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日輪と笠原(垂司)No.1

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streetpoint

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 垂司さんの事も気になるけど……。でも垂司さんは参加しないって昨日言ってたし……。そうともえが悩んでいると、凛とした声が道場内に響いた。


「俺が出る」


 声のした方を振り向くと、そこには道真が立っていた。


「道真か……」


 幸之助がむぅと呻くと、道真はともえの前まで歩を進め、正面からともえへと視線を向けた。


「笠原には決着をつけたい相手がいる。俺じゃ不満か?」

「そんな事!」

「それじゃ、決まりだな」


 そう言って不敵に微笑むと、道真は幸之助の方へと向き直りスッと頭を下げた。


「うむ。ともえさんもそれでいいんだね?」

「はいっ」

「よろしい。わが道場の代表は道真とともえさんとする」


 幸之助がそう発すると、門下生達から拍手が起こった。代表者二人を激励してくれているのだ。


「よし、それでは道真、ともえさん」

「はいっ」


 ともえは背筋を伸ばし、幸之助をじっと見る。


「笠原道場に、二人でご挨拶に行きなさい。相手の代表者とも顔を会わせておくといいだろう」


 なんと、敵である笠原道場へ挨拶に行くよう突然言われた。ともえに緊張が走る。


「分かりました。おい、着替えて飯食ったら行くぞ」

「うん。分かった」


 垂司の事が心のどこか片隅でちらりと気にかかってはいたが、試合のパートナーとして道真は申し分のない相手だ。日輪道場代表と言う自分に課せられたものに、多少の不安を覚えながらも、ともえと道真は笠原道場へ向かう事となったのだった。














 昼食を取り終わり、道真と待ち合わせの正門前に向かう途中の廊下で、垂司とともえはばったりと顔を合わせた。


「おや、どこかへお出かけかな?」


 そんな風にのんびりと問う垂司を前にして、ともえは緊張に張りつめていた頬を僅かばかりほころばせた。


「これから道真君と笠原道場に挨拶に行くんです」

「ああ、昨日の……代表は道真か。なるほどね」


 少しだけ遠い目をしてそう言った垂司に、ともえは思い切って尋ねてみる事にした。


「あの……垂司さんはもう弓を握られないんですか?」

「ああ、そうだよ」


 答えは随分とあっさりとしたものだった。


「そう……ですか……」


 無意識のうちに肩を落としたともえに、垂司はそっと微笑みをなげかけた。


「ほら、道真が待ってるんじゃないか? あいつを待たせると中々面倒だよ」

「ああ! そうでしたっ! すみません、行ってきます!」

「行ってらっしゃい。笠原の門下生はキツい性格の子も多いから、負けないようにしっかりね」

「はいっ」


 勢いよく返事をして、小走りで正門へと向かうともえの後ろ姿を見送りながら、垂司は小さくため息をついた。


「おや、ため息とは……別に弓を捨てる事に後悔なんて無かったはずなんだがな」


 瞳に憂いの色を宿らせると、誰よりも強い佳人は静かにその場を立ち去った。











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