それは『希望』という名の
「あの崩れ様…とんでもないなぁ」
スタンは北、正しくは北々東に向かって走っていた。
目指すは少女の放送があった地、シースリ村。
だが消えてしまったミントを捜しながら来ているため、距離としてはさほど大きくは進んでいなかった。
未だ彼女の影も見つからない。
今スタンがいるのはE2エリア、丁度イーツ城の少し先を通り過ぎた辺りであった。
目指すは少女の放送があった地、シースリ村。
だが消えてしまったミントを捜しながら来ているため、距離としてはさほど大きくは進んでいなかった。
未だ彼女の影も見つからない。
今スタンがいるのはE2エリア、丁度イーツ城の少し先を通り過ぎた辺りであった。
思えば、
「ここにもいない…どこ行っちゃったんだろ、ミント…」
などと呟きながら、隠れやすい森にいる可能性を考え森を通ってきたが、気付けば抜けてしまっていた。
遠くには碧海も見え、微かな潮騒も聞こえる。
地図を広げ現在地を確認する。
F2。なんかイーツ城から遠ざかっているような気がするのは気のせいだろうか?
肝心のイーツ城は、辺りを見回せば見つかったのだが。
──直後、少女の声が響き、彼の瞳に城から昇る光の束が宿った。
遠くには碧海も見え、微かな潮騒も聞こえる。
地図を広げ現在地を確認する。
F2。なんかイーツ城から遠ざかっているような気がするのは気のせいだろうか?
肝心のイーツ城は、辺りを見回せば見つかったのだが。
──直後、少女の声が響き、彼の瞳に城から昇る光の束が宿った。
背後を振り返る。
彼の前に広がっていたのは、だだっ広い土地だった。
…いや、正しくは「だだっ広くなってしまった土地」だった。
本来なら目の前には、城がそびえ立っていた筈なのだから。
再び前に向き直り、走りながら思慮を巡らせる。
彼の前に広がっていたのは、だだっ広い土地だった。
…いや、正しくは「だだっ広くなってしまった土地」だった。
本来なら目の前には、城がそびえ立っていた筈なのだから。
再び前に向き直り、走りながら思慮を巡らせる。
休んでいた筈の彼女は一体どこに?
あの眠り様からして簡単に起きるとは考えられないし、第一ひとりだけで動くとは思えない。
ということは、あの洞窟にまだ誰かいた? そいつがミントを?
これしか考えられなかった。
そしてふと思う──今過ぎた城に、ミントがいたとしたら?
心を過ぎる疑問。
あの崩落じゃ、助かる確率は低い。まさか、まさか。
一度胸に浮かび上がった疑念は、瞬く間に膨らんでいく。
あの眠り様からして簡単に起きるとは考えられないし、第一ひとりだけで動くとは思えない。
ということは、あの洞窟にまだ誰かいた? そいつがミントを?
これしか考えられなかった。
そしてふと思う──今過ぎた城に、ミントがいたとしたら?
心を過ぎる疑問。
あの崩落じゃ、助かる確率は低い。まさか、まさか。
一度胸に浮かび上がった疑念は、瞬く間に膨らんでいく。
…このままじゃミントが危ないんじゃ!
スタンは急ブレーキをかけ、方向転換しイーツ城に一直線に走り出した。
放送のあった村、ジョニーのことが気掛かりなのも確かだ。
あの放送、間違いなくマーダーを呼び込む。
でも、俺みたいにシースリ村に向かう人は、きっと沢山いる。その人達が守ってくれる筈だ。
こうして逆走すれば、後ろにいるかもしれないマーダーの存在に気付けるかもしれない。
それにミントの状態を知ってるのは俺だけ。つまり、ミントを助け出せるのは俺だけなんだ。
スタンはそう自分に言い聞かせた。
放送の少女ファラだってゲームに反対する者の一人。
他にもこのゲームに反対している人はいる。大丈夫、大丈夫だ。
放送のあった村、ジョニーのことが気掛かりなのも確かだ。
あの放送、間違いなくマーダーを呼び込む。
でも、俺みたいにシースリ村に向かう人は、きっと沢山いる。その人達が守ってくれる筈だ。
こうして逆走すれば、後ろにいるかもしれないマーダーの存在に気付けるかもしれない。
それにミントの状態を知ってるのは俺だけ。つまり、ミントを助け出せるのは俺だけなんだ。
スタンはそう自分に言い聞かせた。
放送の少女ファラだってゲームに反対する者の一人。
他にもこのゲームに反対している人はいる。大丈夫、大丈夫だ。
根拠のない理由ではあったが、スタンはまだ見ぬ人々を信じた。
信じること、信じ続けること。それが1番の強さ──これが彼の信条なのだから。
イーツ城であった地は、もうすぐ目の前に迫っていた。
信じること、信じ続けること。それが1番の強さ──これが彼の信条なのだから。
イーツ城であった地は、もうすぐ目の前に迫っていた。
「こりゃ酷いな…」
城の惨状を改めて見たスタンの第一声がそれだった。
確かに崩れ始めた城の姿を遠目には見ていたが、ここまで荒れているとは思わなかった。
何というのだろうか、一言で説明すれば「砂に帰した」というような感じだった。
所々、僅かに残った城壁があるくらいで、あとは城であった面影もない。
辺りは煙っぽいというよりは埃っぽく、軽く咳込んだ。
こんな所にミントはいるのか?
