僕の肉
あいするひとが、今ちかくにいる。
「エミリオ…、本当に良かった…無事で…」
ちによごれた僕に、こんな僕なのに、やさしく呼びかけてくれている。
リオンはミクトランの命により、参加者全員を殺さなければいけなかった。
そうすれば、何でも願いを叶えてくれる。
僕は―――
僕は自分一人で一歩一歩と歩ける人生が欲しい。
ヒューゴにも、ミクトランにも操られない。
握られていない心臓であらゆる気持ちを素直に受け止め、そして想いを何かに注ぐ。
糸の絡まっていない手足は自由で奔放に動かせる足は愛する人の元に向かい、そして全てを抱くことが出来るようになった腕でその愛する人を抱きしめるのだ。
そして、閉ざすこともなくなった口で、幸せそうに笑ってみたい――――
そうすれば、何でも願いを叶えてくれる。
僕は―――
僕は自分一人で一歩一歩と歩ける人生が欲しい。
ヒューゴにも、ミクトランにも操られない。
握られていない心臓であらゆる気持ちを素直に受け止め、そして想いを何かに注ぐ。
糸の絡まっていない手足は自由で奔放に動かせる足は愛する人の元に向かい、そして全てを抱くことが出来るようになった腕でその愛する人を抱きしめるのだ。
そして、閉ざすこともなくなった口で、幸せそうに笑ってみたい――――
「エミリオ…傷がとてもひどいわ。
あの女の子ならばダオスさん達が防いでくれている。どうか…休んで」
僕にとっての全てがここにいる。
誰よりも、愛しい人。
「マリ…アン」
リオンにはその姿が眼に映っただけで、全ての世界の色が変わるようだった。
僕をこの暗い世界から導き出す、唯一の光―――
もう、嫌なのだ。
ミクトランに操られるのも。
操られる人生の苦しさは充分に知っているのに、僕はまた同じ事をしている。
まだバトルロワイヤルが始まったばかりなのに僕は沢山の人を傷つけた。
白蛇の髪の男はともかく、快活そうな褐色の肌の男、何も知らないであろう優しそうな表情をたたえた獣人の女性、忍者の少年、マリアンと共にいた赤髪の男。
取り返しの付かないことをしてしまった。マリアンは僕を赦しはしないだろう。
向き合いたい女性にどうして血塗れの自分を晒すことができよう。
あの女の子ならばダオスさん達が防いでくれている。どうか…休んで」
僕にとっての全てがここにいる。
誰よりも、愛しい人。
「マリ…アン」
リオンにはその姿が眼に映っただけで、全ての世界の色が変わるようだった。
僕をこの暗い世界から導き出す、唯一の光―――
もう、嫌なのだ。
ミクトランに操られるのも。
操られる人生の苦しさは充分に知っているのに、僕はまた同じ事をしている。
まだバトルロワイヤルが始まったばかりなのに僕は沢山の人を傷つけた。
白蛇の髪の男はともかく、快活そうな褐色の肌の男、何も知らないであろう優しそうな表情をたたえた獣人の女性、忍者の少年、マリアンと共にいた赤髪の男。
取り返しの付かないことをしてしまった。マリアンは僕を赦しはしないだろう。
向き合いたい女性にどうして血塗れの自分を晒すことができよう。
すると奥で金髪の男達と戦っていた少女は化け物に姿を変えた。
驚くマリアンを見て、思う。
化け物か。
僕もそれとは何も変わらないのに。
マリアンの恐怖に歪む顔を見て、それは自分が赤髪の男を襲撃した時の顔と同じだと思った。
驚くマリアンを見て、思う。
化け物か。
僕もそれとは何も変わらないのに。
マリアンの恐怖に歪む顔を見て、それは自分が赤髪の男を襲撃した時の顔と同じだと思った。
なのに、今彼女は僕の体の心配までしてくれている。
「大丈夫だ、マリアン。僕はこれ以上君を傷つけさせやしない」
それが僕に出来る罪滅ぼしであり、本当の気持ち。
