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  • ぎゅっと握って

ぎゅっと握って

最終更新:2012年09月19日 10:33

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だれでも歓迎! 編集

ぎゅっと握って  ◆hqLsjDR84w



 ◇ ◇ ◇


 才賀勝は、おキヌが外した首輪をひとまずリュックサックに仕舞い込んだ。
 機械を分解する知識があるとはいえ、いま現在手元に工具がない。
 構造をよく知っている自動人形(オートマータ)ならばともかく、初めて見た首輪を素手で分解するのは不可能だろう。
 まだ暗いのもあってか、首輪の裏側にあるであろう継ぎ目もよく見えない。楽観的に行動すべきではあるまい。
 キース・ブラックは、わざわざ幽霊を殺し合いに参加させているのだ。
 幽霊に首輪を外されるところまでか、その首輪の中身を覗かれてしまうところまでか、はたまたその上で幽霊以外の参加者が首輪を外すところまでか。
 どこまでかは不明だが、ある程度までは予想されていて当然だ。
 予想しているのならば対策を取っているはずである。
 首輪が手元にあるのに釣られてさっそく分解して、対策に引っかかってしまえばどうしようもない。

 との考えを勝が伝えると、おキヌは首を傾げた。
 分解の知識を得た経緯をぼかし『からくり人形に興味があり機械について調べた』としたのは不自然だったかと思う勝の前で、合点がいったようにおキヌは両手を合わせた。

「つまり、もっと盛り上がってクライマックスを迎えたところで分解するということですね!」
「いや、そういうワケじゃなくて……」
「あらら?」
「むしろ盛り上げずに、行けると思ったら落ち着いて、ですね」
「派手にドカンとじゃないんですかー」
「じゃないんです。ドカンとならないように外すんです」
「私は別にいいんですけど、派手好き美神さんが納得してくれるか――むぐっ」

 まだ喋っていたおキヌの前に、勝が左手を伸ばした。
 物体と接触できるモードになっていなかったらしくすり抜けてしまったが、黙らせるのには十分だった。
 状況が呑み込めず抗議しようと激しく両手を振るおキヌのほうを向かず、勝は空いている右手で物干し竿を握る。

「二人、来てるよ」

 勝が前方を見据えながら静かに告げると、ようやくおキヌは動きを止める。
 探し人がいるため、会話しながらも歩みを進めていた。
 その行為が実り他の参加者と接触する機会を得たが、相手がキース・ブラックの指示に従っていないとも限らない。
 二人組だからと言って、安心はできない。最後の一人を目指して同盟を結ばぬ道理はない。
 相手側にも気付かれたらしく、二つの人影は近づいてきている。
 しろがねの血を飲み視力が上昇している勝と変わらぬ距離で、夕闇の下を進む人間を発見したことになる。
 少なくとも一人は、かなり夕闇慣れしていると言えるだろう。
 ここは草原だ。いざ戦闘となった際に、身を隠すスペースはない。
 完全に接近される前に一言かけてから――とそこまで思考した勝の眼前を、なにかが通って行った。
 太い眉をひそめてから数回まばたき、そして刀を持たぬ左手で両目を擦ってもう一度目を開く。

 長く伸ばした艶のある黒い髪。
 月光を照り返す白衣に、真っ赤な袴。
 重力を無視したかのように、ふわりふわり。

 どーやら目がおかしくなったワケではないらしい。
 はぁーと息を吐き、すぅーと空気を吸い込み、せーのっと胸中で呟いて口を開く。

「おキヌさぁぁぁぁぁん!?」
「ちょっと刃ぁぁぁぁぁ!?」

 自分以外の声が混ざったが、そんなことを気にしている余裕など勝にはない。
 相手が殺し合いに乗り気であった場合、殺してくれと飛び込んでいるようなものだ。
 脳内で響く「もう死んでます!」というおキヌの声を無視し、勝は地面を蹴った。
 剣術を学んだ祖父の記憶に、人形破壊者の血を飲んだ身体が応えて一気に加速する。
 いつでも物干し竿を抜けるよう、左手で鞘を右手で柄を握っている。

「どうも、幽霊のおキヌと言いますー。以後、お見知りおきをー」
「おう! 俺は鉄刃! サムライだ! いごおみ……? ええいっ、よろしくな!」

 聞こえてきた屈託のない声に、低くしていた勝の体勢がさらに低くなった。というか転んだ。
 どうにか首だけ上げて見てみると、おキヌと剣道着姿の少年が笑顔を浮かべながら握手をしている。
 体勢を崩した勝は止まり切れずに、勢いよく腹から地面にダイブしてしまう。

