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  • 終焉への砲火

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

終焉への砲火

最終更新:2019年10月13日 18:26

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終焉への砲火


抜刀。
ロイド・アーヴィングは木刀二振りを構える。アーヴィング流、基本の構え。
ミズホの里に伝わるとされる二刀流は、利き手に太刀を、逆手に脇差を構えるのが正統とされている。
しかしながら、ロイドの握る得物に、片手は受け専門、もう片手は攻撃専門、などという区別は存在しない。
時には右手が盾に、時には左手が盾に。変幻自在、無流無形。
対するは、瞳に濁った光を宿す金髪の剣士。時の魔剣を手にした、あの殺人鬼。
次元斬。
殺人剣士自身の身長の3倍を優に越す、超長大な蒼刃が振り下ろされる。時空の波動が、空を揺らす。
俗に、剣と槍の勝負は間合いの勝負と言われる。剣が槍に勝つには、槍の間合いの内側に入るしかない、と。
だがこの剣は、槍の間合いを持った剣。
それも対騎兵槍(パイク)と呼ばれる、本来大規模な会戦でしか使われないような、長大すぎる槍ほどの。
すなわち、「奴」はこの剣のみで、とてつもない間合いを取ることが出来るのだ。
戦場における必勝の定石の一つ。相手の攻撃の届かない遠距離からの、一方的攻撃を可能とする、恐るべき得物。
けれども、ロイドはそれを、わずかなサイドステップでかわす。
首元に巻いた白い緒にすら、かすらない。
ロイドは、この技の型は既に見切っている。
この攻撃の死角は横っ腹。一度技の型に入れば、攻撃できる範囲は剣士の正面のみ。
すなわち若干軸をずらせば、それだけでまず斬撃は喰らわないのだ。
サイドステップから、ロイドは即座に一閃を見舞う。放つは瞬迅剣。
伴う踏み込みで、対騎兵槍の間合いの内側に滑り込む。木刀の切っ先が、殺人剣士の脇腹を強襲!
ロイドは虚空を、貫いた。
切っ先を受ける直前、剣士は霞のようにその姿を消した。
だが、ロイドは慌てない。
瞬迅剣の後のわずかな隙…それを「待ち」の時間に利用し、基本の構えに戻った瞬間即座に地面を蹴る。
今度は、バックステップ。
判瞬遅れて、ロイドがもといた所に時の魔剣が突き立つ。
空間翔転移。時の魔剣の力により空間を転移し、上空から強襲をかけるトリッキーな技。
ロイドはそれを、バックステップのみでかわしたのだ。
この技は、転移を終えた瞬間に回避運動を始めれば、まず当たらない。
そしてありがたいことには、この技が発動してから転移するまでの数瞬、完璧に相手は無防備になる。
今回は大事をとってその数瞬の隙を狙いはしなかったが、慣れればそこにつけ込む。
そして第二の隙。着地の瞬間!
ロイドはそこに狙いを定める。放つは、剛・魔神剣! 闘気をまとった剣風が、殺人剣士を強襲!
だがこれで勝った、などと油断はしない。昨晩はその油断が、慢心が、悲劇を生んだのだから。
更に連撃。剛・魔神剣で前方に傾いた重心を立て直すことなく、傾く勢いのまま跳躍。飛翔。
ロイドは剣の切っ先を地上の剣士に向け、空中からの猛撃。
飛天翔駆……改め、鳳凰天駆。叫ぶロイドは、灼熱の衝撃波をまといながら、空襲をかける。
にや。
刹那、ロイドは殺人剣士の薄い、酷薄な笑みを、自身の生み出した衝撃波のカーテンの向こうから見た。
ぞくり、とロイドの胃に不気味な感覚が広がる。まるで、氷の塊を腹に詰め込まれたような寒気。
金髪の時空剣士はそして、自らの周囲に青の渦を巻き起こす。
虚空蒼破斬。時空エネルギーを渦状に展開し、近寄る敵をその渦で絡めとる。
ロイドはすでに、鳳凰天駆の勢いのまま、その渦の中に飛び込む他なかった。
青い光が、ロイドの全身をなます切りにする。絶叫と共に、ロイドは血塊を吐き出した。
撃墜。赤い鳳凰は、銀の騎士の投網に絡め取られ、高貴なる姿を地に堕とす羽目になる。
更に、追撃。
虚空蒼破斬により巻き起こされる時空の渦。そしてそれに続く、時空のエネルギー波。
蒼白の津波は、ロイドの墜落地点を着実に狙っていた。今からでは、受け身を取ることさえかなわない。
再度、空を舞うロイド。今度は自らが望んで空へと旅立ったわけではない。殺人剣士に、打ち上げられた。
霞みかけたロイドの目に映るは、ただ晴れた空。
そして、そこに突如現れた蒼の渦。
再度、殺人剣士は空間翔転移を放つ。蒼の渦は殺人剣士を吐き出し、そしてロイドの下に。
何と彼は、余裕綽々の表情で、宙を舞っているロイドの上に「乗った」。
空中でロイドの腹の上に立った彼は、そして。
ロイドの弱さをあざけるように。
己の強さに酔ったように。
歓喜と快楽に溺れた下衆な笑みを浮かべたまま。
時の魔剣を振るう。


突如、ロイドの視点がめまぐるしく変わり始める。
空。地面。殺人剣士。そして。
自分の首の断面。滝のように、血を吐き出している。
ああ、自分は首を切り落とされたのか。
ロイドはそう理解するのと、意識が闇に落ちるのと。
どちらが先に来たのかは、永遠に知ることはなかった。

******

我が友リッド・ハーシェルよ、我と共にあれ。
リフィル・セイジに教わったシルヴァラントの公用語で、柄にそう彫り込んだロイド。
その表情からは、ただ忸怩たる思いが滲んでいた。
この木刀を彫りながら、右手の痛みが耐えがたくなるごとに一旦作業を中断し、その合間に瞑目。
昨晩見たあの殺人剣士、クレス・アルベインの動きを思い出し、心の中でクレスと打ち合う。
クラトスに教えられた、「イメージトレーニング」と言われる修行法を試みていたのだ。
クレスの動きを何度も咀嚼し、イメージトレーニングを続け、そして右手の痛みが引いたらまた彫刻を続ける。
それを、既に十数回は繰り返した。
それでも、結果は全て黒星。
(俺じゃあ……あいつには、勝てないってことなのか?)
ロイドの心の中の「クレス」は、まさに絶望的なまでの強さを、相も変わらず見せ付けてくれている。
イメージトレーニングの中では、相手の動きを自分にとって都合良く、過小評価しがちだから気を付けろと父は言った。
その分を差し引いても、クレスの強さは絶対不動。
どれほど自分にとって都合のいい動きを想定しても、勝ちへの糸口すら見えない。
確かにキールは、時空剣技を見切っているお前なら、クレスと戦えるとは言ってくれた。
(けれども……!)
ただそれだけのこと。同じ土俵に上がれるだけであって、それは勝てる可能性があることと同義ではない。
イメージトレーニングの中のクレスは、時空剣技のみで攻めてきた。
それは、クレスがロイドの実力を知っているからこそ。
クレスの実力なら、ロイドなど片手間であしらえることを知っていてこそ。
時空剣技を見切っただけでは、勝てない。
時空剣技の太刀筋をたとえ見切ったとしても、体が反応できないほどの超速の一閃が来れば、防ぐことは出来ない。
時空剣技の太刀筋をたとえ見切ったとしても、防御の構えをそれ以前の連撃で崩されれば、おしまい。
剣筋が分かっていながらも、それでも攻撃を防ぎきれず憤死する。
そんなやりきれない死を受け取る可能性も、今だ十分に存在する。
更にロイドを絶望のどん底に叩き落す事実はこれだけではない。
クレスは、それでも本気ですらないのだ。
彼にはまだ、一子相伝の剣技……ダオスの言うところの、アルベイン流剣術がある。
時空剣技で力押しをされても、見切った技で攻めて来られても、今だロイドの方が遥かに分が悪いのに、である。
(『化け物』、なんて生易しいものじゃないよな……)
ロイドは、世界再生の旅で剣聖なら1人下した。
己が父、クラトス・アウリオン。
そして、1人と1体の化け物も下した。
妄執の剣鬼、ソードダンサー。
赤髪の魔将、アビシオン。
確かに、仲間の力添えがなかったなら、こいつらに勝つことは出来なかっただろう。
それでも、ロイドは確かに下したのだ。超一流の剣士でなければ、太刀打つこと能わぬ化け物どもを。
ロイドの剣は、よって既にほとんど全ての剣士から、超一流の評価を下されるに足るほどの境地にある。
そのロイドの剣術を、クレスは五分の実力も見せず、児戯のごとくにあしらった。
(…ちきしょう……俺の剣は、所詮遊びの剣だって言うつもりかよ、あの野郎は!?)
右手の痛みが、ロイドの怒りを刺激する。無力感と怒りで、肩が自然とわなないて来る。
確かに、剣客と呼ばれる人種は、己の人生全てを剣の練磨に捧げる。
友との語らい、異性との愛の交歓、静穏で平和な日々。それら全てを犠牲に捧げて、その命を燃やし尽くす。
ロイドは、そこまでを剣に捧げ17年の命を生きてきたわけではない。
どちらかと言えば、ロイドにとって剣とは、幼少時においては遊びの延長…
そして世界再生の旅に出てからは、生き残り、道を切り開くための手段と言った意味合いが強かった。
そんな心構えで鍛えた剣が、人生これ剣の道と魂に刻み込んだ剣客に、かなわぬのもまた道理と言えばその通りか。
けれども。
けれども。


