チェンジ・ザ・ワールド☆
波江4日目・No.2
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私のやんごとなき王子様
改札を出る前から潤君がこっちに向って大きく手を振っているのが見えた。
「小日向せんぱーい! 佐波山せんぱーい!」
声を出しながら子犬のように駆けてくる潤君に思わず顔がほころぶ。
「おはようございます!」
潤君は私達の前に辿り着くとビシッと頭を下げて挨拶をしてくれた。
「おはよ~、波江君」
さなぎもそんな潤君の様子にほがらかな顔を見せている。
「荷物、お持ちしますっ!」
そう言うが早いか、潤君は私達二人分の荷物を肩にひょいっと掛けた。
「重たいからいいよっ」
そう制したが潤君はにっこりと笑って「これ位、なんて事ありませんよ!」と言ってくれる。優しいな――それに可愛くてもやっぱり男の子だ。
私達の目の前には大きなフェリーが青空をバックに悠然と佇んでいた。
毎年理事長がチャーターしてくれるこの大型フェリーに乗って、理事長所有の島へ向かうのだ。
港に勢揃いした我が星越学園の全校生徒。とは言っても生徒数が少ないうちの学校だから整列した様子に圧倒されるってことはないんだけど。
ここからは各担当部署毎に行動することになるから当然さなぎとは一旦お別れ。
私は潤君と一緒に役者担当の集合場所へと向かった。
集合場所が見えてくると、風名君と亜里沙様が話をしているのが見えた。……本当に絵になる二人だなぁ。まるで今やってるドラマの撮影でも行われていそうな雰囲気だ。
「先輩、楽しみですね!」
「うん!」
やっぱり自分が場違いな気がして、少しだけ落ち込みそうになったけど潤君の明るい声が心底私をホッとさせてくれた。
そうこうしている内に、校長先生の挨拶が始まった。
校長先生の挨拶はいつもすごく簡潔で、長ったらしくないから好きだ。
最高の演劇祭になるよう、全校生徒力を合わせて怪我が無いように頑張って下さい。という言葉を最後に、乗船が始まった。
乗船が終わると役者専用の客室で、誰が言うでも無く台本の読み合わせが始まった。
私はというと、そんな雰囲気についていけずに、それでも何とか迷惑だけはかけないようにと必死だった。けど……。
途中から通し稽古のようになったその読み合わせは、私に少しだけショックを与えていた。だって風名君も亜里沙様も完全にスイッチが入っちゃってプロの役者モードで――それは当然私なんかが入る余地も無いような世界で……。
私は少ないセリフを声に乗せるだけで精いっぱいだった。
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