ある朝の団欒
「ん? もう起きたのか? 眠っていていいと言った筈だが」
先ほどの会合から一時間程度後のこと。
ユアンが窓の外を向いたまま声をかける。相手はカトリーヌ。
「放送は6時ですから。聞けるときに聞いていたほうがいいと思いまして。
仕事の関係上、徹夜することもよくありますので、大丈夫です」
「覚悟はできたか? 一日でこの現実を受け入れろというのも酷なことだとは思うが」
「正直なところ、まだできていませんが、するしかありません」
「そうだな」
先ほどの会合から一時間程度後のこと。
ユアンが窓の外を向いたまま声をかける。相手はカトリーヌ。
「放送は6時ですから。聞けるときに聞いていたほうがいいと思いまして。
仕事の関係上、徹夜することもよくありますので、大丈夫です」
「覚悟はできたか? 一日でこの現実を受け入れろというのも酷なことだとは思うが」
「正直なところ、まだできていませんが、するしかありません」
「そうだな」
次に目をこすりながら入ってきたのはプリムラ。寝癖なのか、地なのか、頭のてっぺんが爆発している。
「ふぁぁあれれ…? みんな寝てると思ったのに。
グリッドはグリッドだし、カトリーヌはあからさまにこんな状況に慣れてなさそうだし
ユアンは大食らいでおまけに昨日あんなに寝てたし」
(プリムラさん、あなたは慣れているんですか…?)
(大食らい…。称号というのは恐ろしいものだな…)
「みんなの代わりに放送聞こうと思ってたけど、もうちょっと寝ててもよかったな。ま、もう起きたし、いいか」
「ふぁぁあれれ…? みんな寝てると思ったのに。
グリッドはグリッドだし、カトリーヌはあからさまにこんな状況に慣れてなさそうだし
ユアンは大食らいでおまけに昨日あんなに寝てたし」
(プリムラさん、あなたは慣れているんですか…?)
(大食らい…。称号というのは恐ろしいものだな…)
「みんなの代わりに放送聞こうと思ってたけど、もうちょっと寝ててもよかったな。ま、もう起きたし、いいか」
「やあ、みんな朝が早いな!」
最後に現れたのはグリッド。朝とは思えないほどの大声とテンションの高さである。
もしこの町に人がいれば、間違いなく怒鳴り込んできたことだろう。
結局、全員起きたのだ。
「本来リーダーであり勇者たるこの俺が真っ先に起きるべきなのだが、いやはや、みな早起きで頼もしい限りだ!」
「グリッドさん、いいから早くズボン履いてください。向こうにクローゼットがありますから」
しぶしぶズボンと履き、ついでにパンツを回収しにいくグリッド。
深夜の失禁事件のことも、悪の道からユアンを連れ戻すうんぬんとアレンジして、すべて話してあるのだ。
まだパンツは乾いてなかった。
最後に現れたのはグリッド。朝とは思えないほどの大声とテンションの高さである。
もしこの町に人がいれば、間違いなく怒鳴り込んできたことだろう。
結局、全員起きたのだ。
「本来リーダーであり勇者たるこの俺が真っ先に起きるべきなのだが、いやはや、みな早起きで頼もしい限りだ!」
「グリッドさん、いいから早くズボン履いてください。向こうにクローゼットがありますから」
しぶしぶズボンと履き、ついでにパンツを回収しにいくグリッド。
深夜の失禁事件のことも、悪の道からユアンを連れ戻すうんぬんとアレンジして、すべて話してあるのだ。
まだパンツは乾いてなかった。
「さて、まだ放送の時刻まで十数分ある! この時間を使って、作戦会議を行う!」
(珍しくまともだな)
いつにもまして、真剣な表情をするグリッド。
場の雰囲気もそれなりに真剣なものとなる。
「作戦は昨日伝えたが…様々な状況に応じた対応策、作戦をいくつか練っておくのも悪くはあるまい」
「対応策…。主催者サイドなりきり作戦とか?」
(珍しくまともだな)
いつにもまして、真剣な表情をするグリッド。
場の雰囲気もそれなりに真剣なものとなる。
「作戦は昨日伝えたが…様々な状況に応じた対応策、作戦をいくつか練っておくのも悪くはあるまい」
「対応策…。主催者サイドなりきり作戦とか?」
「いやいやいやいや、待ちたまえ! 確かにそれらの対応策も重要だが、
より重要な、漆黒の翼の根本にかかわることが残っているんだ! 本日の議題、それは…」
「「「それは?」」」
全員がグリッドに注目する。グリッドはもったいぶる。3秒。5秒。10秒。本日のお題は?