「あれ? どうしたんですか、勝くん?」
「んあ? なーにしてんだよ、チェリッシュ?」

 服についた汚れをはたきながら立ち上がった勝は、声のほうを半眼で見つめる。
 なぜそのような視線を向けられているのか本気で不思議に思っているらしく、おキヌは首を傾げている。
 ふと視線をずらしてみると刃と名乗った少年の前に、ウェーブのかかった金髪の女性が立っていた。チェリッシュと呼ばれたのが彼女だろう。
 勝と同じように、千切れた草が服にへばりついている。
 目が合っただけで彼女がなにを考えているのかが分かったので、すぐに目線を戻す。

「「相手が殺し合いに乗り気かも分からないのに、どうして勝手に飛び込んだの……?」」

 勝の声とチェリッシュの声が、重なる。
 おキヌと刃は、重い口調を察しているのかいないのか。
 二人で顔を見合わせたのち、邪気のない笑顔を浮かべながら一言。

「だって二人でいましたし……」
「だって二人でいたじゃねーか」

 勝とチェリッシュのこめかみが、小刻みに動く。
 とはいえ、言い分が分からなくもない。
 最後の一人を目指す者が組むこともありうると伝え、これから気にしてもらえばよいのだ。
 平静を装いながらたっぷりと時間をかけて、二人がかりでその可能性を告げていく。
 おキヌと刃はふむふむと相槌を打ちながら、再び互いに顔を見合わせて無垢な笑顔を浮かべる。

「いやぁ、そんなことしないでしょぉー」
「いや、んな面倒なことしねーだろぉー」

 しばし、四人とも無言。
 そして広がりかけた静寂を破るように、勝とチェリッシュが吼えた。



「はぁ……」

 とため息を吐いたのは、誰であったのか。
 定かではないが、全員がため息を吐いたような気分であった。
 無駄に時間を浪費してしまった上に、あそこまで大きな声を出してしまえばそれこそ誰かに狙われかねない。
 だが何はともあれ、どうも四人全員が殺し合いに乗る気がないということは分かった。
 それだけで収穫だ。そもそもどうやっても幽霊の存在を受け入れてもらうまでに時間がかかるのでしようがない。
 そう考えれば騒動に乗じて簡単に受け入れてもらった、と勝はむりやり自分を納得させてチェリッシュへと向き直る。
 互いに情報を交換するに辺り、鉄刃よりも彼女のほうが話が早いと考えたのだ。
 まだ学生服を着た自動人形にしか出くわしていない勝たちと違い、彼女たちはすでに四人もの参加者と会っているらしかった。
 ただそのなかに知り合いはいなかったらしく、勝とおキヌの探し人もいないようだ。
 しかも出会ったうち一人は、殺し合いを勝ち残るつもりとのことだ。
 かなり巨大な体躯だという男の名を尋ねると、チェリッシュの表情が曇る。

「ごめんなさい……私は逃げることで頭がいっぱいで」
「日本番長、つってたぜ。それ以外はわかんねー」

 顔を伏せて呟くチェリッシュの前に刃が割って入り、即座に話題を変える。

「ところで、さっき言ってたオート……なんだっけ? 動く人形について教えてくれよ」

 勝はもう少し日本番長について聞きたかったところではったが、もともと自動人形の特徴や対処法は伝えねばならないと考えていた。
 強さや残虐さ、自動人形が人間の血を動力源としていることを教えていく。
 刃の表情が見る見る険しくなり、歯を噛み締めているのが見て取れた。
 続いて説明すべきは、自動人形の『黄金律』である。
 一目で武器だと分かるものを手にして戦えば、自動人形は全力を出してくる。
 懸糸傀儡などの武器に見えぬ道具を使うか、拳法で相手をせねばならない。

「じゃあこいつじゃダメってことかよ」

 そう言って刃が取り出したのは、ボタンを押せば振動するナイフであった。
 振動は自動人形の興味を引くだろうが、武器であることは明らかだ。これでは黄金律は発動しないだろう。
 勝は首を横に振って、携えている日本刀に目を向ける。
 配られている武器はこの手のものばかりで、懸糸傀儡はないのだろうか。そう考えていると、刃の怪訝そうな声が耳に入る。

