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  • 最強候補の一角、植木耕介

最強候補の一角、植木耕介

最終更新:2011年12月21日 15:27

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最強候補の一角、植木耕介 ◆n0WqfobHTU





「耕介君、この先の西の端には何があると思う?」
「んー、崖になって先にいけないよーになってるとか」
「恐らくはだが……この殺し合いを仕掛けた奴等の謎が隠されていると私は思っている」
「そうなの!?」


「ウ・ソ」



 肌がつやっつやに見える程活き活きしてるナゾナゾ博士は、植木耕介を伴って地図の西端へと辿り着いた。
『会場外へ近付いています。会場外へ近付いています。これ以上進むのは危険です。今すぐ引き返してください。繰り返します。会場外へ近付いています──』
 そんな警告音が首輪より鳴り出すと、ナゾナゾ博士はやはりかと頷きながら足を止める。
 しかし、全然何も考えていなさそうで実際あまり物を考えない植木は、何の気無しにすたすたと歩を進める。
「ちょ、耕介く……」
 直後、ばっこーん、ともの凄い音を立てて、耕介は吹っ飛ばされてしまう。
 そのままひっくり返った耕介は何事かと身を起こすも、視界内に不審なものは、シルクハットかぶった妙なおっさん一人しかいない。
 奇妙なおっさんことナゾナゾ博士は足元の土を堀り、手で固めてひょいっと投げてみる。
 今度こそ植木にもはっきりとわかった。
 見えない壁のようなものに土玉は弾かれてしまったのだ。
「ナゾナゾ博士! 見えない壁だ! 痛いぞ!」
「うん、全部見ればわかる。後、他者の警告はせめて耳ぐらい傾けよう」
 植木はやはり話を聞いていないのか、懐よりごそごそとゴミを取り出し、えいやっとばかりに長大な木へと変化させる。
 ナゾナゾ博士がものっそい勢いで目を見開いているのを他所に、伸びた樹木は見えない壁にぶつかりこれまた再び弾かれてしまう。
「こんにゃろ、なら……」
「ちょ、ちょっと待ちたまえ耕介君! 君、注意事項を読んでないのかね!?」
「注意事項?」
 ナゾナゾ博士が首輪爆破条件の一つに会場から逃げ出そうとした場合がある事を説明すると、植木は言い訳がましくぼそぼそと口篭る。
「……えっと、ほら、一々全部こっちの動き見てる訳じゃないだろうし」
「そう出来ると見て行動すべきだろう。ほら、耕介君の右腕を見てみたまえ。極小のものだが、カメラが一つついているだろう?」
「え!?」
 驚いた植木は慌てて袖をたくしあげる。
 ナゾナゾ博士は満面の笑みで言った。


