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  • 機娘乱劇オーバードライブ 立ち読み版

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機娘乱劇オーバードライブ 立ち読み版

最終更新:2022年07月19日 09:05

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機娘乱劇オーバードライブ 立ち読み版

プロローグ

人々の怒声、甲高い悲鳴、半狂乱の泣き声。それらがあっという間に街を埋め尽くした。どこからともなく現れた異形は、あるモノは昆虫にも似ていて、あるモノは獣にも似ている。様々な形のソレに共通するのは、人間を捕食する習性を持つ、ということだった。
それらは俗に魔と総称されている。一目ですぐにこの世界に相容れない異物と判るためか、自然とそれらの存在は魔と呼称されるようになったのだ。
人がそれらを魔と呼んで恐れるのは、例えば色彩が自然でなかったり、サイズが普通でなかったりといった、目に見える判りやすい理由だけではない。判りやすくいうなら、得体の知れない恐怖、嫌悪感、憎悪など、負の感情を否応にも刺激されるからだ。
せき止めていた水が溢れるように魔が街を埋め尽くす。紫と深い藍のまだらに覆われた巨大な蚯蚓(みみず)のような魔が地を這い、刺だらけの口で逃げ遅れた人間の足を噛む。悲鳴を上げた者は足、腕と末端から徐々に食われていく。途中で失血死出来ればまだ幸せかも知れない。だがこの蚯蚓(みみず)型の魔は生きた人間の脳を好物としている。口から放つ液体は強力な止血効果や覚醒効果を持っており、魔に喰われかけた人間は最期まで意識を保ったまま、喰われる恐怖によって意識を蝕ばまれ、発狂寸前まで到達させられる。そこまでいって、ようやくこの蚯蚓(みみず)型の魔は、頭蓋を割って中身を啜るのだ。
狼や豹に似た獣型の魔や、蜥蜴(とかげ)や小型の肉食恐竜に似た爬虫類型の魔のやり口も大差はない。人々を嬲るように襲って動けなくしてから、まずは腸(はらわた)を喰らい、覚醒効果を持つ唾液で意識を保たせたまま、頭蓋を噛み砕いて脳を喰らうのだ。
悲鳴や怒号がひときわ大きくなる。十数メートルほどの体躯の巨大な獣型の魔が現れ、建造物を破壊し始めたのだ。新たに現れた大型の獣魔は、小型の魔のように、人間を手足や内臓から丁寧に解体しながら喰うような非効率な事はしない。鋭く大きな牙で建物や車を齧りながら人を丸呑みしていく。
大型の魔には、巨大な触手を建造物に巻きつけ粉砕しながら人間を体内に取り込んでいくモノや、竜巻のような空気の渦で建造物を粉砕し体内に吸い込むモノなど、様々な形のモノが確認されているが、体内にとりこんだ人間がどうなるのかは解明されていない。だが大型の魔も可能な限り、人を生きたまま体内に取り込もうとする性質がある事が判明している。となれば、巨大な魔の内部では、小型の魔に喰われるのと同レベルの捕食行為が行われている可能性が高かった。
大型獣魔によって街が瓦礫と化すまでには、そう時間は掛からなかった。最後に残ったショッピングモールを地下まで抉って人を飲み下す。餌に出来る人間が居なくなったためか、大型獣魔は今度は周囲の小型の魔に矛先を向けた。
魔には基本的に共食いをする習性は無いのだが、人を食らった直後だけは違う。他の魔が得た栄養素を奪い取ろうとするかのように、その時だけ共食いを行うのだ。小型の魔が人を喰らうのに時間をかける事。そして人を食った魔どうしで共食いする習性を持つこと。そのおかげで、魔の最初の攻撃を逃れる事ができた者は、避難に必要な時間を得ることができる。
蚯蚓(みみず)型の魔を獣型の魔が喰らい、獣型の魔同士が死闘を繰り広げる横合いから、大型の獣魔が争っていた魔を地面ごと丸呑みする。魔の大発生から数時間後には、街だった場所には、大型獣魔と、人を食いそびれたために大型獣魔の餌となることを逃れた、ある意味幸運な小型の魔しか残っていなかった。
やがて生き残った小型の魔はゆっくりと辺りをうろつき始め、大型獣魔は眠るように動きを止めた。その上空を小さな航空機が通り過ぎる。この国の軍事組織が装備する、無人偵察機だった。