「ん? それ、物干し竿か?」
「この刀を知ってるの?」
「ああ。さっき言った俺の仲間の佐々木小次郎っつーヤツの刀だけど……なんで、おめーが持ってんだ?」
「リュックサックに入ってたんだけど……キース・ブラックが奪ったのかな。しかし佐々木小次郎、ね」
「おお! 勝、小次郎知ってんのか? もう大昔に死んだクセにさすがに有名だな、アイツ!」
「……っ、もしかして幽霊……?」

 名簿を確認した際には同姓同名かとも思ったが、刃の口振りではどうも違うらしい。
 やはりこの殺し合いには、幽霊が複数参加しているのだろうか。
 そう考えて問うた勝に対し、刃はうーむと考え込んでから。

「まあ……幽霊みてーなもんかなぁ。おキヌとはちょっと違うけど」
「ちょっと違うとは、どういうことでしょう?」

 幽霊の話ならばと、おキヌが入ってくる。

「浮いてないし」
「飛び方が分からないんでしょうか」

 だったら教えてあげなくちゃいけません、とおキヌはどこか嬉しそうに意気込む。

「あと目ぇスッゲー赤い」
「それは怖いですね……」
「まあアイツのことは、ひとまずどうでもいいや」

 仲間らしい小次郎をどうでもいいと切り捨てて、刃は物干し竿を指差す。

「それがありゃ、もう殺し合いなんてしなくていいじゃねえか!
 水鏡だって死なずに済むし、なんにもなかったことにしてキース・ブラックのヤローをボッコボコにすりゃいい!」

 刃を除く三人が、つい「なに言ってるんだこいつ」と言いかけて飲み込む。
 そんなことに気付かず、刃はまくし立てるように説明を始める。
 なんでも物干し竿とは、普段は柄ヒモによって妖気を抑えている妖刀だ。
 その封印を解けば妖気が解放され、時空が捻じ曲がり過去や未来へ跳ぶことが可能となる。

「なるほど! そういうことでしたか!」

 ぽんと手を叩いて、おキヌが笑顔を浮かべる。どうやら合点がいったらしい。
 その反応に、刃は胸を張って誇らしげにしている。
 そんな二人を前に勝とチェリッシュは「え? これ納得するところなの?」などと思っていたのだが、どうにも自信があるらしい刃を止めるのもはばかられたので眺めていることにした。

「伸びろ、物干し竿! よしよし本物だな、戻っていーぜ」

 半信半疑どころか一割未満信九割以上疑の二人を置いて、刃は物干し竿が偽物でないかを確認する。
 自由に伸び縮みするのに安心し、口元を吊り上げる。
 「頼むぜ」と呼びかけるように呟いて、柄頭を外す。

 瞬間、その場にいた四人の背筋が凍った。

 辺りの温度が一気に下がったかのような感覚が走り抜ける。
 大気に何かが立ち込めているような気配がし、息をするのがためらわれる。

「す、すごい妖気です!」

 霊関係の事態には慣れているはずのおキヌでさえ、驚愕の声を上げてしまう。
 あからさまに変化した周囲の様子に、勝とチェリッシュまでもがよもやと三割ほど信じる寄りになりだす。

「よし……」

 静かに呟いて、刃は柄ヒモへと手を伸ばす。
 うっかり柄ヒモを解きすぎれば、百年以上前まで飛ばされてしまうのだ。うまく調整せねばならない。
 また、むかし過去に飛んだときのように物干し竿を手放してはならない。
 そうなれば、やり直しが利かなくなってしまうのだ。
 ほんの僅かだけ柄ヒモを解き、物干し竿を強く握り締めて時空の穴が開くのを待つ。

 そして十数秒後、紙が破れるような音とともに空中に黒い穴が出現する。

 思わず息を呑む三人になにも言わず、刃は穴へと頭から飛び込む。

「じゃあな! 俺が殺し合いを止めたらまた会お――っ痛ッてぇぇぇ!?」

 ごっちぃ~~ん。
 と音を立てて、刃は穴に弾かれてしまった。
 頭には大きなたんこぶができ、視界には星が浮かんでいる。
 そんなバカなと穴に手を突っ込もうとするも、穴の表面で弾かれて中を触ることができない。