例え、マリアンに赦されなくとも、だからこそ僕はマリアンを守りたい。
化け物――シャーリィの放った魔力を帯びた弾丸が、流れ弾となってこちらにまで襲いかかってくる。
マリアンは悲鳴を上げてその場で硬直する。とっさに僕はマリアンの前に飛び出す。
「マリアン!」
シャルティエを振り、マリアンに迫っていた弾丸をたたき落とす。地面がビシビシッと小さく裂ける。
「僕は今はあの二人の様に戦うのは難しい。だけれど、絶対に君は守ってみせる」
「エミリオ…あなたは…本当にエミリオなのね」
マリアンの真っ直ぐな眼。
どこまでも純粋で、僕の心配をしてくれている眼。
まだ、彼女はそんな眼を僕に向けている。目の下はひどく赤く腫れている。相当泣きはらしたのだろう。僕のせいでとても辛い思いをさせたのに、なのに。
「…うん」
固い決心が宿った。
そう、これでいいんだ。
もう泣かせたりはしないんだ。
僕が流させた涙は僕が拭ってみせる。
「大丈夫だ、マリアン。僕はこれ以上君を傷つけさせやしない」
それが僕に出来る罪滅ぼしであり、本当の気持ち。
例え、マリアンに赦されなくとも、だからこそ僕はマリアンを守りたい。
化け物――シャーリィの放った魔力を帯びた弾丸が、流れ弾となってこちらにまで襲いかかってくる。
マリアンは悲鳴を上げてその場で硬直する。とっさに僕はマリアンの前に飛び出す。
「マリアン!」
シャルティエを振り、マリアンに迫っていた弾丸をたたき落とす。地面がビシビシッと小さく裂ける。
「僕は今はあの二人の様に戦うのは難しい。だけれど、絶対に君は守ってみせる」
「エミリオ…あなたは…本当にエミリオなのね」
マリアンの真っ直ぐな眼。
どこまでも純粋で、僕の心配をしてくれている眼。
まだ、彼女はそんな眼を僕に向けている。目の下はひどく赤く腫れている。相当泣きはらしたのだろう。僕のせいでとても辛い思いをさせたのに、なのに。
「…うん」
固い決心が宿った。
そう、これでいいんだ。
もう泣かせたりはしないんだ。
僕が流させた涙は僕が拭ってみせる。
『……だ、マリアン。僕はこれ以上君を傷つけさせやしない』
その会話を暗い部屋で聴いている者がいた。
大きく、複雑に模様が彫り込まれた机にはこれまた大きなチェスの卓の様なものが置いてあり、そこなはゲームの人数分の駒が置いてある。
よく見るとそのチェスの台は会場の地図を模したものであり、駒は胴から上の参加者の姿が象られている。
それぞれの駒は独りでに移動をしたりもしていてそれは不気味な光景だった。
そして机の椅子に腰掛けている男―――ミクトランはそのチェス台の右上の所、リオンとマリアンを模した駒を見る。
その会話を暗い部屋で聴いている者がいた。
大きく、複雑に模様が彫り込まれた机にはこれまた大きなチェスの卓の様なものが置いてあり、そこなはゲームの人数分の駒が置いてある。
よく見るとそのチェスの台は会場の地図を模したものであり、駒は胴から上の参加者の姿が象られている。
それぞれの駒は独りでに移動をしたりもしていてそれは不気味な光景だった。
そして机の椅子に腰掛けている男―――ミクトランはそのチェス台の右上の所、リオンとマリアンを模した駒を見る。
「ふん、馬鹿な男だ。
所詮は十と六の少年か。
人の情などつまらぬものだな」
しかしミクトランの顔は冷ややかに笑っていた。
「主人に逆らうか、リオン=マグナス。
お前は私がこのゲームで楽しむ為の大事なマーダーだ。」
フフフ、と笑いをこぼす。
残忍な眼光がその暗い眼に宿った。
「こちらが手を出すのは避けたいが…
貴様が生ぬるい感情に流されるような言うことも訊けない悪い子ならば仕方ないな。
私に逆らえばどうなるか教えてやろう。
ははははは!!!」
