ハッタリ作戦
放送がよく聞けるようにと、一同は教会の屋上に集まっていた。
「私の仲間は呼ばれなかった。お前達の方も大丈夫なようだな」
「ええ、ですがもう九名も亡くなったなんて…」
たった六時間の間に九人。それだけゲームに乗った参加者がいるということだ。
カトリーヌが、数時間前にルーティという人物の生存をここで確認している。
つまり、彼女はここからそう遠くないところで殺害されたということになる。
「今後参加者に安易に接触するのは避けるべきだな。特にグリッド…」
「私の仲間は呼ばれなかった。お前達の方も大丈夫なようだな」
「ええ、ですがもう九名も亡くなったなんて…」
たった六時間の間に九人。それだけゲームに乗った参加者がいるということだ。
カトリーヌが、数時間前にルーティという人物の生存をここで確認している。
つまり、彼女はここからそう遠くないところで殺害されたということになる。
「今後参加者に安易に接触するのは避けるべきだな。特にグリッド…」
グリッドに注意を促そうとしたその時、町のどこかで何かが割れる音がした。
「誰か来たみたいね。接触してみる?」
「メンバーをさらに増やすチャンスだ。なに、俺が説得すれば俺たちに付いてくるさ」
相変わらず自信満々のグリッド。これは、万が一のときの戦闘離脱に関しては一流というところからくる自信でもある。
「じゃあ、危険な相手だった場合は例のように」
「誰か来たみたいね。接触してみる?」
「メンバーをさらに増やすチャンスだ。なに、俺が説得すれば俺たちに付いてくるさ」
相変わらず自信満々のグリッド。これは、万が一のときの戦闘離脱に関しては一流というところからくる自信でもある。
「じゃあ、危険な相手だった場合は例のように」
グリッドはジェットブーツとマジックミストを借り、プリムラはカトリーヌにC・ケイジを渡し、階下へ降りていく。
と、プリムラの制服のポケットから紙切れが落ちた。
「あれ? これって説明書ですよね?」
「あの眉唾グッズのものか? 裏面があったのか」
「でも眉唾物ならどうでもいいんじゃないですか? あれ、中身もありませんし」
「それもそうだな」
と、プリムラの制服のポケットから紙切れが落ちた。
「あれ? これって説明書ですよね?」
「あの眉唾グッズのものか? 裏面があったのか」
「でも眉唾物ならどうでもいいんじゃないですか? あれ、中身もありませんし」
「それもそうだな」
表面:商品名
チャームボトル。使えば貴方の魅力がアップ!良いことが起こるかも!
チャームボトル。使えば貴方の魅力がアップ!良いことが起こるかも!
裏面:使用例
お店で使えば、きっと魅力的な客に。恋愛を夢見る少女の前で使えば、きっと魅力的な男性に。
戦いを好きな者の前で使えば、きっと魅力的な対戦相手に。
説得が通用しそうにない相手が来た。
ここに呼ばれる少し前、勇者たる所以を見せてやろうとか言いつつ、闘技場に挑戦した。
いつもより調子が良く、見事八連戦を勝ち抜くことができたのである。
しかしチャンピオン登場。結果、三十秒と経たないうちに敗北。
いつも通り「俺様がチャンピオンよ!」と声高に宣言して、悠々と退場していった。
お店で使えば、きっと魅力的な客に。恋愛を夢見る少女の前で使えば、きっと魅力的な男性に。
戦いを好きな者の前で使えば、きっと魅力的な対戦相手に。
説得が通用しそうにない相手が来た。
ここに呼ばれる少し前、勇者たる所以を見せてやろうとか言いつつ、闘技場に挑戦した。
いつもより調子が良く、見事八連戦を勝ち抜くことができたのである。
しかしチャンピオン登場。結果、三十秒と経たないうちに敗北。
いつも通り「俺様がチャンピオンよ!」と声高に宣言して、悠々と退場していった。
そのチャンピオン、マイティ・コングマンが目の前にいる。
「嬢ちゃんに男が一人か。血が騒ぐな…。そっちの男はぶっ倒さねぇと気が済まねぇ」
コングマンはそんなことを言っている。俺のことは忘れているらしい。
ヤツは俺を幾多の挑戦者のうちの一人としか見ていなかったようだ。当然か。
だが、今のヤツは、どう見ても俺と戦う気マンマンだ。
仲間を増やすのに便利かと思って使ったチャームボトルがマズかったか?
