Crossing Chain
そろそろ放送の時間だな、とキールが時計を見ながら呟いた。
空は黒が混じり始めている。結局ジェイは見回りに行って放送まで帰ってくる気配はなさそうだ。
何処まで行ったんだろ、と思いつつロイドも荷物から時計を取り出して見た。
放送まで、あと数秒。秒針が1秒と1秒の間を渡っていく。
5、4、3、2、1、0──・・・。
空は黒が混じり始めている。結局ジェイは見回りに行って放送まで帰ってくる気配はなさそうだ。
何処まで行ったんだろ、と思いつつロイドも荷物から時計を取り出して見た。
放送まで、あと数秒。秒針が1秒と1秒の間を渡っていく。
5、4、3、2、1、0──・・・。
「あ・・・」
手が滑り、するりと時計が手から抜け落ちていく。
やけに時がゆっくりだった。落ちていくのがスローモーションに見える。
自分もゆっくり、落ちていく時計に手を伸ばす。
しかし、手は止まり、時計は地に接触した。
1秒と1秒の間にあった秒針が止まる。
その時、自分の時まで止まったと思ったけれど、風は変わらず吹き抜けた。
手が滑り、するりと時計が手から抜け落ちていく。
やけに時がゆっくりだった。落ちていくのがスローモーションに見える。
自分もゆっくり、落ちていく時計に手を伸ばす。
しかし、手は止まり、時計は地に接触した。
1秒と1秒の間にあった秒針が止まる。
その時、自分の時まで止まったと思ったけれど、風は変わらず吹き抜けた。
「・・・父、さん・・・」
時計が落ちたのとクラトス=アウリオンの名が呼ばれたのは同時だった。
ロイドは父の名が呼ばれたと気付くと、落ちた時計も拾わずに悲痛の声を上げた。
イーツ城に父がいると知り、捜しに行こうとした矢先、呼ばれた父の名。
一足遅かった。しかし、その一足はあまりに遠く大きい幅だった。
時計が落ちたのとクラトス=アウリオンの名が呼ばれたのは同時だった。
ロイドは父の名が呼ばれたと気付くと、落ちた時計も拾わずに悲痛の声を上げた。
イーツ城に父がいると知り、捜しに行こうとした矢先、呼ばれた父の名。
一足遅かった。しかし、その一足はあまりに遠く大きい幅だった。
「・・・大丈夫、大丈夫だ。俺は大丈夫・・・」
ロイドは問われてもないのにリッド達の方を向き、精一杯笑いかけながら言う。
共に休んでいたリッドは思わず声をかけようとしていたが、それで口は閉ざされた。
彼もまた、大切な人の名が呼ばれ、死を再認識させられていた。
だから分かるのだ。大切な人を失う悲しみと喪失感の大きさが。
だが、今のロイドはどう見ても大丈夫じゃない。自分に言い聞かせるように、同じ内容を小さく繰り返し呟いているのである。
自分でも無理している気がした。今ならコレットの気持ちも分かる。
嘘をつく理由が。嘘をつく時、愛想笑いをする理由が。
ロイドは問われてもないのにリッド達の方を向き、精一杯笑いかけながら言う。
共に休んでいたリッドは思わず声をかけようとしていたが、それで口は閉ざされた。
彼もまた、大切な人の名が呼ばれ、死を再認識させられていた。
だから分かるのだ。大切な人を失う悲しみと喪失感の大きさが。
だが、今のロイドはどう見ても大丈夫じゃない。自分に言い聞かせるように、同じ内容を小さく繰り返し呟いているのである。
自分でも無理している気がした。今ならコレットの気持ちも分かる。
嘘をつく理由が。嘘をつく時、愛想笑いをする理由が。
少しして、ロイドは2人が会話しているということだけ理解し、内容も聞かずに、独りで考え込んでいた。
自分の仲間は死んでいき残った仲間はコレットだけ。その彼女も何処にいるかは分からない。
留処ない不安。本当は今すぐにでもコレットを探しに行きたい気持ちだった。
もしこの間にコレットが死んでいたら。
もしコレットまで失ったら。
それこそ自分はどうなるか予測がつかない。
しかし、それは出来なかった。今はリッド、キール、ジェイという仲間がいる。
自分の仲間は死んでいき残った仲間はコレットだけ。その彼女も何処にいるかは分からない。
留処ない不安。本当は今すぐにでもコレットを探しに行きたい気持ちだった。
もしこの間にコレットが死んでいたら。
もしコレットまで失ったら。
それこそ自分はどうなるか予測がつかない。
しかし、それは出来なかった。今はリッド、キール、ジェイという仲間がいる。
それともその仲間さえ置いて向かうか?