(……あいつは、クルシスの輝石じゃなくて、剣でも握って生まれてきたのかも知れない。
赤ん坊の頃は、剣を杖代わりにして立つ練習をしていたのかも知れない。
寝る時以外全ての時間を、剣の練習に当てていたのかも知れない。
夢の中でさえ、剣の型の修練をしていたのかも知れない。
だからと言って…! だからと言って!!)
大人しく負けることを受け入れるなど、出来ようものか!
ロイドは、電撃のように痛みが流れる右手を、しかし強く握り締める。
無論、キールはヴェイグやグリッドが戻り次第、即座に移動を開始し、安全なところに退避するとは言っていた。
マーダーの同士討ちや弱体化を狙い、ひたすら時間を稼ぐと言っていた。
だが、ロイドの本能は、その方策に安全の匂いを嗅ぎ取ってはいない。
もしマーダーが、ミクトランに直接の教唆を受けていたとしたら?
キールによれば、首輪には一同の言葉を盗聴する機能がついているらしいが、だとしたら作戦はミクトランに筒抜け。
逃げる場所さえも丸分かりなのだとしたら、どれほど逃げ回ろうと、マーダー達はピンポイントで自分達を襲う。
もとよりお人好しのロイドだが、世界再生の旅を通じて、およそ悪党と呼ばれる人種には一通り触れてきた。
そしてミクトランは、公正明大を口にしておきながら、いくらでもイカサマをやれる立場にいる。
イカサマをしているかもしれないという予想くらい、ロイドにだって立てることは出来る。
ミクトランがマーダーに教唆している可能性だって、否定は出来ない。むしろ、否定材料が見つからない。
よしんばミクトランがそんな真似をしていなかったにしても。
ロイドは恐らく、クレスといつか必ず、再度対峙するであろうという予感が、胸をちくちくと刺し続けている。
時の魔剣、エターナルソードがクレスの手にある限り。
キールが提唱した、この異空間の破砕という手は、リッド亡き今、既に使えない。
この空間を破砕するためには、極光術同士のフリンジ級のエネルギーが不可欠とキール自身言っていた。
ならば、残された手段はこれしかない。
(時の魔剣の力で、時空を越える以外、もう手はない…!)
エターナルソードの力で、この「バトル・ロワイアル」が起こった2日前以前に時間を遡る。
そして、「バトル・ロワイアル」への準備を進めるミクトランを、そこで殺す。
すなわち、この「バトル・ロワイアル」という惨劇そのものを、
ミクトランを殺し最初から起こらなかったことにしてしまうのだ。
時空剣士には本来、最大の禁忌とされていた歴史の改変。
極光術のフリンジなき今、それ以外に手はない。
このままミクトランの魔手の上で、じわじわと握り潰され、緩慢かつ確実な死を迎えるという運命を変えるためには。
(……けれども、それをオリジンが許してくれるか…?)
確かに、この手段は決して己の立てた誓いとは矛盾しない。
誰かに犠牲を強いることで成り立つ世界を正そうと試みた、あの日の自身の想いとは。
それでもロイドは、師であるリフィル・セイジの淡い期待……
過去の世界で歴史を改変し、実母と生き別れた過去をなくしたら、という提案を、時空剣士としての責任の下、断った。
時間を越えるという万能の…全能にも近い力を行使しうる立場にあった者としての責任ゆえに。
(……もし、そんな風にして犠牲を強いる世界を無くそうとしたなら……!)
言うまでもない。
シルヴァラントとテセアラ。
世界創世のその時から、二界に生きた、そして生きているあらゆる人の不幸を取り除かねばならなくなる。
エクスフィアの力で寿命を凍結し、人として生きる時間を捨てれば、出来なくはない相談だろう。
定命の存在にすべからくかけられた、寿命という名の枷を外し、時の大河を転々としながら無限に近い時を生きれば。
だが。
(そんな事をしたら、結局俺のやってることはミトスと同じになっちまう!)
所詮そんな真似で不幸を取り除くなど、突き詰めて言えば恣意的な人々の支配に過ぎない。
その人にとって何が不幸で何が幸福か、本当のところは本人にしか分からない。時には、本人にすら分からない。
それをロイド・アーヴィングという1人の人間の独断で決めてしまうのだ。
まさに、他者に己の意志を強制する行為。これを人は「支配」という。
宗教を使うか、はたまた時を渡る力で因果律を捻じ曲げるか、違いはその手段のみに過ぎない。
そして、もう一つ。時の魔剣の力を自ら封じるべき理由。


歴史は、時は、さながら極めて多くの…
それこそシルヴァラントとテセアラに生きる全ての人が、協力して織り上げる極めて巨大な織物のようなもの。
織物に通す一本の糸を違えただけで、そこから先全てを狂わせてしまう。
これを理解するには、小難しい理屈など要らない。
(もし俺が、ジーニアスとリフィル先生の母さんが……ヴァージニアさんがエルフ達から迫害された際、
先手を打ってエグザイアに避難させるか、それとも別の安息の地を示してあげるか……
確かにそうすれば、ジーニアスと先生は、ヴァージニアさん達と幸せに暮らせていけたかも知れない。
けれども、そんな事をしたら……!)
ジーニアスとリフィルは、ヴァージニアの手により、テセアラの異界の門を潜ることもなかった。
シルヴァラントに来ることもなかった。
イセリア村に流れてくることもなかった。
(そして、俺も大切な親友を、それから大切な先生を得ることも出来なかった。
ひょっとしたら、俺1人でコレット達の後を追ってる時に、モンスターやレネゲイドにやられていたかも知れない。
そもそも、世界再生の旅になんて出ることもなかったかも知れない)
幸いにもこの島に呼ばれることのなかった己の師と、そしてもう二度と戻らぬ友。
2人がヴァージニアの元で生きていた方が、確かにある意味では幸せかも知れなかっただろう。
けれども、だからと言って、2人は世界再生の旅の中で得た仲間を、経験を、数え切れぬ思い出を。
全てを振り捨ててまで、実母と生きる幸せを願うだろうか。願っていただろうか。
そこまで思考して、ロイドはかぶりを振った。
(俺は……絶対にそんなのは嫌だ!)
ロイドは人生をやり直せるとしても、父と母と、幸せに暮らしていた方を望みはしない。
少なくとも、積極的には。
苦い思い出も、胸が潰れそうなほど悲しい思い出も、確かにある。
それでも、仲間との絆を、大きく見開かれた目で見た世界の見識を。
そして成し遂げた、真の世界再生という大いなる勝利を。
それらを一つ残らず犠牲にしなければならないなら、両親との平穏無事な生活を望みはしない。
父は、己の腕の中で生きている。
見よう見まねで盗み取った剣技として。
母は、己の腕の中で生きている。
左手に輝く、エクスフィアとして。
これ以上、何を望もうというのか。
(それでも……もしオリジンが、この俺に時空を越える力を与えてくれるとすれば……!)
時空剣士の直感で、ロイドはその例外を、何となく感じる。
すなわち、その織り上げられた歴史を乱れ、それをあるべき流れに変える時のみ。
噛み砕いて言えば、ミクトランの方が先んじて、時空の力によりこの島を創り上げた事で、
あるべき歴史を乱していた場合のみ。
もしそうであれば、オリジンはその歴史の乱れを正すときに限り、時空を越えることを許すだろう。
すなわち、歴史の乱れの元凶であるミクトランを排除する時にのみ。
そして、オリジンがそれを許す確率は高いだろう。ロイドは推測する。
この島に同時に時空剣士を3名呼び寄せたという事実が、その推測の根拠。
もしミクトランが一切の時空の流れを乱さずしてこの「バトル・ロワイアル」を企てたというのなら、
魔剣に秘められた時空の力など恐るに足らず。
むしろ、奴のような悪党なら、最後の最後まで魔剣という希望をちらつかせておいて、そして絶望の淵に叩き落す。
それを楽しむために、魔剣をあだ花の希望として放り込むくらいやって見せるだろう。
何せ、オリジンの力によっては害を受けないという、磐石の保証があるのだから。
だが、実際には時空剣士を3名呼び出し、この島を契約の破綻した特異点として仕上げた。
この措置が、ミクトランの弱点を臭わせる手がかりの一つとなる。
ミクトランはよって、恐らくはあるべき歴史の流れを狂わせて、この「バトル・ロワイアル」を開催した可能性は高い。
すなわち、オリジンの力の代行者……歴史をあるべき流れに正す時空剣士の力により、懲罰を与えることが出来る。
(……その上に更に、保険をかけられていたらもうどうしようもないけどな……)
ロイドとて、信じられないし信じたくもないが、
ミクトランがオリジンさえも従えるほどの力を持っている可能性も、皆無ではない。
本来ならばこの島には招かれざる客であるはずの、ネレイドがここに現れたのがその根拠。
少なくともエターニアに存在する技術や知識や概念では、ネレイドを……バテンカイトスの神を従わせる方策はない。
だが、ミクトランは少なくとも異界であるシルヴァラントとテセアラについては、浅からぬ知識を持っているはず。


