I should...
サレが移動してから、結構な時間が過ぎた。
その間クレスは、これまでのこと、そしてこれからのことについて改めて検討をしていた。
依然として寝ているコレットの体調は思わしくないが、今は落ち着いている。
その間クレスは、これまでのこと、そしてこれからのことについて改めて検討をしていた。
依然として寝ているコレットの体調は思わしくないが、今は落ち着いている。
「クレスさん・・・」
いつの間にかコレットが目を覚ましていた。
上半身を起こし、座ったような体勢で元気の無い顔で声を出す。
「大丈夫?」
クレスもまた片膝を付いて座ったまま、少女に声をかける。
「えと、はい、だいぶよくなりました・・・」
目を合わせずにそう答える。
どうやらまだ悪いらしいとクレスは思った。
「あの、さっきは、ありがとうございました」
さっきというのはクレス達が赤鬼と青鬼に襲われた時の話である。
あの時、確かにクレスとサレは戦い、コレットを守った。
「ああ、君が無事で何よりだよ」
出来るだけの笑みを浮かべて、クレスはそう答えた。
いつの間にかコレットが目を覚ましていた。
上半身を起こし、座ったような体勢で元気の無い顔で声を出す。
「大丈夫?」
クレスもまた片膝を付いて座ったまま、少女に声をかける。
「えと、はい、だいぶよくなりました・・・」
目を合わせずにそう答える。
どうやらまだ悪いらしいとクレスは思った。
「あの、さっきは、ありがとうございました」
さっきというのはクレス達が赤鬼と青鬼に襲われた時の話である。
あの時、確かにクレスとサレは戦い、コレットを守った。
「ああ、君が無事で何よりだよ」
出来るだけの笑みを浮かべて、クレスはそう答えた。
「あの・・・サレさんは?」
少女は周囲を見回し、不思議そうにそう尋ねた。
クレスは座ったまま首を回し、サレが消えていった方向を見やり、
「サレならさっき出て行ったよ。君の治療に役立つものを探しに」
とだけ言った。するとコレットがばっと顔を上げ、
「そんな!私、平気です!すぐにサレさんを呼び戻しに・・・」
立ち上がろうとするコレットを、クレスは制止した。
「もう遅すぎる、それにサレは長くても次の放送までには帰ってくる」
「次の放送って・・・」
コレットが時間を尋ね、クレスが今の時刻を言った。
「長いじゃないですか!そんな・・・誰かに襲われたら・・・」
「サレは大丈夫だよ。本人がそう言ってたし」
クレスは何故か煩わしそうにそう答えた。あまりサレについて喋りたくなかったのかもしれなかった。
コレットも黙り込み、沈黙が場を支配した。
少女は周囲を見回し、不思議そうにそう尋ねた。
クレスは座ったまま首を回し、サレが消えていった方向を見やり、
「サレならさっき出て行ったよ。君の治療に役立つものを探しに」
とだけ言った。するとコレットがばっと顔を上げ、
「そんな!私、平気です!すぐにサレさんを呼び戻しに・・・」
立ち上がろうとするコレットを、クレスは制止した。
「もう遅すぎる、それにサレは長くても次の放送までには帰ってくる」
「次の放送って・・・」
コレットが時間を尋ね、クレスが今の時刻を言った。
「長いじゃないですか!そんな・・・誰かに襲われたら・・・」
「サレは大丈夫だよ。本人がそう言ってたし」
クレスは何故か煩わしそうにそう答えた。あまりサレについて喋りたくなかったのかもしれなかった。
コレットも黙り込み、沈黙が場を支配した。
「あの・・・」
しばらく後、再びコレットがクレスに話しかけた。
「どうしたんだい?」
さほど興味無げにクレスは聞き返した。
「・・・あの時、私が、その・・・撃たれた後・・・」
少女は言葉を出すのを躊躇っているようだった。
それもそうだ。少女を撃ったのは、少女の仲間だったのだから。
しばらく後、再びコレットがクレスに話しかけた。
「どうしたんだい?」
さほど興味無げにクレスは聞き返した。
「・・・あの時、私が、その・・・撃たれた後・・・」
少女は言葉を出すのを躊躇っているようだった。
それもそうだ。少女を撃ったのは、少女の仲間だったのだから。
あの時のコレットはとても嬉しそうだった。仲間を見つけて、純粋に喜んでいた。
あれは私の仲間です、そうクレスに言って走り出した少女。
その直後にその仲間から撃たれた少女。
そして、その仲間もまた・・・
あれは私の仲間です、そうクレスに言って走り出した少女。
その直後にその仲間から撃たれた少女。
そして、その仲間もまた・・・
「私、あの辺のこと、ぼんやりとしか覚えてないんですけど、なんだかすごく大きな音がして・・・恐い人達が来て・・・」
あの時、ばらばらになった女性の死体を、コレットは見ていないはずだった。
だがあの状況、少し考えればその女性の身に何かあったことはすぐ分かることだった。
「しいなは・・・もしかして・・・」
クレスは黙っていた。
目の前に居るこの少女の仲間、それが無残に死んでしまったことを自分の口から告げることは少し辛いことだった。
