少女と野獣と王子様
コレットの気が付いた時、そこは既に屋外ではなかった。
暗くよどんだ空気。
記憶が混乱して、話が前後する。
本能的に警戒信号が発令され、痛む頭を巡らせた。
「ここは…?」
「お?起きたか」
小さな呟きを捉え、体駆の大きな男憶のフィルムが繋がる。
反射的に逃げようとして、自らの異変に気付く。
「……?」
動けない。
今更、自分が倒れてすらいなかった事に思い至った。
慌てて自分と、周りを見渡す。
両手は拘束。
どこかで見たような手枷が己の両手首を戒め、壁に突き出た金具にひっかけられている。
要するに、床に座り込み両手を上げた状態。
何故こんなに都合良く金具なんて有るのか。
答えは意外とすぐに見付かった。
視界に入る壁々は、一定の間隔毎に金具がついていた。
そして、それらには重々しい武器やら鎖に連なる鉄球、金具がそのまま拘束具となっていたり。
「ここがどこだか解るか?」
コングマンが、ひどく楽し気に言った。
コレッととて馬鹿ではない。
予感は、確信に変わる。
暗くよどんだ空気。
記憶が混乱して、話が前後する。
本能的に警戒信号が発令され、痛む頭を巡らせた。
「ここは…?」
「お?起きたか」
小さな呟きを捉え、体駆の大きな男憶のフィルムが繋がる。
反射的に逃げようとして、自らの異変に気付く。
「……?」
動けない。
今更、自分が倒れてすらいなかった事に思い至った。
慌てて自分と、周りを見渡す。
両手は拘束。
どこかで見たような手枷が己の両手首を戒め、壁に突き出た金具にひっかけられている。
要するに、床に座り込み両手を上げた状態。
何故こんなに都合良く金具なんて有るのか。
答えは意外とすぐに見付かった。
視界に入る壁々は、一定の間隔毎に金具がついていた。
そして、それらには重々しい武器やら鎖に連なる鉄球、金具がそのまま拘束具となっていたり。
「ここがどこだか解るか?」
コングマンが、ひどく楽し気に言った。
コレッととて馬鹿ではない。
予感は、確信に変わる。
──拷問部屋。
「私を…どうするつもりですか!」
怯んではいけない。
クレスを守りたい一心に抗いこそはしなかったが、素直に殺されるわけにはいかない。
まだ、ロイドにだって会えていないのだ。
語気を強め、キッと睨みつける。
それが、ますます彼の嗜虐心を扇るなどと、コレットは知らない。
「さぁ…どうしてやろうか」
彼の目が獣、いや、モンスターのようにギラリと光る。
「…うぁッ!?」
いきなり、屈強な手に首を掴まれ、気道が塞がれた。
「っ…く、…ぁ…っ」
コレットの細い首は、折れるのではないかと危惧するほどに締め付けられる。
目を見開いて、口をぱくぱくさせて酸素を求める姿。
それを見て、男は恍惚と目を細める。
怯んではいけない。
クレスを守りたい一心に抗いこそはしなかったが、素直に殺されるわけにはいかない。
まだ、ロイドにだって会えていないのだ。
語気を強め、キッと睨みつける。
それが、ますます彼の嗜虐心を扇るなどと、コレットは知らない。
「さぁ…どうしてやろうか」
彼の目が獣、いや、モンスターのようにギラリと光る。
「…うぁッ!?」
いきなり、屈強な手に首を掴まれ、気道が塞がれた。
「っ…く、…ぁ…っ」
コレットの細い首は、折れるのではないかと危惧するほどに締め付けられる。
目を見開いて、口をぱくぱくさせて酸素を求める姿。
それを見て、男は恍惚と目を細める。
──…まだ、殺さねぇ。
玩具をすぐに手放す気はない。
もっともっと、いたぶってからで良い。
少女の目が生理的涙で潤み出す頃、ようやくコングマンは手を離した。
「…っ、げほっ…!」
喉を解放され、咳き込み、喘ぐように息をする。
口端から粘性のある雫が滴り、肩が激しく上下している。
白い肌は上気し、美しい金髪は乱れた。
それでも、濡れた瞳は決して命乞いをしない。
「…面白ぇ」
微かな呟きに、ビクリと肩が震える。
コレットはそれでも声を荒げた。
「私…はっ、まだ死ぬわけにはいかないんです!」
もっともっと、いたぶってからで良い。
少女の目が生理的涙で潤み出す頃、ようやくコングマンは手を離した。
「…っ、げほっ…!」
喉を解放され、咳き込み、喘ぐように息をする。
口端から粘性のある雫が滴り、肩が激しく上下している。
白い肌は上気し、美しい金髪は乱れた。
それでも、濡れた瞳は決して命乞いをしない。
「…面白ぇ」
微かな呟きに、ビクリと肩が震える。