暗い部屋にまがまがしい笑い声が響いた。
所詮は十と六の少年か。
人の情などつまらぬものだな」
しかしミクトランの顔は冷ややかに笑っていた。
「主人に逆らうか、リオン=マグナス。
お前は私がこのゲームで楽しむ為の大事なマーダーだ。」
フフフ、と笑いをこぼす。
残忍な眼光がその暗い眼に宿った。
「こちらが手を出すのは避けたいが…
貴様が生ぬるい感情に流されるような言うことも訊けない悪い子ならば仕方ないな。
私に逆らえばどうなるか教えてやろう。
ははははは!!!」
暗い部屋にまがまがしい笑い声が響いた。
ダオスが地面を踏みしめてエネルギーの塊を化け物にぶつける。
化け物はそれに怯んでゆく。
彼はとても強い。
そしてその傍らの僕と同じ位の歳かそれ以下の少年も。
僕は彼らの眼を知っている。
かつて共に行動したうるさい奴ら
スタン達。
何かを、必死で守る者の眼だ。
いつもは怪訝な顔をして奴らを見ていたけれど、本当は羨ましかった。
どこまでも真っ直ぐに、自分の道を突き進む姿。
それが眩しくて仕方がなかった。
僕も僕の行動には後悔はしていなかった。だけれど。一つそれがあるとしたら自分の弱さを認めることが出来なかった心。
力は…僕の握りしめるシャルティエの力は、きっと大切な者を守る為に振るわねばならないのだ。
僕は自分の心の弱さも受け入れなければならない。
そして今はそれを受け止めてくれる人もいる。
そう、そして僕も彼らの様に―――
化け物はそれに怯んでゆく。
彼はとても強い。
そしてその傍らの僕と同じ位の歳かそれ以下の少年も。
僕は彼らの眼を知っている。
かつて共に行動したうるさい奴ら
スタン達。
何かを、必死で守る者の眼だ。
いつもは怪訝な顔をして奴らを見ていたけれど、本当は羨ましかった。
どこまでも真っ直ぐに、自分の道を突き進む姿。
それが眩しくて仕方がなかった。
僕も僕の行動には後悔はしていなかった。だけれど。一つそれがあるとしたら自分の弱さを認めることが出来なかった心。
力は…僕の握りしめるシャルティエの力は、きっと大切な者を守る為に振るわねばならないのだ。
僕は自分の心の弱さも受け入れなければならない。
そして今はそれを受け止めてくれる人もいる。
そう、そして僕も彼らの様に―――
「エミリオ…よかった…あなたを見たとき…私…私……」
「マリアン…すまなかった…今まで…」
二人はお互いに近づき合い、リオンは腰を下ろした。
マリアンは座ったまま、腕をリオンに広げる。
リオンはそのマリアンの姿に目をわずかに潤ませ、口がほんの少し震える。
「…ありがとう、ありがとう…」
自分でも驚く程の素直な言葉が出た。
このゲームでこんな言葉を口にするなんて。
どんどん心が暖かくなっていった。
「マリアン…すまなかった…今まで…」
二人はお互いに近づき合い、リオンは腰を下ろした。
マリアンは座ったまま、腕をリオンに広げる。
リオンはそのマリアンの姿に目をわずかに潤ませ、口がほんの少し震える。
「…ありがとう、ありがとう…」
自分でも驚く程の素直な言葉が出た。
このゲームでこんな言葉を口にするなんて。
どんどん心が暖かくなっていった。
愛しい人。
もう、苦しませたりはしない。
もう、苦しませたりはしない。
リオンも腕を広げ、マリアンに向ける。
少しずつ重なろうとする体。
少しずつ重なろうとする体。
二人は抱き合う
筈だった。
ピ、とマリアンの首から聞こえた電子音。
「エ、ミ゛………」
「え…?」
ボン、という鈍い音がした。
視界が、赤く、染まる。
マリアンの体が、自分の胸に不自然にもたれ掛かる。
顔に何かがかかった。
生暖かい。
なのにどんどん心が冷たくなってゆくのを感じる。
何が起きた?