あんな光の柱の近くにいたら、流石に…。
胸の疑念は絶望感へと化す。
更に近寄ってみると、そこに何かの塊があった。近寄って見てみる。
亡骸だった。それも──
確かに崩れ始めた城の姿を遠目には見ていたが、ここまで荒れているとは思わなかった。
何というのだろうか、一言で説明すれば「砂に帰した」というような感じだった。
所々、僅かに残った城壁があるくらいで、あとは城であった面影もない。
辺りは煙っぽいというよりは埃っぽく、軽く咳込んだ。
こんな所にミントはいるのか?
あんな光の柱の近くにいたら、流石に…。
胸の疑念は絶望感へと化す。
更に近寄ってみると、そこに何かの塊があった。近寄って見てみる。
亡骸だった。それも──
「マグニス…!」
ジースリ洞窟で戦った、ジーニアスを殺したあのマグニスだった。
切り刻まれたような裂傷が全身にあった。剣の金創とは違う…ということは、術?
一体ここで何があったんだ? 疑問と警戒を胸に秘め、辺りを散策する。
また、何か塊があった。それも2つ。
切り刻まれたような裂傷が全身にあった。剣の金創とは違う…ということは、術?
一体ここで何があったんだ? 疑問と警戒を胸に秘め、辺りを散策する。
また、何か塊があった。それも2つ。
予想はついていた。あとは、誰なのか。
恐る恐る、見てみる。
恐る恐る、見てみる。
「違…う」
不本意ながら安堵の息を漏らしてしまった自分が嫌になった。
1人は細身の男で、両目がなかった。
もう1人は、見覚えがあった。
1人は細身の男で、両目がなかった。
もう1人は、見覚えがあった。
「…バルバトス…!?」
自分達を殺そうとした2人組の内の1人、戦った人物、マグニスと共にいた男、バルバトス=ゲーティア。
あの男はかなりの実力を持っていた。それが、死んだ?
一体誰が? 城を壊すほどの力の持ち主? それは誰? そんな奴に勝てるのか? そんな奴と会ったらミントは?
…ミントは?
あの男はかなりの実力を持っていた。それが、死んだ?
一体誰が? 城を壊すほどの力の持ち主? それは誰? そんな奴に勝てるのか? そんな奴と会ったらミントは?
…ミントは?
「誰か! 誰かいないのか!? ミントっ!!」
気付けば叫んでいた。頼む、答えてくれ。その一心で。
しかし、返ってくるのは静寂だけ。
その静寂が、スタンの心に追い撃ちをかける。
そんな、一体どこに!
確実にスタンの心に焦りが広がり、判断力を失わせていく。
ひょっとして既に手遅れなのでは? そんな考えさえ頭を過ぎる。
焦りは、自然に自責へと変わろうとしていた──その時。
彼の目にまばゆい赤の煌めきが差し込んだ。
光の源を見る。それは、指に嵌めてあるガーネットの輝きであった。
しかし、返ってくるのは静寂だけ。
その静寂が、スタンの心に追い撃ちをかける。
そんな、一体どこに!
確実にスタンの心に焦りが広がり、判断力を失わせていく。
ひょっとして既に手遅れなのでは? そんな考えさえ頭を過ぎる。
焦りは、自然に自責へと変わろうとしていた──その時。
彼の目にまばゆい赤の煌めきが差し込んだ。
光の源を見る。それは、指に嵌めてあるガーネットの輝きであった。
たぎる炎のような赤。それはスタンに別の意志をもたらし、そしてその意志は炎の如く燃え照り始めた。
…落ち着け! まだ分からないじゃないか!