「ウ・ソ」




 彼は、見るからに目つきが悪かった。
 本来友好を示すはずの笑みは、人を小馬鹿にしたような、醜く引きつった悪意の証としか思えない。
 他者を安堵させる、心を暖かくさせる、喜びを分かち合う、そういった要素を一切剥ぎ取った、いっそ清々しい程に自分の感情を顕にするのみの笑い。
 彼は両手を広げ、突然現れた人物に対し訝しげな顔をする植木とナゾナゾ博士へと歩み寄り、言った。
「こんにちわ死ね」
 その男、永井木蓮は右腕を軽く振るうと、長袖服の袖に隠し持っていた銃を一瞬で手の内に納め発砲した。
 周囲は見通しの良い野原、身を隠す場所なぞありはしない。
 そも、こんな突然の攻撃に、反応しろという方が無理だ。
 それでも、植木耕介は動けた。
 木蓮の挙動に不審さを覚えた彼は、ポケットの中のゴミを腕の幅程の樹木へと変化させ盾にしたのだ。
 植木の頬より冷や汗が一筋。
 さもありなん、銃弾は必死必殺、確実に急所へのコースを辿っていたのだから。
 さもありなん、いきなり、無遠慮に、無造作に人が死ぬ行為をされたのだから。
 さあ戦いだ、そう言って始めるのではなく、日常の一コマの最中から突如生死の境を潜るよう強要されれば、如何に戦い慣れた植木とて驚きが顔に出ずには済まなかろう。
 そこで動けなくならず、即座に反撃に出られるのが植木耕介だ。
 彼が恐怖したのは、自分が死ぬかもしれないといった事ではなく、他人が呆気なく殺されるかもしれないという事であったのだから。
 再びゴミを樹木へと変え、伸びた木先が木蓮へと迫る。
「うおうっ!」
 大地を蹴ってこれをかわした木蓮は、興味を惹かれたらしく植木を見て、あの嫌悪感しか招かぬ笑みを見せる。
「へぇ、木を操る、か。いいねぇ、その技、実に面白い技だが……の割に使い方が単純すぎねえか?」
 植木はナゾナゾ博士を庇うようにその前に立つ。
「うっせえ、お前いきなりどういうつもりだよ」
「おいおいおいおい、何言っちゃってんだお前? 話聞いて無かったのか? 殺し合えって言われたろ? 潰し合えって言われたろ? 血溜まりに沈んでカミサマを恨めって言われたろ? 断末魔の悲鳴を上げどいつもこいつも地獄に堕ちろって言われたろ? 腕をもがれ足を千切られ達磨になって転がりまわれって言われたろ? 心配すんな、ぜえええええええんぶ俺がさせてやるからよ!」
 木蓮は植木が伸ばした木に手を添えると、笑みを深くする。
「ん、でだ。こういうのはどうだ?」
 植木の伸ばした木の表面を、木蓮の放った無数のツタが覆いつくしていく。
 ツタに触れたらどうなるかもわからない植木であったが、どうにも良い事はなさそうだとナゾナゾ博士と共にその場を離れる。
 あっという間も無く樹木を覆いつくしたツタは、めきりと一つ音を立てて潰し砕かれる。
「どーよ、面白ぇだろ。ほら、お前もやってみろ」
 何処まで本気か良くわからない調子で木蓮はケラケラ笑う。
 植木は真顔で答えた。
「何で俺がお前の言う事聞かなきゃなんねえんだ」
 ナゾナゾ博士は、心の中だけで全くだと頷いたが、どうにもこの敵の意図が見えないので発言を控える。
 植木はナゾナゾ博士にのみ聞こえるようぼそりと呟く。
「アイツがツタを出した時、特に前フリらしいものは見えなかった。けど、これだけ使い勝手が良さそうな能力なら何処かに限定条件があると思う。ソイツさえ見つければ何とかなるから、博士は少し離れててくれ」
 いずれ戦闘能力のないナゾナゾ博士だ。素直に言われるがまま距離を取る。
 それを待っていたのでもないだろうが、木蓮はあーあと肩をすくめる。
「出来ねえってんなら仕方ねえ。これで終わりだ」
 今度は大地に手をつくとその位置よりツタが大地を覆い広がって行く。
 無制限にそう出来る訳でもないのか、植木を取り囲むようにツタは広がっていき、周囲一体を囲みきった所でぴたりと止まる。
「さて、どーする?」
「わかった。なら」
 懐よりゴミを取り出し、今度はかわせぬよう幹の大きさが人の身長程もある巨大な木を作り出し、木蓮へと伸ばした。
「先に倒す」
 木蓮は、今度は自らはぴくりとも動かず。
 足元に這わせていたツタを動かす事で滑るように移動し、あっさりとこの巨木もかわしてしまった。
「ぎゃははははっ! 無理だばーか! 結局そんな単純な使い方っきゃ出来ねえのかよガキ!」
「一々うるさい、これなら文句ねえだろ」
 言うが早いか、足元まで迫っていたツタをかわす為、植木は自分の真下にバネのように渦巻き状の木を作り、大きく上へと跳ね上がった。
 木蓮は飛び上がった植木を見上げ、ぱんぱんと手を叩いた。
「おおおっ! やるやる……だけどま、それじゃただの的だよな。ギャハハハハハハハ!」
 射撃の名手では決してないが、山程撃てば当たるだろと銃をがんがんにぶっ放すと、数発が植木にモロに命中してしまった。
「コイツはオマケだ」
 銃弾の命中を確認してから樹木を槍のように伸ばし植木を突き刺さんとするのは、殺し合い慣れている木蓮らしい狡猾さであろう。
 しかしそれも、植木の備えが上であった。
 バネのようにびよんと伸びた木にツタを一本搦めておいた植木は、これを引っ張る事で空中での軌道を変化させる。
 もちろん木蓮のツタが生えていない場所へと飛んだ植木は、着地の時も木をはやしてこれに掴まる事で綺麗に着地を決める。
 弾丸命中に関わらず植木はぴんぴんしており、木蓮がこれに対して何かを言う前に植木は口を開いた。
「ぼーだんちょっき」
 ぐっと服をたくしあげてわざわざ見せてやると、これにはさしもの木蓮も苦笑するしかない。
 植木はびしーっと木蓮を指差す。
「お前!」
「あん?」
「木の能力だけでやりあうんじゃなかったのかよ! 銃とか卑怯だぞ!」
 一瞬だけ、木蓮は反応が止まってしまったのだが、直後に腹を抱えて大爆笑。
「ブハーッハッハッハッハッハ! お前馬鹿だ馬鹿だと思ってたが本気心底ありえねえレベルの馬鹿だろ! クリーンな殺し合いがお望みか!? マーダーマンシップに乗っ取って正々堂々戦いますってか!? つーか銃使ったら卑怯て! 卑怯て何だよ!? ウハハハハハハ! ヤベェ、腹よじれるって!」
 木蓮の爆笑に植木もかなり頭に来た模様。
「……そうかよ。じゃあ俺も使うし」
「ほう、てめぇも銃を……」
 植木の右腕が超がつく、そう本当に超でもつけなければ形容しきれぬ植木の体の数倍はあろう巨大な砲台に変化したのだ。
「鉄(くろがね)!」
 そんな素敵砲台に相応しい、アホみたいにクソデカイ砲弾が放たれた。
 木蓮は、彼にしては珍しく頭に浮かんだ感想を率直に言葉に変えた。
「どんな魔導具だそりゃあああああああああ!」



