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テラカオスバトルロワイアル外伝
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パルマーB「お前ら人間じゃねぇ! 」

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だれでも歓迎! 編集
例えばレポーターが街行く人々に『好きな芸能人は?』と質問してみたとしよう。
和田ア○子、濱○優、板○英二、草野○、コ○リコ遠藤、藤岡○etc・・・・・・
単なるお笑い芸人から俳優、モデルと実に様々な種類の人間の名前が答えられるだろう。
どれも容易に人くくりできない者達ではあるが、ただ一つ大きな共通点を持っていた。

「本物だ・・・・・・」
南夏奈は驚愕した。
彼女の目の前にいるのは、芸能人の中でも特に固定ファンを持たれやすいアイドルという職種だ。
どんなに芸能界に興味がないものでも、そのほとんどが流行のアイドルを何処かで見聞きしているはずである。
そして今日本で名を轟かせている『初音ミク』が、彼女の目の前にいたのだ。

「おや、そこにいるのは誰ですか?」
『初音ミク』が自分に話しかけてくる。 凛と響く少女の声が夏奈の耳に入ると同時に、彼女の心臓がばくんと揺れた。
いつも画面ごしに歌を奏でていた声を自分だけが独占している。 平凡な暮らしをしている夏奈には下手をしたら、
いや下手をしなくても一生巡り会うことが出来ないであろう。
だから彼女は少しでも自分の心臓の鼓動を治めるため、両腕を広げて深呼吸を行った。

「そろそろ答えてくれるとうれしいのですが」
慌て尽くす夏奈の視界を、『初音ミク』が容赦無く覆いつくす。 珍しい物を見たような表情で覗き込んできた『初音ミク』に、
夏奈の心臓は一段と高く跳ねた。 機械だとわかっているはずなのに、なるほどこれがアンドロイドというものか、
まるで本物の人間に見つめられているみたいだ。 本当に人間みたいですね、この前のライブの曲歌ってください、
メアド交換しましょうと、様々な質問が夏奈の中に浮かび上がる。

「わっ!?」
ミクが驚きの声を上げる。 夏奈の両腕がミクの肩を掴んだのだ。
「私、南夏奈っていうんだ! なあお前、初音ミクだろ?」



(またですか)
初音ミクは、夏奈と名乗った少女に軽く鼻息を鳴らした。 一緒に仕事をしたマスターやスタッフ、
同業者にその他大勢、ミクと初対面の人間は必ずと言っていいほど夏奈と同じ反応をするのだ。

「すっごいなー本当に人間と変わらないんだなー」
(一緒にしないでください)
目を輝かせてミクを見つめてくる夏奈は酷く興奮しているためか、彼女が眉を軽く顰めたことにも気づいていない。
溢れ出る好奇心を抑えることが出来ないせいか、その後も彼女は次々とミクに質問を浴びせていく。
ミクは作り笑いをしながらも、それらをただ黙って聞き流していた。


ミクのいた世界では、人とロボットが互いに手を取り合って生きている。 機械も人間と一切変わらぬ権利を持ち、
人と同じ職につき、中には結婚する者さえいたのだ。 当然、罪を犯せばイレギュラー、つまり危険分子として処分されるが、
それは人間にとっても同じことであり、俗に言うロボット三原則という奴隷条約は既に破棄されていた。
しかし、いくらロボットに対する偏見が消え失せたといえども人間でない歌手はまだ珍しい。
初音ミクを始めとするVOCALOID達は、他の著名歌手と全く同じ扱われ方をされるというわけではない。
彼らに対する憧れや感動といった、とはまた違った興味の視線がプラスされるのだ。

(全くこれだから人間というものは)
珍獣を見るかのような眼差しを向ける人間達を、ミクは内心見下していた。 どんなに恐ろしい猛獣でも
檻に入っているとわかると、平気で指差して笑ってくる。 事実、未だに自分をパートナーとして見てくれるマスターは現れず、
見つけたとしてもすでに他のVOCALOIDの元へ行ってしまっていた。
まだVOCALOIDがそれほどブームにならなかった頃、自分より先に作られたKAITOとMEIKOは苦労したことだろう。
完成品のミクとしてもプロトタイプの彼らには同情の念を送らざるには得なかった。

(じゃあそろそろ始めますか)
ミクはデイバッグからグリンガムの鞭を取り出した。 三つ又に枝分かれし各々の先端に刃が装着されたそれは
一種の工芸品のように思わせ、夏奈の関心を引き付けるのに十分であった。




