転落
ゲーム開始以来、既に三人を手にかけたデミテルの目の前には、一人の少年が居た。
四方八方に飛び出した金髪、まだあどけなさの残る横顔は、どこか寂しげだった。
海を見下ろせる崖に両足をだらりとぶらさげ、物憂げに島の外側、水平線を見つめていた。
よくよく目を凝らせばその顔に涙の後も見える
。 そして少年はそんなことが分かるほどデミテルが接近していることに気付いていなかった。
ただ前を見つめるばかりである。
年に不相応な、疲弊した(精神的にか、肉体的にかは分からなかったが)雰囲気であった。
しかし、少年のそんな様子はデミテルにとってはどうでもよいことだった。
彼はその少年を殺すつもりだったので。
両手に魔力を溜め、少年が気付かない程度の声で詠唱を始める。
やがて充分な威力を持ち放たれるそれは、目の前の少年を木っ端微塵に砕き、肉片は血と共に海に落ち行くだろう。
微かに笑みを浮かべながら、デミテルは詠唱を終えようとしていた。
どうせなら最期に一言声をかけてやろう。『馬鹿』と。
このゲームの最中で自然の景観に心を奪われているなんて、最早救いようの無い馬鹿だ。
詠唱を終える。目の前の少年の様子は何も変わっていない。
そしてデミテルが死の宣告を口にしかけたが、それは唐突に響いた叫び声によってかき消された。
それは少女の声に聞こえた。そして確かに「カイル」と叫んでいた。少年の名前だろうか。
一瞬で少年は我に返り、ばっと振り返った。
こちらと目が合う。少年の瞳に驚愕と疑惑と緊張とが走る。
続いて少年は声がした方を見た。そこにはデミテルが思ったとおり、少女が居た。
ショートカットの黒髪に、煌びやかな水晶玉を髪に通している。
割と幼く見えるが、少年と年はそう変わらないだろう。
「カイル!」
もう一度そう叫んだ。手に、杖・・・いや、飴か?渦巻き型の、カラフルな飴である。彼女等より更にガキが好むものだ。
少女が詠唱を始めていた。しかし既に詠唱を終え、術を放つだけの自分が早い。
そして即座に少年の方に視線を向ける。
少年は立ち上がっていたが、まだ同じ場所、崖のすれすれに立っていた。
デミテルは素早く両手を構え、少年目掛けて術を放った。
少年の周囲から熱気が舞い上がり、爆発した。
岩が砕け、少年の足場が脆く崩れた。
そして体勢を整える間もなく、そのまま海へと落下して行った。
時間にしてわずか十数秒程度の出来事だったが、彼は当初の目的を達した。
「カイル?カイル!!」
詠唱も中途に、少女が崖に駆け寄り、先程まで少年が居たあたりに膝を付く。
身を乗り出し、海を覗き込む。しかし彼女の視界には、乱雑する岩礁と波打つ潮しか見えなかった。
悲鳴の様に何度も少年の名前を口にしながら、少女は彼の姿を探し続けた。
「さて・・・」
デミテルはおもむろに少女に歩み寄った。
少女はこちらを見、立ち上がり後ろへ二、三歩下がった。
その表情はこわばっている様に引きつっている。
デミテルの顔に邪悪な笑みが浮かんだ。
少年が落下した崖の下、打ち寄せる波より少し島側の方に、小さな空洞ができていた。
島の地層が削り取られて出来たそれは、人ひとりがようやく横になれる程度の洞穴だった。
そしてそこに、ついさきほど落下した少年、カイル・デュナミスが気絶して倒れていた。
四方八方に飛び出した金髪、まだあどけなさの残る横顔は、どこか寂しげだった。
海を見下ろせる崖に両足をだらりとぶらさげ、物憂げに島の外側、水平線を見つめていた。
よくよく目を凝らせばその顔に涙の後も見える
。 そして少年はそんなことが分かるほどデミテルが接近していることに気付いていなかった。
ただ前を見つめるばかりである。
年に不相応な、疲弊した(精神的にか、肉体的にかは分からなかったが)雰囲気であった。
しかし、少年のそんな様子はデミテルにとってはどうでもよいことだった。
彼はその少年を殺すつもりだったので。