シルヴァラントやテセアラの魔術には、神すらも打ち据え、従える力があったかも分から――。
「!!!」
ロイドは、突如世界から音が消えたような、そんな錯覚さえ感じた。
全身に、鳥肌が立つ。
かぁっ、と頭が、芯まで熱くなる。
心臓が、早鐘のように鳴り始める。
禍々しい……禍々し過ぎる、この波動。
瘴気すら含んでいるのではないかと思わせる、虚ろな色のマナの津波。
ロイドの脳裏で、1人の男の姿が一瞬閃く。赤髪の魔将、その人の姿。
アビシオンの織り成す闇の闘気に、この波動は似ている。
しかも、絶対量はアビシオンのそれすら凌駕している。確実に。グミを口にしたら体力が回復するというくらい、確実!
空が一面太陽に変わったのではないか。ロイドはそんな誤解を思わず抱いてしまいそうになった。
光の、暴力。世界が一瞬、創世の瞬間に戻ってしまったのではないかというほどの光子の爆発に呑まれる。
その第二波は、耳を強打する爆音。
そして、烈風。
「のわあぁっ!!?」
ロイドは、それでも自ら彫り上げた木の刀と、
そしてグリッドのきっての頼みで作った漆黒の翼のバッジを、抱えることは忘れない。
烈風に足元をすくわれたロイドは、そのまま後方にもんどりうって転がる。
烈風に吹かれるままに、ロイドはやりたくもない三連続の開脚後転を強制され、
そして最後にはうつ伏せで地面に叩きつけられる。
受け身を取るのに使った右手に激痛が走るが、そんなものに構う余裕すらない。
圧倒的なまでの風圧が、ロイドに目を僅かでも開けることさえ許してくれない。
肌を叩く草原の草の感覚だけが、それから数秒の間ロイドに感知を許された。
烈風はやがて突風に、疾風に、そしてそよ風に。最後には、無風に。
地面から千切れ飛んだ草々が、ようやく大地の上に帰ってから、それから更にロイドは余裕を取る。
そして、うつ伏せのままに、僅かに目を見開いた。
今度は、無理やりにこじ開けられるようにして、眼球が眼窩から転げ落ちる寸前まで、思い切り見開かれた。
ロイドは、自分の目をここまで疑ったことは、世界再生の旅の中ですらあっただろうか。
眼前の…この東部の草原に、いつの間にか出来ていたのか、雪原が広がっている。
ついで、雪が瞬間的に蒸発したことにより発生したと思しき、地表付近の霞。
そして、雪原に穿たれた、広大な溝。
とどめは、白々と蒼穹に向け吹き上がる、きのこ雲。
かこん、と顎を落としたロイドの周りは、ただ先ほどのことなど忘れたとばかり、穏やかに吹く風。
世界再生の旅で、ジーニアスにも称えられたその勇気を以ってしても。
ロイドは、その感情を抑えることが出来なかった。
ロイドもまた、生物である以上、必ず備わっているその感情を。
生物としての本能が覚える、凍りつくような恐怖に、ロイドは歯をがちがちと鳴らしていた。

******

「クィッキーッ! ククィッキー!!
(マーダーどもを追う前に言っておくッ!
オレは今ヤツらのものと思しき晶霊術を、ほんのちょっぴりだが体験した……
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……)
広大な平原の、焼け焦げた跡地。
山びこなど起こるはずもないこの平坦な地形で、その爆音は十回も百回も残響で大気を震わせていた。
「クキュウ! クィクィッキー!!」
(あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!)
本当にその爆音の残響が耳を叩いているのか。
はたまた単に、激烈過ぎる轟音の槌が、その場にいた者達の鼓膜を強打しただけなのか。
どちらが正しいのか、一同に知る術はなかった。
「『クィッキー! クィクィクキュ!!』」
(『オレはご主人様の膝の上でで毛づくろいをしていたと
思ったら、暴風に煽られてせっかく整えた毛並みが台無しになっていた』)
そんな中、辛うじて残っていた城壁のかけらに引っかかり、遥か西に吹き飛ばされることを免れた獣は、
やっとの思いで地面に四本の脚を着け、立ち上がった。
「ククィ! クィッキー!!」
(な…何を言ってるのか読者のみんなはわからねーと思うが、
オレも何をされたのかわからなかった…)


青い毛並みを乱し、土で汚してしまったポットラビッチヌスは、人心地ついた瞬間、全身の毛を逆立てた。
「クィッキー!」
(頭がどうにかなりそうだった…)
即座に、自慢の長く毛に富んだ尻尾を全身に巻きつけ、寒気に当てられたかのように震え出す。
「クククククキュ! ククキュ!! クィッキー!」
(風に煽られたご主人様のスカートがめくれてパンチララッキーだとか、
風でモブキャラ親父のヅラが飛んでお約束のギャグネタ乙だとか、
そんなチャチな冗談じゃあ断じてねえ)
圧倒的。
押し潰されるような、叩き伏せられるような、心を引き裂かれるような恐怖が、彼を、そしてもう1人の「彼」を襲う。
「クィッキー! クィッキー!!」
(もっと恐ろしい、凄まじいまでの暴力の片鱗を味わったぜ…)
ポットラビッチヌスのクィッキーと、そしてミンツ大学学士、キール・ツァイベルを。
キールの瞳は、ただどろりと濁った光を宿していただけだった。
先ほどの烈風により髪がほどけ、さながら後ろから見れば女性のようになっていることなど、気付いていようものか。
「………ぁ……」
キールの口元が震え、まるで意味のない音を漏らす。
すでに情けなく腰を砕けさせ、地面にへたり込む彼は、インフェリアの言葉を忘れてしまったかのようにさえ思える。
「あ……あぁ……!」
この夜が明けてから、肌身離さず握り締めていたBCロッドが、くくりつけたクレーメルケイジごと地面に落ちる。
クレーメルケイジの反射する太陽の光が、いやに眩しかった。
「あは……あはははは……!」
顎が外れてしまったかのように、開いたまま塞がらない口から、声がこぼれる。
「あははは……あはひゃははひゃっは……!!」
俗に、人は真正の恐怖に捕らわれた際、泣くのでもなく、震えるのでもなく。
全ての思考が凍りつくとも言う。ただ、笑うしかなくなるとも言う。
そのどちらが正しいかなど、この場での議論はもはや意味などあるまい。
少なくとも、この場において、キール・ツァイベルという人間にとって、それらはどちらも真であったから。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッひゃひゃっはっひゃひゃははははは!!!
ひゃ――――ッはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!
へへへへへへへひゃははははははへひゃぁっを!!!!!」
キールは、涙を双眸からこぼしながら、地面をばんばんと叩き転がり始める。
腹をよじり。
腹を抱え。
とんでもなく、目の前の光景が滑稽に見えて。
その笑いは、まさに狂人のそれとしか言えなかった。
キールの心が受け取りきれる限界量を遥かに越えた恐怖が、心の奥底に封じ込めたはずの、その扉をこじ開けた。
狂気に通じる扉を。
混沌の神々にでも祝福されてしまったかのような狂態を、キールは臆面もなくさらけ出す。
高々と立ち上るきのこ雲を背景に、焼け焦げた大地の上で笑い転げる、青髪を乱した青年。
それはとても虚ろで、そして目を反らしたくなるような、痛々し過ぎる光景だった。
「キール!!」
そこに駆けつけたのは、1人の鳶色の髪の少年。
腰に二本の木刀を差し、腕の中には漆黒の翼のバッジを抱え、ロイド・アーヴィングは走る。
「キール! 大丈夫……か…?」
そして、その問いかけは愚問であったことに、ロイドはやがて気付くことになる。
げらげらととめどなく笑い転げる者を見て、「大丈夫」と判断する人間など、そう多くはない。
ましてや、普段はどちらかと言えば不機嫌そうな学者気質のキールが、こうまで爆笑の渦に捕らわれているとあれば。
「おい…? おい……! おい、キール!!」
漆黒の翼のバッジを取り落としながら、それでもロイドはキールに駆け寄る。
虚ろにからからと笑うキールを見て、ロイドはとうとうキールまでも気が触れてしまったのかと、真剣に不安がよぎる。
幸いにもメルディは、城壁の残骸がちょうどいい遮蔽となり、
烈風に直撃されずに済んだ(とは言え、クィッキーのような小動物なら、
直撃でなくとも軽く吹き飛ばされるほどの威力を、先ほどの烈風は秘めていたわけだが)のを、視界の端で
確認したロイドは、キールの体を揺さぶってみる。
「ははははは…………だ…………だろ」
キールの言葉は、ただ不明瞭。
「キール! しっかりしろ! しっかり…!!」
がば、とキールはいきなり、上体を起こす。
突然の動作に驚いたロイドは、一瞬腰を引いてしまいながらも、それでも次の瞬間には我に帰る。