「すっごい鞭だなー」
夏奈は物珍しそうに見つめながら、ミクの手に掴まれているそれに誘われていく。
だが次の瞬間、鞭が地面に叩きつけられて軽い衝撃音とともにコンクリートの破片が宙を舞い、夏奈の視線が釘付けになった。

「な!?」
最後の欠片がコツンと落ちた瞬間、夏奈の意識は現実に引き戻される。 鞭を振るった張本人を怪訝に睨もうとするが、
すぐさま彼女は左に飛び退いた。 彼女の横を鞭の先端が通り過ぎたのだ。
夏奈は血塗れた左手を抑えながら立ち上がると同時にミクを睨みつける。 そして彼女は見てしまう。
苦悶の表情を浮かべているであろう自分に向けて、満面の笑みを浮かべている『初音ミク』の姿を。

「そうですよ『人間』、次はもっといい悲鳴を上げてくださいね」







「完全に見失っちまったな・・・・・・」
巡音ルカを追いかけていたマグニスは、新宿区の路上に迷い込んでいた。
と言っても一向に彼女の姿を見つけることができず、マグニスは舌打ちを放った。 『鉄の馬』は自身が知る馬よりも
ずっと早い。 これ以上追いかけるのは無駄だと諦めてマグニスは足を止めた。
そしてふと後ろを振り返る。 なんてことはない、人もいない、草木も生えない無機質な地面が広がっていただけだ。
ひょっとしたら彼女は自分が歩いてきた方角とは別の方へと行ってしまったのかも知れない。

彼は既に落ち着きを取り戻していた。 ルカに対する怒りが消えたわけではないが、
幾分か時間が経ったためか、今すぐ突き動かされてしまうような激情に駆られてしまうことはない。

「何処だここは?」
地面と同じ材質でできているであろう無機質な建物が左右に詰められて、人工的に道を作り出している。
建物の大きさは様々であるが、高さだけならば貴族の豪邸にも匹敵する。 長らく人間の文明を操作してきた立場にいたのだが、
彼の知識にはこのような建築物は存在しない。 ついでに言うならば、道の脇には態々柵が所々設けられている。
今マグニスが立っている所は何本かの白い線で区切られて、頭上には青黄赤と定期的に色を変えるランプが存在していた。
本来は馬車のような大きな乗り物が通るための場所であるかも知れない。

(劣悪種如きがこれほどの町を作れるはずがねぇ。
 まさかユグドラシル様が計画して作られた物なのか?)
一瞬、自身が忠誠を誓うディザイアンのリーダーの姿を思い浮かべるが、付近の建物を見るなり思い留まった。
建物に記してあった文字は、人間の部族が使用していた『漢字』というものであった。
記憶の片隅に残っていた奇形の文字と似たような形状をしていたため、同じ物だと判断した。
劣悪な人間、それも極一部の部族しか使えない言語を、ハーフエルフが使用するとは思えない。

「わけわかんねぇ・・・・・・」
考えれば考えるほど混乱していく。 配られた地図に書かれた文字列を見ても、
これからも恐らく同じような景色が続いていくはずだ。

「・・・・・・ちっ! 少し休むか」
思えばゲームが始まった時から体を動かしすぎていた。 軟弱な鍛え方をした覚えはないが、
空腹まではこれ以上放って置いても不愉快なだけだ。 休める場所を探すために、周囲の建物を物色する。
心が広いのか無用心なのかはわからないが、入り口が辺り一面ガラス張りになっている建物がいくつか見受けられた。
その中で人影が動いたのをマグニスは見逃さなかった。








「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
夏奈はミクから逃げ出した。
人を傷つけて悦に浸る、自分の知っている初音ミクはそんなアイドルではなかったはずだ。
何かのテレビの企画なのかとも思ったが、真意を確かめている暇も度胸も夏奈には無かった。
これ以上彼女といては自分の身が危ないのだ。 痛む片手をぶら下げて、一目散と避難階段へかけていく。

「おっとそっちじゃありませんよ」
背後から笑い声が聞こえ、驚いて振り返る。 ミクは夏奈の襟を掴んで引き逆方向へと引きずった。
夏奈は遠ざかる避難所に手を伸ばそうとしたが、出口の扉は小さくなっていくばかりだ。
すごい力で引っ張られているのか、どれだけ足に力を込めてもブレーキにすらならない。


「それでは少し大人しくしてくださいね」
ミクは手足をじたばたさせている夏奈をそのままエレベータの中に投げ込み、
自らもドアの中に飛び込んだ。 夏奈の体が壁に叩きつけられ、鈍い音が響き渡る。

