止まらない歯車
赤色の髪をした男――-クラトスはその光景にしばし呆然とする。
手前には誰だか知らない剛感な男が立っている。すでに息はないようだ。
「コングマン・・・さん」
隣の少女――-リアラが呟く。そうか、この男がコングマンという奴か。
そしてその奥にいる二人、見知らぬ男性の上を覆い被るようにして倒れている少女を目にする。
視認すると、すぐさまコングマンの横を通り過ぎ、少女の下へと駆け寄る。リアラもその後に続く。
だがもう一人後ろにいた男、サレだけはこの拷問部屋と思わしき部屋の唯一無二の出入り口から動こうとはしなかった。
「神子よ、大事は無いか」
上半身を起こし、呼びかけるが意識はない。どうやら深い眠りについているだけで、傷らしい傷と言えば肩に見える銃による損傷だけだ。
だが、クラトスもリアラもつい目はもう一人の青年の方へと向いてしまう。その顔は赤や紫に腫れ上がっており、とてもじゃないがまともに見られる状態ではなかった。
だがかろうじて息はある。それだけが唯一の救いか。
「リアラよ、治癒魔法は使えるか」
「あ、ハイ。晶術でよければすこしだけなら・・・」
「ではその青年の手当てを頼む」
言うなりクラトスはコレットを支えている腕とは逆の腕をかざし、コレットの治癒を始めた。
『ファーストエイド』
リアラも両手をかざし、青年へと癒しの力を注ぎこむ。
『ヒール』
緑の癒しの光を発する中、サレだけは不気味な笑みを浮かべていた。
手前には誰だか知らない剛感な男が立っている。すでに息はないようだ。
「コングマン・・・さん」
隣の少女――-リアラが呟く。そうか、この男がコングマンという奴か。
そしてその奥にいる二人、見知らぬ男性の上を覆い被るようにして倒れている少女を目にする。
視認すると、すぐさまコングマンの横を通り過ぎ、少女の下へと駆け寄る。リアラもその後に続く。
だがもう一人後ろにいた男、サレだけはこの拷問部屋と思わしき部屋の唯一無二の出入り口から動こうとはしなかった。
「神子よ、大事は無いか」
上半身を起こし、呼びかけるが意識はない。どうやら深い眠りについているだけで、傷らしい傷と言えば肩に見える銃による損傷だけだ。
だが、クラトスもリアラもつい目はもう一人の青年の方へと向いてしまう。その顔は赤や紫に腫れ上がっており、とてもじゃないがまともに見られる状態ではなかった。
だがかろうじて息はある。それだけが唯一の救いか。
「リアラよ、治癒魔法は使えるか」
「あ、ハイ。晶術でよければすこしだけなら・・・」
「ではその青年の手当てを頼む」
言うなりクラトスはコレットを支えている腕とは逆の腕をかざし、コレットの治癒を始めた。
『ファーストエイド』
リアラも両手をかざし、青年へと癒しの力を注ぎこむ。
『ヒール』
緑の癒しの光を発する中、サレだけは不気味な笑みを浮かべていた。
「さて」
言ってサレはそこらじゅうにある壁に入ったヒビを見る。どうやら今さっき出来たものだということは理解した。
かなりの衝撃があったのだろう。もうこの城を支えているのが不思議なくらいの破損率だった。
これじゃ壊してくださいと言っているようなものじゃないか・・・。
サレは一人クスクス笑い、必死になって回復に専念している二人を見やる。
―――するべきことは決まった。当初の目的とは違うが、ここで葬り去っておくのが得策だろう。
二人に背を向け出口を目指す。外に出て、嵐のフォルスでこの城ごと・・・
「無駄なことはやめておくのだな」
後ろから、重低な声が降り注ぐ。サレはその足を止めた。
「何のことかな」
サレはとぼける。とっさの計画までもおじゃんにされたら元も子もない。
振り向いてクラトスを見る。だがクラトスはコレットの治癒に専念し、背だけでサレと会話する。
「崩落させたいのならあとにしてくれ。それとも、私たち共々じゃないと満足せぬのか」
その態度に、サレの怒りが沸々と湧き上がってくる。
言ってサレはそこらじゅうにある壁に入ったヒビを見る。どうやら今さっき出来たものだということは理解した。
かなりの衝撃があったのだろう。もうこの城を支えているのが不思議なくらいの破損率だった。
これじゃ壊してくださいと言っているようなものじゃないか・・・。
サレは一人クスクス笑い、必死になって回復に専念している二人を見やる。
―――するべきことは決まった。当初の目的とは違うが、ここで葬り去っておくのが得策だろう。
二人に背を向け出口を目指す。外に出て、嵐のフォルスでこの城ごと・・・
「無駄なことはやめておくのだな」
後ろから、重低な声が降り注ぐ。サレはその足を止めた。
「何のことかな」
サレはとぼける。とっさの計画までもおじゃんにされたら元も子もない。
振り向いてクラトスを見る。だがクラトスはコレットの治癒に専念し、背だけでサレと会話する。
