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試合に向けて(美弦)No.2

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 お昼を少し回った頃、美弦がふうと息を吐いた。


「そろそろ休憩にしようか。美琴もそろそろ来るだろうし」

「うん、そうだね」


 ともえが額に浮かぶ汗をぬぐいながら返事をすると、ちょうど美琴の鈴を鳴らしたような愛らしい声が耳に届いた。


「美弦?」


 道場の入口でこちらの方を遠慮がちに覗いている美琴がそこにはいた。


「ああ、今ちょうど休憩に入った所だから」

「そう、良かった」


 邪魔をしてしまったわけではないと、美琴は安堵の微笑みを浮かべた。今日は若草色の着物に、小花の簪を結いあげた髪にさしている。手元には少し大きめの桃色の風呂敷を持っていて、その立ち姿はまさに可憐な少女そのものだ。


「美弦、お昼を持って来たのよ。ともえさんも良かったらご一緒に」

「え、いいの?」

「はい! そう思ってたくさん作ってまいりましたの」


 そう言うと美琴は手に持っていた風呂敷を顔の辺りにまで掲げた。大きな風呂敷の後ろから美琴の愛らしく小さな顔がひょっこりと覗くその様に、ともえは知らず笑みがこぼれた。


「それじゃ、今日は天気も良いし、庭でも見ながらのんびり食べようよ」


 美弦はそう言うとスタスタと歩いていき、やがて縁側にちょこんと腰をかけた。

 美琴とともえは顔を見合わせた後、それに続く。


「ともえさん」

「あーっと、えっと、私達ってほら、年も近いし敬語はやめない? 私はほら、こんな感じで喋っちゃってるし」


 少し照れくさそうにともえが言うと、美琴は嬉しそうに微笑んだ。


「はい! じゃなくて、うんっ! よろしくね、ともえちゃん」


 顔を見合わせ微笑みあった二人は、美弦のあとを追った。









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