しかしもうすぐかかるだろう放送で、どっちみち知ることになる。
ならば躊躇う必要は無い。そう結論付けた。
「・・・そう、死んだよ、彼女は」
感情の篭らない声でクレスはそう言った。
少女は別段驚くわけでもなく、ただ顔をうなだれてその死を受け入れている様だった。
「そう、なんですね、やっぱり・・・」
「あの二人、マグニスというやつと、もう一人青髪の男にやられたんだ」
「知ってます・・・マグニスは、私達の世界の人だから」
クレスは黙ってコレットの言葉を聞いていた。
少女は少し言葉を切った後、続けて話し出した。
「私達の世界でも、しいなは、私を殺そうとしてたんです」
クレスは少し驚き、少女の顔を見つめる。
コレットは目を伏せながら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「しいなは、自分達の世界を守ろうとして・・・神子だった私を、殺そうとしたんです・・・」
「・・・」
「それでも最後は分かり合えて、仲間として一緒に旅をしてきたんです」
「・・・」
「でも、さっきのしいなは・・・しいなは・・・」
そこで言葉が途切れた。段々涙声になっている。
「なんで、しいな・・・私を・・・」
クレスの目に、涙を堪える少女の姿が見えた。
彼は少女を見つめたまま、ゆっくりと立ち上がった。
あの時、ばらばらになった女性の死体を、コレットは見ていないはずだった。
だがあの状況、少し考えればその女性の身に何かあったことはすぐ分かることだった。
「しいなは・・・もしかして・・・」
クレスは黙っていた。
目の前に居るこの少女の仲間、それが無残に死んでしまったことを自分の口から告げることは少し辛いことだった。
しかしもうすぐかかるだろう放送で、どっちみち知ることになる。
ならば躊躇う必要は無い。そう結論付けた。
「・・・そう、死んだよ、彼女は」
感情の篭らない声でクレスはそう言った。
少女は別段驚くわけでもなく、ただ顔をうなだれてその死を受け入れている様だった。
「そう、なんですね、やっぱり・・・」
「あの二人、マグニスというやつと、もう一人青髪の男にやられたんだ」
「知ってます・・・マグニスは、私達の世界の人だから」
クレスは黙ってコレットの言葉を聞いていた。
少女は少し言葉を切った後、続けて話し出した。
「私達の世界でも、しいなは、私を殺そうとしてたんです」
クレスは少し驚き、少女の顔を見つめる。
コレットは目を伏せながら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「しいなは、自分達の世界を守ろうとして・・・神子だった私を、殺そうとしたんです・・・」
「・・・」
「それでも最後は分かり合えて、仲間として一緒に旅をしてきたんです」
「・・・」
「でも、さっきのしいなは・・・しいなは・・・」
そこで言葉が途切れた。段々涙声になっている。
「なんで、しいな・・・私を・・・」
クレスの目に、涙を堪える少女の姿が見えた。
彼は少女を見つめたまま、ゆっくりと立ち上がった。
それがこのゲームのルールなのだと、彼はコレットに言ってしまいたかった。
しかしそれは言えない。今の自分にそれを言う資格は無い。
徒党を組み、守るために戦ってしまった自分は、自分達はルールに反している。
先程出会った男、女、そしてあの二人は殺し合いに乗ったのか。
やはりこのゲームでは自分以外の者を殺すしかないのか。
生き残るためなら戦いも辞さないのか。
だが・・・
しかしそれは言えない。今の自分にそれを言う資格は無い。
徒党を組み、守るために戦ってしまった自分は、自分達はルールに反している。
先程出会った男、女、そしてあの二人は殺し合いに乗ったのか。
やはりこのゲームでは自分以外の者を殺すしかないのか。
生き残るためなら戦いも辞さないのか。
だが・・・
「やっぱり、私達、甘いのかな。みんな、私達を殺そうとするのかな・・・」
顔を地面に向け、微かに震えながら、自身の内情を吐露するように、コレットは言葉を発する。
仲間に撃たれ、仲間が死んだことはこの純粋無垢な少女には過酷なことなのだった。
ふと、下を向くコレットの頭に誰かの手が乗せられた。
沈んだ表情のまま顔を上げる。
いつの間にかクレスが少女の傍らに寄り、頭を撫でていた。
「大丈夫」
クレスはそう言い、微笑んだ。
コレットは上目遣いに彼の顔を覗き込み、そのまま動かずに居た。
顔を地面に向け、微かに震えながら、自身の内情を吐露するように、コレットは言葉を発する。
仲間に撃たれ、仲間が死んだことはこの純粋無垢な少女には過酷なことなのだった。
ふと、下を向くコレットの頭に誰かの手が乗せられた。
沈んだ表情のまま顔を上げる。
いつの間にかクレスが少女の傍らに寄り、頭を撫でていた。
「大丈夫」
クレスはそう言い、微笑んだ。
コレットは上目遣いに彼の顔を覗き込み、そのまま動かずに居た。
大丈夫?何が?