「崩落させたいのならあとにしてくれ。それとも、私たち共々じゃないと満足せぬのか」
その態度に、サレの怒りが沸々と湧き上がってくる。
- だがここでキレるような奴はただの三流のやりかただ。
ふっと笑いを零し、気分を落ち着かせる。
「何言ってるのさ。そんなこと僕がするわけ無いだろう?」
「ふん。ならいい」
それからクラトスは一言も話さない。だが治癒魔法を施しているその背中にも、隙という隙はまるで無かった。
なんだこいつは・・・後ろに目でもついているのか。
サレはその腰に携えている剣に手を置き、それ以来動けなかった。
「何言ってるのさ。そんなこと僕がするわけ無いだろう?」
「ふん。ならいい」
それからクラトスは一言も話さない。だが治癒魔法を施しているその背中にも、隙という隙はまるで無かった。
なんだこいつは・・・後ろに目でもついているのか。
サレはその腰に携えている剣に手を置き、それ以来動けなかった。
「がはっ!!」
「きゃっ!」
急な呼吸を再開した青年に驚いたリアラだったが、それが確実な生命維持の行為だと判ると安堵の息を漏らす。
今の今までヒューヒューとしか息をしていなかった青年はここにきてやっとまともな呼吸を開始する。
だが逆にリアラの息は乱れ、疲労が蓄積する。加えて、先ほどの放送による精神的ダメージもその比ではなかった。
「きゃっ!」
急な呼吸を再開した青年に驚いたリアラだったが、それが確実な生命維持の行為だと判ると安堵の息を漏らす。
今の今までヒューヒューとしか息をしていなかった青年はここにきてやっとまともな呼吸を開始する。
だが逆にリアラの息は乱れ、疲労が蓄積する。加えて、先ほどの放送による精神的ダメージもその比ではなかった。
―――ロニの名前が耳に入った
この拷問部屋にたどり着く少し前にその放送を聞いた。
それによって今が朝の6時だということも確認した。
そしてその後の死亡者発表、それを聞いて足が崩れそうになった。
だけど、隣にクラトスさんとサレさんがいてくれたおかげで、リアラは自分を見失わずに済んだのだ。
今は一刻もカイルに会うために。その信念がリアラの背中を後押ししていた。
だから、ここで倒れるわけにはいかない・・・ここで息絶えようとしている人を見過ごしてはならない。
もう、このゲームの歯車は動き出して後戻りできないのかもしれない。
けど、今生きているのだから今を信じないでどうする。
自分に言い聞かし、再度治癒魔法を青年にかける。充分酸素を取り込んだのだろう。青年の顔色は徐々に血の気を帯び始めていた。
「良かった・・・」
そういい残し、リアラは横にうな垂れる。
一度のヒールでは青年の体力は回復しきれなかったので連続晶術を施したのだが、流石に精神、身体ともに疲労のピークに達したようだった。
「すいません・・・クラトスさん・・・」
コレットの回復が終わったのか、リアラの額に手を置いて優しい声で気分を宥める。
「いや、よくやった。今はゆっくり休むといい」
「ハイ・・・」
そう言ってリアラの瞼は閉じ、しばしの休息を得た。
それによって今が朝の6時だということも確認した。
そしてその後の死亡者発表、それを聞いて足が崩れそうになった。
だけど、隣にクラトスさんとサレさんがいてくれたおかげで、リアラは自分を見失わずに済んだのだ。
今は一刻もカイルに会うために。その信念がリアラの背中を後押ししていた。
だから、ここで倒れるわけにはいかない・・・ここで息絶えようとしている人を見過ごしてはならない。
もう、このゲームの歯車は動き出して後戻りできないのかもしれない。
けど、今生きているのだから今を信じないでどうする。
自分に言い聞かし、再度治癒魔法を青年にかける。充分酸素を取り込んだのだろう。青年の顔色は徐々に血の気を帯び始めていた。
「良かった・・・」
そういい残し、リアラは横にうな垂れる。
一度のヒールでは青年の体力は回復しきれなかったので連続晶術を施したのだが、流石に精神、身体ともに疲労のピークに達したようだった。
「すいません・・・クラトスさん・・・」
コレットの回復が終わったのか、リアラの額に手を置いて優しい声で気分を宥める。
「いや、よくやった。今はゆっくり休むといい」
「ハイ・・・」
そう言ってリアラの瞼は閉じ、しばしの休息を得た。
コレットの傷自体は治ったものの、その体はやけに熱い。
この発熱のしかたは天使化によってほぼ抑えられているようなもの。もしこのまま大きな怪我でもしたらそれこそ天使特有の暴走をするところだっただろう。
発熱自体は時間経過とともに薄れていく。そのことはクラトス自身がよく知っていた。
リアラが回復させた青年も今は穏やかな呼吸の下に眠っている。コレットも熱を発しているので苦しそうではあるがしばらくは安全だろう。
さて、残るは・・・
「どうやら皆眠ったみたいだねぇ」