より重要な、漆黒の翼の根本にかかわることが残っているんだ! 本日の議題、それは…」
「「「それは?」」」
全員がグリッドに注目する。グリッドはもったいぶる。3秒。5秒。10秒。本日のお題は?
「プリムラの称号が決まっていない!!!!」
「「「……」」」
「「「……」」」
数秒時が止まった。グリッドは、ストップフロウを使えるのだ!
「で、どうします?」
「適当に付き合ってやればいいだろう」
「でも、適当に決めるのはよしてよね。あ、その菓子パンとこのパン交換してくれない?」
「適当に決めたとして、私の称号以上に不似合いなものは出まい。すまん、もう齧った。他を当たってくれ」
「それにしても、音速の貴公子以外は、称号というよりもむしろ二つ名ですよね。あ、このパンと交換します?」
「適当に付き合ってやればいいだろう」
「でも、適当に決めるのはよしてよね。あ、その菓子パンとこのパン交換してくれない?」
「適当に決めたとして、私の称号以上に不似合いなものは出まい。すまん、もう齧った。他を当たってくれ」
「それにしても、音速の貴公子以外は、称号というよりもむしろ二つ名ですよね。あ、このパンと交換します?」
場のムードは会議ムードから一転、朝食ムードに入る。
放送後では、喉を通らないかもしれないから、先に食べておこうということでもある。
各自がパンや水を取り出す。ちなみに、パンの賞味期限は6日後だったり7日後だったりする。
放送後では、喉を通らないかもしれないから、先に食べておこうということでもある。
各自がパンや水を取り出す。ちなみに、パンの賞味期限は6日後だったり7日後だったりする。
グリッドだけは真面目に会議を続ける。
「さあ、みんなもどんどん意見を出してくれ!」
「恥ずかしくない称号…。疾風とか烈風とか烈斬とか、実力に合わないものを付けられても恥ずかしいだけですよね。
私はもう慣れましたし、いいんですが…」
「お、さすが大学公認馬鹿ップル片割れ。私も早く…って、今はそんな話をしている場合じゃあないか。
グリッド、無理しなくていいよ。私は称号無しでいいから」
「あの男にそれが通じないのは知っているだろう。おかしな称号が付く前に、さっさと決めてしまうに限る」
「さあ、みんなもどんどん意見を出してくれ!」
「恥ずかしくない称号…。疾風とか烈風とか烈斬とか、実力に合わないものを付けられても恥ずかしいだけですよね。
私はもう慣れましたし、いいんですが…」
「お、さすが大学公認馬鹿ップル片割れ。私も早く…って、今はそんな話をしている場合じゃあないか。
グリッド、無理しなくていいよ。私は称号無しでいいから」
「あの男にそれが通じないのは知っているだろう。おかしな称号が付く前に、さっさと決めてしまうに限る」
結局、賛成派一名、妥協派一名、中立派一名、反対派一名と分かれた。
だが、食事は進む、されど会議は進まず。意見は出ない。
「なんだなんだ、意見が何も出ないじゃないか!」
結局、グリッド自身が提案することになった。
以下、会議における会話の流れである。
だが、食事は進む、されど会議は進まず。意見は出ない。
「なんだなんだ、意見が何も出ないじゃないか!」
結局、グリッド自身が提案することになった。
以下、会議における会話の流れである。
「なら、俺の案を出そう! 昨日一日を費やして考えた称号のひとつだ!」
(一日を費やして…?)
(一日を費やして…?)
「先決のプリムラなんてどうだ!?」
「筋肉男に殴られたとき、頭のねじでも飛んで行ったのか? そんな物騒な呼び方では、余計な警戒を招きかねんぞ」
「その前に、この私のどこを見て、鮮血なんて物騒な単語が出てくるのよ。却下!」
(先決…あながち間違っていないのでは?)
「筋肉男に殴られたとき、頭のねじでも飛んで行ったのか? そんな物騒な呼び方では、余計な警戒を招きかねんぞ」
「その前に、この私のどこを見て、鮮血なんて物騒な単語が出てくるのよ。却下!」
(先決…あながち間違っていないのでは?)