俺は一応、脅しも兼ねて尋ねてみる。
「勇者たるこの俺と戦いたいらしいが、そうなると互いに消耗してあまりよくはないだろう。それよりどうだ? 俺たちの仲間に…」
「なって欲しいのなら、俺様を倒すことだ」
ダメだ。説得は不可能。ここに来てから初めての失敗。
「嬢ちゃんに男が一人か。血が騒ぐな…。そっちの男はぶっ倒さねぇと気が済まねぇ」
コングマンはそんなことを言っている。俺のことは忘れているらしい。
ヤツは俺を幾多の挑戦者のうちの一人としか見ていなかったようだ。当然か。
だが、今のヤツは、どう見ても俺と戦う気マンマンだ。
仲間を増やすのに便利かと思って使ったチャームボトルがマズかったか?
俺は一応、脅しも兼ねて尋ねてみる。
「勇者たるこの俺と戦いたいらしいが、そうなると互いに消耗してあまりよくはないだろう。それよりどうだ? 俺たちの仲間に…」
「なって欲しいのなら、俺様を倒すことだ」
ダメだ。説得は不可能。ここに来てから初めての失敗。
プリムラも尋ねる。
「あなた、このゲームに乗ってるの?」
「優勝するのはこのマイティ・コングマン様よ!」
よくよく考えたら、ヤツはいつも闘技場でこんなことをやっているのだし、
闘技場ならどんなにボコボコにされてもエリクシールで元通り。
だから、怪我とか死とかの概念が薄れているのかもしれない。
それとも、全員蘇生させてやるからいっぺん死ねとか思っているのだろうか? ならとんでもないぞ。
「さて、早速闘り合おうじゃねえか」
コングマンが宣戦布告をする。
プリムラがランタンを掲げ、明かりを灯す。合図だ。
俺もランタンに明かりを付け、そして、俺たちは同時に別方向へ駆け出す。
広場の端にランタンを設置する。
ヤツに明かりを付けるような技術は無いはず。闘気を煉れば明るくなるかもしれないが、かなり無駄だからやるまい。
少なくとも、この光源二つが破壊されることはない。
「あなた、このゲームに乗ってるの?」
「優勝するのはこのマイティ・コングマン様よ!」
よくよく考えたら、ヤツはいつも闘技場でこんなことをやっているのだし、
闘技場ならどんなにボコボコにされてもエリクシールで元通り。
だから、怪我とか死とかの概念が薄れているのかもしれない。
それとも、全員蘇生させてやるからいっぺん死ねとか思っているのだろうか? ならとんでもないぞ。
「さて、早速闘り合おうじゃねえか」
コングマンが宣戦布告をする。
プリムラがランタンを掲げ、明かりを灯す。合図だ。
俺もランタンに明かりを付け、そして、俺たちは同時に別方向へ駆け出す。
広場の端にランタンを設置する。
ヤツに明かりを付けるような技術は無いはず。闘気を煉れば明るくなるかもしれないが、かなり無駄だからやるまい。
少なくとも、この光源二つが破壊されることはない。
プリムラはそこらの手頃な角材を拾って、剣の代わりとする。
「ailadnahpdrageniesdragztifseiabraclievauqa…」
俺は大声で晶霊術詠唱のふり。詠唱は適当だ。俺にとっては晶術とどこが違うんだという話だが。
「バカめが! 前衛がいない術師なんざ、サンドバッグの代わりにもならねえんだよ!」
コングマンは俺の方を潰しに来ようとする。
「ailadnahpdrageniesdragztifseiabraclievauqa…」
俺は大声で晶霊術詠唱のふり。詠唱は適当だ。俺にとっては晶術とどこが違うんだという話だが。
「バカめが! 前衛がいない術師なんざ、サンドバッグの代わりにもならねえんだよ!」
コングマンは俺の方を潰しに来ようとする。
一発食らえば、連撃をたたき込まれて、俺たちは終わりだろう。一発も食らわずに終わらさなければならない。
「激! 魔人剣!」
瞬間コングマンの注意がプリムラに向く。当然何も出ない。ハッタリなのだから。にしても、一体どんな魔人剣なのだろう?
