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波江6日目・No.1

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私のやんごとなき王子様












6日目






 快晴快晴!

 今日も朝から真っ青な空と海をどこまでも広げる景色を見つけて、大きく息を吸い込んだ。

 昨日はまた落ち込んじゃったけど、さなぎのおかげで元気が出たし、何より今日も朝から潤君が部屋の前で私を待っていてくれて、一緒に稽古場まで行く事が出来た。

 それだけの事なのに、私の心は弾み始める。我ながら単純だな、とは思うのだけど。


「違う違う! もう一度やり直し!」


 午前中の稽古にも皆気合いが入っていて、演出担当者の怒声が響き渡る。

 今日からは台本は持たず、場面毎に区切りながら役者の動きや立ち位置の細かい指示が入って来る。

 明後日からは照明担当や音響担当の人達も加わって、さらに細かくなっていく。

 日々緊張が増す中、演劇を監督している先生から昼前に提案があった。


「午後から夕方まで、海でリフレッシュしたらどう?」


 という、素敵な提案!

 これから本格的に練習に力が入って行くから、皆どこかしらピリピリとした緊張感がずっとあったんだけど、それをほぐすという目的みたい。

 もちろんその提案にほとんど全員が大喜びで賛成した。

 亜里沙様の取り巻き達が、アイドルである亜里沙様は日焼けなど出来ないから海には行かない。とか、少しは亜里沙様の事も配慮して欲しいとか文句を言っていたけど、当の亜里沙様は気にしていないようで、


「気分転換は必要です。私は残りますけど、皆様は存分に楽しんで来て下さい」


 と相変わらずの涼やかな仕草と声で言ったから取り巻き達も顔を見合わせて渋々頷いた。


















 昼食の後、少し食休みを取ってから私達演劇担当は亜里沙様とその取り巻き数人を除く全員で海に来ていた。

 さすがプライベートビーチ。私達以外には誰もいない! なんて気持ちがいいんだろう!


「う~~~~ん、気持ちいい!」


 昨日の体調不良が嘘みたいに、気分爽快だ。

 水着は新調出来なかったから去年と同じものだけど、気に入ってるから良しとしよう。

 辺りを見回すと、皆それぞれビーチバレーを楽しんだり、海に入って泳いだり思い思いに楽しみ始めている。


「小日向」


 さて私はどうしようかと悩んでいると、後ろから声をかけられた。


「あっ、風名君……」


 私は一瞬風名君の姿に言葉を失った。

 だって水着姿の風名君は上半身が露になっていて、間近で見るその裸はとても均整の取れた筋肉がついていたから。

 ど、どうしよう。直視出来ないよ……。


「やっぱり夏と言えば海だよな」

「あ、そ、そうだね」


 そこでふと私の顔を見つめると、風名君が尋ねて来た。


「小日向、去年見つけたんだけどさ、あっちの岩場の向こうに洞窟があるんだ」

「え? あ、あそこ?」


 俯いていた顔を上げ風名君が指差す先を見た。


「そ、洞窟って言っても短いトンネルくらいなんだけど、そこを抜けると小さいプールみたいに水が満ちててさ、ぽっかり天井に穴が空いてるんだ」

「へえ……」

「そこから空を見上げると、すごく不思議な気持ちになるんだ――」


 なんだか素敵そうな場所だな――そんな風に思っていると、ふいに背後から名前を呼ばれた。


「せんぱーーい! 小日向せんぱーーい!」


 振り向くと、こっちに向って潤君が駆け出して来ている所だった。

 満面の笑顔で向かってくる潤君。水着の上にパーカーを羽織ったその姿が、すごく可愛く見えた。

 
「風名先輩、小日向先輩! 一緒にビーチバレーでもしませんか?」

 
 私達の目の前まで来ると、潤君はにこやかにそう言って誘ってくれた。

 
「えっと、俺は――」

 
 風名君が何かを言いかけたその時――














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