「どーいうこった!?」

 物干し竿を抜いて穴を斬りつけるが、やはり目に見えぬ壁に阻まれてしまう。
 おキヌが目を細めて近づいていき、穴をしげしげと眺める。

「結界が張られてますね……」
「けっかい? なんだよ、それ!?」
「参加者が時を越えたりしないようにキース・ブラックが張った……のだと思います」

 おキヌが言い終えたのと同時に、穴が消滅した。
 よくよく考えてみれば、当たり前の話ではある。
 自ら物干し竿なんて配っておいて、時の移動に対し対処をしていないはずがない。
 そのことを実感し、刃は歯を軋ませる。

「……ちきしょう」

 ただ悪態を吐くしか、いまの刃にはできないのだ。
 思いを吐き捨ててもなお、無力感がやけに重たかった。

「ありがとよ、勝」

 刃は物干し竿の柄ヒモを直して、勝へと手渡す。
 笑顔を浮かべてこそいるものの、それがむりやり作ったものだということは明白だった。
 かといって、誰にも指摘することはできなかった。

「あのぅ……私、ちょっと思いついたんですけど」

 重い空気が流れるなか、おキヌが小さく手を上げる。

「美神さんなら結界を解除できるはずです! なんせ世界最高クラスのゴーストスイーパーですし!」

 誰も返事をしないが、おキヌは続ける。

「あと結界が解除されさえすれば、美神さんは道具なしで時間移動できるんですよ!
 雷一発分くらいの電気エネルギーが必要ですが、それさえあれば」
「それじゃあ無理だよ、おキヌさん……」

 言葉の途中で、勝が口を開く。

「雷一発分のエネルギーなんて、そんなものはそれこそ雷が落ちるのを待たなきゃ手に入らないよ」
「うぅ。で、ですが……」

 なにかしら希望を見出そうとするが、おキヌは口籠ってしまう。
 こういうなにも手が浮かばないとき、あのバンダナのゴーストスイーパーが意外に打開する案を思い付いてくれる。
 しかし、その彼がどこにいるのかも分からない。

「…………雷神剣」

 ぽつりと呟いたのは、鉄刃であった。
 雷と聞いて彼がまっさきに思い浮かべたのは、ともに戦ってきた相棒雷神剣である。
 けれど、あの剣がこの場にあるワケがない。
 対となる風神剣と合体し覇王剣となり、ヤマタノオロチが蘇らぬよう大地に封印したのだから。
 あの剣さえあれば誰にだって負けないと思っているが、もう二度とあの剣を握ることはない。
 そう誓ったはずなのに、つい言葉が零れてしまった。

「……っ、いまなんて!?」

 おキヌに妙に食いつかれて、刃はようやく自分が相棒の名を呼んでしまったことに気付く。
 ぼかそうとするが言い訳も浮かばず、雷神剣について話すことにした。
 雷神剣さえあれば電気エネルギーなんていくらでも手に入るが、もうあの剣はない――と。
 封印されたとたしかに言ったのに、おキヌは満面の笑みを浮かべる。

「それですよ! 美神さんとその剣さえあれば、どうにでもなるじゃないですか!」
「だからさっきも言ったけど、雷神剣はもう……」
「あります!」

 断言して、おキヌはリュックサックからなにかを取り出す。
 トランシーバーほどのサイズで、上に二つアンテナがついている。
 それに刃は見覚えがある。
 かつて、雷神剣を奪おうとしていた敵のクモ男がこれを持っていた。

「説明書を読んだときは意味が分からなかったんだけど……
 『風神剣と雷神剣を構成する特殊な金属に反応する』レーダーだそうです。
 これ、常に二つ反応してるんですよ。ということは、さっき言っていた風神剣と雷神剣が両方ともここにあるんじゃないですか?」

 刃の瞳が、勢いよく見開かれる。
 なるほど。いくら移動してもクモ男が自分たちの前に立ちはだかってきたのは、これがあったからというワケか。
 納得して、レーダーを手に取る。
 反応は二つ――北東と東で、距離は同じ程度。

「あっちは……まだ日本番長がいるかもしれねえ。まずはこっちか」

 向かう方角を決めて、刃はおキヌを見上げる。
 その笑顔は、もう作ったものではなかった。
 なぜ風神剣と雷神剣が別れているのかは分からないが、刃に難しいことを考えるつもりはない。
 ともにいくつもの敵を退けてきた相棒が、この場所にいることが分かったのだ。
 恐れるものなど、もはやなにもない。

