今回の勝負はフルマラソン、42.195キロを飛行などの特殊能力無しで走りぬくこと。
コースは、妖怪の山の周辺を大回りに一周。
山そのものではないとはいえ、アップダウンもかなりある難所だ。
――今回、文はいつにもまして気合が入っていた。
久しぶりの出番、しかも待ちに待った、まともな“スピード勝負”。
これで負けては天狗の名折れ。文は今、かつてないほど燃えていた。
一方の妹紅は、「お前みたいな引きこもりには無理な勝負だよなー、そこで大人しく見てるがいいさー」
などと散々に某竹林住まいの誰かさんをからかい倒し、すっきりしてからのスタートとなった。
経緯はどうあれ、勝負前にリラックスした、という意味では準備は万端といえるだろう。
コースは、妖怪の山の周辺を大回りに一周。
山そのものではないとはいえ、アップダウンもかなりある難所だ。
――今回、文はいつにもまして気合が入っていた。
久しぶりの出番、しかも待ちに待った、まともな“スピード勝負”。
これで負けては天狗の名折れ。文は今、かつてないほど燃えていた。
一方の妹紅は、「お前みたいな引きこもりには無理な勝負だよなー、そこで大人しく見てるがいいさー」
などと散々に某竹林住まいの誰かさんをからかい倒し、すっきりしてからのスタートとなった。
経緯はどうあれ、勝負前にリラックスした、という意味では準備は万端といえるだろう。
勝負は、序盤から文が脅威のハイペースで飛ばし、単独のトップとなった。
端から見れば明らかに飛ばしすぎだったが、文はこれでいいと考えていた。
元よりちまちました駆け引きなどする気は無い。目指すは完全勝利。
そのために、最初にスタートダッシュで大幅に突き放し、後半は自分のペースで走る、それが文の考えだった。
その目論見自体は間違ってはいなかった。だが、途中で誤算が起きた。
35キロ地点。文が足を捻ってしまった。
急な坂道が多く悪路も多い妖怪の山周辺、加えて文は、いつもの下駄で走っていたのだ。
むしろここまで何の問題も無く走れていたことのほうが驚きであったが、
ゴールまであとわずか、という地点まで来てのアクシデント。
ここで、文は下駄を脱ぎ、裸足で再スタートした。
痛む足で懸命に、砂利を素足で踏みながら、痛みと疲れで汗だくになりながら。
大幅に失速してはいる。もはや、自分のペースも何もあったものではない。
加えて、背後には徐々に、妹紅の姿が近づいてきている。
それでも文は、気力を振り絞り、そしてとうとう、ゴール地点にたどり着く。
妹紅には一度も抜かせることなく、逃げ切りでの勝利を手にしたのだった。
端から見れば明らかに飛ばしすぎだったが、文はこれでいいと考えていた。
元よりちまちました駆け引きなどする気は無い。目指すは完全勝利。
そのために、最初にスタートダッシュで大幅に突き放し、後半は自分のペースで走る、それが文の考えだった。
その目論見自体は間違ってはいなかった。だが、途中で誤算が起きた。
35キロ地点。文が足を捻ってしまった。
急な坂道が多く悪路も多い妖怪の山周辺、加えて文は、いつもの下駄で走っていたのだ。
むしろここまで何の問題も無く走れていたことのほうが驚きであったが、
ゴールまであとわずか、という地点まで来てのアクシデント。
ここで、文は下駄を脱ぎ、裸足で再スタートした。
痛む足で懸命に、砂利を素足で踏みながら、痛みと疲れで汗だくになりながら。
大幅に失速してはいる。もはや、自分のペースも何もあったものではない。
加えて、背後には徐々に、妹紅の姿が近づいてきている。
それでも文は、気力を振り絞り、そしてとうとう、ゴール地点にたどり着く。
妹紅には一度も抜かせることなく、逃げ切りでの勝利を手にしたのだった。
後に、文は他の鴉天狗の取材に応じ、こう答えている。
「下駄を脱いだとき、自分の誇りも折れた気がした。
あれは天狗としての自分を象徴する物の一つだから、できれば脱ぎたくなんてなかった。
だけどそれでもあの時は下駄を脱いで走った。天狗としてではなく、私個人が勝ちたかったから。
怪我をしたこと自体は恥ずべきことだけど、その判断は、今でも後悔はしていない」
このコメントに、天狗たちの評価は賛否両論だった。
天狗は仲間意識が強い、種族としての誇りを捨ててでも走るべきだったかどうか、そこで各紙の意見が割れた。
だがそれでも、最後までトップを譲らず走りきった文を称える報道もあったことを、忘れてはなるまい。
「下駄を脱いだとき、自分の誇りも折れた気がした。
あれは天狗としての自分を象徴する物の一つだから、できれば脱ぎたくなんてなかった。
だけどそれでもあの時は下駄を脱いで走った。天狗としてではなく、私個人が勝ちたかったから。
怪我をしたこと自体は恥ずべきことだけど、その判断は、今でも後悔はしていない」
このコメントに、天狗たちの評価は賛否両論だった。
天狗は仲間意識が強い、種族としての誇りを捨ててでも走るべきだったかどうか、そこで各紙の意見が割れた。
だがそれでも、最後までトップを譲らず走りきった文を称える報道もあったことを、忘れてはなるまい。
ちなみに妹紅だが、文の背中を追って一応最後まで走りきったものの、
もんぺの下が汗でムレてしまって、女の子として恥ずかしいことになってしまったという。
また、それを察した輝夜がこんな時に限って殺し合いを避け続けたために延々とリザレクションで回復できず、
長い間、このネタで輝夜にからかわれ続ける羽目になったのだとか。
もんぺの下が汗でムレてしまって、女の子として恥ずかしいことになってしまったという。
また、それを察した輝夜がこんな時に限って殺し合いを避け続けたために延々とリザレクションで回復できず、
長い間、このネタで輝夜にからかわれ続ける羽目になったのだとか。