 木蓮が地中へと潜れたのは、足元より下へと草木をはやしていたせいで地面が柔らかくなっていたおかげだ。
 咄嗟に足元地中を縦横無尽に走る根を動かし、土中に転がり落ちるスペースを確保しながら後ろに倒れこむように落下。
 落とし穴に背中から自分で落ちた感じが一番近かろう。
 難は逃れたものの、黒くて丸くてでっかいのが眼前をイカレた速度でかっとんでいくのを、至近距離で見るハメになった木蓮は大口開けたまま硬直してしまう。
「あ、あぶ、あぶねえって……いやお前これ銃だって言い張るの無理あんだろおい」
 あんなものぶち当てられては、さっきの怪力チビに投げ飛ばされた程度では済まないだろう。
 木蓮はかいた冷や汗を拭きながら、さてどうしてくれようかと口の端を上げた。

 ナゾナゾ博士は呆気に取られた顔のまま勝利した植木の側に戻り、今回の勝因、というかありえない大砲について尋ねてみる。
「耕介君、今のは……」
「鉄(くろがね)だ」
 以上。
「いやそれじゃわからんだろう」
「大砲撃てるんだ、俺」
 十の神器とやらは聞いていたが、考えていた以上のトンデモな強さであった植木の能力に、ナゾナゾ博士は驚きを隠せない。
 このレベルの技が後九個。ナゾナゾ博士は、そりゃこんだけ強けりゃ暢気に夜寝もするわ、とちょっとだけ思った。
 戦い方の手の内を明かすのは、相手が誰であれ大層よろしくない行為だ。
 それがわかっているナゾナゾ博士はそれ以上は聞かず、かなり戦い慣れている植木に戦闘は任せると決めた。
「えっと、鉄(くろがね)が一つ目、二つ目の威風堂堂(フード)は……」
 そんな配慮をガンスルーで指折り説明始める植木に、ナゾナゾ博士は慌てず騒がず、植木の前で人差し指を左右に振ってやる。
「待ちたまえ耕介君。戦いの術は出来る限り秘しておくほうがいい。それが例え味方だとしても、だ」
「なんで?」
「もし、だ。ワシが捕まって君の戦い方を話させられたとしたら、君はとても不利な状況で戦わなければならなくなる。もちろん、知ったからとて安易に口にするワシではないが、それでもどうしようもない事態に陥ったとしても、知らなければ口にしようがないだろう?」
「何か不意打ちっぽくてヤだなそれ」
「それはつまり、ワシが知らないとわかれば、逆に捕まったとしても無体は受けずに済むという事だ。ワシの安全の為にも頼めないかね?」
 ぽんと手を叩く植木。
「そっか、なら黙ってる」
「ありがとう」
 植木が納得し、ナゾナゾ博士が笑った所で、声が聞こえた。