そして、キールの呟く言葉に、耳を貸すことを忘れない。
「……あんな奴らに……勝てるわけ、ないだろ……」
顎をわななかせ、空に向かって言うキール。目尻からは、涙が止まらない。
「おい……? キー…」
「あんな化け物みたいな力を持ってる奴らに、どうやって勝てって言うんだよ!!!」
ロイドは、肩を震わせる。
メルディは、キールの方をとっさに見た。
クィッキーは、毛並みの汚れを払う動作を中断した。
きのこ雲は、まだ足りぬとばかりに、貪欲に天を目指していた。
キールが吐き出したのは、激しい怒号だった。
「あんな……あんなの無茶苦茶過ぎる……理不尽過ぎるだろ!
ここの東の草原を一面雪原にした上で、あんな滅茶苦茶な晶霊術を放って!!
これだけのことをやるのに一体何十万エスト・アイオディの晶霊力がいると思ってるんだよ!!
これじゃあまるでバンエルティア号の艦載晶霊砲さえ、ただのちっぽけな豆鉄砲じゃないか!?」
キールは、今度は笑いではなく怒りを込めて、地面を叩く。
怒りと恐怖と不条理さで、瞳が燃えている。
「キール! 落ち着け!!」
「この島に残っているマーダーどもは、どいつもこいつもあんな真似が出来るって言うのかよ!?
リバヴィウス鉱を用いたフリンジ砲で、やっと粉砕できたシゼル城の黒体を、
ただの晶霊術だけでぶち壊せそうな化け物ばっかりだって言うのかよ!!
そもそもあんな桁外れの晶霊力、どう見ても人体の晶霊キャパシティの限界閾値を遥かに越えてる!!!」
「落ち着けって言ってんだろ、キール!?」
「僕らはあんな化け物を、晶霊学の理論を根本から覆すような連中をこれから6人も相手にしなきゃいけないんだ!
おまけに僕らにリッドはもういないんだ! リッドが刺し違える形でやっと倒した
ネレイドが、これじゃあただの雑魚みたいじゃない……」
「落ち着けッ!!!」
ロイドの左手が、空を裂いた。
キールの右頬を、過たずに強打する。
キールはたまらず、辛うじて起こしていた上半身も、地面に叩き付ける形となった。
キールは、とっさのことに、何が起きたのか理解さえ出来ていないでいるようだった。
キールは、そして糸が切れたように、脱力してそのまま動かなくなった。
もはや、身じろぎすることさえ億劫そうに、あらぬ方を見つめ続けていた。
「……落ち着いたか、キール?」
「……っは……」
キールは、ごく僅かに喉を震わせた。言葉を吐き捨てようと思って、それに失敗したのがありありと見て取れた。
「……いっそ、永遠に落ち着かずにいられた方が、どれほど幸せかな……」
全身に鉛の枷を嵌められたように、キールの動作は緩慢だった。
「こんなフォワクムグな光景、見ずに済んだらどれだけ楽だっただろうな……」
フォワクムグ、すなわちメルニクス語で「クソッたれ」を意味する、最高級の罵り言葉を呻きながら口にした
キールは、その上体を再び起こす。
「……ロイド……僕は正直、今ほどお前の腹の据わり方がうらやましいと思ったことはないな」
「…………」
キールは、未だに震えを止められずに、ロイドに悪態とも賛辞とも取れる言質を浴びせかける。
「……僕は……あれを見て……気が狂いそうなほど恐ろしいのに……!
全てを諦めたくなるくらい怖いのに!
生きることを放棄したくなるくらいの絶望に負けそうなのに!!」
キールの顎は、もはやしばらくまともに噛み合うことはなさそうに見えた。がちがちと、歯が鳴っている。
「なのに! どうしてロイドは憎たらしいくらい平然としていられるんだよ!?
これじゃあ……これじゃあ僕が丸っきりの臆病者みたいじゃないか!!」
エターニアの旅を通じて、リッドやファラから相応に与えてもらったはずの勇気など、気休めにもならない。
キールは、涙をいくつもいくつも流しながら、頭を抱え込む。嫌だ嫌だと言わんばかりに、首を振り続ける。
ロイドは、そんなキールに言った。
「いや……俺だって……俺だって、怖くないわけないだろ?」
「…え?」
キールは、その返答に虚を突かれる。
ぽかんと、ロイドの顔を見やる。
ロイドは、父クラトスによく似たその瞳を、瞑りながら地面に俯く。


「俺だって、正直信じられない。信じたくはないさ。
あんな無茶苦茶な攻撃をぶっ放せるような相手が、この島にいるなんてさ。
本気を出したミトスでさえ、あんな凄まじい威力の魔術は使えないだろうな。
いや、あそこにいるのは、ミトスかもしれないけれど、な」
ロイドは、前髪の間から東を睨みつける。
凄まじ過ぎる、「殲滅」などという言葉でも生温い、破壊の爪跡をそれでも睨みつける。
「多分、E3のケイオスハートは、マーダー側に先に押さえられちまったみたいだな。
さっき感じたあの波動は、間違いなく闇の装備品の波動だ。アビシオンがまとっていたオーラと、同じものだ」
「…あの爆発の正体がケイオスハートであることはともかくとしても、
何故、あの爆発がマーダーの手によるものだとロイドは判断できるんだ?」
「簡単な話さ。俺達はこれから、可能な限りマーダーの注目を集めるような行動はしちゃいけない。
そんな状況で、例えばヴェイグが、あんな滅茶苦茶な魔術やらフォルスやらの使い方をしたら、
マーダーにこっちの居場所を教えるようなもんだろ?
ヴェイグは俺なんかよりよっぽど頭のいい部類に入るし、あいつの心には熱い部分ももちろんあるけど、
冷静で冷めた部分がある。よほどの事態にでもならなきゃ、ヴェイグならマーダーにわざわざ居場所を教えるような
真似なんてしないさ」
そうだ。確かに考えてみれば当然のこと。
恐怖のくびきから、徐々に逃れつつあるキールは、そして持ち前の判断力も少しずつ蘇ってくる。
そうだ、落ち着け、キール・ツァイベル。
頭脳労働は、常に冷静でいるべき立場にいる人間は、お前しかいないだろう。
言い聞かせるキールは、ロイド共々、破滅の爆雲をその視界に納め、言う。
「一面草原を凍結させた上でのあの超大火力晶霊術か……
……いや、さっきのあれは晶霊銃から放たれる銃技の方に似ていた。恐らくあの閃光の正体は銃技。
すると犯人は……」
今まで得た手がかりから演繹すれば、犯人は間違いなく「奴」。
だが念のため、キールは演繹法に消去法を併用し、再度得られた解を検算する。
「プリムラはそもそも晶霊術師ではないから論外。
銃技の前におそらく氷属性の晶霊術が発動したということは、『樹』のフォルスの使い手であるティトレイや、
地・闇属性の晶霊術……じゃなくて、晶術使いのリオンが犯人であるとも考えにくい。
クレスの時空剣技なら、エターナルソードによる増幅を勘定に入れれば、
これだけの爆発的威力を出すことは不可能ではないかもしれないが、そもそもクレスもプリムラ同様、
晶霊術は使えない。ケイオスハートが使われたという事実を真とおけば、クレスがケイオスハートを
使ったという仮定は最初から矛盾している。剣士に杖なんて、宝の持ち腐れにしかならない。
それに、ダオスの証言によるとアルベイン流には、闘気を炎や雷撃にして繰り出す技はあっても、
ヴェイグの『絶氷刃』みたいな凍気を発生させる剣技はないはずだから、草原を凍らせた説明もつかない。
すると残るのはミトスと『奴』だ」
そしてキールは、次の一歩へとその論理展開を進める。
「……だがミトスは聞く限り、激情に駆られていない普段なら、デミテルのような策士型の人間だ。
あんなコストと釣果の釣り合わなそうな過剰殲滅を、たとえ魔杖があったからといって断行するか?
さっきの一発自体が、何らかの陽動作戦のための壮大な布石という可能性も否定は出来ないが、
どの道コスト面で下策である事には変わりない。
万一あれが激情に駆られたミトスなら、あの一発で終わりなんて僕にはとても思えない。
キレた時なら、魔力が空になるまで魔術を乱発する性格だ、ミトスはな。
そうだろ、ロイド?」
「ああ。ミトスは普段は冷血で頭も切れるけど、いっぺんキレたら、まるで腹ペコの時のドラゴンみたいな、
滅茶苦茶な暴れ方をする。俺も、あれの正体がミトスとは思えないな」
水を向けられたロイドは、キールの意見を肯定する。
間違いない。あのきのこ雲を作った犯人は、シャーリィ。シャーリィ・フェンネスその人!
「……ははは……しかし、こんな大破壊が可能だっていうのなら、
滄我とやらと組んで本気を出せば、全世界の陸地を海の下に没させることさえ可能だっていう、あの話……
寒気がするほど信憑性があるな……」
立ち上り、空を汚す白雲の槍。
キールはそれに焦点を合わせ直した瞬間、今度は腹の底から吐き気が込み上がってくるのを止められない。
恐怖。恐怖。恐怖。
握り直したBCロッドが、カタカタとクレーメルケイジを震わせる。
全身の筋肉が、痙攣の発作を起こしたかのように止まらない。