「チッ、ハッタリかよ。驚かせやがって」
「激! 魔人剣!」
瞬間コングマンの注意がプリムラに向く。当然何も出ない。ハッタリなのだから。にしても、一体どんな魔人剣なのだろう?
「チッ、ハッタリかよ。驚かせやがって」
その隙に晶術が完成した…ふりをする。
「gniwkcalb…ウィンドカッター!」
コングマンの周りの空気の様子が変わる。
瞬間、それは風の刃となり、ヤツを切り刻もうとする。
が、ヤツもさるもの。微妙な空気の変化を感じ取ったのか、すぐにその場を離れ、小さな切り傷を負うにとどめた。
「gniwkcalb…ウィンドカッター!」
コングマンの周りの空気の様子が変わる。
瞬間、それは風の刃となり、ヤツを切り刻もうとする。
が、ヤツもさるもの。微妙な空気の変化を感じ取ったのか、すぐにその場を離れ、小さな切り傷を負うにとどめた。
俺たちが使える晶霊術の中で、唯一発動者が特定できないものがウィンドカッターだそうだ。
高位の術師なら魔力とかなんやらで発動者は分かるらしいが、相手はバリバリの肉体派。
俺が晶霊術を発動したと思い込んでいることだろう。
本来、術には詠唱が必要だ。だが、俺に注意を引きつけることで、術者は何の危険もなく術を完成できる。
俺は大声で呟きながら逃げに徹すればいいだけだ。ついでにチャームボトルの効果で本来の実力はごまかされている。
コングマンには遠距離攻撃が無い。もし披露されていれば、雑誌で特集が組まれるだろうが、見たことない。
だから、俺の体力が切れるまでは追いつけない。
だが、俺の体力が切れる前にヤツを倒せるだろうか?
高位の術師なら魔力とかなんやらで発動者は分かるらしいが、相手はバリバリの肉体派。
俺が晶霊術を発動したと思い込んでいることだろう。
本来、術には詠唱が必要だ。だが、俺に注意を引きつけることで、術者は何の危険もなく術を完成できる。
俺は大声で呟きながら逃げに徹すればいいだけだ。ついでにチャームボトルの効果で本来の実力はごまかされている。
コングマンには遠距離攻撃が無い。もし披露されていれば、雑誌で特集が組まれるだろうが、見たことない。
だから、俺の体力が切れるまでは追いつけない。
だが、俺の体力が切れる前にヤツを倒せるだろうか?
「チッ、テメェら、逃げるばかりしやがって…」
コングマンは周りを一瞥し、今度はプリムラの方へ向かっていく。俺のハッタリは完璧だったはずだが…?
「術を使っているのはそっちの嬢ちゃんだな?
よく見りゃ構え方が素人だしな。俺様としたことが、騙されるところだったぜ」
ああ、やっぱり私の方に来るわけね。
まああんなにわざとらしい詠唱じゃ、怪しいと思うのも無理はないけれど。
武器の持ち方とか言ってるけれど、こんな木の棒にも持ち方があるのかしら?
ユアンはとにかく振り回せとか言ってたけれど、バトンじゃあるまいし。
コングマンは周りを一瞥し、今度はプリムラの方へ向かっていく。俺のハッタリは完璧だったはずだが…?
「術を使っているのはそっちの嬢ちゃんだな?
よく見りゃ構え方が素人だしな。俺様としたことが、騙されるところだったぜ」
ああ、やっぱり私の方に来るわけね。
まああんなにわざとらしい詠唱じゃ、怪しいと思うのも無理はないけれど。
武器の持ち方とか言ってるけれど、こんな木の棒にも持ち方があるのかしら?
