そして僕にできるコト
死闘の末、暴徒と化した闘士マイティ・コングマンを紙一重破った時空剣士クレス・アルベイン。
熾烈を極めたその闘いを決着へと導いたのは、神々により彼へと授けられた奥義・時空蒼破斬であった。
全てを裁く光の剣は空間をすら切り裂き、その爪痕には瓦礫の山そして大男の仁王立ちを遺した。
生命力を使い果たしたクレスは、奥義を放ったまま倒れたきり動かない。
決闘の主要因にしてただ一人の目撃者コレットは、野獣を討ち取りその使命を全うした騎士を見つめた。
尤も、彼の武勇は御伽物語に伝え聞くそれとは剰りに懸け離れた、血生臭い勝利であったが。
瞳に映る剣士は顔面をはじめ各所から脈々と血を流し、呼吸をするのがやっとの状態であった。
肩で息吐き、何度となく呼び掛け続けるコレット。
その声は彼に届く事無く、ただ彼女の度重なる疲労に拍車を懸けた。
諸手を拘束され、治療はおろか流れ出る血を止めてやる事すら叶わない。
時間だけが、無情に過ぎ去った。
クレスの顔は蒼白に沈み、その生命は風前の灯火である。
陽の当たらない荒く強張った床一面に広がった朱の池は、剥き出しの岩肌に徐々に呑まれていく。
その夥しい流血に、体内の血液がすべて失われてしまったのでは無いかとすら思えてくる。
力の限り叫ぶ度に、肩の傷が痺れるように痛んだ。
身体を包む熱が、体力を容赦無く蝕んだ。
それでも、彼女は悲痛な呼び掛けを止めなかった。
不意に、コレットは凍り付いたように静かになった。
彼女は気付いたのだ。
──彼は息をしていない
視界が、一気に暗転した。
無我夢中で彼の身体を揺するコレット。
立て膝に附いた足は小刻みに震え、ざらついた床との摩擦に堪え兼ね血を滴らせた。
熱と疲労とに侵食され尽くし、いよいよ意識が飛びそうになる。
彼女の意識を繋ぎ留めているのは、もはや彼を想う気力だけであった。
彼の顔色は蒼白から土気を帯びて黒ずんでくる。
彼が呼吸を止めてから、既に数分の時が過ぎていた。
熾烈を極めたその闘いを決着へと導いたのは、神々により彼へと授けられた奥義・時空蒼破斬であった。
全てを裁く光の剣は空間をすら切り裂き、その爪痕には瓦礫の山そして大男の仁王立ちを遺した。
生命力を使い果たしたクレスは、奥義を放ったまま倒れたきり動かない。
決闘の主要因にしてただ一人の目撃者コレットは、野獣を討ち取りその使命を全うした騎士を見つめた。
尤も、彼の武勇は御伽物語に伝え聞くそれとは剰りに懸け離れた、血生臭い勝利であったが。
瞳に映る剣士は顔面をはじめ各所から脈々と血を流し、呼吸をするのがやっとの状態であった。
肩で息吐き、何度となく呼び掛け続けるコレット。
その声は彼に届く事無く、ただ彼女の度重なる疲労に拍車を懸けた。
諸手を拘束され、治療はおろか流れ出る血を止めてやる事すら叶わない。
時間だけが、無情に過ぎ去った。
クレスの顔は蒼白に沈み、その生命は風前の灯火である。
陽の当たらない荒く強張った床一面に広がった朱の池は、剥き出しの岩肌に徐々に呑まれていく。
その夥しい流血に、体内の血液がすべて失われてしまったのでは無いかとすら思えてくる。
力の限り叫ぶ度に、肩の傷が痺れるように痛んだ。
身体を包む熱が、体力を容赦無く蝕んだ。
それでも、彼女は悲痛な呼び掛けを止めなかった。
不意に、コレットは凍り付いたように静かになった。
彼女は気付いたのだ。
──彼は息をしていない
視界が、一気に暗転した。
無我夢中で彼の身体を揺するコレット。
立て膝に附いた足は小刻みに震え、ざらついた床との摩擦に堪え兼ね血を滴らせた。
熱と疲労とに侵食され尽くし、いよいよ意識が飛びそうになる。
彼女の意識を繋ぎ留めているのは、もはや彼を想う気力だけであった。
彼の顔色は蒼白から土気を帯びて黒ずんでくる。
彼が呼吸を止めてから、既に数分の時が過ぎていた。
その時だった。
突然に、頭の中が全くの無に帰した。
思考回路が冴え渡り、雑念が掻き消えていく。