「ちくしょう……駄目だ……!
やっぱり、恐ろしくて……震えが止まらない……!
ちくしょう……ちくしょう!!」
地面の上に四つん這いになり、再び目尻に涙を浮かべるキール。
目の奥からこみ上げる熱に、耐え切れずキールは瞳をつぶる。
そんな彼の肩に手を置いたのは、ロイドだった。
キールは、はたとロイドの方を見やる。
ロイドは、眉を歪めながらも、首を振る。
「言ったはずだぜ、キール。俺だって、怖いさ」
けれども、その言葉を舌に乗せ切らぬうちに、ロイドは見る。シャーリィのもたらした恐怖を。恐怖そのものを。
「でも、俺達は戦わなきゃいけない。戦わなきゃいけないんだ。
こんなふざけた真似、ブッ潰すためにも……もうこれ以上誰かを犠牲にしないためにも!」
「ロイド……!」
ロイドは、立ち上がった。
痛みがまだ皮膚の下でのたくる右手を、左手の手の甲に持ってゆく。
僅かに痛みに顔を歪めながら、ロイドは要の紋にはまった小さな宝石の台座を捻る。
エクスフィアの身体能力の増幅作用を制御する特殊な結晶体、EXジェムの嵌まる角度を変える。
ロイドの肉体は、刹那。
血流が停止する。
心臓が拍動を止める。
青の光翼が編まれる。
美しい光子を散らしながら、ロイド自身を丸ごと包み込めそうなほどの光の翼が、背に展開される。
全身の細胞が、仮死状態を迎える。
細胞に宿った極小の生命もまた、深き眠りにつく。
天使ロイド、降臨。
瞳を、開く。
ロイドの瞳に、無機結晶体に心を喰われた証は、なかった。
ロイドの瞳には、もとの茶色が輝いていた。
そして、地面に散らばった漆黒の翼のバッジを拾い上げ、その一つを胸に留める。
もう一つは、キールに渡す。
もう一つは、ぺたんと座り込んだメルディの左胸に着けてやる。
最後の一つを紐に通し、クィッキーの首に緩く巻いて止める。
このバッジは、クィッキーには首輪として着けるのが一番似合う。
「……それは、俺がさっきまで、この木刀を削り出して、イメージトレーニングをやる合間に作った、
漆黒の翼のバッジだ」
「グリッドに頼まれて、作っていたあれか」
「ああ。予備も含めて10個。団長のグリッドに渡す特製の奴が1個。合わせて11個作っておいた」
大急ぎで作った手抜きのバッジだけどな、と言葉を結んだロイド。
しかし、それにしても作りは立派の一言に過ぎる。
翼に生えた羽一本一本までを精密に刻み、かつ沈金と呼ばれる漆器の装飾に用いられる技術を用いている。
埋め込まれているのは恐らく本来沈金で使われる金ではなく、玄武岩か黒曜石のかけらだろう。
キールはレオノア百科全書の挿絵をから、鉱物の色彩を思い出しそう推理する。
とにかく、石やら木やら、ありあわせの素材から削り出されただけの翼は、確かに下地の色を残しながらも、
それでも漆黒の色を帯びた翼なのだ、と一目で分かる繊細で、それでいて強力な黒色を主張している。
これで手抜きというのなら、ロイドが魂を込めて刻んだ装飾品は、どれほどの美しさを誇るというのか。
キールは、その美しさに純粋に息を呑んだ。
いつの間にか東にその一歩を踏み込んだ若き大天使。光翼が、震える。
ロイドはそして、腰の木刀を引き抜いた。
天使化に伴い、右手の痛覚はある程度遮断される。この程度の痛みなら、戦闘時の興奮で十分に誤魔化せる。
ロイドはそれを確かめながら、抜き放たれた木刀を東の空にかざす。
木刀は、太陽の光にその木目を晒す。
太陽が作り出した陰影が、その木目上に刻まれた文字を晒す。
【我が友リッド・ハーシェルよ、我と共にあれ。】
二つの刀の鎬(しのぎ)に刻まれた、その文字を。
リッドは、確かにそこに生きている。
キールは、またも目頭が熱くなりそうになった。
出会って、まる一日にもならないうちに、彼は永劫の別れをロイドに告げてしまったのに。
それでも、この目の前の大天使は、確かに結んでいたのだ。
極光術師リッド・ハーシェルとの間に、金剛不壊の友情を。絆を。
キールは、もう涙を堪える事など出来なかった。