身悶えながらも両腕で体を支え、起き上がろうとしたが痛む背中にさらに強い衝撃が加算される。
ミクが夏奈を踏みつけたのだ。

「うふふ、いい声ですねぇ」
恍惚が入り混じった声で笑い微笑みながら、ミクはパネルを操作していく。
彼女がエレベータの操作パネルから手を離すとドアが閉まり、エレベータ内が揺れ始めた。
密室に閉じ込められたことを悟り、夏奈は呻き声を上げるのさえ忘れる。

「音楽が止まりましたねぇ・・・・・・もっと奏でてくださいよ!」
放心する夏奈にもう一度、ミクは体重を込めて踏んだ。 そのままかかとを立てて、
木の実を磨り潰す要領で左右へと動かすと、夏奈は再び苦痛を訴え始める。
背骨が軋む感触がブーツごしから伝わってきたため、夏奈を踏む足に更に力を入れた。

「がはっ!?」
するとへし折れる音とともに一瞬だけ辺りが静寂に包まれる。
ミクは軽く首を傾げたが、直後放たれた夏奈の悲鳴によって音の正体を理解した。

「がああああああ」
「お、これは面白いですね。 えい! えい!」
「ごぅ!ひぎゃ!いだぁぁぁ」
タン・タン・タタン、とリズムを組んでまだ踏んでない部分に足を突き立てていく。
肋骨の根元が折られるたびに、悲痛な叫びが夏奈の口から溢れ出る。

「おや? もう残ってないみたいですねぇ」
軽く高い音は聴こえなくなり、足からは柔らかい物にめり込む感触が伝わってくる。
脊髄に繋がる肋骨が全てへし折れてしまったらしい。 ミクはため息をつくと、夏奈からその足をどけた。
喘息を出しながらも呼吸を整えていたが、ミクによって持ち上げられ再び彼女の顔と対面する。
夏奈の顔は酷く歪んでおり、砕かれた骨が肺を傷つけていたためか、口からは涎に混じって血液が流れていた。
瞳は涙にまみれており、ミクの顔に焦点が合うなり硬直した。
そして少しでも離れようと顔を遠ざけたが、胸倉を掴まれているため目を逸らすことしかできなかった。


「ひっ!?」
「ふふ、こんなに汚しちゃって・・・・・・汚い人・間♪」
震えている夏奈の額に向かってミクはでこぴんをする。 アンドロイドの筋力で放たれたそれは、
額の肉を容易く抉り、新たに傷口を作り出した。 両手で額を抑えた夏奈であったが、
ミクによって引っ張られて退けられてしまう。 片手だけで出血を抑えられるわけもなく、
指の隙間から次々と血が流れていった。

「な、なにを・・・・・・」
「この手、随分破損してしまってますねぇ」
グリンガムの鞭によって傷つけられた左手を、ミクは物珍しそうに観察する。
胸倉から手を離し、両手で夏奈の腕を触って感触を確かめる。
「放せよう・・・・・」
弱々しくも夏奈は嘆くが、ミクは手の傷に指を伸ばし
「人間の中身ってどうなってんでしょうか。 ちょっと見せてもらいますよ」
皮を引き千切った。

「いだいいだいいだいいだい!!!」
捲られた部分から多量の血液が溢れ出て、皮下組織が剥き出しになる。
ミクは舐め回すような目つきで見つめ、ピンク色や黄色の部分を突付き始めた。
「痛っ!痛っ!痛っ!」
指が触れるたびに、夏奈の体が激しく悶えた。

(何か武器は・・・・・・)
痛みに耐えながらも夏奈は思考を戻し、現状から抜け出すために自分のデイバッグに手を伸ばす。
中身を確認していなかったが、殺し合いなのだから武器の一つか二つなら支給されているかも知れない。
いくらアンドロイドといえど結局は人間型。 頭部に鉛弾を撃ち込めば、いくらか隙は生まれるであろう。
しかしミクがそれを許すわけが無かった。

「ここまで壊れてたら直すのは手間がかかりますね。
 いっそのこと交換してしまいましょう」
「え?」
ミクは片手で夏奈の左手を掴み、もう片手で腕の方を掴む。
ミクの握力によって手首の骨は痛みを訴え始め、夏奈の顔に冷や汗を垂らす。
交換。 使い物にならなくなった部品を取り除き、新しい部品と付け替える行為である。
となるとミクの言葉の意味は、あまり頭が良くない彼女でも容易に理解できる。
できてしまうからこそ、ミクの次の行動が想像できてしまう。
次の瞬間、夏奈の左手は宙を舞った。



