dear.
放送を聞いた。知っている名は、ルーティだけだった。
自分が探していた四英雄…その内の一人が、誰かに殺されてしまった。
だからあの時カイルは、泣いていたんだろう。
カイルが無防備にやられる訳がない。
きっと何かに気を取られていたんだ。
だから、泣いていたんだろう。
多くの人が消えていったという事実と一緒に、母も消えてしまったのだと…。
自分が探していた四英雄…その内の一人が、誰かに殺されてしまった。
だからあの時カイルは、泣いていたんだろう。
カイルが無防備にやられる訳がない。
きっと何かに気を取られていたんだ。
だから、泣いていたんだろう。
多くの人が消えていったという事実と一緒に、母も消えてしまったのだと…。
「…ルーティという女性は、カイルにとってどのような存在なのだ?」
「…お母さんです。大切な」
「…そうか」
迂回し森を歩きながら、クラトスとリアラは話していた。
罠を避けて、海に落ちていったカイルを捜すために。
リアラは既に、自分やカイルが未来から来た者だと告げていた。
つまり、会場にいたルーティは母親になる以前の昔の姿なのだと。
いや、逆にルーティが過去から来たのか? とも思ったが、敢えてそこは言及しないでおく。
名簿を使って、父親であるスタンも同じだと説明した。
勿論、同じく写っているマリーやコングマン、ジョニー、そしてリオンも…と(グリットって人はどうだかよく分からないが)。
クラトスは少し驚いた様子で話を聞いていた。
その理由は、自分とスタンの容姿の違い。
あの時カイルは自分のことを「父さん」と呼んでいた。
つまり、このスタンという青年と間違えたのだろう。
…全然似ていないではないか。
そう思いながら、クラトスは額を押さえていたのだった。
そんな話もあって、クラトスは尚更カイルの身を案じていた。
おっちょこちょいな一面があるのは、どうやらロイドと同じらしい。
ロイドの名が放送で呼ばれなかったことに、クラトスは不謹慎ながら安堵してしまった。
息子も同じように思ってくれているのだろうか?
──いや、それは無いだろう。少なくとも私が父親らしいことをした覚えはないのだから。
だが、どうか無事でいてほしい。
それに…
「家族を失うのは…底知れぬ辛さがある」
「え?」
「…いや、何でもない。それより、休憩は入れなくて大丈夫か?」
前を歩くクラトスは小さく呟くと、振り返りリアラに尋ねた。表情こそ相変わらず厳格だったが、奥に秘められたものは青くはかないものを発していた。
ごまかすように、クラトスは優しい言葉をかけたのだろう。リアラはそれを汲み取り、微笑んだ。
「じゃあ、少しだけ」
カイル、元気?
私は元気よ。
今はクラトスさんと一緒に行動してるの。
だから私は大丈夫。
カイル…悲しいかもしれないけど元気を出して。
ルーティさんは、カイルに生き残ってほしいと思ってるから。
私もそう思ってるから。
私は、あなたが悲しみを乗り越えられるって…信じてるから。
あなたが生きているって…信じてるから。
「…お母さんです。大切な」
「…そうか」
迂回し森を歩きながら、クラトスとリアラは話していた。
罠を避けて、海に落ちていったカイルを捜すために。
リアラは既に、自分やカイルが未来から来た者だと告げていた。
つまり、会場にいたルーティは母親になる以前の昔の姿なのだと。
いや、逆にルーティが過去から来たのか? とも思ったが、敢えてそこは言及しないでおく。
名簿を使って、父親であるスタンも同じだと説明した。
勿論、同じく写っているマリーやコングマン、ジョニー、そしてリオンも…と(グリットって人はどうだかよく分からないが)。
クラトスは少し驚いた様子で話を聞いていた。
その理由は、自分とスタンの容姿の違い。
あの時カイルは自分のことを「父さん」と呼んでいた。
つまり、このスタンという青年と間違えたのだろう。
…全然似ていないではないか。
そう思いながら、クラトスは額を押さえていたのだった。
そんな話もあって、クラトスは尚更カイルの身を案じていた。
おっちょこちょいな一面があるのは、どうやらロイドと同じらしい。
ロイドの名が放送で呼ばれなかったことに、クラトスは不謹慎ながら安堵してしまった。
息子も同じように思ってくれているのだろうか?
──いや、それは無いだろう。少なくとも私が父親らしいことをした覚えはないのだから。
だが、どうか無事でいてほしい。
それに…
「家族を失うのは…底知れぬ辛さがある」
「え?」
「…いや、何でもない。それより、休憩は入れなくて大丈夫か?」
前を歩くクラトスは小さく呟くと、振り返りリアラに尋ねた。表情こそ相変わらず厳格だったが、奥に秘められたものは青くはかないものを発していた。
ごまかすように、クラトスは優しい言葉をかけたのだろう。リアラはそれを汲み取り、微笑んだ。
「じゃあ、少しだけ」
カイル、元気?