何が?
何が…?
マリアン…マリアンは…
マリアンの顔に視線を落とす。
どういうことだ?ここも真っ赤じゃないか。
マリアンの顔が赤いのか?
手でマリアンの顔に触れようとする。
「え…?」
ボン、という鈍い音がした。
視界が、赤く、染まる。
マリアンの体が、自分の胸に不自然にもたれ掛かる。
顔に何かがかかった。
生暖かい。
なのにどんどん心が冷たくなってゆくのを感じる。
何が起きた?
何が?
何が…?
マリアン…マリアンは…
マリアンの顔に視線を落とす。
どういうことだ?ここも真っ赤じゃないか。
マリアンの顔が赤いのか?
手でマリアンの顔に触れようとする。
「あ………?」
なかった。
マリアンにはもう頭がなかった。
マリアンには、顔がない。
まるで、首のないマネキン人形の様に自分にもたれ掛かっていて。
マリアンには、顔がない。
まるで、首のないマネキン人形の様に自分にもたれ掛かっていて。
「あ、あ…?」
ただ視線に入るのは、真っ赤になって潰れていろんな血管や管が飛び出した、破損した首元。
この、赤いのは。
僕の顔やマリアンを濡らしている生暖かくてどろりとした赤いのは、血?
僕の肩の上でだらりと垂れた腕。
動かなかった。
この、赤いのは。
僕の顔やマリアンを濡らしている生暖かくてどろりとした赤いのは、血?
僕の肩の上でだらりと垂れた腕。
動かなかった。
「あ、あ、あ…!」
リオンの顔が悲劇にひどく歪む。
眼は大きく見開かれ、開けた口が次第にこれ以上ない位に震える。
マリアンを強く抱いた自分の腕や手の体温が、どっと下がる。
どうなっているんだ?
マリアンは…マリアンは?
眼は大きく見開かれ、開けた口が次第にこれ以上ない位に震える。
マリアンを強く抱いた自分の腕や手の体温が、どっと下がる。
どうなっているんだ?
マリアンは…マリアンは?
「あああああああああああ!!!!!!」
リオンは、マリアンだったものを強く抱いて叫び狂った。
リオンは、マリアンだったものを強く抱いて叫び狂った。
ダオスとミトスはシャーリィを撃退し、マーテルのいる所へ戻った。
しかしそこで待っていたのは壮絶な光景だった。
「何が…あったというのだ…」
さすがのダオスもその光景に我を疑う。
放心したように震えるマーテル。
その側には見知らぬ黒髪の少年。
首の無い女性。
「な…なんなんだよあれは…」
ミトスも眼を見開くばかりだった。
しかしそこで待っていたのは壮絶な光景だった。
「何が…あったというのだ…」
さすがのダオスもその光景に我を疑う。
放心したように震えるマーテル。
その側には見知らぬ黒髪の少年。
首の無い女性。
「な…なんなんだよあれは…」
ミトスも眼を見開くばかりだった。
「いやだ!いやだ!いやだ!マリアン!!マリアン!!マリアンー!!」
少年は首の無い女性、マリアンの元で四つん這いになり、必死で何かをかき集めていた。
それは粉々にふきとんでしまったマリアンの顔の一部や、崩れた脳味噌。
必死に必死に泣き叫びながらそれを一つにかき集める。
まるで、元の形に戻したがっている様に。
リオンは顔をくしゃくしゃにして、涙や鼻水、涎を止めどなくこぼしながらそれを続ける。
ちらばる血管や肉片がぐしゃぐしゃとリオンの元にかき集められてゆく。
当然、元の形に戻るはずもない。
「マリアン!どうして!どうして!