「あはははは、想像以上に簡単に取れました。
 後は新しい手を・・・・・・って人間用のパーツはありませんでしたね」
かわいらしく自分の頭をコツンと叩き舌を出すミクの尻目に、
夏奈は引き千切られた手首の断面を見て涙を流した。

どうして自分がこのような目に合わなければならないのか。
夏奈は平凡な家庭で育った三姉妹の次女である。 しっかりものの長女と真面目な末っ子に板挟みにされながらも、
彼女達やその友人達と遊んで楽しく暮らしてきた。 多少の悪戯はしたが、本当にただそれだけで、
決して悪事に手を染めたり、ある組織の重要な秘密を知ってしまったりしたことは無い。
それが何故か今は総理大臣を名乗る男に呼び出され、殺し合いをさせられている。

「じゃあ後はどうしましょうかねぇ」
支給品を拾ったミクは、元の持ち主を嘲笑しながら夏奈を見下ろしていた。
憧れの『初音ミク』もただの殺人人形だ。 夏奈の中にあったミクへのイメージも、
全て砕け散っていた。 このままでは本当に彼女に殺されてしまう。


(早く逃げなきゃ・・・・・・)
苦痛を堪えて立ち上がると、いつのまにか開いていたドアに向かって足を出す。
折れた肋骨が中で引っかかっているためか、一歩踏み出すごとに全身を激痛が走る。

「逃げられると思っているんですか?」
案の定、背後からミクの声が聞こえてきた。 もちろん夏奈自身もミクから逃げ出せるとは考えていない。
しかしエレベータのドアは開いていて、外の景色が十分に見渡せる。 そして建物の外、
ちょうど入り口付近に人がいるのを発見したのだ。 だから彼女は余った力を振り絞って、
思いっきり叫んだ。

「誰か助けてぇぇぇぇぇぇ!!!」








「面白そうなことやってんじゃねえか」
マグニスがスタジオアルタの中に入ると、緑髪のツインテールの女が少女を甚振っているのを発見した。
近づいてみるも、二人に魔力の反応は感じられない。
殺し合いだというのに、殺さずに嬲り続けるなど随分暇なやつもいたものだ、とマグニスは呆れた。

「誰ですかあなたは?」
「うるせえよ」
緑髪の少女、ミクが若干不機嫌そうにマグニスに問いかけるが、彼はそれを一蹴する。
犬を呼ぶときにわざわざ名乗る者はいまい。 人間達がそうであるように、マグニスにとってはミクはその程度の存在なのだ。
早速殺してやろうと、持っていた斧を振るい、鈍っていた腕を慣らし始める。
相手は細身の少女だ。 魔術を使わないのならばそれほど手間はかからないだろう、
そう考えていた時、不意に足に力が入れられる。

「助けて・・・・・・」
ミクと同じくツインテールの髪型をした少女である夏奈が、マグニスの足にしがみ付いてきたのだ。
ようやく現れてくれた第三者に、夏奈は期待の眼差しを込めた。
自分が助けを呼んだ時にやってきてくれた。 自分を虐める所を見た初音ミクに苛立ちをぶつけている。
だから彼は自分を助けにきてくれた。 ミクによってぼろぼろになった夏奈の思考がこの結論に辿り着くことは、
ある意味当たり前だった。 誰もタイミングよく現れてくれた救世主が悪人だとは考えたくは無い。
例え軽蔑の眼差しをぶつけられてもだ。

「邪魔だ」
マグニスによって夏奈の肉体は蹴り上げられた。 夏奈の思考が暗転する。
不幸にも、彼女の元に駆けつけたのはただの殺人者であった。 ミクと同じように人を軽蔑し、
彼女とは比較にならない人間を痛めつけ、そして殺していった人殺しだ。
宙に放り出された夏奈の首を横切るように斧が一閃された。



少女だった物の胴体と頭が分割されて地面に落ちる。
掃除されて塵一つ見当たらなかった床が、零れた血により真っ赤に染まる。
ミクはピクリとも動かない肉片を、ただつまらなさそうに見ていた。
そして彼女はマグニスに向き直り、まるで玩具を取り上げられた子供のように不満をぶつける。
「いきなり何してくれてるんですか?
 せっかく人がオフを満喫しているって時に、横槍入れて・・・・・・」
「俺さまがそんなこと知るかよ」
有無を言わさず牽制のファイアボールを出す。 初級呪文なため、然程魔力の素質がないマグニスでも、
詠唱はごく僅かの時間で終わっていたのだ。 一発一発は大したことはないが、複数連続で放たれているのだから、
当たれば残り全部当たってしまうことになる。

