それは儚い夢の始まり
ファラ・エルステッドは東の空を見やった。
つい先程南東で起こった爆発音から間もなく、更に巨大な轟音が聞こえた。
強烈な稲光も起こり、殺し合いは熾烈を極めていることを物語っていた。
「やれやれ・・・元気なことで」
いつの間にかジョニーが傍らに立ち、彼女と同じ方向を向いてつぶやいた。
「ジョニー・・・」
「だいぶ探してみたけど、この村には誰も居ないみたいだな」
つい先程南東で起こった爆発音から間もなく、更に巨大な轟音が聞こえた。
強烈な稲光も起こり、殺し合いは熾烈を極めていることを物語っていた。
「やれやれ・・・元気なことで」
いつの間にかジョニーが傍らに立ち、彼女と同じ方向を向いてつぶやいた。
「ジョニー・・・」
「だいぶ探してみたけど、この村には誰も居ないみたいだな」
二人は共に行動すると決めてから、まず北の塔を目指した。
森を迂回し、海岸線沿いに塔にたどりついた。
中は荒れており、ひどい有様だったが、人は居なかった。
その後二人は再度森を迂回し、シースリの村を目指すことにした。
村にたどりついてからは中の建物や道に誰か居ないか探したり、何か役に立ちそうな道具は無いかと探した。
充分な量の水と、食料も手にすることができ、更に多少の生活に役立ちそうな道具も手にすることが出来た。
彼女達の支給品は計五つ。
体力を増強する装備品、ブラックオニキス、
超巨大な戦斧、ガイアグリーヴァの計二つがファラの支給品だった。
そしてジョニーの支給品は、
精神力を自動回復させるメンタルリング、
稲刈りにでも使う様な鉄の刃を持つ小さな鎌、
海賊アイフリードの旗の計三つだった。
ファラは気落ちした。
お互いの仲間と合流し殺し合いを止めさせると言ったのに、仲間だけでなく他の参加者にすら出会えなかったのだ。
彼女達がそうしている内にも、殺し合いは行われ、大勢の人が死んでいた。
それは放送によっても明らかなことだった。
そしてその中には、ジョニーの仲間も含まれていた。
ファラに関しては該当する名前は呼ばれなかったが、とても素直に喜ぶことはできなかった。
森を迂回し、海岸線沿いに塔にたどりついた。
中は荒れており、ひどい有様だったが、人は居なかった。
その後二人は再度森を迂回し、シースリの村を目指すことにした。
村にたどりついてからは中の建物や道に誰か居ないか探したり、何か役に立ちそうな道具は無いかと探した。
充分な量の水と、食料も手にすることができ、更に多少の生活に役立ちそうな道具も手にすることが出来た。
彼女達の支給品は計五つ。
体力を増強する装備品、ブラックオニキス、
超巨大な戦斧、ガイアグリーヴァの計二つがファラの支給品だった。
そしてジョニーの支給品は、
精神力を自動回復させるメンタルリング、
稲刈りにでも使う様な鉄の刃を持つ小さな鎌、
海賊アイフリードの旗の計三つだった。
ファラは気落ちした。
お互いの仲間と合流し殺し合いを止めさせると言ったのに、仲間だけでなく他の参加者にすら出会えなかったのだ。
彼女達がそうしている内にも、殺し合いは行われ、大勢の人が死んでいた。
それは放送によっても明らかなことだった。
そしてその中には、ジョニーの仲間も含まれていた。
ファラに関しては該当する名前は呼ばれなかったが、とても素直に喜ぶことはできなかった。
漆黒の夜空を見上げながら、ファラはため息を付く。
「みんな、どうして、どうして殺し合いなんかするんだろう。こんなこと、絶対にしちゃいけないのに」
ジョニーが顔を下に向け、憂いある表情で唐突に言った。
「怖いからさ」
「え?」
ファラはきょとんとした表情をして、聞き返した。
「前にも言ったけど、俺は死ぬのが怖い。それは他のやつも同じだ。
だから自分以外の奴がみんな敵に見えちまうんじゃないのかな、たぶん」
「そんなこと無いよ、私とジョニーは知らない人同士だったけど、こうして一緒に居るじゃない」
「そうだけど、そうじゃない奴も居るのさ。孤独に悩まされて混乱したり、仲間だった奴等が自分を殺そうとしてる様に見えたり」
「駄目だよ、そんなの!」
リッドやキール、メルディが自分を殺そうとするなんて、ありえない。ファラはそう思いながら語気を強めて、
「きっと分かり合える時がくる、みんな本当は殺し合いなんかしたく無いって、
そうやってみんなが一緒になれる時が来るはずなんだよ」
「そうだな、そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない
。 どちらにせよ、こうして歩き回ってるだけでは参加者全員に俺達の声を聞かせることは出来ないだろうな」
ファラはそれ以上何も言えずに、黙って口をつぐんだ。
ジョニーは背中を向け、村の中の建物の一つに入りかける。
「なんだろうな・・・」
ファラがおもむろにつぶやいた。
「ん?どうしたんだい?」
「一緒に行動する様になってから度々思ってたんだけど、なんか、ジョニーって私の知ってる人と似てる気がする。
ううん、そっくりさんとかそういうのじゃなくて、雰囲気って言うのかな、似てる気がするの」
ジョニーは表情を変えずに、ただ口を開いて、