たった一日にも満たない間しか共に戦う事のなかった、リッドの想いすらも背負ってロイドは立っているのだ。
(それなのに……それなのに、僕は!)
ロイドの何百倍も、何千倍も長く、リッドと曲がりなりにも友情を交わした己の、何と情けないことか。
自分の命惜しさに、恐怖に挫けそうになって、道を歩む膝を自ら屈しかけた己の、なんと弱いことか。
気持ちだけで、何が守れるって言うんだ。
それは確かに正論かも知れない。いかに心が強かろうと、晶霊力は上がらない。剣が冴えるわけでもない。
それでも……それでも……!
(それでも……守りたい仲間が…いるんだ!)
キールは、地面に落ちた髪留め用の緒を拾い上げ、再びそれで己の長髪を纏め上げる。
涙を拭い。
BCロッドを握り締め。
今にも、恐怖に屈してしまいそうな臆病な自分。
それを、臆病さを恥らう自らへの怒りへ、怒りから生まれる勇気に変え、立ち上がる。
生物として持つべき当然の本能を捻じ伏せ、睨みつける。
シャーリィがもたらしたと思しき、破滅の雲を。
「……まずは、俺から行く。キールとメルディは、後からついて来てくれ」
ロイドは背中からキールに告げ、EXジェムを操作する。
起動させるは、EXスキル「パーソナル」。
幼少時より、イセリアの森の木々を縫うことにより鍛えた脚に、今にも唸りを上げんばかりの更なる力がこもる。
「……ロイド、なら僕からアドバイスだ」
「ああ」
キールは、BCロッドをしかと握り締め、進言する。
「まずロイド、お前はあえて初撃に『鳳凰天駆』を繰り出せ。
恐らく今シャーリィがいるところは、雪原の上。
まずは『鳳凰天駆』の巻き起こす熱気で雪を蒸発させ、それにより発生する蒸気で奴の目をくらますんだ。
さすがにエクスフィアがあっても、霧の向こうを見渡せる眼力は備わらないだろう?」
「ああ。間違いない」
そう。さすがのエクスフィアの力ですら、人間にいわゆる「透視」の能力を備えさせることは出来ない。
ロイドは自信を持って断言する。キールは満足げに頷き指示を続行した。
「シャーリィはジェイなんかと違って、相手の殺気をのみを頼りにした無視界戦闘なんて芸当は出来ない。
蒸気に紛れて、シャーリィに不意打ちを行うんだ。可能であれば、それでシャーリィを瞬殺しろ。
もし瞬殺に失敗しても、慌てず剣の間合いに踏み込め。
そして『秋沙雨』や『驟雨双破斬』のような連撃技を軸にして、詠唱を封じながら攻めろ。
奴に晶霊術……いや、ブレス系爪術を使われたら最後だ。
仮に『粋護陣』で耐え切れたとしても、その直後の隙を狙って畳み掛けられる。
それから……」
キールは、BCロッドで雪に覆われた草原を指し、続ける。
「シャーリィは水の民。形勢不利になったなら、何らかの術を用いてあの雪原を水に変え、
あの一体を沼地にして水中からの攻撃を仕掛けるような真似をして来るかも知れない。
もしそうなったなら、『真空裂斬』と『鳳凰天駆』を併用して、一旦沼地になった戦域から離脱しろ。
仮に水中戦に持ち込まれたら、万に一つも僕らに勝ち目はない」
「でも、もしそうなったら、どうするんだ?」
聞いたロイドに、キールは薄い笑みで答える。
「決まっている。沼地そのものに、僕に出来うる最大電圧で『インディグネイション』を撃ち込む。
水って物質は、地の晶霊力を添加することにより、雷の晶霊力の伝導率を飛躍的に上昇させることが出来る。
こんなところで水辺を作ったら、どうあがこうと水には土が溶け込んで地の晶霊力が宿るさ。
つまり、シャーリィは自ら大電圧の直撃を受けに来てもらう形になるわけだ。
あまり気持ちのいい話じゃないが、確実にシャーリィは黒焦げになるな。
ただ、それには念のため奴からメガグランチャーは奪い取る必要がある」
「……どうしてなんだ?」
相槌代わりの疑問を口にするロイド。キールは、「それは」の句から回答を始める。
「シャーリィの奴だって丸っきりのバカじゃないだろう。ひょっとしたら、メガグランチャーを
避雷針代わりにして、『インディグネイション』の直撃を反らすなんて真似もやってくれるかも知れないしな。
下手をすればメガグランチャーのクレーメルケイジに、『インディグネイション』の電撃を吸収させ、
それを反転させて撃ち返すなんて真似もやりかねない。
出来れば、ロイド。
シャーリィの瞬殺に失敗して接近戦になったら、メガグランチャーを弾き飛ばすなり腕を『殺す』なりして、
武装解除を狙ってくれ」


「分かった」
うなずくロイド。キールは、そして話を続ける。
「僕とメルディは、ロイドの後から続き、波状攻撃の要員になる。
それで、晶霊術の限界射程ギリギリから、遮蔽を取って不意打ちを狙ってみる。
本来なら戦力の逐次投入は下策だが、一気に攻め込めば不意打ちを行える回数も減る。
僕の晶霊術は、直撃させれば人間1人くらい確実に瞬殺出来るだけの威力がある。
戦力の逐次投入は確かにリスクを伴うが、不意打ちは決まれば相手を瞬殺出来る。
瞬殺のチャンスが1人一回あるなら、僕は戦力の逐次投入によるリスクは十分呑める範囲だと思うしな」
まあ、シャーリィが『インディグネイション』の直撃を受けてさえ死なないなら、もはや諦めるしかないが。
キールはそう注釈を着け、締めくくる。
「僕とメルディは、原則遠距離からの支援しか行わないが、それは了承して欲しい。
ぞっとしない光景だが、僕らがシャーリィに接敵されたら、まず数秒と保たずにミンチにされるだろうからな。
それにもしシャーリィが僕らを人質に取られたら、最悪の事態だって想定しうる。
下手に僕らがシャーリィに近付いたら、ただの足手まといにしかならない」
「それは分かってるさ。術師が呪文を詠唱している間は、前衛が術師を守る。
クラトスから教わった、戦いの基本さ」
「それから、最後にもう一つだけ、だ」
キールはいつの間にやら、振り向いていたロイドに歩み寄り、雪原と化した白い草原を睨む。
「?」
「ロイド。この島で今まで生き延びてきた以上分かっているだろうが、
不意打ちや袋叩き……間違えてもそんなことを卑怯だとは思うなよ」
キールの言葉。ロイドは、苦笑しながら思わず口角を歪める。
「思わねえし、そもそも卑怯だなんて思えねえよ」
そういうロイドの視線もまた、東の雪原に向く。
「……あんなとんでもねえ魔術を撃てる、マーダー連中の理不尽なまでの力の方が、よっぽど卑怯だし理不尽さ」
「ああ……違いないな」
昨晩辛うじて、直撃からは免れたデミテルとティトレイのユニゾン・アタック、『サウザンドブレイバー』。
先ほどの一射は、軽くあれに匹敵するほどの破壊力があっただろう。
対して、ロイドは最強の剣技を用いても、破壊力そのものはあれには遠く及ぶまい。
キールは、一つの深呼吸を混ぜ、ロイドに語る。
「いいか、ロイド。この島に残っているマーダー6人、あいつらは人間だと思うな。
あいつらは、人間の皮を被ったモンスターだと思え」
「……モンスター?」
こんなところで、その言葉を聞くとは。
モンスターなんて言葉、最後に使ったのはいつだろう。ロイドはふと、考える。
キールはそして、ロイドの沈思黙考を尻目に、話を続けた。
「少なくともマーダーと呼ばれる連中に、僕は人権なんて認めない。そもそも、人であることすら認めない。
……奴らは、奴ら自身の人権を主張するには、やってきた罪が重過ぎる。
人じゃないあいつらなら、殺したって殺人罪には問われない」
「そこまで……キールは言うのか?」
呆気に取られ、次いで眉を歪めたロイドに、キールは淡々と切り返しを浴びせる。
「それくらい言い切れるほど、僕は覚悟を決めている。決めているはずだ。
なら、ロイド。
逆に聞くが、お前は人を殺すのは駄目だと言っておきながら、モンスターを殺すのにはなんのためらいも覚えない、
人道主義者を自称する偽善者どもの仲間か?」
「それは……」
それは、事実かもしれない。
俺は、偽善者だ。
その言葉を自身に向けて突き刺した、救いの塔での戦い。
確かに、同じく命を奪おうとする存在であるモンスターと悪人と。そこに、何の隔たりがある?
クラトスだったなら、恐らくはそう言っていた。
「……それでも、それでも俺は、あいつらを人と思う。人と思って、剣を向ける。
クラトスは……父さんは言っていた。
殺すことに、折り合いなんてつけるな。ただ、殺したものの命を背負え、ってな」
どっか、と木刀の先端を地面に付け、遥か地平を睨むロイド。
天使化により強化された視力に、照り返される光が眩しい。


