扉を開く鍵
放送が流れるのを、青と赤の髪を持つ男と緑一色の男は、佇んで聞いていた。
空が光を増していくのと同時に声が空に行き渡っていく。
「ポプラ…おばさん」
その内の緑の男は、放送されたある者の名をぽつりと呟いた。
「…ヴェイグ」
続けて呼ばれた名も呟いた。
表情は無機そのもので、口周りだけが不自然に動いている。
だが、それだけで終わった。
怒りも悲しみもあらわにせず、ぼんやりと空を見上げて声を聞いていた。
もしも彼に感情があったとしたら、呼んだ名の人を思い涙を流しただろうか。
殺した人物に、主催者に、或はちっぽけな自分に激怒しただろうか。
このゲームに絶望しただろうか。
だがそれは叶わぬ望み。例え心の深い奥底ではそうだとしても、実際の彼にはその欠片も、兆しもない。
淡い色彩の空を見上げたまま、彼は「空を見上げている人形」に戻った。
「行くぞ、ティトレイ・クロウ」
放送が終わり、流暢に禁止エリアをメモし終えた赤と青の髪を持つ男、デミテルは
緑に包まれている男、ティトレイにそう告げる。
ティトレイはその言葉を聞き、緩慢な動きで視線をデミテルに移す。
怖いくらいの無表情だ。
空が光を増していくのと同時に声が空に行き渡っていく。
「ポプラ…おばさん」
その内の緑の男は、放送されたある者の名をぽつりと呟いた。
「…ヴェイグ」
続けて呼ばれた名も呟いた。
表情は無機そのもので、口周りだけが不自然に動いている。
だが、それだけで終わった。
怒りも悲しみもあらわにせず、ぼんやりと空を見上げて声を聞いていた。
もしも彼に感情があったとしたら、呼んだ名の人を思い涙を流しただろうか。
殺した人物に、主催者に、或はちっぽけな自分に激怒しただろうか。
このゲームに絶望しただろうか。
だがそれは叶わぬ望み。例え心の深い奥底ではそうだとしても、実際の彼にはその欠片も、兆しもない。
淡い色彩の空を見上げたまま、彼は「空を見上げている人形」に戻った。
「行くぞ、ティトレイ・クロウ」
放送が終わり、流暢に禁止エリアをメモし終えた赤と青の髪を持つ男、デミテルは
緑に包まれている男、ティトレイにそう告げる。
ティトレイはその言葉を聞き、緩慢な動きで視線をデミテルに移す。
怖いくらいの無表情だ。
どうやらこの先は崖で、北から南にかけて続いているようだ。
南の崖には既にデミテルも行っている。
地図に印しておいた禁止エリアは、G1も該当していた。
みすみす禁止エリアに近い所に行く奴がいるだろうか?
しかも大半は海。投げ出されでもしたら一貫の終わりだ。
もっとも、殺したつもりでいた金髪の少年──カイル・デュナミスといったか、奴の名が呼ばれなかったのには驚いたが。
つまりはどんな方法を使ったか分からないが、あの土砂から脱出し生き延びている。
もし海に落ちても、あの崖下に辿り着ければ助かるだろう。
…まぁ、存在を知っていればの話だが。
つまり南には行く理由もメリットもない。以前戦った、飴を持った少女と乱入してきた剣士も、半日も経てば立ち去っているだろう。
デミテルは北の方を向き、そしてそのまま歩き始た。
ティトレイも後を追い掛けるようにして歩き始めた。
南の崖には既にデミテルも行っている。
地図に印しておいた禁止エリアは、G1も該当していた。
みすみす禁止エリアに近い所に行く奴がいるだろうか?
