退魔師ユキちゃんシリーズ設定置き場@ ウィキ
阿鼻毒火雷鉄蟒の術
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読みは「阿鼻 毒火 雷鉄 蟒 の術 」。滅魔の術における、事実上の最終奥義と言うべき術である。術者の肉体を、阿鼻 地獄に生息するとされる、鉄の肉体を持った蟒蛇 「毒火 雷鉄 蟒 」の姿へと変化 させ、その持てる力のすべてを振るうことができるようになる。
そもそも、「毒火 雷鉄 蟒 」とは、八大地獄の最深部である阿鼻地獄にあるとされる、広さ八万由旬(筆者註: 一由旬 = 8km で計算すると、 64 万 km。地球と月の距離のおよそ 2 倍弱ほどになる)の阿鼻城に住まう鉄の蛇である。その口からは「毒」気と「火」を吐き、身の大きさは、かほどに巨大な阿鼻城内に満ち満ちるほどとされ、またその吼える声は「雷」のようであり、大「鉄」丸を雨のように降らせる力があるという。それにちなみ、退魔師連盟はこの地獄の蟒蛇 を、「毒火 雷鉄 蟒 」と呼びならわしている。
長い滅魔師連盟の歴史の中でも、この術の体得を許され、そして実際にその術を使うに至った者の数は極めて少ない。その際の数少ない記録には、この術で術者が変化 した毒火 雷鉄 蟒 の姿も記されている。いわく、その名を「蟒蛇 」と言いながらも、地獄の炎で赤く熱された鉄の体はまさに異形にして魁偉 ――蛇というよりはむしろ、全身が灼熱の炎でできている東洋の竜のようであった、とされる。
当代における滅魔師らの中で、この術の体得に至った者の中には、男性でありながらひとたびは大獄正の位にまで上り詰めた、前戸 レイヤが含まれる。しかしながら、彼がこの術を成功させたのは修行の一環としてであり、彼ですら実戦でこの術を成功させた実績は無い。
レイヤはいつか、滅魔師連盟の連盟長である獄門寺 ザンエの命のもと、この術を愛弟子である一人の少女に教えることになるだろう。本来であれば、この術は、大獄正の位の得度を受けた者でなければ、体得のための修行すらも許されない。その修行は、術の失敗による死亡という恐るべきリスクを覚悟しなければならないためである。
レイヤは、愛弟子を思い、珍しくザンエの言うことに正面から反駁するが、ザンエはそれを「いくらレイ坊でも、この件に関しちゃ駄々をこねるこたぁ許さねえ」と真っ向から突っぱねる。ザンエがレイヤに対してすら、こうまで強硬な姿勢を見せる真意は、果たしてどこにあるのか――?