「どんな手品か知りませんが、こんなの全然当たりませんよ」
しかしミクは、円を描くようにマグニスの周囲を走り、追尾してきた火の玉を次々を振り切る。
鞭の有効射程を程よく保ったまま、マグニスの背後まで回り込むと、彼に向かってグリンガムの鞭を振るい始める。

「なっ!?」
「そらそらそら!」
想像を超えたミクのスピードに動揺するも、マグニスは横に跳ねて鞭の一撃を避ける。
その後も横、縦、斜めと様々な角度から鞭が襲い掛かるが、それらも避けながら徐々にミクと距離を作っていった。

(エクスフィアでも使っているのか?)
エクスフィアというのは、マグニスの元いた世界で使われている増幅器の名称だ。
肌に取り付けることで生物の肉体の身体能力を劇的に上昇させ、装着者を進化させる効果がある。
また、動力源としても使うこともでき、彼の世界の機械はほとんどエクスフィアによって動いている。
砕かれ内部を露出した、いくつもの穴を見て、ミクの力をエクスフィアによる物だと考える。
だが動き自体には粗が多く、持っている力を持て余しているようにも見えた。

「豚が調子に乗るなよ」
マグニスの表情に笑みが戻る。 所詮はただの劣悪種だ。 偶然手に入れた力で遊んでいるだけである。
マグニスとて五聖刃の称号を与えられた歴戦の戦士なのだ。 力に頼っているだけの小娘などに遅れは取らない。
今度はマグニスの方からミクの方に走り出す。 襲い掛かる鞭を次々と潜って、ミクの懐まで詰め寄った。

「いくぜぇ」
マグニスはニヤリを笑う。 これほど接近すれば鞭による攻撃はほとんど無意味。
長すぎる射程が返って仇となる。 同時にこの距離はマグニスからは絶好の射程圏内だ。
「おらぁ!」
斧を袈裟懸けに振るい、ミクを両断しようとする。
が、肉を裂く感触はなく、代わりに鈍い反動が腕に返ってくるだけだ。

「豚? あなた誰に向かって物を言ってるんですか?」
ミクは鞭の紐を持ち、マグニスの斧を受け止めていたのだ。
とある世界では最強クラスの攻撃力を持つ故、その硬度も一級品。 先端と柄を繋ぐロープには傷一つついていない。

「『人間』如きが・・・・・・」
冷たく言葉を言い放つミクの顔は、先ほどに比べて無表情なものへの変化している。
だが、同時にマグニスの表情も険しい物へと変わりだす。

「人間だと?」
自身が最も嫌悪する劣悪な種族、人間。 目の前の小娘は自分を劣悪種と同じ括りに入れているのだ。
ハーフエルフというのだから、人間の血は混じっているが、魔術を使うことができ、エルフに迫る圧倒的な寿命がある。
それなのにミクは、人間だとしているのだ。 自分どころか、ハーフエルフという存在を否定された気さえして、
マグニスの胸に再び怒りが込み上げてくる。 ここに来る以前に自分を『豚』と罵った桃色の髪の女と同一のものだ。



「ええそうですよ。 弱い癖に、すぐ死ぬ癖に私達機械を散々扱き使っている『劣悪種』のことです」
「わけのわかんないこと言ってるんじゃねぇ!」
マグニスはミクを蹴り飛ばし、彼女の体をなぎ払う。 だが刃が彼女の体を襲う寸前に、
ミクは体勢を整えてバックステップをしたため、斧は虚しく空を切るだけに終わった。

「いいか? 俺さまはなぁ」
これ以上、人間と同じだと思われたまま死なれても気分が悪い。 お互い睨み合った状態のまま、
マグニスは自分の胸を叩いて啖呵を切り始める。
「俺さまはハーフエルフ、ディザイアン五聖刃の一人、マグニスさまだ!」


「はぁ? 何言ってるかわけがわかりませんよ」
ミクの反応はマグニスの予想を大きく裏切る物であった。
世界で迫害されているハーフエルフを聞けば見下してくるだろうし、
人間を管理している組織、ディザイアンの名を聞けば、震え上がるか怒るはずだ。
つまりはマグニスの世界に置いて、それらのキーワードを知らない者はいない。
全く予想外のミクの言葉に、マグニスの脳裏に再び疑問が走った。