しかも大半は海。投げ出されでもしたら一貫の終わりだ。
もっとも、殺したつもりでいた金髪の少年──カイル・デュナミスといったか、奴の名が呼ばれなかったのには驚いたが。
つまりはどんな方法を使ったか分からないが、あの土砂から脱出し生き延びている。
もし海に落ちても、あの崖下に辿り着ければ助かるだろう。
…まぁ、存在を知っていればの話だが。
つまり南には行く理由もメリットもない。以前戦った、飴を持った少女と乱入してきた剣士も、半日も経てば立ち去っているだろう。
デミテルは北の方を向き、そしてそのまま歩き始た。
ティトレイも後を追い掛けるようにして歩き始めた。
俺の周りはまだ暗い。
朝日が顔を覗かせたって分かってるのに、辺りは明るいって分かってるのに、俺の周りはまだ暗い。
ここは何処なんだろう?
俺は何でここに居るんだろう?
こんな所に居たくない。早くみんなの居る所へ帰りたい。
朝日が顔を覗かせたって分かってるのに、辺りは明るいって分かってるのに、俺の周りはまだ暗い。
ここは何処なんだろう?
俺は何でここに居るんだろう?
こんな所に居たくない。早くみんなの居る所へ帰りたい。
──でも、それは本当の気持ちなのか?
本当はどうでもいいんじゃないのか?
だって、何も感じないんだから。
みんなと離れて不安だとか、悲しいとかが無いんだから。
──不安? 悲しい? それって何だっけか?
分からない。どこか遠くに置いてきた思い出のようだ。
1番近くにあるような気がするのに、1番遠くにあって、曖昧。それでいて空白。
──俺みたいだ。
俺は、真っ白な部屋に居るみたいに、この闇みたいに、空白だ。
本当はどうでもいいんじゃないのか?
だって、何も感じないんだから。
みんなと離れて不安だとか、悲しいとかが無いんだから。
──不安? 悲しい? それって何だっけか?
分からない。どこか遠くに置いてきた思い出のようだ。
1番近くにあるような気がするのに、1番遠くにあって、曖昧。それでいて空白。
──俺みたいだ。
俺は、真っ白な部屋に居るみたいに、この闇みたいに、空白だ。
でも、そこに現れた二色の中間、灰色。
真っ黒な部屋にある、唯一の「存在」。
俺にはそれが、俺を出口に導いてくれる、この部屋から出してくれる鍵だとしか思えなかった。
だから俺は付いていく。外に出れるような気がするから。
ここは暗くて何も見えないから、ぶつかるかもしれないし、転ぶかもしれない。
でも見失わないようにしよう。
扉は鍵がなきゃ開けられないんだからさ。
真っ黒な部屋にある、唯一の「存在」。
俺にはそれが、俺を出口に導いてくれる、この部屋から出してくれる鍵だとしか思えなかった。
だから俺は付いていく。外に出れるような気がするから。
ここは暗くて何も見えないから、ぶつかるかもしれないし、転ぶかもしれない。
でも見失わないようにしよう。
扉は鍵がなきゃ開けられないんだからさ。
【デミテル 生存確認】
状態:TP2/3消費
所持品:フィートシンボル ストロー ミスティシンボル 金属バット
第一行動方針:ティトレイを操る
第二行動方針:出来るだけ最低限の方法で邪魔者を駆逐する
第三行動方針:ダオスを倒せそうなキャラをダオスに仕向ける
状態:TP2/3消費
所持品:フィートシンボル ストロー ミスティシンボル 金属バット
第一行動方針:ティトレイを操る
第二行動方針:出来るだけ最低限の方法で邪魔者を駆逐する
第三行動方針:ダオスを倒せそうなキャラをダオスに仕向ける
【ティトレイ・クロウ 生存確認】
状態:感情喪失 全身の痛み、軽いやけど(回復中) TP中消費
所持品:メンタルバングル バトルブック
第一行動方針:かえりたい
第二行動方針:デミテルに従う
所持品:メンタルバングル バトルブック
第一行動方針:かえりたい
第二行動方針:デミテルに従う
現在地:F2平原から北上