答えてよ!マリアン…!」
元から他者の返り血に染まっていたリオンの服を、マリアンのまだ鮮やかな血が汚してゆく。
そして一つ転がっているものを見つける。
マリアンの眼球。
「う…う…!!」
その瞳はこちらを向いて、確かに転がっているのにそれは決してリオンを映しはしない。
血と、脂肪に汚れて、あの澄んだ瞳は、もう、ない。
「ああああああっ!!!!!」
「お前は…何者だ…?」
ダオスはなんとか言葉を紡ぎ出す。
しかしその言葉は全くリオンには届いていなかった。
叫びながら無我夢中で手を動かす。
すると
リオンの頭の中に声が聞こえた。
『リオン=マグナス…私のプレゼントは気に入って貰えたかな?』
静かに涙や血で顔を濡らした頭を上げてリオンは呟いた。
「ミク…トラン…?」
ダオスはそのリオンの言葉を聴き逃さなかった。
少年は首の無い女性、マリアンの元で四つん這いになり、必死で何かをかき集めていた。
それは粉々にふきとんでしまったマリアンの顔の一部や、崩れた脳味噌。
必死に必死に泣き叫びながらそれを一つにかき集める。
まるで、元の形に戻したがっている様に。
リオンは顔をくしゃくしゃにして、涙や鼻水、涎を止めどなくこぼしながらそれを続ける。
ちらばる血管や肉片がぐしゃぐしゃとリオンの元にかき集められてゆく。
当然、元の形に戻るはずもない。
「マリアン!どうして!どうして!
答えてよ!マリアン…!」
元から他者の返り血に染まっていたリオンの服を、マリアンのまだ鮮やかな血が汚してゆく。
そして一つ転がっているものを見つける。
マリアンの眼球。
「う…う…!!」
その瞳はこちらを向いて、確かに転がっているのにそれは決してリオンを映しはしない。
血と、脂肪に汚れて、あの澄んだ瞳は、もう、ない。
「ああああああっ!!!!!」
「お前は…何者だ…?」
ダオスはなんとか言葉を紡ぎ出す。
しかしその言葉は全くリオンには届いていなかった。
叫びながら無我夢中で手を動かす。
すると
リオンの頭の中に声が聞こえた。
『リオン=マグナス…私のプレゼントは気に入って貰えたかな?』
静かに涙や血で顔を濡らした頭を上げてリオンは呟いた。
「ミク…トラン…?」
ダオスはそのリオンの言葉を聴き逃さなかった。
「(独り言か…?ミクトラン…?奴はミクトランと通信でも取れるのか?)」
呆然とするリオンにミクトランはリオンの頭の中で続ける。
『私に逆らった罰だ。つまらん女にほだされるとは。
喜んで貰えて何よりだ。なかなか面白い見せ物だよ』
リオンの中にミクトランの笑い声が聞こえる中、マリアンの肉片などを握りしめ、がくがくと震える。
「なんで…なんで…貴様……」
しかしその言葉に力は無く、今にも消え入りそうだった。
『ははははは!!
そうだな、この件はもう赦してやっても良い。
そうだな。お前がこれからも従順に私の言うことを聞くのならば、その女を生き返らせてやらんでもない。
どうだ。私にしては寛大な提案だろう。
では嬉しい行動を期待している』
そこでミクトランの声は途絶えた。
「………」
リオンは無言でマリアンの頭の一部を抱きながら顔を伏せた。
固く口を結び、涙がその破片に落ちてゆく。
「ちょっと!なんなんだよお前!マリアンさんが…!」
ミトスは声を上げるとダオスは腕を出して制止した。
リオンはやがてゆっくりと立ち上がる。ダオス達を、少しも見ることなく。
マーテルもその姿に声を掛けることが出来なかった。
そして緩慢に、東に向けて歩き出す。
マリアンだったものを胸に抱きながら、まるで死人の様に。
「ま、待て!!」
しかしダオスは再びミトスを止めた。
「放っておけ」
「なんで!!」
「……今の彼を止めても何もならないだろう…」
ふらふらと、うつむいてただ歩いてゆく黒髪の少年。
前髪に隠れてその顔は見えなかったが―――
呆然とするリオンにミクトランはリオンの頭の中で続ける。
『私に逆らった罰だ。つまらん女にほだされるとは。
喜んで貰えて何よりだ。なかなか面白い見せ物だよ』
リオンの中にミクトランの笑い声が聞こえる中、マリアンの肉片などを握りしめ、がくがくと震える。
「なんで…なんで…貴様……」
しかしその言葉に力は無く、今にも消え入りそうだった。
『ははははは!!