そして彼女は気付く。
自分には、まだ出来る事があるではないか、と。
不自由な身体でクレスの首を擡げ、天を仰がせる。
口内の血を吐き出させると同時に、自らの呼吸を整えた。
鮮度の低い地下室の空気を目一杯胸に詰め、彼の胸中へと一気に吹き込む。
勢い良く侵入した空気はクレスの胸部を押し上げ、身体中を駆け巡った。
続けて、片膝を彼の胸に乗せると、一定の間隔で数回圧迫する。
まだ彼が息を吹き返す気配は無い。
再度息を吹き込み、また圧迫し……
何度も、何度も同様の動作を繰り返すコレット。
動悸は激しさを増し、視界は渦を巻く。
それでもなお、彼女は懸命に応急処置を続けた。
──フュゥゥゥゥ
クレスの口から僅か息が漏れた。
決死の処置の甲斐あり、彼は自己呼吸を再開したのだ。
コレットは顔を上げ、やり遂げた満足感を示すように笑みを浮かべる。
安堵の溜め息を吐いたその時、胸部を締め付けるような痛みが襲った。
腰を折り喘ぐも、体力の限界を超えた彼女がそれに堪え得るべくも無かった。
意識が、ゆっくりと遠退いていく。
だが不思議と不安は無かった。
彼が傍に居るから、と彼女が想ったかは定かでは無い。
力無く倒れ込み、コレットはクレスに折り重なるようにして無の世界に墜ちていった。
突然に、頭の中が全くの無に帰した。
思考回路が冴え渡り、雑念が掻き消えていく。
そして彼女は気付く。
自分には、まだ出来る事があるではないか、と。
不自由な身体でクレスの首を擡げ、天を仰がせる。
口内の血を吐き出させると同時に、自らの呼吸を整えた。
鮮度の低い地下室の空気を目一杯胸に詰め、彼の胸中へと一気に吹き込む。
勢い良く侵入した空気はクレスの胸部を押し上げ、身体中を駆け巡った。
続けて、片膝を彼の胸に乗せると、一定の間隔で数回圧迫する。
まだ彼が息を吹き返す気配は無い。
再度息を吹き込み、また圧迫し……
何度も、何度も同様の動作を繰り返すコレット。
動悸は激しさを増し、視界は渦を巻く。
それでもなお、彼女は懸命に応急処置を続けた。
──フュゥゥゥゥ
クレスの口から僅か息が漏れた。
決死の処置の甲斐あり、彼は自己呼吸を再開したのだ。
コレットは顔を上げ、やり遂げた満足感を示すように笑みを浮かべる。
安堵の溜め息を吐いたその時、胸部を締め付けるような痛みが襲った。
腰を折り喘ぐも、体力の限界を超えた彼女がそれに堪え得るべくも無かった。
意識が、ゆっくりと遠退いていく。
だが不思議と不安は無かった。
彼が傍に居るから、と彼女が想ったかは定かでは無い。
力無く倒れ込み、コレットはクレスに折り重なるようにして無の世界に墜ちていった。
【コレット・ブルーネル 生存確認】
状態:TP半減、右肩に銃創、発熱
両手を後ろ手に拘束、大疲労、昏睡
所持品:なし
基本行動方針:取り敢えず生き残る
第一行動方針:クレスを助ける
第二行動方針:仲間との合流
現在位置:E2イーツ城地下拷問部屋
状態:TP半減、右肩に銃創、発熱
両手を後ろ手に拘束、大疲労、昏睡
所持品:なし
基本行動方針:取り敢えず生き残る
第一行動方針:クレスを助ける
第二行動方針:仲間との合流
現在位置:E2イーツ城地下拷問部屋
【クレス・アルベイン 生存確認】
状態:瀕死、意識不明、顔の腫れ
左手に銃創(出血)、TP大消費
所持品:ダマスクスソード、バクショウダケ、忍刀血桜
第一行動方針:コレットを救い出す
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
現在位置:E2イーツ城地下拷問部屋
状態:瀕死、意識不明、顔の腫れ
左手に銃創(出血)、TP大消費
所持品:ダマスクスソード、バクショウダケ、忍刀血桜
第一行動方針:コレットを救い出す
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
現在位置:E2イーツ城地下拷問部屋