コレットはそれでも声を荒げた。
「私…はっ、まだ死ぬわけにはいかないんです!」
──皆のためにも。
ぐっ、とこみあげてきた涙を堪える。
その台詞に益々邪悪にコングマンが笑み、舐めるように彼女を観察する。
そして、その首元に光る輝石に気付く。
「おい、これは何だ?」
「…っ!?触らないで下さ…っ!」
「やめろ!!」
怒声と、騒音。
不協和音が重装な扉を開く。
突然のそれに、二人の時が止まる。
先にその流れを取り戻したのはコレットだった。
コングマンの肩越しに、乱入者の姿を捉えた。
目をいっぱいに見開き、一筋涙が伝う。
「クレスさん…っ!」
その台詞に益々邪悪にコングマンが笑み、舐めるように彼女を観察する。
そして、その首元に光る輝石に気付く。
「おい、これは何だ?」
「…っ!?触らないで下さ…っ!」
「やめろ!!」
怒声と、騒音。
不協和音が重装な扉を開く。
突然のそれに、二人の時が止まる。
先にその流れを取り戻したのはコレットだった。
コングマンの肩越しに、乱入者の姿を捉えた。
目をいっぱいに見開き、一筋涙が伝う。
「クレスさん…っ!」
よかった。
生きていた。
本当によかった。
生きていた。
本当によかった。
その声に重なるように、コングマンが怒気露に振り向く。
「邪魔…」
クレスは静かに剣を構える。
「すんじゃねぇぇぇえっ!」
「やめてぇっ!」
コレットの悲痛な声とほぼ同時に、凄まじい勢いで巨体が牙を剥く。
クレスはすっと身を屈めると、突進してくる相手に向かって走る。
振り上げられた拳のすぐ下を抜け、コレットをかばうように立つ。
振り上げられた大きな拳は、重力に従って落ち、壁、床を破壊する。
ゆらり、と。
こちらを振り向いたコングマンは、怒りに震える。
「テメェ…っ」
狂鬼。
まさに、今の彼はそれそのものだ。
クレスは思う。
こんな時、仲間が…ミントがいてくれたら。
目は相変わらず相手を睨みつけたまま、コレットにだけ聞こえるようにそっと囁いた。
「…補助魔法は…使えるかい?」
「え…?あ、はい」
コレットは一瞬きょとんとし、すぐに頷く。
「お願いしていいかな?」
「え、でも―…」
攻撃の方でなくて良いのか、と口を開きかけ、
「邪魔…」
クレスは静かに剣を構える。
「すんじゃねぇぇぇえっ!」
「やめてぇっ!」
コレットの悲痛な声とほぼ同時に、凄まじい勢いで巨体が牙を剥く。
クレスはすっと身を屈めると、突進してくる相手に向かって走る。
振り上げられた拳のすぐ下を抜け、コレットをかばうように立つ。
振り上げられた大きな拳は、重力に従って落ち、壁、床を破壊する。
ゆらり、と。
こちらを振り向いたコングマンは、怒りに震える。
「テメェ…っ」
狂鬼。
まさに、今の彼はそれそのものだ。
クレスは思う。
こんな時、仲間が…ミントがいてくれたら。
目は相変わらず相手を睨みつけたまま、コレットにだけ聞こえるようにそっと囁いた。
「…補助魔法は…使えるかい?」
「え…?あ、はい」
コレットは一瞬きょとんとし、すぐに頷く。
「お願いしていいかな?」
「え、でも―…」
攻撃の方でなくて良いのか、と口を開きかけ、
「そっちの方が、疲れないと思うから。
それに…」
「いつまで余裕こいてんだぁっ!」
雄叫びにも近い声に、会話は遮断され。
「君は、出来たら人を傷付けたくないだろ?」
そして、ようやく彼女は僅かに表情を和らげて頷いた。
「……御許に…」
闘いの気迫に掻き消される、小さな声。
クレスは剣を構え。
途端コングマンが再び向かってくる。
とっさに横に飛ぶと、振り下ろす拳は不意に止まってよろけた。
どうやらコレットに当てる気は無いらしい。
よろけたその筋肉に、ダマスクスソードを鋭く突き出す。
「秋沙雨!!」
「…っ!」
何も着ていない上半身に、致命傷にはならない裂傷がいくつも出来る。
「利くかぁっ!!」
痛みを無視するように、太い腕で薙払うように一閃。
弾かれた剣が、それを持つ手が、ビリビリと震える。
コングマンが肉薄し、間合いに入り込み、
それに…」
「いつまで余裕こいてんだぁっ!」
雄叫びにも近い声に、会話は遮断され。
「君は、出来たら人を傷付けたくないだろ?」
そして、ようやく彼女は僅かに表情を和らげて頷いた。
「……御許に…」
闘いの気迫に掻き消される、小さな声。
クレスは剣を構え。
途端コングマンが再び向かってくる。
とっさに横に飛ぶと、振り下ろす拳は不意に止まってよろけた。
