東方ファイトスレ @まとめウィキ

12スレ第28戦

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匿名ユーザー

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今回のジャッジは創作料理対決。審査員は魔理沙(人間代表)、ルーミア(妖怪代表)、早苗(外来人)の三人である。
ルールは至って簡単で、それぞれ二人の料理を一口ずつ食べた後どちらが勝ちか選ぶだけ。
但しその選ぶ手段が厄介で、自分が選ぶ選手の料理を完食しなければ選んだことにはならない。
もっとも、三人ともこれを深刻な問題だとは思っていなかった。
咲夜なら確実に美味しい料理を出してくるだろう、という共通認識があったためだ。
いざとなったらロリスの料理は放置して咲夜の料理を完食すればいい。
事実、咲夜が出してきた創作料理は見事な出来栄えの肉料理で見た目も香りも味も美味。
魔理沙でさえ、ロリスには悪いと思いつつ咲夜の料理を選ぶつもりになっていたほどだ。
……ルーミアが質問するまでは。
「ねー、これは何の肉?」
「人肉よ。お嬢様はあまり好きではないから、有効活用できないかと思って作ったのだけれど」
「そーなのかー」
それを聞くと同時に、早苗と魔理沙は駆け足でトイレへと消えていった。

数分後、離脱した二人が口をすすいで仕切りなおし。ロリスの番である。
メイドロリスがてくてくと料理を運ぶ姿はとても愛らしい。の、だが。
「「「うわぁ……」」」
料理は愛らしすぎて、逆に威圧感を放っていた。
それは料理と言うにはあまりにもアレすぎた
(香りが)甘く(クリームが)ぶ厚く(胃に)重くそして(調理が)大雑把すぎた それはまさに糖だった
ロリスが出してきたのは甘くなりそうなものとデコレーションを片っ端から突っ込んでみました、
といった感じの見るだけで胃もたれしそうな異物。もちろんトッピングとか添加物も山盛り。
強いて例えるなら、スポンジの変わりにクリームだのあんこだのそういったものが詰め込まれたケーキ。しかも。
「なぁアリス、なんで私のだけ量が多くて更にカラフルなんだ?」
「たくさん食べてほしいと思って。あと、他の二人のよりも甘くしてるから、きっとおいしいと思うんだけど……」
「そ、そうか」
ロリスの言葉を聞いた魔理沙はこう思った、まるで死刑宣告だと。
恐る恐るロリスの出した物体を口に運ぶ三人。そして。
「う……甘……」
「これは料理じゃない、甘い餌」
早苗は露骨に顔を顰め、ルーミアは一言でロリスの作った物体を扱き下ろす。
……もっともそれでさえ魔理沙の鬱っぷりには遠く及ばないわけだが。

ともかく味見は終わり、選択の時間である。
「こんなのもう結果が決まってるわ。料理じゃなくて餌を選ぶのはただのバカだもん」
「甘いものは食べなれてるしなんとか……」
ルーミアは迷わず咲夜の料理を選んだ。たぶん一番幸せな審査員だろう。
早苗も迷わずにロリスの料理を選んだ。さすがに人肉を食べるのは立場的にまずいらしい。
……さて、問題は魔理沙だ。
彼女だって人肉は食べたくないが、かといって量も質も違う以上早苗と同じ行動を取るには難易度が違いすぎる。
三十秒近くも料理と睨み合っていた魔理沙だったが、ふと視線を感じて思わず顔を上げると……
そこには、不安げな表情でじっと魔理沙を見つめているメイドロリスの姿が。
それを確認した瞬間、一秒と待たず魔理沙のフォークがロリス料理に突き刺さる。
「……ああおいしいなー! アリスの料理はおいしいなーこんちくしょー!」
二十分後、魔理沙が吐きそうになりながらもロリスの料理を食べきったことで、ロリスの勝利が確定したのだった。

その二日後の朝。
「……ああ……まだ胃が重い……」
呻きながら魔理沙が郵便受けをチェックすると、何か届いているのが目に付いた。小包と手紙のセットらしい。
未だ残る甘さの残滓に苦しみながらも手紙を開くと、可愛らしい文面でこう書いてある。
『魔理沙へ あのファイト以降、すぐ家に戻ってずっと外に出てこなかったそうなので心配になりました。
 これを送りますので元気を出してください。 アリスより』
「へえ、珍しく気が利くなぁ。いったい何が入っ……!!!」
……小包に入っていた、ロリスが作ったあの創作料理に魔理沙は絶句することしかできないのであった。






























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