仲間を裏切ってコレットの下に向かうか?
ゲームに乗って全員を殺して仲間を蘇生させるか?
一瞬そんなどす黒い考えが頭を巡ったが、そんなこと、出来る訳がない。自分が許さない。
例え少しの間でも、この悪夢のようなゲームで行動を共にした「仲間」達だ。
一緒にいた時間は遥かに違うけれども、時間なんて、仲間という事実の前には関係ない。
そう──
仲間を裏切ってコレットの下に向かうか?
ゲームに乗って全員を殺して仲間を蘇生させるか?
一瞬そんなどす黒い考えが頭を巡ったが、そんなこと、出来る訳がない。自分が許さない。
例え少しの間でも、この悪夢のようなゲームで行動を共にした「仲間」達だ。
一緒にいた時間は遥かに違うけれども、時間なんて、仲間という事実の前には関係ない。
そう──
「やはり、な。お前は今でこそマーダーではないが、かつてはマーダーとして行動していたのだろう?」
ジューダスの問い掛けに、助け出したヴェイグは押し黙っている。
寡黙な顔には微かに沈痛そうな表情が広がっていた。
「俺は殺してしまったんだ・・・黒髪の女だった。俺は・・・元の世界に帰るために・・・」
切々たる告白。渇いた血が付着する左手を見ながら、ヴェイグは呟いた。
ジューダスはその自白を聞いて、微かに目を大きくしていた。今の状況で考えられる黒髪の女性に心当たりがあったからだろう。
僅かな沈黙の後、ジューダスは告げた。
「そいつの名前は・・・ルーティ=カトレットだな」
彼女の名を。
「・・・ルーティ・・・カトレット・・・」
ジューダスの問い掛けに、助け出したヴェイグは押し黙っている。
寡黙な顔には微かに沈痛そうな表情が広がっていた。
「俺は殺してしまったんだ・・・黒髪の女だった。俺は・・・元の世界に帰るために・・・」
切々たる告白。渇いた血が付着する左手を見ながら、ヴェイグは呟いた。
ジューダスはその自白を聞いて、微かに目を大きくしていた。今の状況で考えられる黒髪の女性に心当たりがあったからだろう。
僅かな沈黙の後、ジューダスは告げた。
「そいつの名前は・・・ルーティ=カトレットだな」
彼女の名を。
「・・・ルーティ・・・カトレット・・・」
「なあ、ヴェイグ。少し思ったんだけど、お前名簿見てないのか?」
「何故だ?」
銀髪の青年ヴェイグにそう問い掛けると、ヴェイグは案の定質問で返してきた。
「そう聞かれたらまぁ、何となくだけど。ジューダスが名前教えた時、いまいちパッとしなかったからさ」
オールバックの髪を弄りながら答えると、ヴェイグは小さく頷いた。
「ああ・・・お前の言う通りだ。俺は全員を殺すと決めた時、決意が鈍ってはいけないと・・・名簿を見はしなかった・・・」
「じゃあヴェイグもう見てもダイジョーブな!」
そんな重苦しい雰囲気の中に、やけに明るい声がひょこりと乱入してきた。紫のふわふわとした髪質の少女、メルディだ。
「ヴェイグ、前と違う。皆もう殺さないって決めた。だから、もう見てもダイジョーブ!」
メルディのその言葉でヴェイグは面食らってしまったのか、目を大きくしていた。まだ、自分でも少し整理がついていないんだと思う。
そして今まで沈黙を決め込んでいたジューダスも歩み寄ってきた。
「最もだな。お前は全員を殺すと決め、名簿を見なかった。なら、名簿を見ることで誰も殺さないことを誓えばいい」
「何故だ?」
銀髪の青年ヴェイグにそう問い掛けると、ヴェイグは案の定質問で返してきた。
「そう聞かれたらまぁ、何となくだけど。ジューダスが名前教えた時、いまいちパッとしなかったからさ」
オールバックの髪を弄りながら答えると、ヴェイグは小さく頷いた。
「ああ・・・お前の言う通りだ。俺は全員を殺すと決めた時、決意が鈍ってはいけないと・・・名簿を見はしなかった・・・」
「じゃあヴェイグもう見てもダイジョーブな!」
そんな重苦しい雰囲気の中に、やけに明るい声がひょこりと乱入してきた。紫のふわふわとした髪質の少女、メルディだ。
「ヴェイグ、前と違う。皆もう殺さないって決めた。だから、もう見てもダイジョーブ!」
メルディのその言葉でヴェイグは面食らってしまったのか、目を大きくしていた。まだ、自分でも少し整理がついていないんだと思う。
