悪夢は近い
マリアンはあくびをかみ殺した。
『大丈夫?』
腕の中のアトワイトが、心配そうに訪ねる。
「ふぁ、はい。大丈夫です」
そう言う彼女の言葉はあまり大丈夫とは思えなかった。
アトワイトはふぅ、とため息(?)をつき、
『仕方ないわね。普通なら一般労働者はすっかり眠ってる時間だもの』
マリアンは黙って剣を見つめる。そしてまたアトワイトが声をかける。
『ゼロスを起こして、見張りを交代してもらう?』
マリアンはふるふると頭を振り、
「そんな、大丈夫です。ゼロスさんの方が疲れてるんだから、休ませてあげないと」
『でも、あなたもがんばったわ。さっき術を使って疲れてるでしょう?』
「それでも・・・」
知らず語尾に熱がこもる。表情にも力が入る。
『・・・仕方がないわね、それじゃ、もう少しこうしていましょう』
「ありがとう、アトワイト」
マリアンは笑んで、剣を見つめた。
『大丈夫?』
腕の中のアトワイトが、心配そうに訪ねる。
「ふぁ、はい。大丈夫です」
そう言う彼女の言葉はあまり大丈夫とは思えなかった。
アトワイトはふぅ、とため息(?)をつき、
『仕方ないわね。普通なら一般労働者はすっかり眠ってる時間だもの』
マリアンは黙って剣を見つめる。そしてまたアトワイトが声をかける。
『ゼロスを起こして、見張りを交代してもらう?』
マリアンはふるふると頭を振り、
「そんな、大丈夫です。ゼロスさんの方が疲れてるんだから、休ませてあげないと」
『でも、あなたもがんばったわ。さっき術を使って疲れてるでしょう?』
「それでも・・・」
知らず語尾に熱がこもる。表情にも力が入る。
『・・・仕方がないわね、それじゃ、もう少しこうしていましょう』
「ありがとう、アトワイト」
マリアンは笑んで、剣を見つめた。
それからまたしばらくしてのことだった。
『マリアン』
これまでより更に厳格な雰囲気を持って、アトワイトが話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
『適当に相槌を打って』
「え、は、はい」
『前に言った作戦のことだけど・・・』
マリアンははっと息を呑んだ。
彼女がゼロスと出会うまでにアトワイトから聞かされた、ミクトランに対抗する為の作戦。
その方法を、アトワイトは一つの可能性があると提起した。
ゼロスと出会ってからうやむやになっていたが、
この状況で話をしてしまった方がいいと思ったか、アトワイトは語り始めたのだった。
「そうですね、平気です」
アトワイトが言った通り、
首輪の盗聴を避けて(支給品の袋に入れられる前に気付ていたらしい)マリアンは適当な相槌を打つ。
『前に言ったと思うけど、私とあなた、それにミクトランは同じ世界の人なの』
「知ってます、Eの7ですね」
『ミクトランは恐らく、私達、ソーディアンの力を応用して今回の事態を引き起こしたんじゃないかと思うの』
「そうなんですか?意外ですね、アトワイトさんがそんなことで悩むなんて」
『彼はきっと最強のソーディアン・ベルセリオスを持っている。
それだけじゃなくて、レンズの力、いいえ、あらゆる世界からの力を集めているのだと思う』
「すごいですね」
『それでも、今回のことを行うにあたって主要たる力は彼、
それに私達が居た世界の力をベースにしているはず・・・』
「つまり・・・どういうことですか?ベルクラントを撃つと」
『私達、ソーディアンの力をもってすれば、或いは・・・』
「安眠できますね」
『この会場には、他にも複数のソーディアンの反応がある。
もし参加者の中に居るマスターに合わせてソーディアンが入っているとしたら、恐らく三本。
マリアン、確かにスタン・エルロン、ルーティ・カトレット、リオン・マグナスの三人が名簿にあったわね?』
「はい、にんじんとピーマンが嫌いでした」
『それ以外に、私が知るマスターは居なかった・・・
つまりこの会場には、ディムロス、私、そしてシャルティエがあるはず』
「ご主人様は紅茶が好きでした」
『三本・・・三本のソーディアンが集まれば、或いは、ミクトランに対抗しうる力になるかもしれない・・・』
「でも、どこにあるんでしょうか、女の幸せって」
『・・・正直、さっきから何かを感じているの、私。もしかしたら、近くに・・・』
「それじゃあ・・・」
『駄目よ。探しにいこうなんて。今は暗いわ。