ユアンはとにかく振り回せとか言ってたけれど、バトンじゃあるまいし。
「アクアエッジ!」
グリッドが大声で喋ってたから、私は気付かれずに詠唱できた。
水のノコギリ…とはお世辞にも言えない、水鉄砲がコングマンに発射される。
だが、コングマンはひるむことなく両腕でそれをガードし、体当たりしてくる。
当たってたまるか。人間相手に足の速さで負けたことはないんだから。それに、ナイトメアブーツもあるし。
まあでも、追いかけられて気持ちいいものではないかな。
グリッドが大声で喋ってたから、私は気付かれずに詠唱できた。
水のノコギリ…とはお世辞にも言えない、水鉄砲がコングマンに発射される。
だが、コングマンはひるむことなく両腕でそれをガードし、体当たりしてくる。
当たってたまるか。人間相手に足の速さで負けたことはないんだから。それに、ナイトメアブーツもあるし。
まあでも、追いかけられて気持ちいいものではないかな。
「ウィンドカッター!」
俺はとりあえず叫ぶ。
「ヘッ、ネタは割れてんだよ! テメェの術はハッタリだってな!」
だが、やはりコングマンの周りの空気の様子が変化する。
「何!?」
やはりとっさに回避するが、今度はさっきよりも大きな傷を負ったようだ。
まあ、ヤツにとってはかすり傷にすぎないのだろうが。
「詠唱はしていなかったはずだ…。まさか、術のゼロタイム発動か…?」
まだヤツは気付いていないらしい。
術者は教会の上。カトリーヌがC・ケイジを使って術を発動しているのだ。ユアンも控えている。
俺はとりあえず叫ぶ。
「ヘッ、ネタは割れてんだよ! テメェの術はハッタリだってな!」
だが、やはりコングマンの周りの空気の様子が変化する。
「何!?」
やはりとっさに回避するが、今度はさっきよりも大きな傷を負ったようだ。
まあ、ヤツにとってはかすり傷にすぎないのだろうが。
「詠唱はしていなかったはずだ…。まさか、術のゼロタイム発動か…?」
まだヤツは気付いていないらしい。
術者は教会の上。カトリーヌがC・ケイジを使って術を発動しているのだ。ユアンも控えている。
「edahslliramatsercsnemrahadiemraenirhsezilyartsgniwkcalb…ウィンドカッター! ライトニング!」
コングマン目がけて、風の刃と雷が襲い掛かる。 やっぱり避けられてる。なにしろ人に向かって術を撃ったのは初めてだし…
以前王都に行く途中にモンスターに撃ったことはあるけど、その程度で技術が上がるわけでもなし。
というか、グリッドさん、あまり乱発しないでほしい。ユアンさんと違って、私の方は詠唱にちょっと時間がかかるんだから。
「アクアエッジ!」
プリムラさんの追撃。やっぱり水鉄砲で、そのあたりを濡らすにとどまったが。
「チッ…」
コングマンが教会の下に来たのを見計らってグリッドさんが叫ぶ。
「ストーンブラスト!」
屋根の上に用意しておいた、煉瓦やら石やら石人形を一斉に落とす。何個かは当たると思ったが、全部拳で砕いてしまったらしい。
さすがにチャンピオンは違う。と、そんなことを言っている場合じゃないか。
「どうやら上に誰かいるようだな…。お前らは囮だったか」
コングマン目がけて、風の刃と雷が襲い掛かる。 やっぱり避けられてる。なにしろ人に向かって術を撃ったのは初めてだし…
以前王都に行く途中にモンスターに撃ったことはあるけど、その程度で技術が上がるわけでもなし。
というか、グリッドさん、あまり乱発しないでほしい。ユアンさんと違って、私の方は詠唱にちょっと時間がかかるんだから。
「アクアエッジ!」
プリムラさんの追撃。やっぱり水鉄砲で、そのあたりを濡らすにとどまったが。
「チッ…」
コングマンが教会の下に来たのを見計らってグリッドさんが叫ぶ。
「ストーンブラスト!」
屋根の上に用意しておいた、煉瓦やら石やら石人形を一斉に落とす。何個かは当たると思ったが、全部拳で砕いてしまったらしい。
さすがにチャンピオンは違う。と、そんなことを言っている場合じゃないか。
「どうやら上に誰かいるようだな…。お前らは囮だったか」
「気付かれたんでしょうか?」
「そのようだな」
石像の混じっている術なんてないだろうし、気付かれるのも仕方ない、か。
「そのようだな」
石像の混じっている術なんてないだろうし、気付かれるのも仕方ない、か。
「なら、先に上を潰さねえと話にならんな」