そして今まで沈黙を決め込んでいたジューダスも歩み寄ってきた。
「最もだな。お前は全員を殺すと決め、名簿を見なかった。なら、名簿を見ることで誰も殺さないことを誓えばいい」
その言葉と共に、ジューダスは自分の荷物から名簿を取り出して、ヴェイグに差し出した。
ヴェイグは1度目を閉じ考えていたようだったけど、はっきりとした様子で名簿を受け取った。
今まで禁じていた名簿を開き、昨日殺してしまった女性を探しているようだった。
途中、止まった視線はポプラという人の写真に向けられていて、赤い線が引いてあった。ヴェイグは何も言わなかった。
少しして、動きを再開した視線がまた一点に留まった。
「ルーティ・・・間違いない。俺が殺してしまったのは・・・」
視線の先には、ややショートの黒髪の女性。快活ではきはきしてそうな表情が印象だ。
額を押さえ黙りこくるヴェイグに言った。
「ヴェイグ、言っただろ? これからどうしていくかだってさ。ジューダスみたいに根暗じゃ駄目だって」
「僕のどこが根暗だ?」
すかさずジューダスが割り込んでくる。抜目がない。影で俺は根暗じゃない・・・、と聞こえた気もした。
「あ、いやいや、そーゆー意味じゃなくて~・・・」
と言い、
「2人とも喧嘩はやめるよ~・・・」
とメルディは心配そうな声で言った。
ジューダスはやれやれといった感じで首を振ると、1つの提案を持ち出してきた。
ヴェイグは1度目を閉じ考えていたようだったけど、はっきりとした様子で名簿を受け取った。
今まで禁じていた名簿を開き、昨日殺してしまった女性を探しているようだった。
途中、止まった視線はポプラという人の写真に向けられていて、赤い線が引いてあった。ヴェイグは何も言わなかった。
少しして、動きを再開した視線がまた一点に留まった。
「ルーティ・・・間違いない。俺が殺してしまったのは・・・」
視線の先には、ややショートの黒髪の女性。快活ではきはきしてそうな表情が印象だ。
額を押さえ黙りこくるヴェイグに言った。
「ヴェイグ、言っただろ? これからどうしていくかだってさ。ジューダスみたいに根暗じゃ駄目だって」
「僕のどこが根暗だ?」
すかさずジューダスが割り込んでくる。抜目がない。影で俺は根暗じゃない・・・、と聞こえた気もした。
「あ、いやいや、そーゆー意味じゃなくて~・・・」
と言い、
「2人とも喧嘩はやめるよ~・・・」
とメルディは心配そうな声で言った。
ジューダスはやれやれといった感じで首を振ると、1つの提案を持ち出してきた。
「ここらで互いの情報を交換しておこう。まず、メルディ」
「はいな! メルディが仲間はリッド、ファラ、キール。カトリーヌはお手伝いしてあげた人な。
あと・・・恐くてあまり思い出したくないけど・・・前にこのシャーリィって女の子に襲われた」
しゅたっと手を挙げ、先程の心配そうな声の感情とは打って変わり、極めて明るい声で言うメルディ。
最後の方は少々暗めだったが、はっきりとした口調だった。
「うーん、何か気になんだよなぁ・・・その子」
「次、ロイド」
シャーリィという名と名簿の写真を見て考えていたけど、ジューダスに先を急かされた。
「あ、えーっと。残った仲間はもうコレットと、とう・・・クラトスだけだ。ユアンはクラトスの昔からの仲間。マグニスは・・・敵だった」
慌てて名簿に近寄ってコレット、クラトス、ユアン、マグニスの順で写真を指差しながら説明する。
マグニスは知っての通り、最初に人を殺していった奴だ。だから、説明した時は皆「やっぱり」といったような顔をしていた。
一通り説明を終えると、今度はジューダスが説明を始めた。
「はいな! メルディが仲間はリッド、ファラ、キール。カトリーヌはお手伝いしてあげた人な。
あと・・・恐くてあまり思い出したくないけど・・・前にこのシャーリィって女の子に襲われた」
しゅたっと手を挙げ、先程の心配そうな声の感情とは打って変わり、極めて明るい声で言うメルディ。
最後の方は少々暗めだったが、はっきりとした口調だった。
「うーん、何か気になんだよなぁ・・・その子」
「次、ロイド」