「何だよ、せっかく待ってやってたのに魔導具はわからずじまいか? くだらねぇ」

 声のした方へ二人は振り向く。当たり前だ。それは、さっきふっ飛ばしたはずの木蓮の声だったのだから。
 しかし、振り向いた先にも人影は無し。
 周囲を見渡し、そして、植木は自らの失策を悟った。
 さきほどまで正面であった方向より、木の根が無数に延びて来ていた。
 避ける、間に合わない、いや、植木は間に合うがナゾナゾ博士が無理。
 だから植木は声高らかに叫んだ。
「これが二つ目! 威風堂堂(フード)!」
 地面から、巨大な木製の腕が伸び上がって来た。
 それこそ腕の幅だけで人の一人や二人軽く庇えてしまうような大きさは、槍のように鋭い根先を易々と弾き返す。
 引き続き、今度は四方八方より木の根が迫る。
「博士! 頭下げて! 三つ目! 快刀乱麻(ランマ)!」
 先の大砲並の大きさを誇る、それどーやっても持ち上がらねーだろってな勢いの剣が地中より生えて来て、植木はこれを両手で持ちぐるりと一周回してそれだけで全ての木の根槍を斬り飛ばした。
 抱えていた頭を上げ、周囲一体に転がる木切れを見て、ナゾナゾ博士は何とも言えないよーな顔になった。
「……いや、近遠防御と、三つだけでもう充分なのではないのかね? 最後のを近距離用と見なすのに少々の抵抗はあるが」
 離れた場所で、地面がぼこりと盛り上がる。
 そこからゆっくりと、木蓮が姿を現した。
 ぽんぽんと手を叩きながら、下に昇降機でもあるのか自身は手以外一切動かさぬままゆっくりと地面からすり上がってくる。
「いやいやお見事、大したもんだぜガキ。技がスゲェってんじゃねえぞ、お前がこっちの攻撃を認識してからの判断の早さがズバ抜けてらぁ。まだガキにしか見えねえが、それなりには修羅場を潜ってきたようだな」
 植木は黙ったままじーっと木蓮を睨み続ける。
「だけどよ、もう弱点、ああ、後七つだか技があるらしいが、そいつもぜーんぶ通じねえ、お前のどうしようもねえ弱点見つけちまったんだよ。残念だなおい、お前大したもんだけど、もうこれまでなんだよ。俺ぁそれが悲しくってよ……」
 わざとらしく目頭とか抑えてみたりする木蓮であったが、木蓮自身含むこの場の全ての人間がこんな言葉信じてはいない。
「お前だけじゃねえ! 火影のクソったれ共と同じ弱点が! てめぇにゃあるってんだよ!」
 木蓮は、今度は地面を波打つように触手のごとき根を伸ばす。
 その軌道はうねり、縦横に蠢き回る為、対応が至極困難。
 そして植木は、植木耕介であるが故にほんの一瞬だけだが、植木を見続けていた木蓮の狙いを見誤った。
「なっ!?」
 そう、木蓮の狙いは植木ではなく、その背後に位置するナゾナゾ博士であったのだ。
 植木は咄嗟に威風堂堂(フード)にて防ごうとするも、伸び上がる腕は一度見られている。
 以降この盾は動かないと見切った木蓮は、飛び出し弾かれた分の木の根には未練を残さず、生き残った分を迂回させナゾナゾ博士を狙い続ける。
「さああああああああ、どう防ぐ!? どー防いでくれるよおおおおおおおおお! 守るんだろ!? 守ってみせるんだよなええおい! 傷一つつけるんじゃねえぞ! 男なら体張って守りやがれ! ギャハハハハハハハハ!」
 植木はこんな嘲りの言葉にも、真面目に返事してみせたり。
「防がないし。ちょっと飛ばして六つ目! 電光石火(ライカ)!」
 植木の両足にローラーブレードのような装置が現れ、植木はナゾナゾ博士を小脇に抱える。
 身長を考えるに、植木がナゾナゾ博士を小脇になぞ抱えたら足を引きずる事になるのだが、まるで問題はない。
 何せその後の移動速度がべらぼうに速いため、ナゾナゾ博士の足は宙をぶらぶらと浮いてしまっているのだから。
 大笑いしていた木蓮の顔が笑った顔のまま硬直するのを他所に、植木はあっという間に彼方まで逃げて行ってしまった。

「…………アイツ、どんだけ魔導具持ってやがんだよ」
 完全にしてやられたというのに、悔しがるとかそーいうのより先に思わずつっこまずにはいられない木蓮であったが、そのまま顎に手をあて、少し考える。
 複数の魔導具を所有し使いこなす。
 通常、魔導具は一つ所有するのすら難しい。それをあれだけの数持っているガキなぞ想像の外だ。
 それに、と自らの魔導具が引き出した結果を見やる。
 大地に痛々しい傷跡が刻まれ、乱雑に、かつ無作為に破壊が放置されている。
 そしてあのガキが為した大地への傷と比べてみると、明らかな差異が認められる。
 魔導具の形状もそうだ。禍々しさを感じるような、そうでなくとも何処か芸術品のような風格を魔導具は持つ。
 然るにあのガキのソレは、例えば木蓮の魔導具を作った者とは全く別の製作者の手によるものであろう、と即座に思えてしまうような単純でわかりやすい形状をしている。
 木蓮もああいった魔導具は見た事がない。
 何やら薄ら寒い気配を覚え、長い髪に手櫛を一つ。
「どおーーーーーーにも、違和感がありやがるんだよな」
 最初に出会った女のガキにも、その前に皆が集められた場所に居た怪獣のようなケモノにも、キースを名乗る男の力にも。
 木蓮は、一度片頬のみをひり上げた後、逃げていった速度と同じエライスピードで戻って来たガキに向かって言った。
「よう、一度殺し合いは中断だ。何かここ、おかしくねえか?」