「ならば、激躍のプリムラというのはどうだ!?」
「劇薬って、なんか陰気臭そうよね。石鹸水のことを言ってるなら、刻んで混ぜるだけよ。ソーサラーリングは使ったけど
ほら、もっと華やかなのはない?」
「大体、なぜそう物騒な単語しか出てこないのだ?」
(劇薬? 激薬? …激躍?)
「劇薬って、なんか陰気臭そうよね。石鹸水のことを言ってるなら、刻んで混ぜるだけよ。ソーサラーリングは使ったけど
ほら、もっと華やかなのはない?」
「大体、なぜそう物騒な単語しか出てこないのだ?」
(劇薬? 激薬? …激躍?)
「仕方あるまい。候補を挙げるから、気に入ったものを選んでもらおう。
なお、以後の二人目の女性メンバーの称号となるので、慎重かつ大胆に頼むぞ。
ではいくぞ。先駆! 強運! 才華! 踊柔! 魔断! 兎等女! 討虐! 苦路慈示!」
「却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下!」
(プリムラさん、どんな勘違いをしてるのかしら…? 最後のほうは私にもわからないけれど。このパン美味しい♪)
なお、以後の二人目の女性メンバーの称号となるので、慎重かつ大胆に頼むぞ。
ではいくぞ。先駆! 強運! 才華! 踊柔! 魔断! 兎等女! 討虐! 苦路慈示!」
「却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下! 却下!」
(プリムラさん、どんな勘違いをしてるのかしら…? 最後のほうは私にもわからないけれど。このパン美味しい♪)
「はい」
「おや、大食らいのユアン。いい称号を思いついたか?」
「この際、大食らいという称号の変更も提案する」
「ナンバーツーは大食らいと決まっているのだ。悪いがそれはできない」
「そうか、いや、実に残念だ。では失禁のグリッドという称号を提案する」
「疾緊? なかなか引き締まった単語だが、残念ながらリーダーは代々音速の貴公子と決まっているのだ」
(引き締まったって、どういう解釈をしたんですか…?)
「私には、嫌味を言う才能は無いようだな…」
「おや、大食らいのユアン。いい称号を思いついたか?」
「この際、大食らいという称号の変更も提案する」
「ナンバーツーは大食らいと決まっているのだ。悪いがそれはできない」
「そうか、いや、実に残念だ。では失禁のグリッドという称号を提案する」
「疾緊? なかなか引き締まった単語だが、残念ながらリーダーは代々音速の貴公子と決まっているのだ」
(引き締まったって、どういう解釈をしたんですか…?)
「私には、嫌味を言う才能は無いようだな…」
「では仕方ない、誤解されそうで、多少自信がないが、メイタンテイというのはどうだ?」
「それよ!!! 名探偵! ピッタリよ!」
「最初に戻っただけじゃないんですか…?」
「よし、以後、二人目の女性は迷探偵で決定だな!」
「それよ!!! 名探偵! ピッタリよ!」
「最初に戻っただけじゃないんですか…?」
「よし、以後、二人目の女性は迷探偵で決定だな!」
迷探偵:迷える探偵。最善を尽くすために今日も行動に、思考に、感情に迷い続ける。
結局、会議で決まったことは、メイタンテイを正式に認めるということであった。
ちなみに、適当に付き合うと言っておきながら、割合みんなノリノリだったのは言うまでもない。
ちなみに、適当に付き合うと言っておきながら、割合みんなノリノリだったのは言うまでもない。
一方、こちら主催者。
「センケツ ゲキヤク センク キョウウン サイカ ヨウジュウ マダン ウラメ ウツギャク クロジシ メイタンテイ…
まさか暗号ではあるまいが…。考えていても埒が明かんな」
「センケツ ゲキヤク センク キョウウン サイカ ヨウジュウ マダン ウラメ ウツギャク クロジシ メイタンテイ…
まさか暗号ではあるまいが…。考えていても埒が明かんな」
【グリッド 生存確認】
所持品:無し
状態:ほぼ健康。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
所持品:無し
状態:ほぼ健康。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
【ユアン 生存確認】
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:健康、TPにまだ回復の余地あり
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:健康、TPにまだ回復の余地あり
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
【プリムラ 生存確認】
状態:健康
所持品:セイファートキー、ソーサラーリング、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
状態:健康
所持品:セイファートキー、ソーサラーリング、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
【カトリーヌ 生存確認】
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。生き延びる。
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。生き延びる。
現在地:G5の町