静
二人の間に、冷え冷えとした緊迫の空気が流れる。
銀髪の剣士ヴェイグは、もう片方の金色の髪の男ダオスを、ジッと睨みつけたまま微動だにしない。
彼は、男の言葉の真意を窺っていた。
あれほどの実力を持ちながら、戦いを忌避するかのようなその言葉。
ヴェイグは、もちろん最初のときにダオスがミクトランに対して立ち向かった姿を見ていた。
その強さの程も判っている。だが、だからといって逃げようなどということは頭に無かった。
彼は、既にダオスを殺す方法を考えていた。
遠距離で戦うわけにはいかない。彼の術の凄さは知っている。
だからこそ先ほどは懐に飛び込んでの接近戦を挑んだのだが、拳闘の技術も並外れていた。
そうなれば………
彼は静かに、全てを凍てつかせる氷のフォルスを解放した。
蒼い、闘気にも似たオーラがヴェイグの身体を包む。
その姿を見て、ダオスも彼の意思を理解した。
戦いを避けることは出来ないのか……
もう何度思ったか判らない思いを再び抱きながら。
銀髪の剣士ヴェイグは、もう片方の金色の髪の男ダオスを、ジッと睨みつけたまま微動だにしない。
彼は、男の言葉の真意を窺っていた。
あれほどの実力を持ちながら、戦いを忌避するかのようなその言葉。
ヴェイグは、もちろん最初のときにダオスがミクトランに対して立ち向かった姿を見ていた。
その強さの程も判っている。だが、だからといって逃げようなどということは頭に無かった。
彼は、既にダオスを殺す方法を考えていた。
遠距離で戦うわけにはいかない。彼の術の凄さは知っている。
だからこそ先ほどは懐に飛び込んでの接近戦を挑んだのだが、拳闘の技術も並外れていた。
そうなれば………
彼は静かに、全てを凍てつかせる氷のフォルスを解放した。
蒼い、闘気にも似たオーラがヴェイグの身体を包む。
その姿を見て、ダオスも彼の意思を理解した。
戦いを避けることは出来ないのか……
もう何度思ったか判らない思いを再び抱きながら。
氷のフォルスが、ヴェイグの持つ剣に集まる。
彼の獲物は、水の属性を帯びた短剣チンクエデア。
その短い刃では、どうしても本来の大剣を用いた剣技を活かせない。
それを補うのが、彼の持つフォルスであった。
チンクエデアが、フォルスを受けて氷の剣と化す。
その氷は見る見るうちに巨大なものになり、グレートソードほどの大きさにまで膨らんだ。
スッ、と音もなくその巨大な剣を振るう。数歩先の地面がその冷気の風を受けてたちまちに凍える。
ヴェイグは凍った表情のまま、本来の構えで大剣をダオスに向けた。
彼の獲物は、水の属性を帯びた短剣チンクエデア。
その短い刃では、どうしても本来の大剣を用いた剣技を活かせない。
それを補うのが、彼の持つフォルスであった。
チンクエデアが、フォルスを受けて氷の剣と化す。
その氷は見る見るうちに巨大なものになり、グレートソードほどの大きさにまで膨らんだ。
スッ、と音もなくその巨大な剣を振るう。数歩先の地面がその冷気の風を受けてたちまちに凍える。
ヴェイグは凍った表情のまま、本来の構えで大剣をダオスに向けた。
ヴェイグがダオスに向かって駆ける。
「ハァッ!!」
冷気の剣が、縦に振られる。
それをかわすダオス。
大地に叩きつけられた剣が、地を凍らせる。
そのまま、ヴェイグは横に薙いだ。
氷の剣の腹が、ダオスを襲う。
咄嗟に腕で防いだが、その腕を更に凍結が襲う。
「クッ!」
不味い。そう思うが早いかバックステップで距離を離す。
そこをヴェイグは一気に詰めた。
速度を殺さぬまま、ヴェイグが放つ瞬速の三連突きがダオスに肉薄した。
「ハァッ!!」
冷気の剣が、縦に振られる。
それをかわすダオス。
大地に叩きつけられた剣が、地を凍らせる。
そのまま、ヴェイグは横に薙いだ。
氷の剣の腹が、ダオスを襲う。
咄嗟に腕で防いだが、その腕を更に凍結が襲う。
「クッ!」
不味い。そう思うが早いかバックステップで距離を離す。
そこをヴェイグは一気に詰めた。
速度を殺さぬまま、ヴェイグが放つ瞬速の三連突きがダオスに肉薄した。
だが、ダオスはその出鼻を崩すかのように手刀で薙ぎ払った。
魔力を帯びた魔人の手刀は、そこらの剣よりも遥かに強い。