 何て事をいきなり言い出したとて、ここまでさんざ好き放題してきた木蓮の言葉を植木が信じるはずもない。
 そんな顔をしている植木に、木蓮は早々に自分の力を明かす。
「俺の魔導具は、まあ見てわかっただろうが木々を操る『木霊』って奴だ。お前のは、全部話さなくてもいい、どうやって手に入れたかだけ教えてくれりゃそれでいい」
 植木は、先のナゾナゾ博士の言葉を、
「まどーぐって何だ? 俺は天界人の力を使ってるだけだぞ」
 すっぱり忘れているもよー。
「天界人?」
「ああ、神様の住む所に一緒に住んでる奴等らしい。俺もそこの生まれって聞いた」
 木蓮の目が可哀想なモノを見る目に変わるが、正直、さっきの大地を抉り飛ばしながらかっとんでいったデカイ大砲などは、大層強い魔導具というより神様の力とでも言われた方が余程しっくり来る。
 それに、神様の力が戦争の象徴大砲だというのなら、これほど愉快な事は無いではないか。
「……お前、じゃあ魔導具の事は知らねえのか?」
「だからまどうぐって何だよ。もしかしてお前『才』以外の何かで木を操ってたのか?」
 また新たな単語だ。
 木蓮は、興味深げに数度頷く。
「よし、わかった。魔導具の事教えてやる代わりにお前、そのざいとか天界人の事教えろ」
 植木は即答した。
「嫌だ。お前最低の奴だし」
 ぴきりと、木蓮の額に青筋が走るもここは堪えて物のわからぬガキに説明してやる。
「まあ聞け。何処で誰とやりあうにしてもだ、情報ってな軽く見ていいもんじゃねえ。知ってさえいりゃ対応出来た、そんな事柄は世の中にゴマンとあらぁ。な、別に味方になれなんざ一言も言ってねえわけだし……」
「嫌だって言ってんだろ。お前みたいな奴にやるもんなんかない」
 このガキには、有利に立ち回る駆け引きだのの思考がないらしい。
 木蓮は戦闘慣れしてる癖に、意味がわからない程にガキなこの子供との交渉を、すっぱりと諦める事にした。
「……オーケイ、了解、理解した。つまり、てめぇを半殺しにして聞きだせと。そういう話でいいんだな」
「俺は別に勝ってもお前の話なんて聞きたくもないけどな」
「ホント、清々しい程にガキだよな、お前」
 木蓮は話し合いにて情報を得られなかった事を、さして悔やんではいなかった。
 このガキが何処までも子供で純真無垢な輝きを見せてくれた事の方が余程収穫であった。
 完成度の高い至高の美しさ程、陵辱し甲斐のあるものはないのであるから。
「クククククッ、いっそケツでも掘ってやるか? それとも女を犯させてやろうか? 目の前で、あのジジイが死なないよう死ぬまで痛めつけられる有様でも見せてやったら、どんな顔するのかねぇ……ククッ、クククククッ……」
 わさわさと、木蓮の周囲より木々が波打ちながら生え出して来る。
「来いよガキ。親切なお兄さんがRock 'n Rollを教えてやるぜ」
 植木も、もう遠慮なんてするつもりはない。
 一打必倒を期し、五つ星神器の百鬼夜行(ピック)を撃ち放つ。
 突如腕が伸び行く巨大な柱に変化するピックを、初見でかわすのは至難の業。
 それを、未見の魔導具に備えるつもりで居た木蓮は木々にて逸らしかわす。
「おいガキ! 知ってるか! 悲鳴ってな種類があるんだぜ!」
 木蓮は一直線に槍のような根を飛ばすが、これを囮に本命の鞭の如き長大なツタを真横より振り薙ぐ。
 植木は八つ星神器、波花(なみはな)にて迎撃。威力は浪花の方が上で木蓮のツタを木っ端微塵に打ち砕く。
「甲高い悲鳴、ありゃ嘘だ! まだ心に余裕がある証拠なのさ! 本当に余裕の無い女が上げる悲鳴ってなぁな! 低くくぐもった胃の腑に染み入るcoolな音なんだぜ!」
 再度ピックにて木蓮を狙う植木に対し、木蓮は植木がそうしたのと同じように眼前に巨木を生やして防がんとする。
 が、無理。ほんの一瞬すら防ぐ事は出来ず。しかし、視界を遮る効果はあったようで、回避に飛んだ木蓮をピックは捉える事が出来ず。
「恐怖の悲鳴は確かにキーが高い! あの噂に名高いきゃーって奴だ! だがな、あれは周囲に助けを求める、翻しゃ助けてもらえると何処かで思ってやがる! 絶望が何処にもありゃしねえ!」
 相手に位置を把握出来なければ、威力があろうと当たりはしない。そう木蓮は狙い、生やした葉生い茂る木を一瞬で枯らし、扇のような蓮の葉で扇いで植木の周囲を枯葉で覆う。
 無論そんなに長い時間維持出来るものでもないが、木蓮が攻撃を仕掛けるには充分な間だ。
「体を千切った時上げる悲鳴はな! 腹の底から響くぶっとい声なのさ! 実際すぐに叫ぶ為の空気が無くなりやがるから長時間の悲鳴は無理! それでもなぁ、人の、心底からの悲鳴ってなこういうもんだろええおい!」
 四方八方より木の根の槍をめくらめっぽうに打ち込んでやる。
 防弾チョッキだろうと何だろうと、当たればぶち抜く強烈な圧力を伴った槍だ。
「誰かが助けてくれるだの! 我慢してれば収まるだの! そんな余計な事全部ぶっちぎった悲鳴! 只々激痛を伝えるだけの悲鳴ってなそういうもんなんだよ! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! そんだけだ! そこまで思いを込められりゃ! 誰だってソイツがどんだけ痛いのか理解出来るような血の叫びこそが悲鳴なんだよ!」
 植木は枯葉を突きぬけ真上へと抜けていた。
 九ツ星神器、花鳥風月(セイクー)。これは大空を飛翔する為の技。
 植木は、この男を断じて許すつもりはなく、ありったけを叩き込んで倒すつもりであった。
「一瞬だ! 最初の一瞬に全てを込め吠える! しかし叫べど泣けど何も変わらない! 助からない! そんな悲痛を余韻に乗せて! 最後を締めるのが極上の悲鳴ってもんだ!」
 空中から植木は、四ツ星神器、唯我独尊(マッシュ)をぶちかます。
 これはピック以上に初見でかわしようのない技。
 異常な知能指数を誇る学生が五分で作ったおもちゃのような造形は、威力の凶悪さを隠すカモフラージュか。
 大口開けた巨大な四角形が地面から生えてきて木蓮に齧りつくのだ。
 ぎりっぎりで生やした木をつっかえ棒にするのが間に合い、これで僅かの間を作った木蓮は巨大な顎を辛うじて逃れる。
「うわお! 相変わらず洒落になんねえぞてめぇ! そうそう悲鳴だよ! そんな極上の悲鳴を上げさせるのに、俺がどんだけ手間隙かけてるか知ってるか!? 万人に同じやり方してちゃぁ素人さ! 俺みたいな熟練者はなあ! 相手によって都度やり方を新しく編み出すのさ!」
 流石に同じ樹木使いだけあって、木蓮の神器回避方法は植木のそれに良く似ている。
 しかし、天界力を操り空を自在に飛びまわる植木を捉えるのは木蓮には至難の業。
 それでも木蓮は負けるつもりなぞ欠片もない。
 植木と違って、木蓮は魔導具に拘るつもりもないのだから。
「ハハハッ! んじゃコイツはどうだあああああ!? なあおい! お前の苦痛の悲鳴! そろそろ聞きたくなってきたんでよおおおおお!」
 木蓮が両手で抱えるはサブマシンガン。人を殺す為だけに作られた、しかし弾丸は、人の手ならざるものをすら貫くオリハルコン製。
 弾に紐つけて後で回収出来る様にしたくなるぐらいの単価であるが、金払うのは俺じゃねえと盛大にばら撒く。
「心配すんな! 俺はアーティストだからな! いきなり最後の悲鳴にはいかねえよ! 最初に文句言った甲高い悲鳴も! あれはあれで良い所があんだぜ! 俺ぐらいになると悲鳴の響き具合一つでソイツの絶望っぷりが良くわかるのさ!」
 植木の防弾チョッキはあくまで対人弾用。そもそもオリハルコン弾を防ぐ素材なぞ同じオリハルコン以外ありえない。
 当たれば痛いどころか、間違いなく当たった部位丸ごと抉り取られる。
 天界力を操る術を身につけていたからこそ、命中弾無しで切り抜ける事が出来ているが、植木には近寄る事すら出来ない。
「何でもそうさ! ブレンドだよ! 助かるかも、救われるかも、守ってもらえるかも、優しくしてもらえるかも、どうしようもない絶望にはそんな希望こそが重要なんだよ!」
 木蓮は、植木を銃弾で追いまわしながら次なる手を打ってある。
 風上に位置し、本来液状で直接流し込む類の毒を大気中へと撒き散らし、毒物が滞留した地域を作り上げる。
 こういった作業を草木を手足に行なえるのが樹木使いの大きな利点だ。細かい作業にはまるで向かないので時間はかかってしまうが。
「助かるかも? 駄目でしたー! 救いの手が? はい残念! こいつを繰り返して思考能力を剥ぎ取るのは洗脳と同じだ! 尤も、洗脳専門の奴等ぁ美学ってもんがねえ! あいつら音楽性ってもんがわかってねえ! Rockじゃねえんだよ!」
 ちょうど仕掛けが終わる頃、マガジンが空になった銃は鳴り響くのを止める。
 植木はここぞと飛び込み、木蓮が誘う地点に向け突っ込んで来る。
「おっと勘違いすんなよ! 音楽ってなRockだけじゃねえ! クラシックもポップスにも! 全てに通じる何かがある! そいつを言葉に出来た奴ぁきっと真の天才って奴なんだろうぜ! ああ、いずれ俺が至る場所さ! そん時こそ誰もが俺の音楽を崇める時だ! 連中に俺のジャンルを理解する根性がありゃあの話だがよ!」
 バッグから予備のマガジンを取り出す猶予は、植木が木蓮に迫るに充分な時間があったのだが、木蓮は魔導具木霊の使い方に熟達しておりそう容易く隙は見せない。
 地中よりぼこりと生えた草が急激に成長し、人間大もある果実を実らせる。
 これを木蓮が木の根の鞭で叩き地に伏せると、果実は大きく破裂し中より弾丸のような種を弾き出した。
「Scream artistって所か!? コイツを理解出来んのは、そうさな、スナッフビデオ撮ってるような連中ぐらいか!? クハハハハ! お前知ってるかスナッフビデオ! 十歳にもならねえようなメスガキをバラして壊してヤっちまう様をビデオに撮ったもんだよ! 見たら人生変わるぜ! 見たくなきゃ瞼斬りおとしてでも見せてやるぜギャハハハハハハハハハ!」
 突入軌道を変えるなぞままならぬ距離に、植木は逆に速度を上げながら前へと突っ込んで行く。
 こういったクソ度胸で植木に勝るものなぞそうは居ないであろう。
 種が肩口に弾かれ逸れる、しかし一打のみの命中弾にて植木は破裂した巨大なホウセンカの実を突破した。
 それでも命中があったせいか攻撃には移れず、伏せた木蓮の頭上を抜け離脱していく。
「クソッ! どういう神経してやがんだクソガキ! てめぇに悲鳴上げさせんな手こずりそうだチクショウ! 楽しくなってきたなぁええおい!」
 ホウセンカにて毒溜りに叩き込むつもりがアテが外れた木蓮。
 しかし、最後にして絶対の切り札の用意が整ったので、木蓮は動きを止めた。
「さあ! テメェのやり方に付き合うのはここまでだ! クソガキ! これが、大人のやり方って奴だ!」
 もこりと、木蓮の足元の土が盛り上がる。
 地中を辿ってきたらしいソレは、巨大な二つの葉で覆われた楕円状のものであり、形状はハエトリグサと呼ばれるものに酷似していた。
 そして、二つの葉が開き中から転がり落ちてきたものは、紛れも無く、植木がナゾナゾ博士と呼んでいたモノであった。