もう少ししたら日が昇ってくるから、それからゼロスと一緒に探しましょう。
それから、今言ったことを、ゼロスが起きたら説明しないといけないわね』
「──分かりました」
『マリアン』
これまでより更に厳格な雰囲気を持って、アトワイトが話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
『適当に相槌を打って』
「え、は、はい」
『前に言った作戦のことだけど・・・』
マリアンははっと息を呑んだ。
彼女がゼロスと出会うまでにアトワイトから聞かされた、ミクトランに対抗する為の作戦。
その方法を、アトワイトは一つの可能性があると提起した。
ゼロスと出会ってからうやむやになっていたが、
この状況で話をしてしまった方がいいと思ったか、アトワイトは語り始めたのだった。
「そうですね、平気です」
アトワイトが言った通り、
首輪の盗聴を避けて(支給品の袋に入れられる前に気付ていたらしい)マリアンは適当な相槌を打つ。
『前に言ったと思うけど、私とあなた、それにミクトランは同じ世界の人なの』
「知ってます、Eの7ですね」
『ミクトランは恐らく、私達、ソーディアンの力を応用して今回の事態を引き起こしたんじゃないかと思うの』
「そうなんですか?意外ですね、アトワイトさんがそんなことで悩むなんて」
『彼はきっと最強のソーディアン・ベルセリオスを持っている。
それだけじゃなくて、レンズの力、いいえ、あらゆる世界からの力を集めているのだと思う』
「すごいですね」
『それでも、今回のことを行うにあたって主要たる力は彼、
それに私達が居た世界の力をベースにしているはず・・・』
「つまり・・・どういうことですか?ベルクラントを撃つと」
『私達、ソーディアンの力をもってすれば、或いは・・・』
「安眠できますね」
『この会場には、他にも複数のソーディアンの反応がある。
もし参加者の中に居るマスターに合わせてソーディアンが入っているとしたら、恐らく三本。
マリアン、確かにスタン・エルロン、ルーティ・カトレット、リオン・マグナスの三人が名簿にあったわね?』
「はい、にんじんとピーマンが嫌いでした」
『それ以外に、私が知るマスターは居なかった・・・
つまりこの会場には、ディムロス、私、そしてシャルティエがあるはず』
「ご主人様は紅茶が好きでした」
『三本・・・三本のソーディアンが集まれば、或いは、ミクトランに対抗しうる力になるかもしれない・・・』
「でも、どこにあるんでしょうか、女の幸せって」
『・・・正直、さっきから何かを感じているの、私。もしかしたら、近くに・・・』
「それじゃあ・・・」
『駄目よ。探しにいこうなんて。今は暗いわ。
もう少ししたら日が昇ってくるから、それからゼロスと一緒に探しましょう。
それから、今言ったことを、ゼロスが起きたら説明しないといけないわね』
「──分かりました」
マリアンは立ち上がり、ゼロスの近くに寄った。
相変わらず目の前の男は、熟睡している。
ゼロスは、自分達と出会う前に、戦闘があったと言っていた。
もうこの人は辛い思いをしたんだ、そう思うと迂闊に眠りから起こす気も無くなった。
『いいの?』
「はい、もう少し起きていようと思います」
そうしてまた彼女は座り込んだ。
相変わらず目の前の男は、熟睡している。
ゼロスは、自分達と出会う前に、戦闘があったと言っていた。
もうこの人は辛い思いをしたんだ、そう思うと迂闊に眠りから起こす気も無くなった。
『いいの?』
「はい、もう少し起きていようと思います」
そうしてまた彼女は座り込んだ。
彼女達が居る海岸の、北。
「これはこれは、いいことを聞いてしまいました」
ゼロスとマリアン、アトワイトから遥かに離れた場所に、一人の男が立っていた。
かなりの距離があるにも関わらず、彼はマリアン達の姿を確認し、会話の一部始終を聞いていた。
この暗闇で、常人ならとても判別は不可能と思われるが、忍者として特別な身体能力を持つ彼にとって、この程度のことは朝飯前だった。
「ソーディアンが三つ・・・」
歪んだ口元を更に大きく歪ませ、ザックから一本の剣を取り出した。
それは大剣だった。赤い柄に、両刃の刀身。鍔元には、焔を模った印が刻されている。
そしてそこには、紅い血痕がいくらか付着していた。
これまで彼が斬った二人のものだった。