シャーリィという名と名簿の写真を見て考えていたけど、ジューダスに先を急かされた。
「あ、えーっと。残った仲間はもうコレットと、とう・・・クラトスだけだ。ユアンはクラトスの昔からの仲間。マグニスは・・・敵だった」
慌てて名簿に近寄ってコレット、クラトス、ユアン、マグニスの順で写真を指差しながら説明する。
マグニスは知っての通り、最初に人を殺していった奴だ。だから、説明した時は皆「やっぱり」といったような顔をしていた。
一通り説明を終えると、今度はジューダスが説明を始めた。
「ロイドはずっと僕と行動していたから行動はいいとして。
僕の仲間はこいつとこいつ、こいつの3人。このバルバトスは・・・僕達の最大の敵だ。あとは・・・」
ジューダスは指を動かして、カイル、リアラ、ハロルドという人の順で指し、最後にバルバトスを指した。
多分マグニスと同じで、このゲームに乗っている1人だろう。見るからに戦闘を好んでいそうな顔だ。
ジューダスが最大の敵、と言うのだから、余程の強さなんだろう。警戒するに越したことはない。
説明の後、ジューダスの指がぴくりと動いた気がした。けれど、手は元の位置に引いていった。
「いや、これで終わりだな。最後、ヴェイグ」
ジューダスは名簿をヴェイグに手渡す。
「・・・参加してる仲間はこのティトレイという騒がしい奴だけだ。この・・・サレとトーマは、俺達の世界では敵だった」
とヴェイグは言いながら、ティトレイ、サレ、トーマという人の順で写真を指差す。
そうして、名簿を閉じた。
「・・・俺は石になってたのもあって、正直今まで会っている人物は少ない。初めて会ったのがこのルーティで・・・彼女を殺した後、北上して・・・シシックス城で休んで、森に入って・・・それで・・・」
僕の仲間はこいつとこいつ、こいつの3人。このバルバトスは・・・僕達の最大の敵だ。あとは・・・」
ジューダスは指を動かして、カイル、リアラ、ハロルドという人の順で指し、最後にバルバトスを指した。
多分マグニスと同じで、このゲームに乗っている1人だろう。見るからに戦闘を好んでいそうな顔だ。
ジューダスが最大の敵、と言うのだから、余程の強さなんだろう。警戒するに越したことはない。
説明の後、ジューダスの指がぴくりと動いた気がした。けれど、手は元の位置に引いていった。
「いや、これで終わりだな。最後、ヴェイグ」
ジューダスは名簿をヴェイグに手渡す。
「・・・参加してる仲間はこのティトレイという騒がしい奴だけだ。この・・・サレとトーマは、俺達の世界では敵だった」
とヴェイグは言いながら、ティトレイ、サレ、トーマという人の順で写真を指差す。
そうして、名簿を閉じた。
「・・・俺は石になってたのもあって、正直今まで会っている人物は少ない。初めて会ったのがこのルーティで・・・彼女を殺した後、北上して・・・シシックス城で休んで、森に入って・・・それで・・・」
ヴェイグはゆっくり、けれど横槍を入れる余地なく語っていった。やっぱりまだ表情はどこか暗い。
何か言いかけた、その時だった。
『皆聞こえる!? 私はファラ、ファラ=エルステッド!──』
「! ファラ!?」
必死そうな少女の声が聞こえ、全員が一驚し聞こえる方向へ向いた。
その中、メルディが一際大きく声を挙げていた。
何か言いかけた、その時だった。
『皆聞こえる!? 私はファラ、ファラ=エルステッド!──』
「! ファラ!?」
必死そうな少女の声が聞こえ、全員が一驚し聞こえる方向へ向いた。
その中、メルディが一際大きく声を挙げていた。
──そう、参加者それぞれに仲間や大切な人がいて、その人達は今の自分と同じ状況で、確実に消えていっている。
大切な人達がいなくなるのは当然、悲しい。それは自分だけが持ち得る感情ではない筈だ。
リッドとキールは、ファラという幼なじみの少女を亡くし悲しんでいた。
でも、2人はそれを乗り越えて先に進もうとしている。
ジューダスは、自分と同じように仲間が死んだと言っていた。
でも、明らかに表には出さないで冷静で的確な判断をしてくれていた。
ヴェイグは、人を殺した罪の意識に悩まされていた。
でも、償いをしようと前を向いて歩き始めようとしていた。
なら、自分は?