そうだな、この件はもう赦してやっても良い。
そうだな。お前がこれからも従順に私の言うことを聞くのならば、その女を生き返らせてやらんでもない。
どうだ。私にしては寛大な提案だろう。
では嬉しい行動を期待している』
そこでミクトランの声は途絶えた。
「………」
リオンは無言でマリアンの頭の一部を抱きながら顔を伏せた。
固く口を結び、涙がその破片に落ちてゆく。
「ちょっと!なんなんだよお前!マリアンさんが…!」
ミトスは声を上げるとダオスは腕を出して制止した。
リオンはやがてゆっくりと立ち上がる。ダオス達を、少しも見ることなく。
マーテルもその姿に声を掛けることが出来なかった。
そして緩慢に、東に向けて歩き出す。
マリアンだったものを胸に抱きながら、まるで死人の様に。
「ま、待て!!」
しかしダオスは再びミトスを止めた。
「放っておけ」
「なんで!!」
「……今の彼を止めても何もならないだろう…」
ふらふらと、うつむいてただ歩いてゆく黒髪の少年。
前髪に隠れてその顔は見えなかったが―――
「…とりあえず、マリアンを弔ってやろう」
「そう…だね…」
ミトスも頷いた。
あまりにもむごいマリアンの姿をその眼に映して。
「そう…だね…」
ミトスも頷いた。
あまりにもむごいマリアンの姿をその眼に映して。
ダオスは東に消えてゆく少年を一瞥すると、首の無いマリアンの遺骸を抱く。
皮肉な程に眩しい朝日が木々を照らしていた。
皮肉な程に眩しい朝日が木々を照らしていた。
【ダオス 生存確認】
所持品:エメラルドリング
状態:TP4分の3消費 混乱
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:敵は殺す
現在位置:B7の森林地帯
所持品:エメラルドリング
状態:TP4分の3消費 混乱
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:敵は殺す
現在位置:B7の森林地帯
【ミトス 生存確認】
所持品:ロングソード 邪剣ファフニール ????
状態:気絶 後頭部に打撲 擦り傷、足に軽裂傷、金的に打撃 TPを微消費 混乱
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:クラトスとの合流
現在位置:B7の森林地帯
所持品:ロングソード 邪剣ファフニール ????
状態:気絶 後頭部に打撲 擦り傷、足に軽裂傷、金的に打撃 TPを微消費 混乱
第一行動方針:マーテルを守る
第二行動方針:マーテルと行動
第三行動方針:打開策を考える
第四行動方針:クラトスとの合流
現在位置:B7の森林地帯
【マーテル 生存確認】
所持品:双眼鏡 アクアマント
状態:悲哀 混乱
第一行動方針:
第二行動方針:ダオス達と行動
第三行動方針:ユアン、クラトスとの合流
現在位置:B7の森林地帯
所持品:双眼鏡 アクアマント
状態:悲哀 混乱
第一行動方針:
第二行動方針:ダオス達と行動
第三行動方針:ユアン、クラトスとの合流
現在位置:B7の森林地帯
【リオン 生存確認】
所持品:シャルティエ ディムロス 手榴弾×1 簡易レーダー マリアンの肉片
状態:全身に軽い火傷 全身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 酷い混乱
第一行動方針:マリアンを生き返らせる
現在位置:B7の森林地帯
所持品:シャルティエ ディムロス 手榴弾×1 簡易レーダー マリアンの肉片
状態:全身に軽い火傷 全身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 酷い混乱
第一行動方針:マリアンを生き返らせる
現在位置:B7の森林地帯
【マリアン死亡】
【残り34人】
【残り34人】