どうやらコレットに当てる気は無いらしい。
よろけたその筋肉に、ダマスクスソードを鋭く突き出す。
「秋沙雨!!」
「…っ!」
何も着ていない上半身に、致命傷にはならない裂傷がいくつも出来る。
「利くかぁっ!!」
痛みを無視するように、太い腕で薙払うように一閃。
弾かれた剣が、それを持つ手が、ビリビリと震える。
コングマンが肉薄し、間合いに入り込み、
コレットは慌てていた。
早く呪文を唱えねばと。
早く力にならねばと。
迷惑をかけたくないからだ。
そして彼女は忘れていた。
自分が、とてつもないドジっ娘だという事を。
結果。
早く呪文を唱えねばと。
早く力にならねばと。
迷惑をかけたくないからだ。
そして彼女は忘れていた。
自分が、とてつもないドジっ娘だという事を。
結果。
「ホーリージャッジメント!!」
詠唱を間違えていた事に、発動してから気付く。
唇が勝手に、慣れない呪文を形づくり。
「ぐわあぁッ!!」
数多の光が殺傷力を持ち、聖なる光線となってコングマンの右肩、太股、手の甲を貫いた。
クレスは目を瞬く。
これが補助魔法だというのか?
恐る恐るコレットを見、一番驚いているのがどうやら彼女だと気付く。
コレットはぎこちなく笑って、
唇が勝手に、慣れない呪文を形づくり。
「ぐわあぁッ!!」
数多の光が殺傷力を持ち、聖なる光線となってコングマンの右肩、太股、手の甲を貫いた。
クレスは目を瞬く。
これが補助魔法だというのか?
恐る恐るコレットを見、一番驚いているのがどうやら彼女だと気付く。
コレットはぎこちなく笑って、
「間違えちゃった…?」
繕うように、舌を出した。
コングマンの殺気が、ゆらりと空気を震わせた。
コングマンの殺気が、ゆらりと空気を震わせた。
【クレス・アルベイン 生存確認】
状態:左手に銃創(止血)、TP消費(小) 冷静、静かな闘志
所持品:ダマスクスソード、バクショウダケ 、忍刀血桜
基本行動方針:仲間と最後まで生き残る
第一行動方針:コレットを救い出す
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
状態:左手に銃創(止血)、TP消費(小) 冷静、静かな闘志
所持品:ダマスクスソード、バクショウダケ 、忍刀血桜
基本行動方針:仲間と最後まで生き残る
第一行動方針:コレットを救い出す
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
【マイティ・コングマン 生存確認】
状態:HP1/4、右肩貫通、左大腿裂傷、左手の甲貫通、全身に小さな切傷、サディスティック、激情
所持品:レアガントレット、セレスティマント、手枷の鍵
基本行動方針:闘志のある者と闘い、倒す(強弱不問)
第一行動方針:コレットを虐めて愉しむ
第二行動方針:クレスを倒す
第三行動方針:出会った相手は倒す
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
状態:HP1/4、右肩貫通、左大腿裂傷、左手の甲貫通、全身に小さな切傷、サディスティック、激情
所持品:レアガントレット、セレスティマント、手枷の鍵
基本行動方針:闘志のある者と闘い、倒す(強弱不問)
第一行動方針:コレットを虐めて愉しむ
第二行動方針:クレスを倒す
第三行動方針:出会った相手は倒す
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
【コレット・ブルーネル 生存確認】
状態:TP半分、右肩に銃創(止血)、発熱、座り込み両手上げて手枷で拘束、気付いていないが大疲労
所持品:なし(コングマンにより鞄ごと没収)
基本行動方針:取り敢えず生き残る
第一行動方針:クレスを守る
第二行動方針:仲間(Sキャラ及びクレスとサレ)との合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
状態:TP半分、右肩に銃創(止血)、発熱、座り込み両手上げて手枷で拘束、気付いていないが大疲労
所持品:なし(コングマンにより鞄ごと没収)
基本行動方針:取り敢えず生き残る
第一行動方針:クレスを守る
第二行動方針:仲間(Sキャラ及びクレスとサレ)との合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