 植木に言われともかく戦いは任せる事にしたナゾナゾ博士は、くれぐれも奴の口車に乗らぬよう植木に釘を刺した。
 見るからに狡猾そうな男だ。植木の実力が発揮されればそう容易く敗れるとも思わないが、策にハマる事は充分にありうると思えたのだ。
 大きく頷いた植木はすぐに男の元へと戻って行く。
 しばらくの間ナゾナゾ博士はただ待つしか出来なかったのだが、焦燥は博士の身を静かに蝕む。
 医師をこなす程の知能の高さや、交渉術に長けたナゾナゾ博士であったが、相棒の魔物の子がいない以上戦闘ではお荷物にしかなりえない。
 ましてや王を決める戦いとは違い、今度は博士そのものが最重要ターゲットであるのだ。
 今、あの場に居られない事は理知的なナゾナゾ博士ならば良く理解出来ている。
 それでも、老い先短い自分が安全な場所におり、まだ未来のある若者が危険に身を晒しているとあっては心痛まぬわけがない。
 せめて出来る事を、彼が勝利し戻って来ると信じて次にどうすべきかを考え始める。
 そうやってきっちり思考を切り替えられるのが、大人の大人たる所以であろう。
 そうしてキースという男に関する考察を続けていると、ふと、土中より木の根が顔を出しているのに気付いた。
 うろうろと、しかし、正確に博士の下へと向かって来る木の根。
 この場所を知っている植物使いは植木のみ。
 何か報せに来たのかと身を乗り出し、ナゾナゾ博士は致命的なミスを犯す。
 植木が自分に助けを求めているのかも、そう一瞬でも思ってしまえば、ナゾナゾ博士がそうするのも理解出来なくはなかろう。
 それでも、博士は気付くべきだった。
 植木のライカが作った轍を辿り、木蓮が樹木を伸ばしてくる可能性を。
「しまった!?」
 木の根らしきものに触れた瞬間、ナゾナゾ博士は土中より飛び出して来た巨大な二つの葉に全身を覆いつくされてしまうのだった。