「それは相手がモンスターだって、人だって変わらない。
俺は、思うんだ。
ミトスが俺達人間を犠牲にしてエクスフィアを量産するのと、
俺達が獣や魚を犠牲にして食うのと、何処が違うんだろう、ってな」
ロイドは俯き、その真一文字に結ばれた口を、下に向ける。
「俺は、世界再生の旅で、それからこの島での戦いで、やっと分かった気がするんだ。
犠牲にする相手の命に尊厳を認め、命を敬いながら殺す。
……それが、本来あるべき犠牲の姿じゃないかって、な。
ミトスは、けれども人間の命に毛ほどの重さも感じていなかった。だから、あいつが捧げた犠牲は、間違えている」
「……ご大層な演説をぶっておいて、結局殺すのか。随分な、偽善ぶりだな」
違う。ロイドは首を強く横に振り、心の中で叫ぶ。
そしてその口で、でも。
「けれども! けれども……!
俺は……それでも! 俺の手にかかって死ぬ全ての命を、あるがままに背負って生きる!
俺には、あいつらの人としての尊厳が、想いが……
殺人の罪のせいで、全てが全て無価値なゴミになるとは思えないんだ!
だから……だから!!」
ロイドは、それきり唇を噛み、沈黙した。
キールは、ため息を一つ浮かべる。
「……まあ、もうさすがにおしゃべりが過ぎる。行くぞ」
キールは、おもむろに傍らの、急ごしらえのかまどにあった、冷え冷えとした塊を掴む。
つい先ほど完成したダブルセイバー。一刀二刃の、奇抜な形状をした得物を、キールは掴んだ。
それを袋に無造作に突っ込み、メルディの手を取り、そしてその歩を踏み出す。
出来上がったダブルセイバーを、ロイドに自慢げに見せるでも、淡々と報告するでもなく。
その動作自体が、氷の大晶霊セルシウスの吐息のように、冷たく感じられる。
「――僕が言いたいのは、間違えても妙な正義感やヒロイズムに酔って、
巡ってきたマーダーを殺す機を失うなということだ。
マーダーさえきっちり殺してくれれば、僕はロイドのおめでたい精神論を率先して否定はしない」
幾多の戦いの末、汚れに汚れたミンツ大学学士服の裾を揺らし。
キールは、踏み固める。昨夜の轟雷の驟雨で焦土と化した、この大地を。
「マーダーがゆっくり昼寝をしていたら、寝ているうちに首を刎ねろ。
背後から不意打ちできるなら、不意打ちで殺せ。勝てば官軍、負ければ賊軍だ」
「…………」
「お前の甘さのせいで、仲間が死ぬかも知れない。最悪、ロイド自身が死ぬかもしれない」
一歩。そしてもう一歩。
踏み出そうとして、それでももう一歩は、足に枷でもはめられたかのように重かった。
そんなキールの肩は、震えていた。
「お前がもし死んだら……僕には…全ての希望がなくなる!
ミクトランの言った、『優勝者は、この戦いの全参加者を蘇生させて、故郷に送り返すことも出来る』……!
どう考えたって胡散臭いとしか思えない、あいつの餌に食いつくほかなくなるんだ!!」
「!!」
ロイドは、たちまちの内に驚愕に、そして恐怖に体を打たれる。
「……頼む、ロイド。
死んで、僕までもマーダーの道を選ばせることは、絶対にさせないでくれ!
そんな事をしたら、たとえ本当にリッドやファラが生き返ったからって……あいつらに合わせる顔がなくなるんだ!!」
ロイドは、唇を震わせた。
自分が死ねば、キールですらもマーダーに堕ちる。
こんな善良な友人もまた、殺人鬼として生きざるを得なくなるのだ。
ロイドは、その事実に吐き気すら覚えた。
ミクトランが何故、この「バトル・ロワイアル」を開催する際、口からの出任せとしか思えない条件を提示したのか。
その理由が、今になってようやく分かる。
「確かに……その……ええと……」
「言うな! それ以上は言っちゃダメだ!!」
言葉を紡ぎだそうとして、けれどもロイドはキールの手によりそれを制される。
これ以上の話は、ミクトランに盗聴されてはならない。
キールはその制止の語調に、盗聴の危険性を暗に漂わせ、叫んだのだ。
「……言わなくてもいい。つまりはそういうことだ。分かったな?」
「分かったさ……分かりたくなんて、なかったけどよ……!」
ロイドは、奥歯が砕けそうなほどに強く、顎を噛み締めた。


リッド亡き今、もはやこの「バトル・ロワイアル」を転覆せしめる最後の切り札はそれしかない。
時空剣士の最大の禁忌に触れることを覚悟での、過去への干渉。
ミクトランを殺し、最初から「バトル・ロワイアル」をなかったものとする、歴史の改変。
もしその切り札をなくしたなら、後に残るのは絶望のみ。誰もがそう判断するだろう。
だが、ミクトランはここに「死者の蘇生すら叶える」という、餌をぶら下げている。
嘘か、真か。それはこの際、問題ではない。
一縷の望みがそこにあるという事実、それだけが過剰なほどに重大なのだ。
おそらくはそんなもの、罠に決まっている。
ミクトランは優勝者に与えるというその権利を、ただの疑似餌にして、最後に優勝者すらも絶望のどん底に叩き落す。
そんな算段だろう。
道に迷った旅人を、底無し沼に引きずりこんで溺死させるという、鬼火ウィル・オ・ウィスプのように。
優勝者という名の迷える旅人は、死者蘇生という名の鬼火に誘われ、絶望という名の底無し沼に沈む。
分かっている。分かりきっている。
それでも、底無し沼に落ちることを覚悟の上で、進まなければならなくなるのだ。
筆舌に尽くしがたいほどの、悲愴過ぎる構図。希望を求めて歩めば、更なる絶望が襲う。そしてその絶望は不可避。
もしいっそ、全ての希望が失われたなら、諦めて自害する覚悟も出来たかもしれない。
だが、希望の光がある限り、彼らは進まねばならない。わずかな可能性にかけざるを得ない。
その双肩に負った、あまりにも重過ぎる友の命ゆえに。友の誇りゆえに。友の想いゆえに。
そしてその友の想いゆえに、更なる絶望に足を踏み入れなければならぬのだ。
ロイドが死ねば、キールはその道を歩む羽目になる。
修羅の道を。希望を求めて絶望に抱擁される、悪夢の道を。
「…………」
ロイドは、怒りに、悲しみに、無力感に、絶望に、くしゃりと顔を歪めた。
「……俺は、ちょっと前ヴェイグに言った。『デミテルは、ミトス以下のクソ野郎』だって」
その歪んだ表情は、やがてその歪みの角度を変える。
ロイドの顔は、混じり気なしの、純粋な怒りに歪んでいた。
「でもな……ミクトラン!
てめえは……てめえは間違いなく……デミテル以下のクソ野郎だァッ!!!」
ロイドは、その言葉を最後に駆け出した。
EXスキル「パーソナル」が与えた俊足。常人に倍する疾風駆けで、ロイドは一陣の赤風と化す。
クルシスに属するどの天使よりも遥かに巨大で、それでいて仲間の想いを背負うには、あまりにか弱すぎる翼。
その足は大地を蹴り。
その翼は大気を叩き。
この島の理法により、空を飛ぶことを禁じられた翼は、それでもなお、その青さを失うことは決してなかった。
それを見届けたキールは、そして。
ほんのわずかばかりの瞑目の後、その目をかっと開く。
「……メルディ。僕らも行くぞ」
「……はいな……」
焦点の定まらぬ目のまま、メルディは答える。
キールはメルディを見ながら、ほんの少しの笑みを浮かべた。
「ダブルセイバーの表面を風晶霊の力でバブリングして、
多孔質にするってアイディアは、さすがガレノスの一番弟子だ」
「ありがと……な……」
メルディは条件反射じみた、感情のこもりきらない返答でキールに応じる。
もしロイドに十二分の注意力があったなら、先ほどダブルセイバーの刀身を見た際、気付けていたかもしれない。
ダブルセイバーの表面の輝きが、かつてより若干鈍くなっていたことに。
無論、それは彼らのダブルセイバー鋳造が失敗したという事実を、示すものではない。
その表面に微細な孔を多数空け、若干誇張して言えば火山の軽石のように加工した。
彼らは作業の途中、即興で思いついたそのアイディアを起用しただけのことなのだ。
では、表面に微細な孔を多数空けるという、一手間をかけた理由は何故か。
その答えは、キールが手にした瓶の中の、黒色の液体が握っていた。
黒色の液体の中に浮ぶリバヴィウス鉱は、さながら漆黒の空に浮かぶ星を思わせた。
(こいつを、後で刀身に塗りつける)
キールが手にした、リバヴィウス鉱を浮かべた黒色の液体の正体。
それは、E2の城跡に残された、ティトレイの『樹』のフォルスで異常成長したホウセンカやブタクサの抽出液。
これらを地の晶霊力で圧縮しながら、火の晶霊力で炙り炭化。
そして出来た黒い塊を更に蒸し焼きにし、その際滲出してきた液体をかき集めたもの。
すなわち、タール。レオノア百科全書5巻に記述された、本来「石炭」という特殊な鉱物から精製される液体である。
そしてこれは、そのままでは人体に十二分の害をなす、毒物としても知られている。


