アットウィキロゴ
チェンジ・ザ・ワールド☆
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

チェンジ・ザ・ワールド☆

日輪と笠原(真弓)No.1

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
管理者のみ編集可
はなもあらしも














 よし、真弓さんに思い切ってお願いしてみよう!


「あの、真弓さんと、是非ご一緒させて頂きたいです」


 ともえが少し遠慮がちに言うと、すぐに幸之助は頷いて真弓を呼んだ。


「真弓、お前がともえさんと一緒に我が道場の代表として試合に出なさい」

「はい、分かりました。ともえちゃん、よろしく」

こちらこそ、よろしくお願いします!」


 微笑む真弓に勢いよく頭を下げる。

 うわあ、なんだか偉そうに真弓さんを指名しちゃったけど、私ったら大丈夫かしら? 足手まといにならないように、稽古に励まなきゃ!!

 出場する代表が決定し、門下生達から拍手が起こった。


「よし、それでは真弓、ともえさん」

「はい」

「はいっ」


 背筋を伸ばし、幸之助をじっと見る。


「笠原道場に、二人でご挨拶に行きなさい。相手の代表者とも顔を会わせておくといいだろう」


 なんと、敵である笠原道場へ挨拶に行くよう突然言われた。一瞬ともえは緊張して真弓を見る。


「はい、分かりました。それじゃあともえちゃん、着替えて昼食を摂ったら行こうか?」


 すぐに真弓はともえの視線に気付いて微笑むとそう言った。その笑顔でいとも簡単にともえの緊張はほぐされてしまう。


「よろしくお願いします」


 かくしてともえと真弓は笠原道場へ向かう事となったのだった。













 真弓は隣りを歩く少女を横目でチラリと見、自然と口元を綻ばせた。

 きりりとした表情は少女と大人の女性の中間で、長い髪を後ろで高く結っている姿は凛々しくすらある。そんな真弓の視線に気付いたともえが顔を上げ、真弓とぶつかった視線に恥ずかしそうに目を泳がせた。


「あの、真弓さんは笠原道場の方はご存知なんですか?」

「うん、小さい頃はまだ交流も多かったからね。流派は違うけど、交流試合なんかをよくしていたよ」

「へえ……あの、笠原限流という方はどういった方ですか?」

「そうだね、厳しいけれど弓道に真剣に取り組む師範だね。少し頑固すぎるから、何でも取りあえずやってみようとする家の父とはよく意見がぶつかっていたなあ」


 ともえは真弓の説明を聞きながら頷いている。


「ほら、見えて来た。あそこが笠原道場だよ」


 目ざす先には日輪道場と同じ位大きくて立派な門が見えている。ともえは目を大きくさせて頬を強ばらせた。


「お、大きい道場ですね」


 そんなともえの様子に真弓が笑う。


「緊張しているの? 大丈夫、取って食われたりすることはないから」

「とって……って、真弓さん、怖い事言わないでください!」


 どうやら本当に緊張しているらしいともえに睨まれた。真弓は少しのんびりした性質のため、あまり深く物事を考えない傾向が多少ある。それでも実際は長男がのらりくらりとしているものだから、自分がしっかりしなければ、とは思っているのだ。


「あはは、でも、結構強烈な門下生が多いからなあ」


 真弓がぼそりと呟いた所で丁度門の前に到着し、拳を握って重そうな門を叩く。

 しばらくするとゆっくりと門が開き、顔を覗かせた青年にともえはすかさず会釈した。


「こ、こんにちは! 日輪道場から参りました」

「やあ、雪人君久しぶり。笠原師範はおいでかな? 今度の試合、日輪道場の代表として僕達が決まったからご挨拶をしに伺ったんだけど」


 ジロリとともえと真弓を睨むと、雪人と呼ばれた青年が口を開いた。


「こんにちは、真弓さん。やはりあなたが代表に選ばれましたか……相手にとって不足はありませんーーーこちらの方は?」


 どこかしら冷たい雰囲気の雪人は、再びジロリとともえを見る。

 何だか怖そうな人だな……

 自分と同じ位の年齢だろう雪人に、ともえは気持ち身構える。


「彼女は那須ともえさん。安芸の那須道場から修行に来ているんだ」

「那須……ああ、師範と昔一緒に修行をしていた方の」


 そう言って今度はともえの姿を一通り眺めると、門の戸を広く開けた。


「初めまして、那須ともえです! よろしくお願いします!」

「氷江雪人(ひのえゆきと)です。そうですか、まあ、日輪道場の女性は熱心ではないですからね。期待はしていませんが」


(カチン! 何、この人? さっきから感じ悪いんですけど!?)

 ともえはため息まじりに自己紹介をして歩き出した雪人に目を丸くさせた。雪人について行く真弓はというと、相変わらずの穏やかな顔をしている。

 しばらく歩いていると、ふいに真弓が身を屈めてともえに顔を近づけた。


「雪人君はちょっと言い方に刺があるんだ、気にしない方がいいよ」

「あ……はい」


 ともえが雪人に言われた事を気にしているであろうと気付いていた真弓は、取りあえずフォローを入れた。

 日輪家に勝るとも劣らない笠原家の庭を通り過ぎ、こちらも大きな弓道場が見えて来てともえは感心した。


「わあ、立派な道場ですねえ」

「当然でしょう? 我が笠原流は由緒正しい弓道の伝統を受け継ぐ道場なんです。どこかの緩い道場と一緒にしないで頂きたい」


 呆れたように言った雪人に、ともえがつい声を上げる。


「どこかってどこですか!? さっきからあなた失礼じゃないですか!」

「おや、僕はどこかの緩い道場と言っただけで、日輪道場の事だなどと一言も言っていませんが?」

「むっ!」

「まあまあ、二人とも。ほら、笠原師範が入り口においでだよ」


 雪人と顔を突き合わせて睨み合うと、真弓がともえの体を引いてそう言った。ふいに真弓に体を預けるような格好になってしまい、一瞬戸惑う。

(本当にともえちゃんは元気だなあ)

 などと真弓が思っているなどつゆ知らず、ともえは慌てて居住まいを正して笠原限流なる人物にお辞儀をした。


「はじめまして、那須ともえと申します!」

「こんにちは、師範。今日は日輪道場の代表として、二人でご挨拶に伺いました」


 笠原限流は立派なひげを蓄えた厳つい顔の人物で、幸之助より小柄ながら威圧感は凄かった。挨拶をする二人にゆっくりと頷くと、


「良く来た。我が道場の代表を紹介しよう、こちらへ来なさい」


 そう言って道場へと消えて行った。

 ともえと真弓は顔を見合わせ、それに従う。雪人はさっさと限流についていなくなっている。


「真弓さんのお話通り、厳しそうな方ですね」


 少し方の力を抜いてともえが言う。真弓は草履を脱ぎながら困ったように答えた。


「そうだね。でも僕が一緒にいるから、心配ないよ」

「はい」












ブラウザを閉じてお戻りくださいv
はなもあらしもトップへ戻る
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー