東方ファイトスレ @まとめウィキ

12スレ第15戦

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匿名ユーザー

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本来、トランプピラミッドというのはどこをどうやろうと、
一枚でもカードを抜けば、そこより上の段はばらばらになる構造になっている。
だが、今回小町がサボタージュの暇に飽かせて作ったピラミッドには一味違う細工がしてあった。

「小さいと言えば、確かに本来のものとは小さな差なので説明が難しいのですが
 まずこのトランプピラミッドというのは、高さを稼ぐ縦のカードと、縦のカードの土台になる横のカードがあるのですが、
 ちょっとこの縦のカードだけに注目してください、
 なんと驚くことに、縦のカードの端っこがちゃんと同じ点で接するように作られています。
 かんたんな口頭の説明ではやはりわかりにくいでしょうが、つまりこのトランプピラミッドで
 スムーズにジェンガをするには、水平なカードのみを狙って抜いていけば良い、ということです」

「何か質問はありますか? あ、ちなみに縦読みは禁止です」

四季映姫様のありがたい説明と、それに添えられた最後の一言により、
参加者一同はツッコミを入れることもできず、コクコクとうなずくことしかできなかった。

ちなみに貧乳チームの内訳は、天子、ルナサ、輝夜、パルスィ。
対する相手は咲夜とこーりん。ちなみにこーりんは変態ふんどし仕様、カクカク動く腰が絶妙に気色悪い。
一同はそんなこーりんを無視し、なんか普通に少女たちの身長と同じくらい大きくて、
しかも横のカードを抜いても倒れない仕組みに作られたトランプピラミッドに挑む。

「あの死神、死神以外の職業に就いてればもっと大人物になれたんじゃないの? 大工さんとか……」
「ほら、そこの天人、作戦会議をやるわよ」
「何? 作戦なんてしてないで、さっさとやっちゃえば――」
「あのピラミッドの高さは並大抵じゃない、普通にやると一発で崩れる……死神の無駄な才能が妬ましい」
「それ、妬ましいかしら?」
「あと胸」
「「「それは確かに妬ましい」」」

さて一方の咲夜だが、隣のこーりんの様子に首を傾げていた。
なんだかやたら入念に、あらゆる角度からトランプピラミッドをチェックしているのだ。
勝負前に殊勝なことだ、とも思えなくはないのだが、
相手はかの変態一直線のこーりんだ、その「変態じゃ無い様子」が逆に疑問を呼ぶ。

「実はあなた、変態っぽい格好をしているだけで、本当はただのいつもの店主さんだったりしないわよね?」
「何の話だい、僕はいつものみんなのヒーローウルトラこーりんさ。ああところで勝負の際は、
 僕と君で交互にカードを抜いていく、ということでいいかな?」
「……まあ、せいぜい足を引っ張らないことね」


ちなみに勝負に際しては、カードに直接にずるをしない限り、またジェンガのルールに従う限りは能力の使用は自由。
……実は咲夜はこの勝負、ある程度は余裕を持っていた。
空間を操ることのできる咲夜は、カードを空間的に捉えることが可能なので、
どのカードがピラミッド全体にとって安全かそうでないかを見極めることができたのだ。
問題はこーりんだ。あの変態が時として変態的な能力を駆使することは知っていたが、
だからといってそれがこんな繊細なゲームに発揮されるかどうかは未知数。
また、2対4というのも結構不利な条件で、
チームごとに交互にカードを抜く以上(咲夜→輝夜→こーりん→ルナサ→咲夜→天子→こーりん→パルスィ→咲夜→……)、
2人組みのほうが、疲労がより早くなるはず……長期戦に持ち込まれるとまずい。

さて勝負開始。咲夜はいきなり、一番下のほうのカードを抜いて、プレッシャーをかける。
トランプピラミッドに限らず、ジェンガや山崩しのようなゲームは、下から抜くほうが難しく、
そして難しい分、抜いた後ほど土台は不安定になり、後からプレイする人に不利に働く。
さて輝夜の番……と、何を思ったかこーりんが輝夜の向かい側、トランプピラミッドを挟んで対面に立った。

「? 何か用かしら」
「いや、僕の番を待ってるだけさ。早くカードを抜いてくれたまえ」

意図は知れないが、元々変態の意図など読んでも仕方が無いのでほうっておくことにする。
……輝夜も、かなり下のほうのカードを抜く。
当然か、と咲夜は納得。輝夜の能力は咲夜とひどく似通っている。空間的な要を見極めるなど、彼女にとっては児戯同然なのかも知れない。
と、ここまでは咲夜も納得できたのだが、納得できなかったのは次のこーりんの行動だった。
輝夜がカードを抜こうとした瞬間、こーりんもその近くのカードに触れるか触れないかの位置に手を添えたのだ。
そして輝夜がカードを抜き終わった瞬間に、輝夜のようにそっと、ではなく、物凄く勢いをつけてカードを引き抜いた。
確かに一息に水平に引き抜ければ、そっちのほうがカードは崩れずに済むが……一歩間違えばゲームオーバーである。

「ちょっとそこの変態、どういうつもりなの?」
「ふぅ……ああ、失礼。しかし、本当に大事なものというのは、この一瞬の中にしか無いものだからね」
「????」

と、こーりんが不審なプレイングを見せつつもゲームは進む。
ルナサは普通に上のほうのカードをゆっくり無難に引き抜く戦略に出た、
パルスィは脅威の集中力で、これもまた一番下のカードを引き抜いてみせる。
天子は天子で、本当に何気なく一番下のカードを引き抜いてみせた。

「…………」

表情にこそ出さないが、咲夜に焦りが生じる。輝夜はまだしも、パルスィや天子までここまでやるとは思わなかった。
実はパルスィは、作戦会議のあいだじゅうずっと、ルナサに欝の音を聞かされていたのだ。
クリスマスも年末年始も一人で過ごした彼女の嫉妬パワーは既にうなぎのぼりである。ちなみにそのことを指摘して嫉妬を煽ったのは輝夜だったり。
天子はというと、大地を操る程度の能力を持つ彼女もまた、固形物の重心や要を見極めることができた。
ただ、天子自身の気質があまり繊細ではないので、やや危なっかしいのだが――

ところでこーりんだが、相変わらず前の対戦相手のすぐ近くに陣取り、相手がカードを抜いた瞬間に自分も引き抜く荒業を続けていた。
不思議なもので、そんな無茶をしながら、まだミスも無くゲームは続いている。

「くっ……持久戦で相手のミスを待つしかないのかしら……ミスをしそうなのはルナサあたりか……」

焦る咲夜だが、ミスだけはせず、淡々とゲームは続く。
ついに、両者ともミスも無いままに、水平向きのカードが3分の1ほど抜かれた状態になった。
ここからは本当に、いつ崩落が起きてもおかしくない――
ほぼ全員がそう思っていた矢先に、それは起きた。

「えいっ」
「なっ……!」

全員が度肝を抜かれた。天子が真ん中あたりにあった、縦のカードを抜いたのだ。
支えになるカードが抜けて落ちるかと思われたピラミッドだが――少しだけ揺れ、若干ひずみができたものの、何とか崩れはしなかった。
揺れを起こすも起こさぬも、比那名居一族の思うが侭――
そしてそんな不安定な状態から、こーりんは先ほどと同じようにカードを引き抜こうとして――

「違う! フレームは動いてはいけない! 君は重大な間違いを犯したのだ!」

と、わけのわからない切れ方をして、カードは抜かずに天子に向かって声をあげた。

「ちょ、何よ、私のどこが間違ったっていうの!?」
「いいかい、額縁は動いてはいけないんだ。当たり前だろう? だから君は、トランプピラミッドを揺れさせては、ひずませてはいけなかった」
「はぁ?」
「そう、僕は発見したのだよ! このトランプピラミッドの向こうに存在する――至高のチラリズムを!!
 ただ紙の建造物を挟んだだけだというのに、そのスキマから見える少女たちのなんと美しいことか!
 いいかい、このスキマというのが最も大事だ、紙と紙の狭間から見える少女たちの局所的な手指や顔かたち、
 さらにカードに集中していて無防備になった瞬間、服のスキマの向こうに見えそうで見えない一瞬のパラダイス、
 それはそう、他意は無いのに家屋の窓から内側をちらと覗いてしまった瞬間に到達できる窃視の快楽は積み重ねるほどにエクスタしぎゃああああ!?」
「「「「「「死になさい」」」」」」

審判と咲夜を含む少女全員から本気弾幕を食らい、哀れ、こーりんは光の彼方に消えた。
そして当然その弾幕によって、トランプピラミッドも見事に崩れ去った。

「あー……この変態と組んだ時点で勝負は決まってたみたいなもんね。私の負けでいいわ」
「そうですね。ではこの勝負、ひn……い、異色4人組チームの勝利とします」

というわけで、こーりんの暴走により勝負は貧乳チームの勝利となった。














































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