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真壁6日目・No.2

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私のやんごとなき王子様












 私の目の前には青い海! 朝部屋の窓から見てた景色が手の届く所にある。なんて気持ちがいいんだろう!


「う~~~~ん、気持ちいい!」


 太陽の光を全身に浴びながら、私は大きく伸びをした。

 水着は新調出来なかったから去年と同じものだけど、気に入ってるから良しとしよう。

 実は昼食後に演劇担当の人達が海で遊んでいるのを見て、羨ましいと思ってたのよね。真壁先生に感謝しなきゃ。

 私は一人軽い準備体操をすると、海に向かって走った。

 バシャバシャと鈍い音としぶきを立てて海に飛び込むと、その冷たさが一気に全身を駆け巡る。


「ぷはあっ!!」

「おう、小日向!」


 海から顔を上げた所で名前を呼ばれて見ると、真壁先生が手を挙げながらこちらへやって来た。

 あっ、真壁先生も水着だ……

 いつもスーツかジャージでいる姿しか見ていないから、先生の水着姿がすごく新鮮だった。

 力持ちな先生の体は筋肉質で、男の人! って感じがする。

 ーーやだ、何でだろう。ドキドキしてきた……。

 私は海から上がり、先生の前までゆっくりと歩いた。だけど真っ直ぐに真壁先生の目を見られなくて、ちょっと横へ視線をずらす。


「お前豪快に海に飛び込んだな! 気持ち良さそうだ。俺もやろうかな」


 もしかして走って海に飛び込んでたの見られたのかな? ちょっと恥ずかしい。


「あはは。せっかくの海ですから、思い切り良く行こうかと思いまして」

「ははっ! だよな。やっぱりずっと仕事ばっかりじゃ身が持たないしなぁ」

「そうですね」

「今日は朝から忙しかったが、体調はどうだ?」


 昨日もちょっと疲れた顔をしていたからか、先生が心配してくれてる。


「全然大丈夫です。忙しくてそんな事考えてる暇なんてないですよ。それに今は楽しくて仕方ありません!」

「ははっ、全くだ」

「真壁先生!」


 二人で笑っていると、一人の女子がこちらへやって来た。同じ3年生で生徒指導担当の水原さんだ。

 彼女はとても良く仕事ができるから、真壁先生と一緒に仕事をやっている事が多い。いつも二人で何やら話している姿を見かける。

 その水原さんが真壁先生の腕を取って、波打ち際で楽しそうにボールを打ち合う生徒を指差した。


「せんせぇ、あっちで一緒にビーチバレーやりましょうよ」

「ん? おう、そうだな。小日向、お前も行こうぜ?」


 そう言って誘ってくれた真壁先生の隣りで、相変わらず腕を掴んだままの水原さんが私を睨んだ……ように見えた。

 え? あれ? 気の所為? 何か睨まれたような……。


「あ……いえ、私はもう少し泳ぎますからいいです」


 何故だか水原さんのその目が「来るなよ」と言っているみたいで、私は咄嗟に断っていた。


「ーーそうか? あんまり気合い入れて泳ぐなよ、疲れて後の仕事ができなくなるからな。じゃあ、泳ぐのに飽きたらこっち来いよ」

「はい。分かりました」

「先生、早く行きましょう」


 私なんてまるで眼中にないみたいにぐいぐいと先生の腕を引っ張る。

 馴れ馴れしく先生に触らないでよ。なんて思ってしまった。

 二人が向こうへ早足で行くのをぼんやり立ったまま眺め、私は無意識のうちに大きなため息を吐いていた。


「はあ……」


 何だか苛々してる……どうして?

 そしてチクリと痛んだ胸に私は思い当たった。


「これって、もしかして……恋?」


 ええっ? 嘘嘘っ!

 急に熱くなった顔に、私は慌てて海に飛び込んだ。












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