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テラカオスバトルロワイアル外伝
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押し寄せる災禍

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押し寄せる災禍 ID:vImveGzo


バトルロワイアルが始まり、それなりの時が過ぎ去った。
突然始められたこの殺人ゲーム、巻き込まれた哀れな参加者達の思考も様々だ。
主催者に無謀にも戦いを挑もうとする者。
叶えたい願い事のために優勝を目指す者。
この機会に、怨敵を葬ろうと考える者。
首輪を外し、どこかへと逃げようとする者。
なにがなんでも生き延びようと藻掻く者。

だが、ここにいる岩崎みなみはそのどれにも属さなかった。

「ひっく……っ……」

このバトルロワイアル会場で、全裸という正気とは思えない……
いや、異世界や平行世界ではむしろ全裸の方が多かったりはするが、とにかくここでは異常だ。
危険人物に強襲され、命こそ奪われなかったが、代わりに服を根こそぎ失ったのだ。
みなみがとれる行動は限られている。
全裸の女子高生。マーダーに限らず襲われる確率は跳ね上がっている。
男の参加者であれば、たとえ対主催であろうと野獣の如く飛び掛かるだろう。
女の参加者でもその可能性は否定できない。何しろ身近にそっちの趣味の人がいるのだから。
では強靭な理性を持つ参加者であれば?これはある意味もっと危険だ。
なまじ理性があるばかりに、自分を露出狂の変態殺人鬼と思い込み攻撃してくるかもしれない。
『ク○ニしろオラアァァァァ!と叫びながら槍を振り回す全裸の女殺人鬼が逮捕されました』
つい先日、ニュース番組と新聞の一面を賑わした事件だ。
自分が同類と見られる可能性もおおいにありえる。
つまり、みなみは誰とも遭うわけにはいかない状況なのだ。
人の気配がしない方向へ、誰とも遭遇しなさそうな道を通り、彼女は逃げ続けた。

「ひっ!?」

気が付けば、渋谷区。
そこで全身を凍結された女性の遺体と巨大な蜥蜴のような生き物の死骸を見つけてしまった。
意味がわからない。
陽は傾いているが、寒くはない。どうやったら全身が凍結して人が死ぬのだろうか?
蜥蜴もそうだ。こんな生物、テレビでも図鑑でも見たことがない。
その頭は綺麗に割られ、赤い血が凝り固まっている。
そして……

「―――――――ッ!!!」

血で滑らないようにと慎重に歩いていたらそれと目があってしまった。
憤怒の表情を浮かべたまま地面に転がる、首だけの男と。
我を忘れ、みなみは金切り声をあげる。
たまらず飛び退き、やはり血で滑り背中から血だまりに倒れて再び絶叫。

――どうしてこんな目に

それがみなみが唯一考えられることだった。
なんで自分は殺し合いなんかに参加させられているんだろう?
なぜ全裸にされる辱めまで受けねばならないのだろう?
なぜ行く先々で怖い思いをしなければならないのだろう?
誰か助けて……

カツ……

「え……?」

泣きじゃくりながら、砕けた腰のままみなみは来た道を四つんばいで引き返そうとする。
その時、何か硬い物が指先に触れた。
赤の中に輝く銀……首輪だ。
おそらく、首を刎ねられた男の首輪だろう。

「っ……こんなものが、なければ……!」

数々の不運への八つ当たりだろうか。
みなみはその首輪を拾い上げ、遠くに投げ飛ばそうと……

「……あ………ぁあああっ!?」


「――――――――」



顔を上げた瞬間、その顔色は生首を見た時以上に蒼白となった。
忘れようがない。
目の前にいた……いや、生えていたのは……
他でもない。自分たちにバトルロワイアルをさせている張本人。
あの時、全員を取り囲んだ触手そのものだったのだから。

みなみは触手に特別な不快感があるわけではない。
タコやイカの触手など、買い物に行けば毎日目にする。
だが、この触手は異質。見てるだけで恐怖心が膨らんでいく。
吸盤があるべきその場所は、代わりに黄色い眼がびっしりと。
そしてその全てが、ギョロギョロと蠢き、こちらを無言で見てくるのだ。

「――――――」
「………………え?」

だが、それだけだった。自分を殺すわけでも、最初の部屋にいた時のように喋るわけでもない。
体はろくに動かない。かわりに主催者の予想外の行動で少し落ち着いた頭を動かす。
触手はなぜ動かない?眼は動いているから生きてはいる。
あくまで『参加者たちの殺し合い』を望んでいるから、自分では手を下さない?
じゃあどうして、自分の前に現れた?哀れ過ぎて服でもくれるのだろうか?まさか。

「……」
「――――!」
「!!」

みなみの右手が動くと同時に、触手にも僅かに反応が出た。
右手には、今投げ捨ててやろうとしていた首輪が。

これを、狙っている?いや、回収しようとしている……?
みなみは、震える足で立ち上がり、一歩二歩とあとずさる。
触手は、動かない。

「っ!!」

次の瞬間、みなみはありったけの力で走った。
生首を蹴り飛ばしたが、もう気にしている余裕はない。
あの触手が追ってくる前に、追ってこなくても逃げなくては。

(首輪……!これ……誰かに……!届けるんだ……!分解方法さえわかれば……!)

みなみはそれだけを考えて走り続ける。
投げ捨てようとしたが、よく考えればこれは『首からとれた』首輪だ。
見ることのできない、裏側も見える。
触手が現れたのは、自分が不利になる可能性があるこれを回収するためだろう。

(……でも、それなら殺して奪いかえせばいい……!あくまでルール通りに主催者は手を出さない……!?
違う……だったら出てくる必要はない……!あれはわざわざ『出てきた』んじゃない……!


『最初から監視のためにそこら中を動き回っていた』んだ……!)


【渋谷区・路地裏/一日目・夕方】

【岩崎みなみ@らき☆すた
[状態]:全裸、恐怖(極大)、混乱、全身血塗れ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、首輪探知機@パロロワオリジナル、ランダム支給品(0~2、服の類ではない)
ディエンドライバー、カメンライド・サイガ、ナーシェンの首輪
[思考・状況]
基本:死にたくない
0:全力で逃げる
1:首輪を分解できそうな人に早く渡す
2:首輪を外してバトルロワイアルから逃げる
※参加者に自分の知り合いがいるかどうか知りません。
脱衣拳を危険人物と認識しました。
※主催者の触手が会場全体を動き回り、参加者達を監視していると思っています
New『ナーシェンの首輪』
弱音ハクに殺害されたナーシェンの首輪。血がこびり付いている。
装着者から外されても機能が生きているかどうかは不明。

「――――――」

みなみの姿が見えなくなってしばらく後、触手は無言のまま姿を消した。
それには気が付かず、みなみはただひたすら走り続ける。



056:嘆きの種 投下順 058:ランチタイムの時間だよ! ……何、遅すぎるって? 気にすんな!!
064:求めよ未知との遭遇 時系列順 060:『喰』
042:魔神が生まれた日 岩崎みなみ 070:フルアーマーとネイキッド

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