コングマンは扉を蹴破って、教会へ侵入したようだ。
扉の上に仕掛けてあった皿の入った桶が落下し、大きな音を立てて割れたのが聞こえた。
来る。
俺様としたことが、すっかりやられたぜ。
相手は最初に出てきた二人だけと思っていたが、まさか他にいたとはな。
誰かが塔の上にいて、そこから術を発動させたりものを落としたりしていたのだろう。
コングマンは扉を蹴破って、教会へ侵入したようだ。
扉の上に仕掛けてあった皿の入った桶が落下し、大きな音を立てて割れたのが聞こえた。
来る。
俺様としたことが、すっかりやられたぜ。
相手は最初に出てきた二人だけと思っていたが、まさか他にいたとはな。
誰かが塔の上にいて、そこから術を発動させたりものを落としたりしていたのだろう。
下の二人はやたらすばしっこくて、捕まえられねえ。
へビィボンバーを使うとしても、気付かれれば逃げられるだろうし、塔を壊して自分が埋まったらマヌケもいいところだ。
下の二人には当たるかどうかも分からない。
それに、この技自体あまり多用できるものではない。
へビィボンバーを使うとしても、気付かれれば逃げられるだろうし、塔を壊して自分が埋まったらマヌケもいいところだ。
下の二人には当たるかどうかも分からない。
それに、この技自体あまり多用できるものではない。
上のやつを潰さない限り、術の連発でこっちがジリ貧に陥ってしまう。
扉を蹴破った瞬間、色々落ちてきてでかい音がしたが、だからといってどこに逃げられようか。
さすがに屋上から飛び降りることもできまい。逃げ場はないというわけだ。
俺様は屋上の扉を開き、叫ぶ。
「観念しやがれ!」
扉を蹴破った瞬間、色々落ちてきてでかい音がしたが、だからといってどこに逃げられようか。
さすがに屋上から飛び降りることもできまい。逃げ場はないというわけだ。
俺様は屋上の扉を開き、叫ぶ。
「観念しやがれ!」
誰もいない。バカな…。
ここまでで、途中に隠れられるような場所はほとんど無かったはずだ。
扉を蹴破ったときの音を聞いて逃げ出したのなら、必ずどこかで鉢合わせているはずだ。
なのに、途中誰にも遭わなかった。どういうことだ? 「クソッ!」
屋上から下の奴らを見渡す。
「コングマン君、君の予想は大ハズレだよ! まあこの勇者グリッド様に奥の手を使わせたことだけは賞賛に値するがね!
さ、速く降りてきたまえ!」
あの野郎、挑発とは分かっていても、頭に来た。ブッ飛ばしてやる!
ここまでで、途中に隠れられるような場所はほとんど無かったはずだ。
扉を蹴破ったときの音を聞いて逃げ出したのなら、必ずどこかで鉢合わせているはずだ。
なのに、途中誰にも遭わなかった。どういうことだ? 「クソッ!」
屋上から下の奴らを見渡す。
「コングマン君、君の予想は大ハズレだよ! まあこの勇者グリッド様に奥の手を使わせたことだけは賞賛に値するがね!
さ、速く降りてきたまえ!」
あの野郎、挑発とは分かっていても、頭に来た。ブッ飛ばしてやる!
おそらく挑発は成功していることだろう。
私達二人は屋上に仕掛けておいたロープを利用して、ヤツに会うことなく下まで降りてきたというわけだ。
ロープはファイアーボールで焼き切った。屋上への入り口からは死角だから、バレることはないだろう。
コングマンはまた下に降りてきているはずだ。
ゆっくり降りてくるがいい。そうでないとこっちが間に合わん。
コングマンが、闘気を煉りながら、こっちに向かってきている。
私達に向かって放つつもりだろうか。キレちゃったみたいだ。グリッドの挑発がムカつくのは分からないでもない。
でも、教会の出口前は民家からくすねてきた真珠やビー玉をまいていて、さらには石鹸水を溶かした水で濡らしてある。
行きに何もなかったからといって、帰りも何もないとは限らない。
足下に注意を向けずに、全速力で突っ込むと…
「うおおおおおっ!!!」
ほら転んだ。明かりも消していて暗いから、見えなくても仕方ないけれど、すごい転びっぷりね。ある意味痛快。
あとは予定通り、ユアンがかねてから用意していた特大の電気球をコングマンに向けて発射した。
「くそっ!」
滑りながらも、コングマンはその場を離れようとするが、
私のアクアエッジで地面もコングマン自身も十分濡れているわけで。
当然、電撃は地面を伝って、コングマンにも伝わる。
「ぐああああ!」
電圧は抑えているとかいってたけれど、大丈夫なんだろうか?
