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テラカオスバトルロワイアル外伝
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嘆きの種

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嘆きの種 ◆bKTM8q6rdY


「た…たすけ……て……」
「それが君の願いかい?
 まあ、マミと同じように君に選択肢は他にないからね……」

異臭を放つ渋谷区の一角。
そこで行われていたのは魔法少女契約。
キュゥべえの耳がその長さを変え、瀕死の少女の胸元へと触れる。
一瞬の閃光の後……
そこには無傷となった田井中律と、小さな宝玉ソウルジェムがあった。

「……? わ、わたし……助かったの……!?」
「言ったろう? 魔法少女になればどんな願いも叶うって」

完全に回復した自分の体に律は驚きを隠せないでいる。
そんな姿をキュゥべえはあくまでいつも通りの表情で眺める。
魔法少女としての質は平凡だが、これで契約できたのは2人目だ。
既に姿を確認しているマミも含めれば、この会場の魔法少女は計3人。
彼女達が絶望し、魔女となってくれれば、相当なエネルギーが手に入る。
さらにバトルロワイアルという、この異質な世界。ここなら希望から絶望への転移も早く済むことだろう。
契約をしていない少女……いや別に少女に限らずとも誰もが希望と絶望の感情を持つ。
そして自分はただいるだけでエネルギーの回収ができる。
順風満帆、キュゥべえにとっては非常に上り調子。
もしかしたら、元の世界でよりも営業とエネルギー回収がうまくいっている気がする。

「そうだ、確か殺人鬼を倒そうと思って爆弾を投げたら……」
「君が言っていることの意味がわからないよ。
 殺人鬼は君じゃないのかい? いきなりとんでもない爆弾を投げつけたりして。
 唯は多分無事だろうけど、彼女の友達3人は即死だったんじゃないかな」













「え…………?」

普通の様子で喋るキュゥべえに対し、律はその身に言いようのない恐怖を覚えた。

――殺人鬼――唯の友達――自分は生きている――残り3人は死んだ――
――どうして――唯は無事――殺したのは別の奴――爆弾――軽音部のみんな――
――投げた――死んだ――死んだ――殺した――誰が――?




――ワタシガミンナヲバクダンデコロシタンダ……ワタシガサツジンキ? ミンナヲコロシタ!?

「うわっ!?」

突如吹き荒れる暴風に、小さなキュゥべえはなす術なく吹き飛ばされた。

「な、何が起きたんだい……!?」

見るも無残な姿となったファーストフード店を暴風は蹂躙する。
辛うじて窓枠に残っていたガラスも全て粉々に砕け散り、椅子やテーブルも薙ぎ払われてしまう。
床板も嫌な音を立てて剥げていき、キュゥべえは何かに掴まることさえできない。

「っとと……! むきゅっ!」
「キュ……キュゥべえちゃん!?何が起こっているの!?」

いくらか飛ばされたところで、ようやく受け止められる。
壁際まで吹き飛ばされた唯の懐だ。

「唯! 早くその怪我を治すんだ! そのソウルジェムをかざすんだ!」

唯はわけもわからぬまま従うと、ソウルジェムが輝いた。
そして常人なら死んでいるであろう傷が、みるみる治癒されていく。
程なくして、唯の傷のほとんどは回復されたが……

「回復できたら、早く魔法少女に変身するんだ!」
「ま、待ってよキュゥべえちゃん! 一体なにが起きてるの!? みんなは!?」
「話は後だ! 来るよ!」
「なにが来るの!?」



――オオオオオォォォォォォォォォォオオオオオン!!!




「魔女だよ!」
「えっ!?」

何者かの咆哮。
暴風により唯は視界を封じられ何も見ることができないが、キュゥべえは違った。
幾人もの魔法少女の成れの果てを見届けてきた彼だからこそ、気配で状況がわかる。
契約したばかりの律のソウルジェムが、一瞬でどす黒く濁っていくのが感じ取れる。

(ソウルジェムは、魔法少女の魂そのもの……
 魔力の消費に限らず、その魂が絶望した瞬間に割れてグリーフシードへと姿を変えるけど……
 いくらなんでも早すぎる! 一体なににそこまで絶望したんだい!?)

まさか自分の言葉が引き金になったなどとは、キュゥべえは思いもしないだろう。
感情を持たない彼にはわからない。
ただ元の平穏な生活を求めていた少女が、自分自身でその生活の一部となっていた友達を死なせてしまった絶望。
もう二度と取り戻せない、自分の手で希望を断ってしまった絶望など、わかるわけがない。

やがて、絶望した律のソウルジェムにヒビが入り、砕け散る。
現れるは、漆黒の嘆きの種。
そしてそれから放たれる強大な魔力は、ファーストフード店を飲み込んでいった。


「きゃああぁぁぁ!」
「唯!」

散らばる楽器や浮かぶティーセットは在りし日の思い出。
無数に群がっている使い魔は何かを催促する観客のようだ。
ここはもうファーストフード店ではない。
絶望の中に魔女がかつての希望を元に生み出した幻想空間、結界の中だ。

「キュゥべえちゃん! こ、これが魔女なの!?」
「そうだよ! 人間に絶望を与える存在! 魔法少女が倒すべき相手さ!」

唯は変身こそすれ、その身体は震えきっている。
目まぐるしく変わる環境に、理解が追いつかない。
まさか、目の前の怪物がかつての友であるなどと、見破ることなどできやしない。
ただただ飛んでくる魔女の攻撃を、本能的に防御することしかできない。

(唯の願いは友達との合流……その根底にあるのは、自分と仲間が死なずに一緒に生きること。
 そして誰も傷つけたくない、だから武器はみんなを守れる『大盾』に特殊能力は『魔法障壁』か!
 思っていたよりも強力だけど、完全に防御に特化してしまっている……! 対する彼女は……)

――――――――――――――――――――!!!