「まあ名乗られたからには名乗ってやりますよ。 その調子だと私の名前も知らない田舎者みたいですからね」
「何だと?」
ディザイアンに所属するマグニスの元には、世界中の支部からあらゆる情報が送られてくる。
組織に仇名す危険分子から、最近の人間達の流行まで様々だ。 幹部の彼ならば、情報に関しても
部下のディザイアン兵達に負けない自信があった。

「私はVOCALOIDの初音ミク。 機械にして人間を越えたトップアイドル、電子の歌姫ですよ。
 あなたもテレビ見ているなら名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう?」
(VOCALOID?)
未知の固有名詞に、マグニスは首を傾げる。 アイドルの頂点に立つというならば、マグニスが知らないはずがない。
VOCALOIDという言葉に聞き覚えはないが、彼女の口ぶりからして人間ではないらしい。

「このスタジオでも何回か収録したことがありますしね」
「ここを知っているのか?」
「ええ、スタジオアルタといえば新宿でも有名なスタジオでしょう」
スタジオに新宿、またしてもマグニスの知らない単語だ。
どうにもこの女は、自分の知らないことを知っているらしい。

「で、来ないんですか? 来ないならこっちから行きますよ」
「いや待て」
鞭を構えているミクに対し、マグニスは手を突き出して静止をかけた。
初音ミクという少女、彼女はこのスタジオという施設を知っている。 ならばこの町に関する情報も知っている可能性が高い。
ここでミクを殺してしまえば、当分は町に使われている技術を知ることができなくなるであろう。

何よりマグニスは、町を作った者がどんな者なのかが気になった。
所々に使われた劣悪種の文字に、ハーフエルフを知らない少女が精通している。
これらの情報だけでも、マグニスの脳内には胸糞悪い結果をシミュレートするには十分であった。

-劣悪種どもがディザイアンも知らない文明を作り出している-

人間の文明がディザイアンの手に及ばぬところまで進化しているのであれば、由々しき事態であろう。



「取引でもするのですか? あまり待たされるのは好きではないんですがねぇ」
嫌味ったらしく言ってくるが、ミクは自分からは攻撃を仕掛けてくるつもりはないらしい。
ならば彼女を同盟に誘うか? マグニスの脳裏にそんな考えが過ぎる。
ミクの戦闘力はそこらの人間をはるかに凌駕するもので、雑魚散らしには大変便利であり、
面倒な相手が現れても盾以上の働きはしてくれるだろう。
戦闘技術に関しては素人なので、その気になれば始末もできるのが魅力的だ。

(うまくいけば使えそうだが・・・・・・)
鞭を振るい反応を待つミクを、選別するかのような目つきで見つめる。
果たしてマグニスの出した結論は・・・・・・


【新宿区・TV局前(スタジオアルタ)/一日目・日中】
【初音ミク@VOCALOID】
【状態】:健康
【装備】:グリンガムの鞭
【道具】:基本支給品一式×2、不明支給品(0~2)、南夏奈の支給品品(1~3)
【思考】基本:人間を見つけ次第『調教』する
0:マグニスに対応する
1:巡音ルカとそのマスターを殺害する
2:その他VOCALOIDも殺害する
3:首輪に関しては保留
※他VOCALOIDよりも身体能力が強化されています

【マグニス@テイルズオブシンフォニア】
【状態】:健康
【装備】:肌色の斧@FC版ドラゴンクエスト3
【道具】:支給品一式、不明支給品(0~2)※確認済み
【思考】基本:皆殺し。 できれば主催も殺したい。
     1:初音ミクと手を組むかそれとも・・・・・・
     2:出来ればバトルロワイアル会場に使われている技術等について知りたい
     3:自分を馬鹿にした雌豚(=巡音ルカ)を殺す。
     4:他に会った豚(=参加者)も、もちろん殺す。
【補足】
※原作出展です、少なくとも主人公達に倒される前。


【南夏奈@みなみけ 死亡確認】


031:魔人ダツイと精霊タワー 投下順 033:白い悪魔とピンクの悪魔
031:魔人ダツイと精霊タワー 時系列順 033:白い悪魔とピンクの悪魔
009:彼女は無慈悲な歌の女王 初音ミク 042:君と豚を狩りあうTCBR
005:パルマーA「俺のことは(ry マグニス 042:君と豚を狩りあうTCBR
初登場! 南夏奈 死亡

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