そう言わんばかりに首を振る。
何早とちりしてるんだ。ミントがここにいたっていう証拠はない。こんなに不安がる必要もないんだ。
手を握り締める。目を閉じて、一度深呼吸する。
そして目を開ける。そこには、いつものスタンがいた。
…落ち着け! まだ分からないじゃないか!
そう言わんばかりに首を振る。
何早とちりしてるんだ。ミントがここにいたっていう証拠はない。こんなに不安がる必要もないんだ。
手を握り締める。目を閉じて、一度深呼吸する。
そして目を開ける。そこには、いつものスタンがいた。
「よし! もう少し捜してみよう!」
頬をぱん、と叩き、気持ちを入れ直す。
そう、大切なのは信じること、信じ続けること。さっき思ったばかりじゃないか。
こんなんじゃルーティに怒られても仕方がない。
…挫けたりするもんか。せめて、泣くのは元の世界に帰ってからだ。
そう決めてスタンは再び探索を始めようとした──が。
不意に違和感が襲った。何かが、足りない。
そう、バルバトスの近くにあの兵器がない。
それ以前に、今まで見つけた骸の近くには支給品袋がなかったのだ。
──誰かが通った? それとも、ここに…。
そう、大切なのは信じること、信じ続けること。さっき思ったばかりじゃないか。
こんなんじゃルーティに怒られても仕方がない。
…挫けたりするもんか。せめて、泣くのは元の世界に帰ってからだ。
そう決めてスタンは再び探索を始めようとした──が。
不意に違和感が襲った。何かが、足りない。
そう、バルバトスの近くにあの兵器がない。
それ以前に、今まで見つけた骸の近くには支給品袋がなかったのだ。
──誰かが通った? それとも、ここに…。
刹那、スタンを影が覆った。
「…!?」
咄嗟に前方へ飛び込むように跳躍する。
素早く後ろに振り向けば、そこには白い装束に金髪のロングヘアーの少女が佇んでいた。
最初、スタンは遂にミントを見つけたと思った。しかし彼女と違う点が幾つもあった。
赤い瞳、翼によく似た背の光、小柄な体格からしてとても持てると思えない、榴弾砲の姿。
そして、ひどく冷たい彼女の瞳。
最初、スタンは遂にミントを見つけたと思った。しかし彼女と違う点が幾つもあった。
赤い瞳、翼によく似た背の光、小柄な体格からしてとても持てると思えない、榴弾砲の姿。
そして、ひどく冷たい彼女の瞳。
【スタン 生存確認】
状態:軽い損傷
所持品:ディフェンサー ガーネット
第一行動方針:状況の把握
第二行動方針:演説が行われた場所へ移動
第三行動方針:ミントの救出
第四行動方針:仲間との合流
現在位置:E2イーツ城跡
状態:軽い損傷
所持品:ディフェンサー ガーネット
第一行動方針:状況の把握
第二行動方針:演説が行われた場所へ移動
第三行動方針:ミントの救出
第四行動方針:仲間との合流
現在位置:E2イーツ城跡
【コレット 生存確認】
状態: TP3/4 無機生命体化 (疲労感・精神力磨耗無視)
所持品:銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲(残弾0) 、苦無(残り1)
基本行動方針:防衛本能(攻撃意思に対する完全抹殺及び不明瞭な干渉に対する威嚇)
第一行動方針:スタンの戦闘意思確認(相手の行動によっては排除)
第二行動方針:非戦闘状態ではリアラに同行する。
第三行動方針:同状態でリアラを完全に見失った場合リアラを捜索する。
第四行動方針:???
現在位置:E2イーツ城跡
状態: TP3/4 無機生命体化 (疲労感・精神力磨耗無視)
所持品:銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲(残弾0) 、苦無(残り1)
基本行動方針:防衛本能(攻撃意思に対する完全抹殺及び不明瞭な干渉に対する威嚇)
第一行動方針:スタンの戦闘意思確認(相手の行動によっては排除)
第二行動方針:非戦闘状態ではリアラに同行する。
第三行動方針:同状態でリアラを完全に見失った場合リアラを捜索する。
第四行動方針:???
現在位置:E2イーツ城跡