それはまるで紅き魔女のように
死。
それは、前触れも無く唐突に訪れる。
それは、前触れも無く唐突に訪れる。
目の前で、チェスターが死んだ。
旅をしていた頃は、こいつだけは絶対に死にそうに無いと思っていたのに。
思い返せば、あの時、たった一人の親友リアが死んだ時も突然だった。
旅をしていた頃は、こいつだけは絶対に死にそうに無いと思っていたのに。
思い返せば、あの時、たった一人の親友リアが死んだ時も突然だった。
(ただでさえ生きられる時間が違うのに、何でこんなに早くあたしを置いて行ってしまうの?)
悲しみこそしても、普段ならそんな事はそこまで気にも留めない問題だっただろう。
どれだけ頑張っても、同じ長さを生きられないのは分かっているから。
どれだけ頑張っても、同じ長さを生きられないのは分かっているから。
――だが、今は違う。
この状況下では、死は誰にでも訪れる可能性はある。
ハーフエルフであるが故に、人間よりも遥かに長寿である彼女も例外では無い。
これは命の奪い合い。いくら寿命が長かろうが、不死では無い限り関係無いのだから。
そんな事は分かっていた。
ハーフエルフであるが故に、人間よりも遥かに長寿である彼女も例外では無い。
これは命の奪い合い。いくら寿命が長かろうが、不死では無い限り関係無いのだから。
そんな事は分かっていた。
…けれど、目の前で起こった死を受け入れたくは無かった。
復讐、というのも考えたが、肝心なその相手も動かぬ骸と化している。
残された道は二つ。
現実は残酷だった。
復讐、というのも考えたが、肝心なその相手も動かぬ骸と化している。
残された道は二つ。
現実は残酷だった。
考えている内に思考が混乱してきた為、気分を変えようと、薄暗くなって来た風景を見回す。
改めて見ると、酷い有様だった。
変色しつつある、地面にこびりついた血。殆どが使い物にならなくなった矢。チェスターと交戦し、相討ちになったのだと思われる、もう一つの死体。
そして、元は刃が銀色だったであろう、しかし今は血溜まりという池に沈み、赤く濡れたナイフ。
変色しつつある、地面にこびりついた血。殆どが使い物にならなくなった矢。チェスターと交戦し、相討ちになったのだと思われる、もう一つの死体。
そして、元は刃が銀色だったであろう、しかし今は血溜まりという池に沈み、赤く濡れたナイフ。
闇に飲み込まれてしまいそうなのに、妙にそれが鮮明に映った。
アーチェは吸い込まれる様にナイフを見つめていた。
やがておもむろに立ち上がると、それを拾い上げようと手を伸ばす。
手当ての時、既にあらゆる所に血が付着しているので、今更汚れようと気にはしなかった。
アーチェは吸い込まれる様にナイフを見つめていた。
やがておもむろに立ち上がると、それを拾い上げようと手を伸ばす。
手当ての時、既にあらゆる所に血が付着しているので、今更汚れようと気にはしなかった。
しかし、触れた瞬間、心臓が跳ねた。
拾ってどうする?
もしこれを手にしてしまうと、自分という存在が変わってしまう…そんな感情に捕らわれた。
それでも…。
拾ってどうする?
もしこれを手にしてしまうと、自分という存在が変わってしまう…そんな感情に捕らわれた。
それでも…。
答えは――決まっている。
「あたしがみんなの分まで生きれば良いんだもんね、うん」
それは、他人を手に掛けるのも厭わないという事を意味していた。
歪んだ考えだと知りつつも、彼女は躊躇わなかった。
歪んだ考えだと知りつつも、彼女は躊躇わなかった。
散乱していた荷物を纏め終えてこの場から去ろうとした時、ふとアーチェの視界に入った物が存在した。
…弓だった。
魔術師である彼女に弓を扱う技術は皆無だ。持って行っても役に立つとは思えない。
そもそも、矢がまともに使える程無事では無い。
僅かながらの思案の末、彼女はそれを拾った。
…弓だった。
魔術師である彼女に弓を扱う技術は皆無だ。持って行っても役に立つとは思えない。
そもそも、矢がまともに使える程無事では無い。
僅かながらの思案の末、彼女はそれを拾った。
放送が流れ仲間の名が聞こえたが、彼女はもう、悲しみはしなかった。
【アーチェ
状態:身体は健康 所持品:BCロッド レジストリング ダークボトル(残り2個)
スペクタクルズ(1個) サバイバルナイフ 木の弓 毒(液体)
第一行動方針:ゲームに乗る
現在地:C5の橋付近】
状態:身体は健康 所持品:BCロッド レジストリング ダークボトル(残り2個)
スペクタクルズ(1個) サバイバルナイフ 木の弓 毒(液体)
第一行動方針:ゲームに乗る
現在地:C5の橋付近】