深き一雫
「あのさ、ジーニアス」
「何?」
「いや…なんでもないよ」 イーツー村に向かって足を進めながらもしいなは胸に秘めていた事があった。
話そうとも思うが勇気がでない。
何よりしいなには信じられなかった。
だが間違いない。
ティトレイが暴走していたとき。
胸を刺されていた時も気絶したジーニアスを背負って逃げていた時も自分の事で精一杯で構うことはできなかったが、ティトレイは明らかに何者かと戦っていた。
そしてある男は自分の知るものの名を呼んでいた。
コレットちゃんと―――
「何?」
「いや…なんでもないよ」 イーツー村に向かって足を進めながらもしいなは胸に秘めていた事があった。
話そうとも思うが勇気がでない。
何よりしいなには信じられなかった。
だが間違いない。
ティトレイが暴走していたとき。
胸を刺されていた時も気絶したジーニアスを背負って逃げていた時も自分の事で精一杯で構うことはできなかったが、ティトレイは明らかに何者かと戦っていた。
そしてある男は自分の知るものの名を呼んでいた。
コレットちゃんと―――
しいなは刺された瞬間、僅かに反射で振り返った際にはっきりとではないが、しかし確かに下手人の藍のマントが視界に入った。
そして胸を刺され、倒れている間残された僅かな意識の中、自分は見てしまった。
どういう事だ。
ティトレイと戦っている者の中に藍のマントをした者が居る。
暗闇で霞掛かった視界の中、金髪の少年と―――コレットとと思しき少女の姿も確かにいた。
「なんで…どうして…」
話を自分の中で繋ぎ合わせると、藍のマントの男がティトレイを刺し、コレットはその男と共に戦っていた事になる。 つまりコレットは共犯者…?
「ありえないよ…そんなこと…」
しいなの独り言にジーニアスは心配そうにどうしたの、と訪ねる。
本当になんでもないよ、と慌てて取り繕う。
言える筈がない。
何よりコレットがそんな事をする筈がない。
しかし…
自分はこの会場がどんな所か知っている。自分はこの眼でみたのだ。年端もいかない少女と少年の死体。二人とも戦っていた形跡もあった。
双方とも人殺しをする様な人間には自分には見えなかった。
そしてしいなは確かに、そして今もその手を下した者を殺したいと思っている。
バトロワとは人の人格をも歪めてしまう。
もし、コレットもこのゲームの何らかの事情によりゲームに乗ってしまったとしたら…?
コレットに限ってそうなるとは考え難くても、自分自身が身をもって殺していまいたいという感情を持ってしまった事がある以上、頭ごなしに否定出来なかった。
それでも、それでも。
頑張ってそんな考えを拒絶しようとはするが、疑心という名の水滴が胸のみなもに滴り落ち、波紋となってどんどん浸食してゆく。
「だけどこのアビシオンの人形、何に役立つのかな~」
はっとしてジーニアスを見る
(ジーニアス…)
ジーニアスだってそうだ。自分を助けてくれたとはいえ、何か企んではいないか。
自分はテセアラの刺客として、コレットやジーニアス達と戦った事もある。
実はまだ恨みを持たれているとしたら?
イーツーの村に行こうと提案したのはジーニアスだ。この先には罠が待ち受けているとしたら?
そして胸を刺され、倒れている間残された僅かな意識の中、自分は見てしまった。
どういう事だ。
ティトレイと戦っている者の中に藍のマントをした者が居る。
暗闇で霞掛かった視界の中、金髪の少年と―――コレットとと思しき少女の姿も確かにいた。
「なんで…どうして…」
話を自分の中で繋ぎ合わせると、藍のマントの男がティトレイを刺し、コレットはその男と共に戦っていた事になる。 つまりコレットは共犯者…?
「ありえないよ…そんなこと…」
しいなの独り言にジーニアスは心配そうにどうしたの、と訪ねる。
本当になんでもないよ、と慌てて取り繕う。
言える筈がない。
何よりコレットがそんな事をする筈がない。
しかし…
自分はこの会場がどんな所か知っている。自分はこの眼でみたのだ。年端もいかない少女と少年の死体。二人とも戦っていた形跡もあった。
双方とも人殺しをする様な人間には自分には見えなかった。
そしてしいなは確かに、そして今もその手を下した者を殺したいと思っている。
バトロワとは人の人格をも歪めてしまう。
もし、コレットもこのゲームの何らかの事情によりゲームに乗ってしまったとしたら…?
コレットに限ってそうなるとは考え難くても、自分自身が身をもって殺していまいたいという感情を持ってしまった事がある以上、頭ごなしに否定出来なかった。
それでも、それでも。
頑張ってそんな考えを拒絶しようとはするが、疑心という名の水滴が胸のみなもに滴り落ち、波紋となってどんどん浸食してゆく。
「だけどこのアビシオンの人形、何に役立つのかな~」
はっとしてジーニアスを見る
(ジーニアス…)
ジーニアスだってそうだ。自分を助けてくれたとはいえ、何か企んではいないか。
自分はテセアラの刺客として、コレットやジーニアス達と戦った事もある。
実はまだ恨みを持たれているとしたら?