(自分の大好きな空間を絶対に維持してやるという強い意志、それを邪魔する者は許さない……
 自分の前に立ち塞がる者を全て排除するための圧倒的な爆撃、唯とは逆に攻撃に特化している!
 このままじゃ、いつか唯が押し切られてしまうのは明らかだ!)

キュゥべえは焦っていた。
ここで魔女との戦闘に入ることなど完全に想定外。
普段だったら問題ないが、自分の肉体に制限がある今の状態で魔女戦など冗談ではない。
流れ弾2~3発で即あの世行きだろう。
そして魔女の結界の中に入ることができるのは、魔法少女がよほど運のない一般人のみ。
この会場で確認できている魔法少女はマミ一人。彼女が都合よく援軍に来てくれる可能性は極めて低い。
つまり、この場を新米魔法少女である唯と自分だけで切り抜けなければならないのだ。

「唯! このグリーフシードで魔力を回復させるんだ!」

もはや形振り構っている場合ではない。
秘蔵のグリーフシードを背中の紋章から吐き出し、怪我の治療で消費された唯の魔力を蘇らせる。
普段のキュゥべえならこんな損なことは絶対にしない。それほどまで追い詰められているのだ。
唯に死なれては自分も死ぬ。彼女が絶望すれば魔女は2体となり自分は一瞬で滅せられてしまう。
だが唯の能力は防御特化。完全な八方塞がりだ。

(な、なにか手をうたないと……そうだ、支給品だ!
 あまりちゃんと確認してなかったけど、唯と僕のを合わせればそれなりの数にはなるはずだ!)

全く変わらない表情で、しかしかつてない程に焦りながら、彼はデイバックへと手を伸ばす。


【渋谷区・ファストフード店出現結界内/一日目・午後】

平沢唯@けいおん!】
[状態]:魔法少女化、ソウルジェム残魔力80%、魔女に恐怖、魔法障壁展開中
[装備]:ソウルジェム、魔法盾
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(本人確認済み)グリーフシード
[思考・状況]
1:どうしたらいいの!?
2:死にたくない
※魔法少女になりました。
※キュゥべえの不利にならない範囲で魔法少女に関する知識を得ています。
※騎士二人(ブロントさんと混沌の騎士)がバトルロワイアルに乗っていると思っています。
【個人制限及び特殊体質】
※傷の治癒などでソウルジェムの魔力を消費。0になった瞬間、死亡or魔女化します。
※ソウルジェムを破壊されない限り肉体はどんな致命傷でも死にませんが、首輪は例外。
※ソウルジェムの魔力は時間経過回復不可。グリーフシード、それに準ずる何かで回復可能。
※キュゥべえとテレパシーで会話できますが、かなり接近しない限り不可

【田井中律@けいおん!】
[状態]魔女化、自我崩壊、結界展開中
[装備]魔女の爆弾
[道具]魔女の使い魔
[思考]
基本:自分の結界に入ってきた者は全て殺す
1:目の前の二人を殺す
※ 支給品一式、謎の白い液体@現実、バンテリン@現実 は結界外に放置されています
※結界に侵入可能なのは魔法少女、あるいはそれなりの力の持ち主のみ
※一般人でも紛れ込むことはある

【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:火傷によるダメージ(中)、焦げ茶色、焦り
[装備]:
[道具]:ランダム支給品1~3(本人確認済み)、グリーフシード(体内に×3)
[思考・状況]
0・唯と自分の支給品を調べ、この場を切り抜ける
1・この殺し合いを利用して感情エネルギーを集める。
2・魔法少女に自分を守ってもらう。
3・出来ればあの少女(ハルヒ)と契約したい。
4・騎士(ブロントさん・混沌の騎士)を警戒。
【備考】
※キュゥべえは一度殺せば死にます
※薄い壁をすり抜けることは可能です
※肉体の乗り換えができないことを知りました
※騎士二人(ブロントさんと混沌の騎士)がバトルロワイアルに乗っていると思っています

追加道具紹介
【グリーフシード】
魔女を倒すと手に入る黒い物質。
これをソウルジェムにあてることで魔法少女の魔力が回復。
何回か使用すると穢れを溜め込みすぎて魔女が孵化する。


055:あなたはノーマルですか? 投下順 057:押し寄せる災禍
055:あなたはノーマルですか? 時系列順 058:ランチタイムの時間だよ! ……何、遅すぎるって? 気にすんな!!
045:奇跡にふれたよ! 平沢唯 059:やがて絶望という名の病
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