「これ、借りてもいいか!?」
「もちろんですよ。私たちは人探しをしているので、来た道を戻るつもりはありませんが……」
「サンキュー、また会おうぜ! よっしゃ行こう、チェリッシュ!」

 黙って俯いていたチェリッシュの手を引っ張りながら、刃は東へと走っていく。
 しばらく走ってから思い出したように振り返り、声を張り上げる。

「俺たちの仲間に会ったら、街のほう行ったって言っといてくれー!!
 そっちの探してるヤツに会ったら、俺も場所教えとくからよーーー!!」

 おキヌが「はーーーーーい!」と返したのを確認して、刃は再び背を向けた。


 ◇ ◇ ◇


 東へと走りながらも、刃は時折後方を確認している。
 勝とおキヌが見えなくなったのを確認してから、ゆっくりと足を止める。
 ともに走っていたチェリッシュが、数歩前で振り返る。

「どうしたの、刃? 剣を探すんでしょう?」
「大丈夫だ」
「え?」

 予想していなかった返答に、チェリッシュが目を丸くする。

「おキヌが『雷』っつってから、ずっと震えてただろ? でも大丈夫だ」

 チェリッシュはハッとしたように、小刻みに震える右手を左手で覆う。
 すぐに左手まで震えていることに気付き、両手を後ろに回して細い身体で隠す。

「……バレてたのね」

 大したことではないかのように、舌打ちを鳴らそうとして失敗する。
 顎の関節までもが痙攣しているのだ。

「無理すんな。ゼオンってヤツの話は聞いたよ。そうなっちまってもしゃーねー」

 ゼオンの名が出た瞬間、チェリッシュの身体が跳ね上がった。
 呼吸を落ちつけようとして余計に狂う。吸いすぎて息苦しい。
 鼓動が早まるのを感じる。
 瞳孔はすっかり開き切ってしまっている。

「ぁ……」

 そんなチェリッシュの手に、ほのかな温もりが触れる。
 自分より小さいリーゼントの少年の姿が浮かび、少しずつ落ち着いていく。
 ついテッドと名を呼びかけたところで視界が落ち着き、手を握っているのが刃だと分かる。

「ごめん、なさい……」
「謝んなって」

 まぶたに温かい液体が溜まっていることに、チェリッシュは気付いた。
 自分らしくもない思いながらも、ゼオンから受けた雷撃が蘇ると零れてしまいそうになるのだ。
 触れて欲しくないのが分かっているのか、そもそも見えていないのか、刃はそのことには触れない。

「でもさ、そんなわりーヤツのことなんて忘れちまえ。難しいかもしんねーけどさ。
 安心しろって。雷神剣を手に入れたら、俺がそんな怖いこと忘れさせてやっからさ」

 チェリッシュをまっすぐに見据えながら、付け足すように続ける。

「雷ってほんとはもっとあったかくて、強くて、かっこよくて、頼りになって、どんな悪いヤツにだって負けねースッゲー力なんだぜ」

 腕を広げるようなジェスチャーをしながら、刃はにかっと笑った。
 説明があまりに分かりづらく、チェリッシュにはよく伝わっていない。
 ただその説明下手なところがテッドを思わせ、どうにもおかしかった。
 意図せず口元が緩んでしまい、その瞬間を刃は見逃さなかった。

「へへっ。初めて見たけど、やっぱ笑ってるほうが似合ってるぜ!」

 刃はチェリッシュの手をぎゅっと握り、歩くのを再開する。
 いつのまにか太陽が顔を出し、行く道が少しだけ明るくなっていた。



【A-4 中心部から僅かに東/一日目 早朝】

【鉄刃】
[時間軸]:織田信長御前試合の直後
[状態]:健康
[装備]:超振動ナイフ@ARMS、魔剣センサー『スパイダー』@YAIBA
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[基本方針]:殺し合いには乗らない。チェリッシュを守る。市街地にある反応(雷神剣)へと向かう。


【チェリッシュ】
[時間軸]:ガッシュ戦直前
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、チェリッシュの魔本@金色のガッシュ、不明支給品0~2
[基本方針]:テッドに会いたい。刃と行動。


 ◇ ◇ ◇


「さぁて、私たちも行きましょうかー」

 刃とチェリッシュの背中が小さくなっていくのをしばらく眺めてから、おキヌが西を指差す。
 そのまま浮遊しながら西に向かっていくのについていきつつ、勝は思考を巡らせていた。