私は元気よ。
今はクラトスさんと一緒に行動してるの。
だから私は大丈夫。
カイル…悲しいかもしれないけど元気を出して。
ルーティさんは、カイルに生き残ってほしいと思ってるから。
私もそう思ってるから。
私は、あなたが悲しみを乗り越えられるって…信じてるから。
あなたが生きているって…信じてるから。
「お前には家族はいないのか?」
「私? そうですね…いない、のかな」
自分に治癒術をかけながら問い掛ける。
しかし曖昧な返事をクラトスは不思議に思った。いる、いないにしろ、はっきりと答えられる質問だと思ったからだ。
いるのなら即答できるだろうし、いないのなら言葉に詰まるなり何なりなるだろう。
リアラの答えは両方とも違った。
その答えの意味が彼女自身から語られる。
「私は聖女…神の化身ですから」
「…それはまた随分と大層なものだな」
「驚かないんですか?」
リアラは、流石のクラトスも驚かせられるという自信があったのだろう。変わらない反応に逆にリアラが驚いてしまった。
「…私は神の御使い、天使だからな」
クラトスが立ち上がる。踏み締める地からは光が立ち上り、彼の背には美しい蒼の翼が広がる。
光を放つそれは闇の中で輝いており、まるで煌めくサファイアのような蒼と瞬きだった。
思わずリアラは感嘆の息をもらす
。 「…間違った表現かもしれんが。私が仕えるのは神ではなく、れっきとした一人の人間だからな」
──人間、か。これも間違った表現だな。
私が仕える人物…ミトス・ユグドラシルは人間ではなく、ハーフエルフなのだから。
翼をはためかせたまま、彼は自嘲した。
「そうなんですか…何か私達、似てるかもしれませんね」
「フ…そうかもしれんな…」
クラトスが笑った。衝撃だった。
「…何か可笑しいことをしただろうか?」
「ふふっ、いーえ。何も」
いぶかしげるクラトスを尻目に、クスクスと笑うリアラ。それを再びいぶかしげるクラトス。
リアラは初めて覚えたクラトスへの親近感で、今までのとっつき難さが一気に薄くなったような気がした。
思わず微笑みが零れる。
本当は、この人は不器用なだけなんだろうなぁ、と。
ジューダスと似ているなぁ、と。
安心からか、小さくリアラの腹の音が鳴った。
「…そういえば時間も時間か。食事にするか?」
「そうですね。お腹空いちゃいました」
支給袋から取り出したパンを食べながら、リアラはぽつりと呟く。
「──…ありがとう」
その言葉の意味がどういうものなのかはリアラしか分からないが、クラトスはまた、笑った。
「私? そうですね…いない、のかな」
自分に治癒術をかけながら問い掛ける。
しかし曖昧な返事をクラトスは不思議に思った。いる、いないにしろ、はっきりと答えられる質問だと思ったからだ。
いるのなら即答できるだろうし、いないのなら言葉に詰まるなり何なりなるだろう。
リアラの答えは両方とも違った。
その答えの意味が彼女自身から語られる。
「私は聖女…神の化身ですから」
「…それはまた随分と大層なものだな」
「驚かないんですか?」
リアラは、流石のクラトスも驚かせられるという自信があったのだろう。変わらない反応に逆にリアラが驚いてしまった。
「…私は神の御使い、天使だからな」
クラトスが立ち上がる。踏み締める地からは光が立ち上り、彼の背には美しい蒼の翼が広がる。
光を放つそれは闇の中で輝いており、まるで煌めくサファイアのような蒼と瞬きだった。
思わずリアラは感嘆の息をもらす
。 「…間違った表現かもしれんが。私が仕えるのは神ではなく、れっきとした一人の人間だからな」
──人間、か。これも間違った表現だな。
私が仕える人物…ミトス・ユグドラシルは人間ではなく、ハーフエルフなのだから。
翼をはためかせたまま、彼は自嘲した。
「そうなんですか…何か私達、似てるかもしれませんね」
「フ…そうかもしれんな…」
クラトスが笑った。衝撃だった。
「…何か可笑しいことをしただろうか?」
「ふふっ、いーえ。何も」
いぶかしげるクラトスを尻目に、クスクスと笑うリアラ。それを再びいぶかしげるクラトス。
リアラは初めて覚えたクラトスへの親近感で、今までのとっつき難さが一気に薄くなったような気がした。
思わず微笑みが零れる。
本当は、この人は不器用なだけなんだろうなぁ、と。
ジューダスと似ているなぁ、と。
安心からか、小さくリアラの腹の音が鳴った。
「…そういえば時間も時間か。食事にするか?」
「そうですね。お腹空いちゃいました」
支給袋から取り出したパンを食べながら、リアラはぽつりと呟く。
「──…ありがとう」
その言葉の意味がどういうものなのかはリアラしか分からないが、クラトスはまた、笑った。
ロイド、無事か?
私はまだ生き長らえている。
今はリアラという娘と共に行動している。
心配はするな。
ロイド…私はお前に、父として何もしてやれていない。
アンナも駄目な父親だと情けなく思っているだろう。
私自身、思っている。
だから私は生きて…父としてお前を守ってやりたいと思う。
だからお前は生きろ…ロイド。
私はまだ生き長らえている。
今はリアラという娘と共に行動している。
心配はするな。
ロイド…私はお前に、父として何もしてやれていない。
アンナも駄目な父親だと情けなく思っているだろう。
私自身、思っている。
だから私は生きて…父としてお前を守ってやりたいと思う。
だからお前は生きろ…ロイド。
【リアラ 生存確認】
状態:リラックス
所持品:ロリポップ ??? ???
第一行動方針:カイルを探す
第二行動方針:避けられない戦いは戦う
状態:リラックス
所持品:ロリポップ ??? ???
第一行動方針:カイルを探す
第二行動方針:避けられない戦いは戦う
【クラトス 生存確認】
状態:全身、特に足元に中程度の火傷、TP消費(小)
所持品:マテリアルブレード(フランベルジュ使用) ??? ???
第一行動方針:リアラと行動しカイルを探す
第二行動方針:ロイドのことが気になる
現在地:F2森
状態:全身、特に足元に中程度の火傷、TP消費(小)
所持品:マテリアルブレード(フランベルジュ使用) ??? ???
第一行動方針:リアラと行動しカイルを探す
第二行動方針:ロイドのことが気になる
現在地:F2森