クレスの頭に疑問がよぎった。
仲間と合流することか?
その仲間に彼女は撃たれたのに?
生きて無事に脱出することか?
いや、何度も検討したことだ。それでは死人は戻らない。
自分も、少女も、まだ見ぬ多くの者も悲しんだままだ。
全てをあるべき姿に戻すには、やはり最後まで生き残り願いを叶えるしかない。
ここまで理不尽なことが出来る主催者だ、願いを叶えることが出来るのは信じていいだろう。
ではやはり殺すしかないのか。
今にせよ、この先にせよ、自分は裏切り者の汚名を被り、仲間を皆殺しにするのか。
いつかそうせざるをえない時が来る。そんな、気がする。
しかし・・・
クレスの頭に疑問がよぎった。
仲間と合流することか?
その仲間に彼女は撃たれたのに?
生きて無事に脱出することか?
いや、何度も検討したことだ。それでは死人は戻らない。
自分も、少女も、まだ見ぬ多くの者も悲しんだままだ。
全てをあるべき姿に戻すには、やはり最後まで生き残り願いを叶えるしかない。
ここまで理不尽なことが出来る主催者だ、願いを叶えることが出来るのは信じていいだろう。
ではやはり殺すしかないのか。
今にせよ、この先にせよ、自分は裏切り者の汚名を被り、仲間を皆殺しにするのか。
いつかそうせざるをえない時が来る。そんな、気がする。
しかし・・・
飛んだ意識が現実に戻り、視界に映る少女を見つめる。
涙を浮かべて子犬の様に震える少女の姿を目の当たりにすると、そんな考えもどこかへ行ってしまった。
「君は、僕が守る」
気が付いた時、クレスはそう言っていた。
それは彼の本心から出た言葉か、少女を安心させる為に出した、取り繕いの言葉かは分からなかった。
ただコレットは目を閉じて力なく少し笑って、浮かんだ涙を手で擦った。
「うん・・・」
「サレが戻ってくるまで、もう一回休んでるといいよ。まだ傷が痛んでるはずだ」
「うん・・・」
少女は小さく頷いた。
傷が治りきらない内に無理して起き上がったので、また体調が悪くなった様だった。
再び少女は横になった。
涙を浮かべて子犬の様に震える少女の姿を目の当たりにすると、そんな考えもどこかへ行ってしまった。
「君は、僕が守る」
気が付いた時、クレスはそう言っていた。
それは彼の本心から出た言葉か、少女を安心させる為に出した、取り繕いの言葉かは分からなかった。
ただコレットは目を閉じて力なく少し笑って、浮かんだ涙を手で擦った。
「うん・・・」
「サレが戻ってくるまで、もう一回休んでるといいよ。まだ傷が痛んでるはずだ」
「うん・・・」
少女は小さく頷いた。
傷が治りきらない内に無理して起き上がったので、また体調が悪くなった様だった。
再び少女は横になった。
最後まで生き残ると決めたのに、彼女を守る?
矛盾したことだった。いや、それは彼自身分かっていた。
だが自分が何をすべきか、最終的にどうありたいか、それが時々分からなくなっていた。
クレスもまた、少しずつ精神が壊れ始めていた。
矛盾したことだった。いや、それは彼自身分かっていた。
だが自分が何をすべきか、最終的にどうありたいか、それが時々分からなくなっていた。
クレスもまた、少しずつ精神が壊れ始めていた。
【クレス 生存確認】
所持品:ダマスクスソード バクショウダケ
状態:左手に銃創(止血) TP消費(微小)
第一行動方針:コレットを守る
第二行動方針:コレット、サレと行動
第三行動方針:最後まで生き残る
現在位置:F3の森
所持品:ダマスクスソード バクショウダケ
状態:左手に銃創(止血) TP消費(微小)
第一行動方針:コレットを守る
第二行動方針:コレット、サレと行動
第三行動方針:最後まで生き残る
現在位置:F3の森
【コレット 生存確認】
所持品:忍刀血桜 手枷
状態:右肩に銃創(止血)、発熱 TP消費(微少)
第一行動方針:サレ、クレスと行動
第二行動方針:ロイド達と合流
現在位置:F3の森
所持品:忍刀血桜 手枷
状態:右肩に銃創(止血)、発熱 TP消費(微少)
第一行動方針:サレ、クレスと行動
第二行動方針:ロイド達と合流
現在位置:F3の森