退魔師ユキちゃんシリーズ設定置き場@ ウィキ
リンフォン(ユキちゃん世界仕様)
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滅魔師の津上 チヤが持つ、黒い正二十面体。その大きさは、ソフトボールほどの大きさがある。
そもそもリンフォンとは、都市伝説に語られるアイテムである。インターネット上に流れる噂話によれば、このリンフォン表面を撫でたり引っ張ったり押し込んだりすることで、あたかも木組み細工のパズルのように変形していき、「熊」「鷹」「魚」の彫像に変形するという。
このパズルの恐ろしさは、パズルを組み上げ始めたものが、「熊」→「鷹」→「魚」の順に彫像を変化させていくごとに、周囲では怪奇現象(携帯電話に「彼方」と着信したり、何者かに追われる悪夢を見るなど)が発生する点にある。このリンフォンの正体は、「凝縮された獄小サイズの地獄」「地獄の門」などとされ、都市伝説の終盤では、所有者はこれをガムテープで何重にも巻いて廃棄したという。
ユキちゃん世界における閻婆事件(激突! 退魔道 vs 滅魔道のエピソードのことを指す)の 10 年前、前戸 レイヤとの獄正 得度 戦 に敗れた津上カズトモ(第十九話より)は、自らが地獄に行くことで、滅魔師の奥義の神髄までもを学び、彼を凌駕する滅魔士になる、という狂気の野望を抱く。その折、カズトモはこのリンフォンの都市伝説を聞きつけ、八方手を尽くして捜索を行うことで、閻婆事件の 5 年前に、某県某所の廃棄物最終処理場に埋もれていたリンフォンを発見した(第八話より)。リンフォンが地獄の門であるという噂が真実なら、これが地獄に向かう特急券になる、と彼は判断したためである。
カズトモの研究の結果、リンフォンは操るために相応の霊力を要求するが、それさえクリアできれば、地獄の門を本当に開くことができることを突き止めた。それを、偶然極めて高い霊力を持って生まれた自らの娘チヤに持たせれば、娘と共に生きたまま地獄に行ける、とカズトモは判断したのである。
ただ、カズトモは父親としての愛情もあり、同時にこのリンフォンに対し、娘のチヤが使える武器としての機能を持たせることを発想した。リンフォンの変形を、霊力を注ぎ込むことで自動的に行えるようにし、かつ「熊」「鷹」「魚」の彫像の形態から派生する、三つの武装形態への変形機能を追加したのである(第九話より)。
それが、のちに「『熊』の『爪』」「『鷹』の『弓』」「『魚』の『刀』」と呼ばれる、三つの形態である。
それが、のちに「『熊』の『爪』」「『鷹』の『弓』」「『魚』の『刀』」と呼ばれる、三つの形態である。
リンフォンは形態変化が進むにつれ、この世と地獄の境界線を薄れさせ、地獄の瘴気を現世に漏出させる機能がある(第十六話より)。これが、リンフォンの変形が進むことによって、亡者の唸り声が聞こえ、黒い煙が吹き出たりする原因である。
ただし、この地獄の瘴気は、同時に滅魔師の操る術の力の根源である。カズトモは、リンフォンから漏出する地獄の瘴気を、リンフォンの武装形態に転用する改造を施したことで、チヤは滅魔の術を編むことなく、犠牲者の魂を砕くことが可能である。
以下は、各武装形態の大まかな特徴である。
ただし、この地獄の瘴気は、同時に滅魔師の操る術の力の根源である。カズトモは、リンフォンから漏出する地獄の瘴気を、リンフォンの武装形態に転用する改造を施したことで、チヤは滅魔の術を編むことなく、犠牲者の魂を砕くことが可能である。
以下は、各武装形態の大まかな特徴である。
「『熊』の『爪』」
