チェンジ・ザ・ワールド☆
真壁10日目・No.2
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私のやんごとなき王子様
今日は合宿の実質最終日。明日にはまたフェリーに乗って学園へと戻る事になっている。
私達生徒指導は実行委員や学園本部との連絡で相変わらず慌ただしい一日を過ごした。
夕方になり仕事も一段落した頃、医務室の利用者名簿をチェックしていた私の元へ真壁先生がやってきた。
「おうお疲れ」
「お疲れ様です」
そう言って缶コーヒーを手渡してくれる。先生ってコーヒー好きなんだよね。
「そう言えば花火大会があるらしいな」
唐突にそう言った先生に、私は一瞬ドキリとする。昼にさなぎと話していた事を思い出したのだ。
「らしいですね。理事長が企画したって聞きましたけど」
「らしいな。せっかく近くで見れるんだし、見に行くか?」
まさか誘われるとは思っていなかった私は、驚きつつも笑顔で頷いた。
「はい!」
「お、いい返事だな。よし! じゃあどこかいい場所を探しといてやるから、飯食ったら玄関前に集合な」
「分かりました」
なんだか社会見学に行くみたいなノリだけど、先生もなんだか嬉しそうだし、まあいっか。
「どうだ? 宿舎からそんなに離れてないし、見やすいし穴場だろ?」
そう言って笑う真壁先生に笑顔をむけて頷く。腰を下ろしたのは海岸へ続くなだらかな緑の斜面だった。ふと辺りを見ると離れた海岸にはたくさんの人影があって、花火が上がるのを今か今かと待ち構えていた。ここへは海岸に降りずに回り道をしなければいけないから、気付いている人が少ないようだ。
「本当に穴場ですね」
「まあな。こういう変な場所探すのはガキの頃から得意なんだよ」
先生の言葉に妙に納得していると、近くの海面からシュルシュルと第一発目の花火が打ち上がった。
ドーーーン!!
大音響を響かせ、心臓の内側から体全体を振るわせるような振動が走り抜けた。
夜空に弾けた大きな色鮮やかな花火に、一斉に喝采が起こる。
「わあ……綺麗」
次々と重力に逆らって空へと投げ出されて行く花火の雨に、私は時間を忘れて魅入っていた。
「すげー迫力だな!」
「はい!」
先生と一緒に見ているから、花火がいつもより力強く感じる。
誰かを好きになると、小さな事の一つ一つが目新しく映る。卒業までのあと約7カ月、少しでも多くの時間を先生と共有したい。
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