僕たちの失敗
「オイオイ。ここにいたらマズいんじゃねェのか? キール」
放送を聞いて、リッドは動揺を隠せなかった。思わず横のキールに問いかける。
彼らがいま居るB2の塔は、先ほどの放送によって禁止エリアの指定を受けてしまった。
慌てふためくリッドだったが、しかしキールは至って冷静な面持ちで言い放つ。
「禁止といっても、実効されるのは午後六時だ。僕らにとっては、なに一つ問題はない」
それだけ言って、再び配布された地図と名簿に印をつける作業に戻った。
キールのその姿に居ても立ってもいられないといった風な顔で、リッドは再度質問した。
「なんでそんなに落ち着いてられるんだよ。早くここから逃げねえと――」
「落ち着けリッド、少し話をしよう。……僕はある仮説を立て、そしてそれは実証された」
「へ?」
放送を聞いて、リッドは動揺を隠せなかった。思わず横のキールに問いかける。
彼らがいま居るB2の塔は、先ほどの放送によって禁止エリアの指定を受けてしまった。
慌てふためくリッドだったが、しかしキールは至って冷静な面持ちで言い放つ。
「禁止といっても、実効されるのは午後六時だ。僕らにとっては、なに一つ問題はない」
それだけ言って、再び配布された地図と名簿に印をつける作業に戻った。
キールのその姿に居ても立ってもいられないといった風な顔で、リッドは再度質問した。
「なんでそんなに落ち着いてられるんだよ。早くここから逃げねえと――」
「落ち着けリッド、少し話をしよう。……僕はある仮説を立て、そしてそれは実証された」
「へ?」
脱出方法を思案していたときに、そのヒラメキは天啓のようにキールの脳細胞に訪れた。
「………主催者ミクトランに僕たち参加者の位置は、完全に筒抜けになっている」
それが、キールの立てた仮説であった。
「一体どうやって!? 近くに誰か居るような気配は、まるでしないぜ?」
「…やれやれ。リッド、君はミクトランが参加者を直接監視していると思っていないか?」
リッドのボケにキールの突っ込みが冴える。
「残念ながら、位置を把握する方法においては、まだ僕の想像の域を出ていない」
そういって、フウとため息をついて明かり窓を見る。そしてすぐに向き直ってキールは続けた。
「だが、主催者が僕らの位置を把握していることは、ほぼ確定と見ていいだろう」
「………主催者ミクトランに僕たち参加者の位置は、完全に筒抜けになっている」
それが、キールの立てた仮説であった。
「一体どうやって!? 近くに誰か居るような気配は、まるでしないぜ?」
「…やれやれ。リッド、君はミクトランが参加者を直接監視していると思っていないか?」
リッドのボケにキールの突っ込みが冴える。
「残念ながら、位置を把握する方法においては、まだ僕の想像の域を出ていない」
そういって、フウとため息をついて明かり窓を見る。そしてすぐに向き直ってキールは続けた。
「だが、主催者が僕らの位置を把握していることは、ほぼ確定と見ていいだろう」
「話を続けよう。主催者にとって、今回の禁止エリアの選定によるメリットは何だ?」
キールに聞かれて、リッドがしばらく悩んだが、答えは出なかった。
「森を迂闊に歩くのがどれほど危険か、リッドも昨日の戦いで実感したことだろう。そういう森に不慣れな人間を動かすために、
このような一見隠れるのに最適と思える施設は必要不可欠だ。その狙いがないなら、初めから施設を用意しないことだろう。
それでも、今回の放送で一気に二つも施設を内包するエリアが禁止指定された。これでは本末転倒も甚だしい」
リッドは、キールのその話を聞いていたが、どうも苦手な分野のものだと思った。
「ミクトランは選定を幾らでもやり直せる。だがそれでも禁止エリアに指定した。そこから、僕らのようにいつまでも一つのエリアに
居座り続けることを、主催者が快く思わなかったのだろうと想像することは、難くない。主催者は殺し合いを望んでいるのだから。
そしてそれを可能にするには、僕らの位置を主催者が完全に把握していることが必要だということは、君でもわかるな」
ちょっと曖昧な仕草で頷くリッド。一瞬不安そうになったが、キールは構わず続けた。
「つまりだ。今後は主催者に目をつけられないために、多人数での行動などの通常では起こり得ない行動は慎む必要がある」
キールに聞かれて、リッドがしばらく悩んだが、答えは出なかった。