もう一人の男、サレがその口を開く。やれやれと言った感じで両手を肩の上まで挙げている。
その言葉を聞くと、クラトスは振り向き立ち上がりサレの下まで歩き出す。
「おや、何の用かな」
「貴様に聞きたいことが山ほどある。着いて来い」
サレの横を通り過ぎ、1階へと足を向ける。
「・・・ちっ」
舌打ちをしてサレは渋々その後ろをついていく。
まぁいい。今はこの男をどうするかだな。
そう思ったサレは剣に手を置いたままクラトスと共に地上へと向かった。
この発熱のしかたは天使化によってほぼ抑えられているようなもの。もしこのまま大きな怪我でもしたらそれこそ天使特有の暴走をするところだっただろう。
発熱自体は時間経過とともに薄れていく。そのことはクラトス自身がよく知っていた。
リアラが回復させた青年も今は穏やかな呼吸の下に眠っている。コレットも熱を発しているので苦しそうではあるがしばらくは安全だろう。
さて、残るは・・・
「どうやら皆眠ったみたいだねぇ」
もう一人の男、サレがその口を開く。やれやれと言った感じで両手を肩の上まで挙げている。
その言葉を聞くと、クラトスは振り向き立ち上がりサレの下まで歩き出す。
「おや、何の用かな」
「貴様に聞きたいことが山ほどある。着いて来い」
サレの横を通り過ぎ、1階へと足を向ける。
「・・・ちっ」
舌打ちをしてサレは渋々その後ろをついていく。
まぁいい。今はこの男をどうするかだな。
そう思ったサレは剣に手を置いたままクラトスと共に地上へと向かった。
【クレス 生存確認】
状態:瀕死 意識不明 顔の腫れ TP消費(中)
所持品:ダマスクスソード バクショウダケ 忍刀血桜
第一行動方針:不明
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
第四行動方針:仲間と最後まで生き残る
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
状態:瀕死 意識不明 顔の腫れ TP消費(中)
所持品:ダマスクスソード バクショウダケ 忍刀血桜
第一行動方針:不明
第二行動方針:ミント、アーチェ、モリスンと合流
第三行動方針:サレと合流
第四行動方針:仲間と最後まで生き残る
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
【コレット 生存確認】
状態:TP半分 発熱 大疲労
所持品:なし(コングマンにより鞄ごと没収)
第一行動方針:取り敢えず生き残る
第二行動方針:クレスを守る
第三行動方針:仲間(Sキャラ及びクレスとサレ)との合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
状態:TP半分 発熱 大疲労
所持品:なし(コングマンにより鞄ごと没収)
第一行動方針:取り敢えず生き残る
第二行動方針:クレスを守る
第三行動方針:仲間(Sキャラ及びクレスとサレ)との合流
現在位置:E2のイーツ城地下拷問部屋
【サレ 生存確認】
状態:無傷
所持品:ブロードソード 出刃包丁
第一行動方針:クラトスの始末
第二行動方針:コレット、クレス、クラトス、リアラを利用する
第三行動方針:ティトレイの始末
現在位置:E2の城地下
状態:無傷
所持品:ブロードソード 出刃包丁
第一行動方針:クラトスの始末
第二行動方針:コレット、クレス、クラトス、リアラを利用する
第三行動方針:ティトレイの始末
現在位置:E2の城地下
【リアラ 生存確認】
状態:休眠状態
所持品:ロリポップ ???? ????
第一行動方針:不明
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:避けられない戦いは戦う
現在位置:E2の城地下拷問部屋
状態:休眠状態
所持品:ロリポップ ???? ????
第一行動方針:不明
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:避けられない戦いは戦う
現在位置:E2の城地下拷問部屋
【クラトス 生存確認】
状態:足元の火傷(小)
所持品:マテリアルブレード(フランベルジュ使用)
第一行動方針:サレへの対処
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:コレットが気になる
第四行動方針:ロイドが気になる
現在位置:E2の城内部
状態:足元の火傷(小)
所持品:マテリアルブレード(フランベルジュ使用)
第一行動方針:サレへの対処
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:コレットが気になる
第四行動方針:ロイドが気になる
現在位置:E2の城内部