両手に魔力を溜め、少年が気付かない程度の声で詠唱を始める。
やがて充分な威力を持ち放たれるそれは、目の前の少年を木っ端微塵に砕き、肉片は血と共に海に落ち行くだろう。
微かに笑みを浮かべながら、デミテルは詠唱を終えようとしていた。
どうせなら最期に一言声をかけてやろう。『馬鹿』と。
このゲームの最中で自然の景観に心を奪われているなんて、最早救いようの無い馬鹿だ。
詠唱を終える。目の前の少年の様子は何も変わっていない。
そしてデミテルが死の宣告を口にしかけたが、それは唐突に響いた叫び声によってかき消された。
それは少女の声に聞こえた。そして確かに「カイル」と叫んでいた。少年の名前だろうか。
一瞬で少年は我に返り、ばっと振り返った。
こちらと目が合う。少年の瞳に驚愕と疑惑と緊張とが走る。
続いて少年は声がした方を見た。そこにはデミテルが思ったとおり、少女が居た。
ショートカットの黒髪に、煌びやかな水晶玉を髪に通している。
割と幼く見えるが、少年と年はそう変わらないだろう。
「カイル!」
もう一度そう叫んだ。手に、杖・・・いや、飴か?渦巻き型の、カラフルな飴である。彼女等より更にガキが好むものだ。
少女が詠唱を始めていた。しかし既に詠唱を終え、術を放つだけの自分が早い。
そして即座に少年の方に視線を向ける。
少年は立ち上がっていたが、まだ同じ場所、崖のすれすれに立っていた。
デミテルは素早く両手を構え、少年目掛けて術を放った。
少年の周囲から熱気が舞い上がり、爆発した。
岩が砕け、少年の足場が脆く崩れた。
そして体勢を整える間もなく、そのまま海へと落下して行った。
時間にしてわずか十数秒程度の出来事だったが、彼は当初の目的を達した。
「カイル?カイル!!」
詠唱も中途に、少女が崖に駆け寄り、先程まで少年が居たあたりに膝を付く。
身を乗り出し、海を覗き込む。しかし彼女の視界には、乱雑する岩礁と波打つ潮しか見えなかった。
悲鳴の様に何度も少年の名前を口にしながら、少女は彼の姿を探し続けた。
「さて・・・」
デミテルはおもむろに少女に歩み寄った。
少女はこちらを見、立ち上がり後ろへ二、三歩下がった。
その表情はこわばっている様に引きつっている。
デミテルの顔に邪悪な笑みが浮かんだ。
少年が落下した崖の下、打ち寄せる波より少し島側の方に、小さな空洞ができていた。
島の地層が削り取られて出来たそれは、人ひとりがようやく横になれる程度の洞穴だった。
そしてそこに、ついさきほど落下した少年、カイル・デュナミスが気絶して倒れていた。
【カイル 生存確認】
状態:脳震盪により気絶中 全身に軽い打撲
所持品:不明
第一行動方針:リアラ、ロニ、ジューダス、ハロルドとの合流
第二行動方針:父との再会
現在地:G2崖下の洞穴
状態:脳震盪により気絶中 全身に軽い打撲
所持品:不明
第一行動方針:リアラ、ロニ、ジューダス、ハロルドとの合流
第二行動方針:父との再会
現在地:G2崖下の洞穴
【リアラ 生存確認】
状態:無傷
所持品:ロリポップ ???? ????
第一行動方針:デミテルをやりすごす
第二行動方針:カイルを探す
現在位置:G2の崖付近
状態:無傷
所持品:ロリポップ ???? ????
第一行動方針:デミテルをやりすごす
第二行動方針:カイルを探す
現在位置:G2の崖付近
【デミテル 生存確認】
所持品:フィートシンボル ストロー ミスティシンボル ????
第一行動方針:リアラを倒す
第二行動方針:出来る限り最低限の方法で邪魔者を駆逐する
第三行動方針:ダオスを倒せそうなキャラをダオスに仕向ける
現在地:G2の崖付近
所持品:フィートシンボル ストロー ミスティシンボル ????
第一行動方針:リアラを倒す
第二行動方針:出来る限り最低限の方法で邪魔者を駆逐する
第三行動方針:ダオスを倒せそうなキャラをダオスに仕向ける
現在地:G2の崖付近