの強さを持つ敵が相手となった際に、創造主が知性の他にもう一つ、メトに与えた力がありました。
「生命の実」をゆがめる力、つまりエメトの子らを作り変え、その心を操る力です。
その振るわれる所として、渚の地平に落着したメトは僅かな力を振り絞り、東南大陸の環境と、そこに住まうエメタリスを改造しました。
こうして命の敵の僕、滅びの尖兵「メテオリス」と彼らの国家「ミレオム」が生まれたのです。
メトはメテオリスに偽りの歴史とメトを神とする「ミレオム聖教」を与え、
同時にそれを疑う心を彼らから奪い去って磐石を期したものの、些か不安もありました。
力で互するエメタリス、数に勝るヒト、両者が共通の敵を前に手を組めば、メテオリスは目的を達することなく滅ぼされるかも知れない。
ならば、人類とエメタリスの仲を裂けばいい、と。
メトは、人の心の隙に目を付けました。
混乱を決定付けるため、メトは自らの分身を人類社会に遣わし、ミレオムの教えを人界に広め、メテオリスと手を結ぶように仕向け……
偽りの預言者に欺かれた人々は星霊教会を興し、メテオリスの後ろ盾を受けて人界を席巻するまでに育て上げました。
やがて出来上がったスウィフトガルドと呼ばれた大きな国はメテオリスの走狗となり、
エメタリス討伐の兵を起こします。エメタリスは国境に辺境伯を置いて守りを固め、これをことごとく退けましたが、
十字軍遠征と呼ばれるその戦争は退けられる度に計画され、かくして、メトの飛来より千余年は戦乱のうちに過ぎました。
ですが十字軍も四次を数える頃、度重なる戦争に心と財産を削られた人類はメテオリスへの不満を表す程に至ります。
厭戦に沈むスウィフトガルドの民を優しいメテオリス達は哀れみ、励まし、時に叱咤してその道を使命に向くよう正そうとしました。
そんな彼らを、貧困と疫病にあえぐ民は冷ややかな目で見るようになります。メトが付け込もうとした人の弱みが、
命に対して滅ぼす事しか知らなかった彼の予期せぬ所で計画に障ったのでした。
混乱を決定付けるため、メトは自らの分身を人類社会に遣わし、ミレオムの教えを人界に広め、メテオリスと手を結ぶように仕向け……
偽りの預言者に欺かれた人々は星霊教会を興し、メテオリスの後ろ盾を受けて人界を席巻するまでに育て上げました。
やがて出来上がったスウィフトガルドと呼ばれた大きな国はメテオリスの走狗となり、
エメタリス討伐の兵を起こします。エメタリスは国境に辺境伯を置いて守りを固め、これをことごとく退けましたが、
十字軍遠征と呼ばれるその戦争は退けられる度に計画され、かくして、メトの飛来より千余年は戦乱のうちに過ぎました。
ですが十字軍も四次を数える頃、度重なる戦争に心と財産を削られた人類はメテオリスへの不満を表す程に至ります。
厭戦に沈むスウィフトガルドの民を優しいメテオリス達は哀れみ、励まし、時に叱咤してその道を使命に向くよう正そうとしました。
そんな彼らを、貧困と疫病にあえぐ民は冷ややかな目で見るようになります。メトが付け込もうとした人の弱みが、
命に対して滅ぼす事しか知らなかった彼の予期せぬ所で計画に障ったのでした。
程なくしてスウィフトガルドを離反する者が現れ始め、彼らはかつて先祖がそうしたようにエメタリスとの交易を求め、
教会が与えなかった富を自らの手で掴み取る者も現れます。教会とメテオリスはこれを苦々しく眺めていました。
このまま放置すれば教会の民がすべて彼らの元へ走ってしまうのですから。焦る両者は七度目の十字軍を起こします。
しかしその矛先はこれまでと違い種としても勢力としても精強なエメタリスではなく、貿易に沸く東の国々、つまり教会にとっては同じ人間。
飢えた兵士の略奪は惨を極め、教会と東方諸国の亀裂は決定的となりました。
東方諸国は身を守るため一つになり、ベルゲ連邦を結成、一方メテオリスは彼らを邪悪と断じ、教会は破門。
緊張が世界を包み、大戦の足音は遠くエメタリスたちの世界の奥深くにまで響き渡るようになったのです。
教会が与えなかった富を自らの手で掴み取る者も現れます。教会とメテオリスはこれを苦々しく眺めていました。
このまま放置すれば教会の民がすべて彼らの元へ走ってしまうのですから。焦る両者は七度目の十字軍を起こします。
しかしその矛先はこれまでと違い種としても勢力としても精強なエメタリスではなく、貿易に沸く東の国々、つまり教会にとっては同じ人間。
飢えた兵士の略奪は惨を極め、教会と東方諸国の亀裂は決定的となりました。
東方諸国は身を守るため一つになり、ベルゲ連邦を結成、一方メテオリスは彼らを邪悪と断じ、教会は破門。
緊張が世界を包み、大戦の足音は遠くエメタリスたちの世界の奥深くにまで響き渡るようになったのです。
[一つの時代の終焉と幕開け]
そして、時に世歴1705年。実に八度目の十字軍が、魔女とエメタリス達に差し向けられようとしていました。
入念に計画を立てて戦力を蓄え、今度こそは彼らを滅ぼすつもりなのです。
一方計画の発動を見届けたメトは、遂にその悠久とも言えた寿命を終えようとしていました。
彼のまいた種は人界を腐らせ、エメタリスをも巻き込んだ巨大な混沌が育ちつつあります。
もはやエメトの子らに滅びを逃れる術はなく、これで使命は達せられたという満ち足りた気分の中、
銀河と銀河の間を駆け抜けた恒星間文明破壊装置は辺境の惑星で静かに機能を停止しました。
入念に計画を立てて戦力を蓄え、今度こそは彼らを滅ぼすつもりなのです。
一方計画の発動を見届けたメトは、遂にその悠久とも言えた寿命を終えようとしていました。
彼のまいた種は人界を腐らせ、エメタリスをも巻き込んだ巨大な混沌が育ちつつあります。
もはやエメトの子らに滅びを逃れる術はなく、これで使命は達せられたという満ち足りた気分の中、
銀河と銀河の間を駆け抜けた恒星間文明破壊装置は辺境の惑星で静かに機能を停止しました。
こうして渚の地平は「神」を失い、行き詰った滅びの聖書に新たな時間が流れ始めたのです。
これは、そんな世界に住まう全ての生き物たちの織り成す物語……。
これは、そんな世界に住まう全ての生き物たちの織り成す物語……。
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