ただ途方もなく打ち拉がれているだけじゃないか?
別にそれ自体が悪いとは思わない。人が時として負の感情に囚われるのは、心を持ち人である証拠だ。
大切な人達がいなくなるのは当然、悲しい。それは自分だけが持ち得る感情ではない筈だ。
リッドとキールは、ファラという幼なじみの少女を亡くし悲しんでいた。
でも、2人はそれを乗り越えて先に進もうとしている。
ジューダスは、自分と同じように仲間が死んだと言っていた。
でも、明らかに表には出さないで冷静で的確な判断をしてくれていた。
ヴェイグは、人を殺した罪の意識に悩まされていた。
でも、償いをしようと前を向いて歩き始めようとしていた。
なら、自分は?
ただ途方もなく打ち拉がれているだけじゃないか?
別にそれ自体が悪いとは思わない。人が時として負の感情に囚われるのは、心を持ち人である証拠だ。
悪いのは、そればかりに捕らえられ先に進まないことだ。良き過去ばかりに目を向け、未来を見ようとしないことだ。
悲しんでるのは自分だけじゃない。でも、今捕われているのは自分だけ。
それに、仲間がいたのは死んでいった人々も同じ。彼ら彼女らもまた、仲間を残し去ることを悔やんでいたかもしれない。
そして残された者は、先立った者を悲しむ。
それは止むべき悲しみの連鎖。
止めなくてはいけない。これ以上の悲劇を起こさないためにも。
それを作り出しているのがゲームの参加者なら、止めることが出来るのもまた、参加者だ。
この今、何処かで確実に戦いは起きているのだろう。起きていなくても、いずれ起きるのだろう。
それを防ぐこと──それが、自分がすべきことじゃないのか?
霧が晴れる。
視界が急にはっきり見え出したような気がした。
ふと、足元に落ちたままの時計に気付く。かち、かちと小気味よい音と共に秒針は動いている。
時は止まってなんかいない。進んでいる。
ロイドは時計を拾い、強く握り締めた。
「コレット・・・ジューダス、メルディ、ヴェイグ・・・無事でいてくれよ」
そう呟くと、瞳に光を宿し、ロイドは2人の仲間の下へ向かった。
悲しんでるのは自分だけじゃない。でも、今捕われているのは自分だけ。
それに、仲間がいたのは死んでいった人々も同じ。彼ら彼女らもまた、仲間を残し去ることを悔やんでいたかもしれない。
そして残された者は、先立った者を悲しむ。
それは止むべき悲しみの連鎖。
止めなくてはいけない。これ以上の悲劇を起こさないためにも。
それを作り出しているのがゲームの参加者なら、止めることが出来るのもまた、参加者だ。
この今、何処かで確実に戦いは起きているのだろう。起きていなくても、いずれ起きるのだろう。
それを防ぐこと──それが、自分がすべきことじゃないのか?
霧が晴れる。
視界が急にはっきり見え出したような気がした。
ふと、足元に落ちたままの時計に気付く。かち、かちと小気味よい音と共に秒針は動いている。
時は止まってなんかいない。進んでいる。
ロイドは時計を拾い、強く握り締めた。
「コレット・・・ジューダス、メルディ、ヴェイグ・・・無事でいてくれよ」
そう呟くと、瞳に光を宿し、ロイドは2人の仲間の下へ向かった。
【ロイド 生存確認】
状態:中程度のショック
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る。これ以上の無駄な戦いを止めさせる
第一行動方針:リッド、キールとこれからのことを話す
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
現在位置:D2西
状態:中程度のショック
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る。これ以上の無駄な戦いを止めさせる
第一行動方針:リッド、キールとこれからのことを話す
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
現在位置:D2西