チヤちゃんはその真っ黒な球……じゃなくて、「セーニジューメンタイ」っていうのの表面をスッと撫でた。
そしたら、真っ黒なセーニジューメンタイが、カチャカチャと音を立てながら、ひとりでに変形していく。
「変形。『熊』――」
そうしたら、チヤちゃんの手の中では、真っ黒な熊の置物が完成していた。
「――の『爪』」
そして、熊の置物がまたカチャカチャと音を立てて、あっという間にその前足の二本が膨れ上がる。
最後に出来上がったのは、チヤちゃんの指先から肘までをすっぽり包めるくらいの大きさのある、真っ黒な二つのグローブだった。昨日の夕方、わたしがチヤちゃんと初めて会った時に着けていたものだ。
このグローブをはめたチヤちゃんの両手は、本来の何倍も太く見えて、本物の熊の爪みたい。
そしたら、真っ黒なセーニジューメンタイが、カチャカチャと音を立てながら、ひとりでに変形していく。
「変形。『熊』――」
そうしたら、チヤちゃんの手の中では、真っ黒な熊の置物が完成していた。
「――の『爪』」
そして、熊の置物がまたカチャカチャと音を立てて、あっという間にその前足の二本が膨れ上がる。
最後に出来上がったのは、チヤちゃんの指先から肘までをすっぽり包めるくらいの大きさのある、真っ黒な二つのグローブだった。昨日の夕方、わたしがチヤちゃんと初めて会った時に着けていたものだ。
このグローブをはめたチヤちゃんの両手は、本来の何倍も太く見えて、本物の熊の爪みたい。
リンフォンの第一の武装形態。チヤが両手にはめる、黒い熊の前足を模したグローブ。装着することによってチヤの腕力を増幅させ、地面を叩くことで木の上まで飛び上がり、ヴァンパイアと取っ組み合いを可能にするほどの力を与える。
この「『熊』の『爪』」では、妖魔を殴り、爪で引き裂き、握り潰して粉砕するなどの、力任せな格闘戦が可能となる。
この「『熊』の『爪』」では、妖魔を殴り、爪で引き裂き、握り潰して粉砕するなどの、力任せな格闘戦が可能となる。
「『鷹』の『弓』」
「変形! 『鷹』の――」
チヤちゃんのリンフォンが、ひとりでに動き出し、回り、出っぱり、へこんで、熊の置物から別の置物と化した。
それは、真っ黒な鷹の彫刻。けれども、リンフォンの変形はまだまだ終わらない。
広げられた鷹の翼が一気に伸び上がった。鷹の右と左の翼の端から端まで、一本の細い糸が渡される。
鷹の首は九十度曲がり、大口を開けた。口の中から舌が伸びて、矢をかけるための支えに代わる。
ここまで姿が変われば、この形が何なのか、もうわたしだって見間違えるはずがない。
「――『弓』ッ!!」
チヤちゃんのリンフォンは、「熊」の「爪」ではない別の姿、「鷹」の「弓」へと変わっていた。
チヤちゃんは、弓幹 へと変わった鷹の、その尾羽を引き抜いた。たちまちのうちにそれは、一本の矢へと変わる。
「よくも、わたしのパパを……ママを……きょうだいを!」
チヤちゃんは一気に「鷹」の「弓」につがえた矢を引き絞り、それを撃ち放つ。
チヤちゃんのリンフォンが、ひとりでに動き出し、回り、出っぱり、へこんで、熊の置物から別の置物と化した。
それは、真っ黒な鷹の彫刻。けれども、リンフォンの変形はまだまだ終わらない。
広げられた鷹の翼が一気に伸び上がった。鷹の右と左の翼の端から端まで、一本の細い糸が渡される。
鷹の首は九十度曲がり、大口を開けた。口の中から舌が伸びて、矢をかけるための支えに代わる。
ここまで姿が変われば、この形が何なのか、もうわたしだって見間違えるはずがない。
「――『弓』ッ!!」
チヤちゃんのリンフォンは、「熊」の「爪」ではない別の姿、「鷹」の「弓」へと変わっていた。