(足手まといのグリッドをまともな戦力にするには、これくらいやらなきゃどうしようもない!)
最初、ロイドがムメイブレードをこんな武器に改造してグリッドに渡すなど、キールは猛反対した。
そんな事をしたって、戦術的アドバンテージは全く取ることが出来ない。
むしろ、ロイドが再び木刀を佩くなど、どう考えても戦力が落ちる。マーダー側に、塩を送るも同然の策。
確かに魔剣エターナルソードの前では、木刀も無銘の真剣も、大差はないかもしれない。
しかし、極限下の戦いでは、そのわずかの差が勝敗を分けることなどざらにある。
ただでさえ少ない勝率を、更に下げるような真似は自殺行為。
もっと手厳しい言い方をすれば、ロイドの自己満足。浅薄な精神論に支配された、ただの愚行。
それでも、キールは折れた。折れてしまった。
ロイドの薄っぺらな、豚の餌にもならないような甘っちょろい精神論に。
(やっぱり僕は、『鬼』にはなれないのか?)
自ら鬼になることを宣言しておきながら、こんな生温い選択を許してしまったことに、キールは激しい嫌悪を覚えた。
だがキールは、そこで持ち前の機転で以って、それを戦術的判断にまで昇華させた。
グリッドの得物に、毒を塗るというアイディアで。
グリッドははっきり言って、戦いに関しては素人。ハッタリや詐術にも疎い。
要するに、ただの雑魚であることは相手には丸分かりだろう。
ならば、そこを突く。相手がグリッドを雑魚と侮る、その油断につけ込む。
そのために、刀身に毒を塗るという選択肢を、キールは選んだのだ。
一振りの剣を用いて、必殺必至の死の一閃を繰り出すには、何も剣の使い手が剣豪や剣匠である必要はない。
一滴傷口に垂らしただけでも死に至る、猛毒を塗るだけでもいい。
これならば刃が体内に達しさえすれば、たとえその剣の使い手が赤子であれ、赤子は人殺しの力を得るのだ。
すなわちこの毒を塗りつけた刃なら、グリッドが使っても、マーダー相手に一撃必殺を期すことが出来る。
グリッドが剣の素人であるということから生まれる、相手の油断。
これを必殺の布石にするには、毒の刃以外に手はない。
キールはそう判断し、こうして毒の調合に踏み切ったのだ。
更に、そのためにキールはリバヴィウス鉱をも併用した。
リバヴィウス鉱にごく微弱な火の晶霊力を宿らせ、徐々にタールを煮詰めることによる、毒素の濃縮。
可能であれば、本当に一滴落としただけで致死量となるほどに、この毒は煮詰めたい。
だがさすがのキールですら、タールの具体的な致死量は知らない。本来彼の専門は、光晶霊学なのだ。
よって、とにかく毒素を限界まで濃縮することをキールは決断した。
タールの致死量が分からなくても、ひたすらに濃縮していけばその分毒液は濃密になる。
グリッドの刃は、それだけ致死性を帯びてゆくのだ。
(もっとも、ミトスなんかが相手ならこれは使えない手だけどな)
キールは、僅かに顔をしかめた。
毒素が確実に効くのは、おそらくプリムラとリオンとティトレイ。彼ら相手なら、毒は確実に体を蝕んでくれるだろう。
だが、不安なのはシャーリィとクレス。
シャーリィは、本来人間の体に耐えられないはずのエクスフィアの毒素に、生身で耐えるほど強靭な免疫を持っている。
はっきり言ってこんな化け物相手に、並の毒では毒殺することなど、かなうまい。
次いでクレス。
ダオスの証言によれば、クレスの修めるアルベイン流には、体内の気を操る技もいくつか存在するという。
もしクレスのアルベイン流にも、ファラのレグルス流同様に、体内の気で毒を浄化する技があったなら、
毒による攻撃は全くの無駄となる。
更には、クレスの手元にあるエターナルソードもまた、不安材料の一つ。
キールもありえないとは信じたいが、クレスがもし肉体の時流すら自在に操れるなら、
ダメージや毒を受けるたびに、肉体の時間を無傷だった段階まで「巻き戻す」という真似すら可能かも知れない。
そして多分これは、この島の異常な晶霊力場に影響されないだろう。
能力が激減している回復魔法とは違う。時間の巻き戻しはそもそも、回復魔法ですらないのだ。
すなわちクレスは、こちらが必死に回復魔法を連発してやっと治せる傷を、時間の巻き戻しで瞬間的に治す……
そんな悪夢のような事態すら、想定できうる。
まさか、ありえないとは思う。ありえないとは信じたいが――。
そしてミトス。
ミトスはそもそもからして、肉体が無機化し代謝活動が停止している。
毒はまともに肉体が代謝活動を行っているからこそ効くのであって、つまりミトスは毒を受け付けないのだ。


キールは容器に注がれたタールを見て、ひとしきり様子を確認した後、皮袋に放り込む。
毒の濃縮には、もう少し時間をかけるべきだろう。
それに、こんな危険な作戦を行うからには、予めこのことをグリッドに説明せねばならない。
ダブルセイバーは本来扱いの難しい武器。不慣れな者が使えば、自分自身を傷付けかねないのだ。
もしあの戦闘の中にグリッドがいて、いきなり毒塗りのダブルセイバーを渡すなど、危険極まりない。
むしろ、今行うべきは――。
「メルディ。さっき僕と決めたサインの確認だ」
キールは傍らのメルディに、そしてその肩に乗っかったクィッキーに、言葉を浴びせた。
これから先、ひょっとしたらメルディとは別行動を取ることになるかも知れない。
その時に備えて、予めサインは決めてある。
メルディの視力の及ぶ範囲でなら、これで無言のうちにキールは指示を出せるのだ。
そして、そのサインは完璧。
キールはそれを確認し、メルディの手を引いて駆け出した。
それと同時に、一応の予行演習。
キールはあの晶霊術の詠唱を試さんと、口の中小さく呟く。
「ウ・エト・イム・ティアン・プラワン・バンディン・ウス・フルンド・ブティア・アンエヌンムルヤ・ルグアティ」
メルニクス語の発音。そして方陣の描画。
キールの持つ、最強の切り札。
時の大晶霊、ゼクンドゥスとの死闘の最中、閃いたあの術。
「ヤイオ・エディン・イム・ティアン・プラワン・バンディン・ティアン・ゲティン・イフ・アンル・イプンムス」
『インディグネイション』の追加詠唱。
今キールが試しに呟くその言葉は、本来の『インディグネイション』の詠唱に更に追加することが出来る。
この追加詠唱を行えば、『インディグネイション』はその破壊力を、更に高位のステージに引き上げることが出来る。
おそらく、ロイドの言う『インディグネイト・ジャッジメント』級にまで、威力は増幅されるだろう。
「スティディウクン・ティアンツ! ティアン・ティアムドゥンディ・イフ・ギドゥ!」
それは、仲間達との間で「裏インディグネイション」と呼び習わされたあの術に、他ならなかった。
問題ない。発動できる。
キールはメルディから借り受けたクレーメルケイジと、そしてBCロッドからの晶霊力の流れで、それを確信した。
戦闘開始後の状況によりけりだが、もしも本当にシャーリィが沼地を作りそこに逃げ込むようなことがあれば。
これを撃ち込む。キールの生み出しうる、最大電圧の『インディグネイション』を。
すでに姿が見えなくなっているロイドを追うキール、メルディ、クィッキー。
彼らの懐の中では、それでも時計は無慈悲に時を刻み続ける。
午前11時半。
おそらくは、この島の戦いの趨勢、その大半を決するであろう、死闘。
その開幕まで、もはや余り時間は残されてはいなかった。


【キール・ツァイベル 生存確認】
状態:TP50% 「鬼」になる覚悟  裏インディグネイション発動可能 ゼクンドゥス召喚可能
メルディにサインを教授済み
所持品:ベレット セイファートキー BCロッド キールのレポート ジェイのメモ ダオスの遺書
ダブルセイバー タール入りの瓶(中にリバヴィウス鉱あり。毒素を濃縮中) 漆黒の翼のバッジ
基本行動方針:脱出法を探し出す。またマーダー排除のためならばどんな卑劣な手段も辞さない
第一行動方針:ロイドを生き残らせる。E3に向かい遠距離から支援
第二行動方針:仲間の治療後、マーダーとの戦闘を可能な限り回避し、食料と水を集める
第三行動方針:タールを濃縮し、グリッドに毒塗りダブルセイバーを渡す
第四行動方針:共にマーダーを倒してくれる仲間を募る
第五行動方針:首輪の情報を更に解析し、解除を試みる
第六行動方針:暇を見てキールのレポートを増補改訂する
現在位置:E2城跡の防空壕→E3の滄我砲発射地点付近

【メルディ 生存確認】
状態:TP40% 精神磨耗?(TP最大値が半減。上級術で廃人化?)  キールにサインを教わった
所持品:スカウトオーブ・少ない C・ケイジ
    ダーツセット クナイ(3枚)双眼鏡 クィッキー(漆黒の翼のバッジを装備)  漆黒の翼のバッジ
基本行動方針:キールに従う(自己判断力の低下?)
現在位置:E2城跡の防空壕→E3の滄我砲発射地点付近

【ロイド=アーヴィング 生存確認】
状態:HP40% TP40%  右肩・胸に裂傷(処置済み) 右手甲接合中 決意 天使化
所持品:トレカ、カードキー エターナルリング ガーネット ホーリィリング 忍刀・紫電
ウッドブレード(刻印あり) 漆黒の翼のバッジ×7(うち1個を胸に装備) リーダー用漆黒の翼のバッジ
基本行動方針:皆で生きて帰る、コレットに会う
第一行動方針:E3に向かう。仲間を救助しシャーリィを撃破する
第二行動方針:回復後はコレットの救出に向かう
第三行動方針:キールをマーダーなんかにさせない!
現在位置:E2城跡の防空壕→E3の滄我砲発射地点


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