とにかく、コングマンはその場に倒れた。作戦勝ち、かな。
本当はもっと早く決着が付くと思ってたんだけどな。
私達二人は屋上に仕掛けておいたロープを利用して、ヤツに会うことなく下まで降りてきたというわけだ。
ロープはファイアーボールで焼き切った。屋上への入り口からは死角だから、バレることはないだろう。
コングマンはまた下に降りてきているはずだ。
ゆっくり降りてくるがいい。そうでないとこっちが間に合わん。
コングマンが、闘気を煉りながら、こっちに向かってきている。
私達に向かって放つつもりだろうか。キレちゃったみたいだ。グリッドの挑発がムカつくのは分からないでもない。
でも、教会の出口前は民家からくすねてきた真珠やビー玉をまいていて、さらには石鹸水を溶かした水で濡らしてある。
行きに何もなかったからといって、帰りも何もないとは限らない。
足下に注意を向けずに、全速力で突っ込むと…
「うおおおおおっ!!!」
ほら転んだ。明かりも消していて暗いから、見えなくても仕方ないけれど、すごい転びっぷりね。ある意味痛快。
あとは予定通り、ユアンがかねてから用意していた特大の電気球をコングマンに向けて発射した。
「くそっ!」
滑りながらも、コングマンはその場を離れようとするが、
私のアクアエッジで地面もコングマン自身も十分濡れているわけで。
当然、電撃は地面を伝って、コングマンにも伝わる。
「ぐああああ!」
電圧は抑えているとかいってたけれど、大丈夫なんだろうか?
とにかく、コングマンはその場に倒れた。作戦勝ち、かな。
本当はもっと早く決着が付くと思ってたんだけどな。
「ははは、楽勝だったな! 我ら漆黒の翼に敗北はない!」
4対1だが、俺たちはあのコングマンに勝つことができた。といっても前準備があったから、ではあるけれど。
それくらいは分かっているさ。
それに、これくらいでヤツが死ぬとは思えない。目覚めたとき暴れられても困るだろうか。
とりあえず、借りていたブーツとマジックミストを返し、ロープでコングマンを縛り付けることにした。
ヤツの支給品は、大層な小手と、特殊な生地でできたらしいマント。
とりあえず、小手を外そうとかがんだところ、強い衝撃を感じた。
「ぐう…」
景色が反転している。どうして? どうして俺は空中を舞っているんだ?
4対1だが、俺たちはあのコングマンに勝つことができた。といっても前準備があったから、ではあるけれど。
それくらいは分かっているさ。
それに、これくらいでヤツが死ぬとは思えない。目覚めたとき暴れられても困るだろうか。
とりあえず、借りていたブーツとマジックミストを返し、ロープでコングマンを縛り付けることにした。
ヤツの支給品は、大層な小手と、特殊な生地でできたらしいマント。
とりあえず、小手を外そうとかがんだところ、強い衝撃を感じた。
「ぐう…」
景色が反転している。どうして? どうして俺は空中を舞っているんだ?
「やっと全員揃ったようだな。さあ、第二ラウンドと行こうぜ」
「くっ、やはりもう少し溜めておくべきだったか…」
【グリッド 生存確認】
所持品:無し
状態:HP半分ほど。意識飛んでる。チャームボトルを使っている。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
所持品:無し
状態:HP半分ほど。意識飛んでる。チャームボトルを使っている。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
【カトリーヌ 生存確認】
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:ほぼ健康
基本行動方針:帰りたい。死にたくない。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。場を切り抜ける。
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:ほぼ健康
基本行動方針:帰りたい。死にたくない。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。場を切り抜ける。
【ユアン 生存確認】
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:ほぼ健康、TPちょっと消費
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。休んで、仲間捜し。場を切り抜ける。
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:ほぼ健康、TPちょっと消費
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。休んで、仲間捜し。場を切り抜ける。
【プリムラ 生存確認】
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。場を切り抜ける。
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。場を切り抜ける。
【コングマン 生存確認】
状態:HP半分ほど
所持品:レアガントレット セレスティマント
基本行動方針:とにかく強い奴と戦い、それらを倒して優勝する。
現在の行動方針:漆黒の翼メンバーと戦い、倒す。
現在位置:G5の町
状態:HP半分ほど
所持品:レアガントレット セレスティマント
基本行動方針:とにかく強い奴と戦い、それらを倒して優勝する。
現在の行動方針:漆黒の翼メンバーと戦い、倒す。
現在位置:G5の町