 幽霊であるおキヌと出会ってから現在まで、知らなかった情報を得てばかりだ。
 まだ真実か分からないことも多くあるが、幽霊や物干し竿の能力についてはその目で確認した。
 ゴーストスイーパー美神令子や、雷や風を操る二本の刀、チェリッシュの言う魔物なども、真実である――かもしれない。
 その上で、才賀勝は考える。
 思考停止して何もかもを受け入れるつもりはないが、とりあえず仮にすべて真実であるとしよう。
 だとしたところで、過去に戻ってプログラムをなかったことにできるだろうか。
 結論は、すぐに出る。

 そううまく行く可能性は高くない。
 はっきり言ってしまえば、低い。

 仮に美神令子とうまく合流できたとして、結界が解除できる保証はない。
 結界なんてものを張っておいて、それが参加者個人の技術でやすやすと破ることができる代物だとは思えない。
 おキヌによれば凄腕のゴーストスイーパーであるらしいが、だとしてもすべての結界を知っているとは思えない。
 勝には霊能力の知識なぞないが、一つの分野を網羅することがそうそう容易いことでないことくらいは分かる。

 続いて雷神剣だ。
 これは物干し竿と同じように、キース・ブラックに回収されて参加者に配られたのだろう。
 ならば物干し竿と同じく、能力に制限がかかっているかもしれない。
 雷神剣が生み出すエネルギーを弱めている――であるとか。
 そうだとすれば、美神令子が時間移動するのに必要なエネルギーには満たない。
 雷やら風を放つ剣をいじることなど不可能なように思えるが、そもそも不可能としか思えないことをいくつもやられてしまっているのだ。
 ありえないなどと言えるはずがない。

 ブラックはこちらが取るだろう行動をすべて分かっており、その上で対処法を取っているはずなのだ。
 ずっとそう考えていながらも、勝はあえて口には出さなかった。
 抱いている希望を壊しても、余計に絶望的な空気にしてしまうだけだ。
 霊能だとか、魔剣だとか、魔物だとか――そういう超常的な能力で壁を乗り越えてきた人たちは、楽観的でいてくれればいい。
 落ち込んでいるところを見たくはないし、諦めてしまえば人は前へは進めない。
 だけど――と考えて、勝の視線が鋭くなる。

(錬金術、柔らかい石、生命の水、自動人形、人形破壊者、懸糸傀儡、O……
 僕だって、普通じゃ考えられないことはよく知っている。その記憶を持っている。
 でも乗り越えていない。なんの自慢にもならないけれど、まだ途中なんだ。どうにか壁を乗り越えようと頑張っている段階だ。だから――)

 勝はぎゅっと握った拳を前に出し、それを見据える。

(僕は楽観的になんて考えないし、油断だってしてやらない)



【A-4 中心部から僅かに西/一日目 早朝】

【才賀勝】
[時間軸]:黒賀村である程度過ごしてから。
[状態]:健康
[装備]:物干し竿@YAIBA
[道具]:首輪(おキヌ)、ランダム支給品0~2(人形はなし)、基本支給品一式
[基本方針]:殺し合いを止める。ひとまず西へ向かい、会場端の確認。
※正二、アンジェリーナ、鳴海を幽霊と考えています。


【おキヌ】
[時間軸]:本編にて生き返る前(美神令子の時間移動能力を知っている時期)
[状態]:不健康、首輪解除
[装備]:無し
[道具]:マーラの銀鏡@スプリガン、ランダム支給品0~1、基本支給品一式
[基本方針]:勝についていく。
※幽霊です。『本人が触れたいと思うもの』以外はすり抜けます。



【支給品紹介】


【魔剣センサー『スパイダー』@YAIBA】
おキヌに支給された。
風神剣と雷神剣の素材である特殊な金属を察知するセンサー。
剣を発見するとブザーが鳴り、さらに近くに進むと二本のアンテナが激しく動く。
どの程度の範囲まで探知できるのかは不明だが、日本のどこにいるのかも分からない刃(の持つ雷神剣)を探すために作られたものであるので、ロワ会場内くらいならば全域をカバーできるはずだろう。
たぶん、おそらく、きっと。


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時系列順で読む

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キャラを追って読む

047:重い荷物の担ぎ方 才賀勝 078:怒号――まともな奴ほど損をする
おキヌ
037:ヘルダイバー 鉄刃 083:エンカウント
チェリッシュ
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