イーツーの村に行こうと提案したのはジーニアスだ。この先には罠が待ち受けているとしたら?
「――――違う!!!違うッ!!!!!」
しいなは叫びながら耳を抑え、その場にしゃがみ込んだ。
「しいな!どうしたの!?」
数歩先を歩いていたジーニアスが慌てて駆け寄る。
「触るな!!」
しいなはジーニアスの手を素早く振り払う。
凄まじい気迫に押されてジーニアスは思わず後ずさった。
「ど、どうしちゃったの、しいな!!」
ジーニアスはただただいきなりの出来事におろおろするばかりだった。
刺された胸がまだズキズキと痛む。
少年と少女が死んでいたこと。
共にに行動していたティトレイに攻撃されたこと。
そして自分を刺した者とコレットが組んでティトレイを倒そうとしていたこと。
痛みと共にあらゆる出来事が頭の中をぐるぐるまわる。
そういえば、先程の放送で沢山の人が死んでいた。
みんな、この地で、確かに殺し合いをしているのだ。
そう、みんな。
違う。ジーニアスもコレットもティトレイも、仲間だ。
鎌首を擡げたこの短い間で起きた現実が、耳元でささやく。
どんなに耳を塞いでも、それは語り掛け、黒い波紋を押し広げてゆく。
自分が忍の里にいたときに、村人に責められた。
そんな風だからヴォルトとの契約に失敗する。
お前は心が弱い。
お前は甘い。甘い。
違う。みんな仲間だ。
じゃあなぜみんな人殺しをする。
違う。
違う。お前は甘い。甘い。甘い。甘い。
しいなは叫びながら耳を抑え、その場にしゃがみ込んだ。
「しいな!どうしたの!?」
数歩先を歩いていたジーニアスが慌てて駆け寄る。
「触るな!!」
しいなはジーニアスの手を素早く振り払う。
凄まじい気迫に押されてジーニアスは思わず後ずさった。
「ど、どうしちゃったの、しいな!!」
ジーニアスはただただいきなりの出来事におろおろするばかりだった。
刺された胸がまだズキズキと痛む。
少年と少女が死んでいたこと。
共にに行動していたティトレイに攻撃されたこと。
そして自分を刺した者とコレットが組んでティトレイを倒そうとしていたこと。
痛みと共にあらゆる出来事が頭の中をぐるぐるまわる。
そういえば、先程の放送で沢山の人が死んでいた。
みんな、この地で、確かに殺し合いをしているのだ。
そう、みんな。
違う。ジーニアスもコレットもティトレイも、仲間だ。
鎌首を擡げたこの短い間で起きた現実が、耳元でささやく。
どんなに耳を塞いでも、それは語り掛け、黒い波紋を押し広げてゆく。
自分が忍の里にいたときに、村人に責められた。
そんな風だからヴォルトとの契約に失敗する。
お前は心が弱い。
お前は甘い。甘い。
違う。みんな仲間だ。
じゃあなぜみんな人殺しをする。
違う。
違う。お前は甘い。甘い。甘い。甘い。
「ああああああああー!!!!」 そのまま悲鳴を上げだしたしいなにジーニアスは涙目になりながらどうする事も出来なくてただ見つめている。
しいなは、このゲームに参加するには純粋過ぎた。
「………」
「しいな?」
黙ったしいなにジーニアスは近づこうとする。しかしジーニアスはその場に硬直した。
「…なんで?」
ジーニアスは目を疑った。
冷たいそれがジーニアスに向けられる。
「…なんで、しいな?」
ジーニアスには銃口が突きつけられていた。
そしてしいなの眼は――――紛れもなく、自分がシルヴァラントで初めて見た、冷徹な暗殺者の眼だった。
「しいな?」
黙ったしいなにジーニアスは近づこうとする。しかしジーニアスはその場に硬直した。
「…なんで?」
ジーニアスは目を疑った。
冷たいそれがジーニアスに向けられる。
「…なんで、しいな?」
ジーニアスには銃口が突きつけられていた。
そしてしいなの眼は――――紛れもなく、自分がシルヴァラントで初めて見た、冷徹な暗殺者の眼だった。
サレの起爆により、また一人、踊りだした――――
【しいな 生存確認】
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ウグイスブエ
状態:ほとんど回復
現在位置:F4平原
行動方針:錯乱中
:すず、セネルの仇を取る
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ウグイスブエ
状態:ほとんど回復
現在位置:F4平原
行動方針:錯乱中
:すず、セネルの仇を取る
【ジーニアス 生存確認】
所持品:ビジャスコア アビシオンのフィギュア
状態:背中がまだ少し痛む、混乱
現在位置:F4平原
行動方針:しいなを正気に戻す
所持品:ビジャスコア アビシオンのフィギュア
状態:背中がまだ少し痛む、混乱
現在位置:F4平原
行動方針:しいなを正気に戻す