 木蓮もまた視界の通らぬ場所を木を通して『見る』事なぞ出来ない。
 である以上罠を張るしかない。
 触れれば起動するハエトリグサを罠に用いるやり方は、まだ実験の段階を出ていなかったのだがどうやら思った以上に上手く機能するようだ。
 しかし、結構な距離があった。
 土中を引っ張ってきたのだから、結果、中のコイツがどうなったかは考えるまでもない。
 出来ればガキをいたぶる道具に使いたかったのだが仕方無い、と速攻を腹に決める。
「ガキ! 要求は一つだ! この弾を避けるんじゃねえ! それさえ守ればこのジジイは見逃してやる!」
 植木に見えるように、見えないように木の根を操り、ナゾナゾ博士の腕を僅かにだが動かしてやると、植木はあっさりと飛行を止め地上に降り立った。
「良い子だ。ついでに後ろを向くと良い感じだぜ」
 植木は、渋々だが言われるがまま。
「おいっ! わかったからナゾナゾ博士に何にもすんじゃねえぞ!」
「ああもちろんだ。俺は約束を守る男だぜ」
 そのまま引き金を引けば終わり。しかし、木蓮は最後の最後で、自らの性癖の誘惑に打ち勝つ事が出来なかった。
 ナゾナゾ博士の胴を木の根で掴み、後ろを向いた植木にも見えるようその頭上を越えて放り出す。
 植木の眼前に降ってくるナゾナゾ博士。
 その、胴が、音を立ててへこむ。
 胴に巻きついた木の根が、博士を引き千切らんと力を込めているのだ。
「ナゾナゾ博士えええええええええええええええ!!」