「森を迂闊に歩くのがどれほど危険か、リッドも昨日の戦いで実感したことだろう。そういう森に不慣れな人間を動かすために、
このような一見隠れるのに最適と思える施設は必要不可欠だ。その狙いがないなら、初めから施設を用意しないことだろう。
それでも、今回の放送で一気に二つも施設を内包するエリアが禁止指定された。これでは本末転倒も甚だしい」
リッドは、キールのその話を聞いていたが、どうも苦手な分野のものだと思った。
「ミクトランは選定を幾らでもやり直せる。だがそれでも禁止エリアに指定した。そこから、僕らのようにいつまでも一つのエリアに
居座り続けることを、主催者が快く思わなかったのだろうと想像することは、難くない。主催者は殺し合いを望んでいるのだから。
そしてそれを可能にするには、僕らの位置を主催者が完全に把握していることが必要だということは、君でもわかるな」
ちょっと曖昧な仕草で頷くリッド。一瞬不安そうになったが、キールは構わず続けた。
「つまりだ。今後は主催者に目をつけられないために、多人数での行動などの通常では起こり得ない行動は慎む必要がある」
キールの最後の結論だけ、リッドはしっかりと理解した。それがリッドのいつものやり方だった。
そんなリッドのことを判っているから、キールも途中の説明にあまり時間をかけなかった。
「ってことは、あんまり大っぴらにミクトランをぶちのめす仲間を集めるわけにもいかねえってことか」
「いまはそういうことだ。次に今後の行動についてだが………」
手早く時刻と×印が書かれている地図を取り出し、テーブルに置いた。
「右回りと左回りのふたつの道が選べるが、こちらの橋を通るルートは人目に付きやすく――――」
話を切り出すキール。そしてそれを聞き意見をするリッド。性格こそ正反対であるが、この会議もそれほど長くはならなかった。
そんなリッドのことを判っているから、キールも途中の説明にあまり時間をかけなかった。
「ってことは、あんまり大っぴらにミクトランをぶちのめす仲間を集めるわけにもいかねえってことか」
「いまはそういうことだ。次に今後の行動についてだが………」
手早く時刻と×印が書かれている地図を取り出し、テーブルに置いた。
「右回りと左回りのふたつの道が選べるが、こちらの橋を通るルートは人目に付きやすく――――」
話を切り出すキール。そしてそれを聞き意見をするリッド。性格こそ正反対であるが、この会議もそれほど長くはならなかった。
【キール・ツァイベル 生存確認】
状態:全身打撲(回復済み)
所持品:ベレット、ホーリィリング
基本行動方針:リッドと共に行動。ファラ、メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:今後(次回放送まで)の大筋の行動を決める。
第二行動方針:主催者を刺激しないよう内密に脱出方法を思案する。
現在位置:B2の塔 一階の部屋
状態:全身打撲(回復済み)
所持品:ベレット、ホーリィリング
基本行動方針:リッドと共に行動。ファラ、メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:今後(次回放送まで)の大筋の行動を決める。
第二行動方針:主催者を刺激しないよう内密に脱出方法を思案する。
現在位置:B2の塔 一階の部屋
【リッド・ハーシェル 生存確認】
状態:背中に刀傷(9割回復)
所持品:ムメイブレード、エルヴンマント
基本行動方針:キールと共に行動。ファラ、メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:今後(次回放送まで)の大筋の行動を決める。
第二行動方針:できれば危険人物を排除する。(ただし、戦力が整うまでは逃げを優先する)
現在位置:B2の塔 一階の部屋
状態:背中に刀傷(9割回復)
所持品:ムメイブレード、エルヴンマント
基本行動方針:キールと共に行動。ファラ、メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:今後(次回放送まで)の大筋の行動を決める。
第二行動方針:できれば危険人物を排除する。(ただし、戦力が整うまでは逃げを優先する)
現在位置:B2の塔 一階の部屋