「そいつも、このゲームに参加してるのかい?」
「ううん。その人は、ここには居ないよ」
ファラの表情が急に暗くなった。そしてうつむき、続けて言った。
「・・・私達の元の世界でも、もう居なくなった人だけど」
ジョニーは顔をそむけ、目を細めながら言った
。 「そうか・・・」
「みんな、どうして、どうして殺し合いなんかするんだろう。こんなこと、絶対にしちゃいけないのに」
ジョニーが顔を下に向け、憂いある表情で唐突に言った。
「怖いからさ」
「え?」
ファラはきょとんとした表情をして、聞き返した。
「前にも言ったけど、俺は死ぬのが怖い。それは他のやつも同じだ。
だから自分以外の奴がみんな敵に見えちまうんじゃないのかな、たぶん」
「そんなこと無いよ、私とジョニーは知らない人同士だったけど、こうして一緒に居るじゃない」
「そうだけど、そうじゃない奴も居るのさ。孤独に悩まされて混乱したり、仲間だった奴等が自分を殺そうとしてる様に見えたり」
「駄目だよ、そんなの!」
リッドやキール、メルディが自分を殺そうとするなんて、ありえない。ファラはそう思いながら語気を強めて、
「きっと分かり合える時がくる、みんな本当は殺し合いなんかしたく無いって、
そうやってみんなが一緒になれる時が来るはずなんだよ」
「そうだな、そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない
。 どちらにせよ、こうして歩き回ってるだけでは参加者全員に俺達の声を聞かせることは出来ないだろうな」
ファラはそれ以上何も言えずに、黙って口をつぐんだ。
ジョニーは背中を向け、村の中の建物の一つに入りかける。
「なんだろうな・・・」
ファラがおもむろにつぶやいた。
「ん?どうしたんだい?」
「一緒に行動する様になってから度々思ってたんだけど、なんか、ジョニーって私の知ってる人と似てる気がする。
ううん、そっくりさんとかそういうのじゃなくて、雰囲気って言うのかな、似てる気がするの」
ジョニーは表情を変えずに、ただ口を開いて、
「そいつも、このゲームに参加してるのかい?」
「ううん。その人は、ここには居ないよ」
ファラの表情が急に暗くなった。そしてうつむき、続けて言った。
「・・・私達の元の世界でも、もう居なくなった人だけど」
ジョニーは顔をそむけ、目を細めながら言った
。 「そうか・・・」
それきり二人は何も言わず、村の民家で一階と二階に別れて寝ることにした。当然見張りも交代で行う。
宿屋だと敵の不意打ちを受ける可能性が高いとジョニーが判断してのことだった。
明日こそは仲間との合流を誓って、最初にファラが寝床に着いた。
宿屋だと敵の不意打ちを受ける可能性が高いとジョニーが判断してのことだった。
明日こそは仲間との合流を誓って、最初にファラが寝床に着いた。
彼女の頭の中は、どうやってみんなに殺し合いをやめさせるか、
戦う意思の無い者も居ることを伝えることが出来るかということで一杯だった。
誰かに会おうとしても結局出会えなければ、更にその間に人が次々死んでしまえば、意味の無いことだった。
彼女は焦っていた。せめてリッド達と合流したい。他の人たちに戦意の無い者が居ることを伝えたい。
そう願い続けて、とうとうまどろみ始めた時、彼女の頭に天啓の如き考えが浮かんだ。
戦う意思の無い者も居ることを伝えることが出来るかということで一杯だった。
誰かに会おうとしても結局出会えなければ、更にその間に人が次々死んでしまえば、意味の無いことだった。
彼女は焦っていた。せめてリッド達と合流したい。他の人たちに戦意の無い者が居ることを伝えたい。
そう願い続けて、とうとうまどろみ始めた時、彼女の頭に天啓の如き考えが浮かんだ。
そうだ。あれだ。あれを使えば──
彼女の頭は数時間前まで遡っていた。
村の調査の時、とある役所の様な建物の中にあった、ある道具を。
片手で持て、この島全体に声を響かせることが出来るそれを。
拡声器の存在が、ファラの頭の中に浮かびあがった。
村の調査の時、とある役所の様な建物の中にあった、ある道具を。
片手で持て、この島全体に声を響かせることが出来るそれを。
拡声器の存在が、ファラの頭の中に浮かびあがった。
【ファラ 生存確認】
所持品:ブラックオニキス ガイアグリーヴァ
状態:普通
第一行動方針:とりあえず寝る
第二行動方針:殺し合いをやめさせる
第三行動方針:仲間との合流
第四行動方針:ゲームからの脱出
現在位置:C3の村
所持品:ブラックオニキス ガイアグリーヴァ
状態:普通
第一行動方針:とりあえず寝る
第二行動方針:殺し合いをやめさせる
第三行動方針:仲間との合流
第四行動方針:ゲームからの脱出
現在位置:C3の村
【ジョニー 生存確認】
所持品:メンタルリング 稲刈り鎌 アイフリードの旗
状態:普通
第一行動方針:見張り
第二行動方針:仲間との合流
第三行動方針:ゲームからの脱出
現在位置:C3の村
所持品:メンタルリング 稲刈り鎌 アイフリードの旗
状態:普通
第一行動方針:見張り
第二行動方針:仲間との合流
第三行動方針:ゲームからの脱出
現在位置:C3の村