 植木耕介の力の源は、誰かを守りたいという心そのものだ。
 これが最もわかりやすい形で現されるのが、十ツ星神器、魔王である。
 彼の心が一番強いと信じる、小林先生、通称コバセンの姿を象っているのも、心こそが一番の力となる十ツ星神器ならではの効果である。
 どんな神器より素早く、どんな神器より力強く、ナゾナゾ博士を捕えていた木の根を斬りおとす。
「うおあああああああああああああああああああ!」
 冴えない中年の姿をした魔王の力は、植木の叫びに呼応し、植木の背後より迫るオリハルコンの銃弾すら弾き飛ばしながら木蓮に命中し、周辺一体の大地ごとその存在全てを消し飛ばした。



 植木はナゾナゾ博士を背負って歩く。
「なあ、やっぱり博士の言った通りだったよ」
 その足取りが重いのは戦闘の疲れからだけではあるまい。
「……俺、まだ弱いんだ。強くなって、絶対アノンにだって負けてないって、そう思ってたのに……やっぱり、俺はまだ、弱いんだ……」
 植木は首を垂れたまま、一歩一歩歩き続ける。
「…………ごめんな。俺、弱くて。ごめんな……守ってあげられなくて……」
 背後に背負ったナゾナゾ博士より、生命の気配はとうに消え失せているのに、植木も気付いていた。
「俺が……おれが弱かったから、ナゾナゾ博士、死んじまって、本当にごべんだ……」
 顔はぐしゃぐしゃに崩れ、止め処なく流れる涙を拭う事ですら出来ない。

 それでも、ナゾナゾ博士の遺体を背負った植木の足は、決して止まる事はなかった。







「な、な、な、な、……………」
 巨大なクレーターの端、ぐずぐずに埋もれた土砂の中。
「な、な、な、な、な、な、な、な、……………」
 もぞもぞと、蠢く影がある。
「な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、……………」
 かなり必死な様子で、手が、頭が、そして全身が姿を現す。
「なんだありゃあああああああああああああああああああああ!!」
 永井木蓮は五体無事なのを確認すると、朝日の眩しさを全身に浴びて大きく息を吐き出す。
「……なんて威力だよ。ありえねえ、神様の力ってな冗談でも誇張でもねえじゃねえか……」
 最後の仕掛けは、木蓮の空蝉を植木に見せつつ、植木の顔が良く見える位置に本体は移動していたのだ。
 充分安全だと思えた距離のはずだったのだが、そんなもんあんだけの広範囲ふっ飛ばされれば関係なくなる。
 撃った当人も範囲内に居たはずだし爆風の影響を受けていると思われたのだが、あのクソガキがどうなったかは木蓮にもわからない。
 あれでくたばってくれるのがベストなのだが、そんな楽観的な気分にはとてもではないがなれない。
「どうなってやがんだ。アイツ、ヘタすりゃ紅麗よか強ぇんじゃねえのか?」
 色々と考えなきゃならない事はあったが、木蓮はとりあえず今は、と朝日にのんびりと癒される事にした。
 何となくだが、光合成する植物の気持ちが理解出来る気がした木蓮であった。


【ナゾナゾ博士 死亡確認】
【残り67名】





【A-5 東部/一日目 早朝】

【植木耕介】
[時間軸]: 十ツ星神器・魔王習得後
[状態]:健康
[装備]:防弾チョッキ@現実
[道具]:基本支給品一式、ブルーの車椅子@ARMS、ビニール一杯のゴミ@現実
[基本方針]:協力者を探して首輪を外すというナゾナゾ博士の考えを無碍にしない。
注:ナゾナゾ博士の遺体を背負っています。


【A-5 西端/一日目 早朝】


【永井木蓮】
[時間軸]:裏武闘殺陣決勝後の紅麗の暗殺後
[状態]:健康
[装備]:木霊 @烈火の炎  飛斬羽@烈火の炎、トライデント特製COSMOS仕様サブマシンガン@スプリガン、ワルサーP5@スプリガン
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、飛斬羽@烈火の炎
[基本方針]:このゲームを楽しむ。できるだけ女を殺したい。魔導具以外にも不可思議なものがあると認識した。


トライデント特製COSMOS仕様サブマシンガン@スプリガン:対AMスーツ用に作られた銃。とにかく凄い銃なんですっ! 見た目もちょっと近代ちっくで!
ワルサーP5@スプリガン:ドイツの警察で正式採用された銃。値段が高くてあまりみんな使わなかったが。もちろんドイツ製。これを嬉々として使うはやはりハーケンクロイツな方々なのです。


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029:ナゾナゾ博士と植木の法則 植木耕助 070:流と耕助
ナゾナゾ博士 GAME OVER
017:拳の少女・木の男 永井木蓮 074:鉄風鋭くなって
▲


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