チェンジ・ザ・ワールド☆
波江8日目・No.1
最終更新:
streetpoint
-
view
私のやんごとなき王子様
8日目
翌日の朝、私は練習に行く準備を部屋でしていた。
それにしても昨日の夕食当番は楽しかったな。潤君と一緒に料理をして、潤君の知らない一面も見れたし。うん、ちょっと得した気分。
「美羽~。な~ににやけてんのよ!」
「えっ? 私、にやけてた?」
咄嗟に両頬を手で隠すと、さなぎが笑った。
「うふふ。にやけてるは冗談だけど、昨日の食事当番は相当楽しかったみたいね」
「あ、もうっ……うん、楽しかったよ」
昨晩も夕食が終わってからさなぎと話したけど、朝になっても私ったらまだ締まらない顔してたのね。恥ずかしい。
練習に出かける前のちょっとした時間、さなぎとそんな他愛無い会話をするのが楽しい。
「でも美羽がオディール役をするなんて、ホントびっくりだね」
「うん、びっくり。足引っ張らないようにだけはしないと」
「大丈夫だって! 美羽、昨日も遅くまで起きて台本読んでたじゃない。そんだけ頑張ってるんだから、大丈夫! このなぎさ様が保証する!」
ドンと胸を叩くさなぎに、私は思わず笑った。
「ありがと、さなぎ」
「それじゃあ、また後でね!」
手を振って自分の仕事へ向かうさなぎに手を挙げて返し、私も稽古部屋へと向かった。
午前、午後とみっちり練習が終わった夜になり、私は衣装担当の人からの呼び出しで一人小道具部屋へ急いでいた。
急遽オディール役を演じることになったから、衣装を私のサイズに変えなくてはいけないのだ。
広い室内には衣装やら小道具やらが壁にずらりと掛けられていて、それは色とりどりでとても美しかった。
「小日向さん」
「あ、利根君」
どうやらオディールの衣装を担当しているのは利根君らしく、きらびやかな衣装に見蕩れていた私に近づいて来て声を掛けてくれた。
「まだ残って作業してる人結構いるんだね」
ミシンを必死に動かす生徒を見て私が言うと、利根君が頷いた。
「明後日には出演者が衣装を着ての練習だから、それに間に合わせる為にね。明後日の状態を見て、最終日には細かい修正しないといけないから」
「本当、大変だね。ありがとう」
演劇に出演する人間だけじゃ劇は出来ない。こうやってたくさんの人の支えがあるからこそ、形になって出来上がって行くんだ。
去年も一昨年も裏方をしていた時は気付かなかったけど、自分が役者として出る今年は裏方の仕事がどれほど大切かって事を痛感する。
「それじゃあちょっとオディールの衣装を着てみてくれる?」
「うん」
一つ戻る波江7日目・No.2
ブラウザを閉じてお戻りくださいv
私のやんごとなき王子様トップへ戻る
私のやんごとなき王子様トップへ戻る