チヤちゃんは、
「よくも、わたしのパパを……ママを……きょうだいを!」
チヤちゃんは一気に「鷹」の「弓」につがえた矢を引き絞り、それを撃ち放つ。
リンフォンの第二の武装形態。鷹の彫像が変形し、黒い弓となる。リンフォンの武装形態のうち、唯一射撃戦が可能な形態。撃ち放つ矢は、鷹の尾羽を引き抜くことで補充が可能で、かつ連射も可能である。空を飛ぶ妖魔を相手にする際などに有効な形態である。また、この形態をとったリンフォンには、使用者の手先の器用さや集中力を向上させることができ、スナイパーライフルによる狙撃に匹敵するレベルの精密射撃が可能となる。
「『魚』の『刀』」
「変形――」
チヤの右手のリンフォンが、漆黒のもやのようなものを吐き出した。木組み細工か何かが動くかちゃかちゃという音を立てながら、リンフォンは正二十面体の姿を失う。
最初に組み上がったのは、熊の彫像。
次にできたのは、鷹の彫像。
そこで、変形は終わらない。
「――『魚』の――」
リンフォンから噴き出る漆黒のもやは、更にその濃さを増しながら姿が変わる。
鷹の翼が折りたたまれ、より長く胴体が伸び、現れたのは魚の彫像。
魚の彫像の鼻先が、やがて長く太く、そして鋭く伸びてゆく。
「――『刀』!」
変形が終わったとき、チヤの右手には一振りの黒い刀が握られていた。
魚の胴体の部分を柄に、円状に広がった胸びれを鍔に、伸びた吻 を片刃の刀身に変形させた異形の刀を、チヤは閻婆に向ける。
チヤの右手のリンフォンが、漆黒のもやのようなものを吐き出した。木組み細工か何かが動くかちゃかちゃという音を立てながら、リンフォンは正二十面体の姿を失う。
最初に組み上がったのは、熊の彫像。
次にできたのは、鷹の彫像。
そこで、変形は終わらない。
「――『魚』の――」
リンフォンから噴き出る漆黒のもやは、更にその濃さを増しながら姿が変わる。
鷹の翼が折りたたまれ、より長く胴体が伸び、現れたのは魚の彫像。
魚の彫像の鼻先が、やがて長く太く、そして鋭く伸びてゆく。
「――『刀』!」
変形が終わったとき、チヤの右手には一振りの黒い刀が握られていた。
魚の胴体の部分を柄に、円状に広がった胸びれを鍔に、伸びた
リンフォンの第三の武装形態にして、最高位の武器形態。伸びた魚の吻 が刀身となっている、独特なデザインの刀となる。純粋な攻撃力であれば、三つの武装形態の内で最も高いが、その分この形態の維持には大量の霊力を消耗する。チヤは閻婆事件の際、リンフォン「『魚』の『刀』」と「布都御霊剣 ・人為 」を二刀流し、同時に構えるという、並の滅魔師の霊力では困難な離れ業を披露して見せた。しかし、チヤほどの膨大な霊力をもってしても、これらの二刀流を長時間維持することはできず、やむを得ずリンフォン「『魚』の『刀』」は途中から利用を諦めている。
この形態をとったリンフォンは、装備者の瞬発力・俊敏性を飛躍的に上昇させる効果もある。この形態のリンフォンを装備したチヤは、妖魔である氷狐 の動体視力をもってしても捉えられないほどの高速移動および、それを利用した神速の斬撃を繰り出すことも可能。
なお、リンフォンは「魚」の彫像に続く、第四の形態にして最終形態の「地獄の『門』」への変形も可能である。ただし、この「地獄の『門』」への変形を行うためには、チヤがある程度の時間をかけて霊力を練る必要がある模様。また、さすがにいつでも「地獄の『門』」に変形できてしまえるのは都合が悪い、とカズトモも判断したようで、霊力によって生成される、言霊の鍵「言霊錠 」で、普段はこの形態への変形機能は封印されている(第二十話より)。