氷でコートされたその大剣が易々と砕かれ、衝撃がヴェイグを襲う。
その隙を好機とみたダオスは、踊るように拳打を加えた。
右、左、ハイキック、振り下ろしの蹴り。
流れる動きで打撃を受け、ヴェイグの身体が宙を舞った。
魔力を帯びた魔人の手刀は、そこらの剣よりも遥かに強い。
氷でコートされたその大剣が易々と砕かれ、衝撃がヴェイグを襲う。
その隙を好機とみたダオスは、踊るように拳打を加えた。
右、左、ハイキック、振り下ろしの蹴り。
流れる動きで打撃を受け、ヴェイグの身体が宙を舞った。
吹き飛び、倒れこむヴェイグ。だが意識ははっきりとしている。
少し深追いしすぎたか……思った以上にあの男は強い。
ヴェイグは自分の焦りからの拙攻を恥じた。
氷は砕かれたが、あの程度ならまだ幾らでも再生できる。
起き上がりながら、袋からアップルグミを取り出して、口に放る。
先ほどの連続攻撃によって失った体力が、ジワッと戻っていくのを実感する。
そんな姿を見て、ダオスは悲しみを帯びた口調で言葉をかけた。
「無駄だ……もはや貴様が戦うことは出来まい」
立ち上がる自分が見えていないのか?
ヴェイグには、すぐにはダオスの言葉が理解できなかった。
その言葉の意味を知ったのは、足を立たせようとしたときのこと。
少し深追いしすぎたか……思った以上にあの男は強い。
ヴェイグは自分の焦りからの拙攻を恥じた。
氷は砕かれたが、あの程度ならまだ幾らでも再生できる。
起き上がりながら、袋からアップルグミを取り出して、口に放る。
先ほどの連続攻撃によって失った体力が、ジワッと戻っていくのを実感する。
そんな姿を見て、ダオスは悲しみを帯びた口調で言葉をかけた。
「無駄だ……もはや貴様が戦うことは出来まい」
立ち上がる自分が見えていないのか?
ヴェイグには、すぐにはダオスの言葉が理解できなかった。
その言葉の意味を知ったのは、足を立たせようとしたときのこと。
足が、動かなかった。
驚くヴェイグ。初めて表情を変え、足のほうを振り向く。
徐々に足が、色を失っていく。
もしヴェイグがダオスと同じ世界の住人なら、これが石化という現象であるとすぐに理解できたであろう。
だが、このような束縛を行う術はヴェイグの世界には全く存在しない。
だからこそ、ヴェイグはこの異常事態に恐怖した。
「………ぐっ……貴様ァ!」
ダオスに吼えるヴェイグ。
だが、石化は無慈悲にもヴェイグの身体をジワジワと石に変えていく。
「…………無益な」
吐き捨てるように言い残し、ダオスは踵を返して森の暗闇に溶けて消えた。
何度かの絶叫が辺りに響いたが、その後は静寂が支配した。
徐々に足が、色を失っていく。
もしヴェイグがダオスと同じ世界の住人なら、これが石化という現象であるとすぐに理解できたであろう。
だが、このような束縛を行う術はヴェイグの世界には全く存在しない。
だからこそ、ヴェイグはこの異常事態に恐怖した。
「………ぐっ……貴様ァ!」
ダオスに吼えるヴェイグ。
だが、石化は無慈悲にもヴェイグの身体をジワジワと石に変えていく。
「…………無益な」
吐き捨てるように言い残し、ダオスは踵を返して森の暗闇に溶けて消えた。
何度かの絶叫が辺りに響いたが、その後は静寂が支配した。
【ダオス 生存確認】
所持品:エメラルドリング
現在位置:B7の森林地帯
状態:TP消費(小) 冷静
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:敵は殺す
所持品:エメラルドリング
現在位置:B7の森林地帯
状態:TP消費(小) 冷静
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:敵は殺す
【ヴェイグ 生存確認】
所持品:スティレット チンクエデア グミセット(パイン、ミラクル)
現在位置:B7の森林地帯
状態:TP消費(小) 右肩に裂傷 石化(時間による状態悪化・改善なし)
所持品:スティレット チンクエデア グミセット(パイン、ミラクル)
現在位置:B7の森林地帯
状態:TP消費(小) 右肩に裂傷 石化(時間による状態悪化・改善なし)