更に彼が先程のマリアンとアトワイトの会話を完全に聞けたのも、彼が新たなマスターとなっているから・・・
ゼロスとマリアン、アトワイトから遥かに離れた場所に、一人の男が立っていた。
かなりの距離があるにも関わらず、彼はマリアン達の姿を確認し、会話の一部始終を聞いていた。
この暗闇で、常人ならとても判別は不可能と思われるが、忍者として特別な身体能力を持つ彼にとって、この程度のことは朝飯前だった。
「ソーディアンが三つ・・・」
歪んだ口元を更に大きく歪ませ、ザックから一本の剣を取り出した。
それは大剣だった。赤い柄に、両刃の刀身。鍔元には、焔を模った印が刻されている。
そしてそこには、紅い血痕がいくらか付着していた。
これまで彼が斬った二人のものだった。
更に彼が先程のマリアンとアトワイトの会話を完全に聞けたのも、彼が新たなマスターとなっているから・・・
ソロンが握る大剣は、ソーディアン・ディムロスだった。
「ふふふ、私は運がいい・・・」
手にしたディムロスに向かって語りかける。
しかしディムロスは返事をよこさない。ずっと黙っていた。
彼が立つ位置は、たとえディムロスが大声をあげてもアトワイトには届かない距離だった。
手にしたディムロスに向かって語りかける。
しかしディムロスは返事をよこさない。ずっと黙っていた。
彼が立つ位置は、たとえディムロスが大声をあげてもアトワイトには届かない距離だった。
「ソーディアン・ディムロス、アトワイト、シャルティエ・・・そしてマリアン・フュステル、リオン・マグナス・・・」
ソロンは黒髪の少年剣士に見覚えが会った。
あの時、ジェイと再会する前に(ジェイとは時間を決めて落ち合う約束だった)、山岳部付近で見た、少年の姿。
そして彼が握っていたのは、他ならぬソーディアン・シャルティエだった。
その時はソロン自身が持つディムロスとどこか似ているぐらいにしか思わなかったが、
たった今マリアン達の会話を聞いて、疑惑は確信に変わった。
ソロンは黒髪の少年剣士に見覚えが会った。
あの時、ジェイと再会する前に(ジェイとは時間を決めて落ち合う約束だった)、山岳部付近で見た、少年の姿。
そして彼が握っていたのは、他ならぬソーディアン・シャルティエだった。
その時はソロン自身が持つディムロスとどこか似ているぐらいにしか思わなかったが、
たった今マリアン達の会話を聞いて、疑惑は確信に変わった。
「あははは・・・これは、久しぶりに面白いものが見れそうだ・・・はははは・・・あははは・・・あっはははは・・・!!」
あまり大声を出すと気付かれる恐れもあるので、なんとか笑いを押さえ込む。
しかし彼の激情は動き出し、止まる術を持たなかった。
あまり大声を出すと気付かれる恐れもあるので、なんとか笑いを押さえ込む。
しかし彼の激情は動き出し、止まる術を持たなかった。
【マリアン 生存確認】
所持品:ソーディアン・アトワイト スペクタクルズ×14
現在位置:D8海岸地帯
状態:軽度の疲労、TP微消耗
第一行動方針:ゼロスの回復を待って共に行動
第二行動方針:アトワイトの提案した作戦を実行する
所持品:ソーディアン・アトワイト スペクタクルズ×14
現在位置:D8海岸地帯
状態:軽度の疲労、TP微消耗
第一行動方針:ゼロスの回復を待って共に行動
第二行動方針:アトワイトの提案した作戦を実行する
【ゼロス 生存確認】
所持品:壊れたけん玉 ナイツサーベル ???? ????
現在位置:D8海岸地帯
状態:切創 (胸の傷はまだ有り、肩は回復)、ほぼTP枯渇(睡眠により回復中)、睡眠
第一行動方針:寝る
第二行動方針:マリアンと共に行動
所持品:壊れたけん玉 ナイツサーベル ???? ????
現在位置:D8海岸地帯
状態:切創 (胸の傷はまだ有り、肩は回復)、ほぼTP枯渇(睡眠により回復中)、睡眠
第一行動方針:寝る
第二行動方針:マリアンと共に行動
【ソロン 生存確認】
所持品:ソーディアン・ディムロス クナイ(残り十枚)
状態:無傷 高揚
第一行動方針:周りをかき乱し、傍観して楽しむ
第二行動方針:ジェイの監視
現在位置:C8海岸地帯
所持品:ソーディアン・ディムロス クナイ(残り十枚)
状態:無傷 高揚
第一行動方針:周りをかき乱し、傍観して楽しむ
第二行動方針:ジェイの監視
現在位置:C8海岸地帯