この無人偵察機は、兵器を用いて大型獣魔を倒すために飛んでいる訳ではない。大型の魔は休眠状態に入ると、刺激せずに放置しておけば、長くて十日程度で消え去ってしまう。逆に、爆撃や砲撃を行なって刺激を与えると、何のダメージも与えられないどころか、パワーアップして行動が活発化し、さらなる被害を招くことになる。無人偵察機は大型獣魔が休眠状態に入ったことを確認すると共に、その位置を正確に記録するために投入されているのだ。
何機かの無人偵察機が空を横切り、日も暮れた頃、魔が徘徊する廃墟に数人の人影が現れた。全員、この国の軍人が着る緑色の迷彩服を着込んだ軽装備の女性だった。しかし、なぜか、彼女達が着ている迷彩服は、戦闘服では無く薄地の作業服だった。
迷彩服の女性達は慎重な足取りで、まずは小型の魔に近づいていった。だが小型の魔は彼女達に反応する様子は一切なく、完全に無視して通り過ぎていく。彼女達は頷きあうと、今度は大型獣魔に迫った。
迷彩服の女性達たちが近づいても大型獣魔は休眠状態を解く様子はない。近づいた彼女たちは散開して四方から取り囲むように配置につくと、大型獣魔を観察しはじめた。彼女達はカメラなどの機器は使用せず、何故か左手を股間部分に添えていた。股間に添えたられた指は、敏感な突起があるはずの部分を、つまんでひねったり、押し込んだりという動きを繰り返している。彼女達の表情は真剣そのもので、股間をまさぐる指の動きはまるでスイッチを弄っているかのように規則的で、自慰を行なっている風ではない。
迷彩服の女性達による大型獣魔の観察は十数分ほど続いた。観察を終えた彼女達は再び集結すると、次に街の被害状況の確認を始めた。街のあちこちに散らばる無残な遺骸を見つめる彼女達の表情は沈鬱だったが、冷静さを失う事はなかった。ショッピングモールだった場所にさしかかった時、中の一人が驚いたような表情で瓦礫の一角を指さした。
「あそこ、見て」
ショッピングモールの地階の隅だった場所の瓦礫に埋もれるようにして、震える一人の子供の姿があった。子供の周囲に落ちているのは瓦礫だけではなかった。千切れた誰かの腕、誰かの頭、誰かの足……そして真っ赤な血だまりが子供の前にあった。ただ一人生き残った子供は虚ろな眼差しでそれらを見つめて黙っていた。強い衝撃を受けて子供の精神状態が希薄になったため、魔に気付かれなかったのだろう。
しかし、迷彩服の女性の一人が声を上げた事で事態は急変した。子供の瞳が感情の色を取り戻すと、近くをうろついていたいた狼のような姿をした魔がぴくりと反応したのだ。子供を発見した迷彩服の女性が舌打ちをして、驚くほどの機敏さで子供の傍に駆け寄り手を差し伸べる。
「もう大丈夫よ、こっちへ!」
迷彩服の女性は鋭い声でそう言って片手で子供を抱き上げると走りだした。
「要救助者確保! 小さな女の子です!」
子供を片腕で抱き抱えて走る女性が、近づいてきた仲間に告げた。
「観察対象に動き無し。貴官は要救助者と共に全速で拠点へ帰投すること。送り狼に対する迎撃要請はこちらから出しておく。武運を祈る」
「了解しました」
近づいてきた仲間は迷彩服の女性達のリーダーだったようだ。子供を抱えた女性は命令に従い、仲間から離れるように走った。大型の獣魔を起こしてしまうという最悪の事態は避けられたようだが、狼型の魔は子供を追ってくるだろう。迷彩服の女性達は、小型の魔が相手なら対抗できる手段を持ちあわせていたが、この場でそれを実行するには大型獣魔を起こしてしまうというリスクを伴う。少なくともそのリスクだけは避けなければならない。
「しっかり、しがみついていてね」
子供は迷彩服の女性が自分を助けようとしてくれていることを理解したのか、黙って頷き、力を込めて彼女にしがみついた。それを確認して女性はスピードを上げた。彼女の走行スピードは驚くほど早い。野生動物並の加速力と、バイク並みの最高速度を兼ね備えているようだ。柔らかな女性の胸に顔を埋めようとした子供が違和感に気づいたように驚いた顔をして頭を上げた。女性の胸の内部には金属のような硬い感触があった。
「おっぱい、かたいよ?」
怪訝そうな表情でそう告げる子供に、迷彩服の女性は苦笑しつつもすぐに返答はしなかった。真実を安易に告げ、子供に万が一でも暴れられると困る。だが黙っていると逆に不信を招く可能性もある。女性は逡巡した後、子供の問いに答えた。
「わたしの身体は、実は機械で出来ているの。でも、だからこそ、こんなに速く走れるのよ」
「きかい? すごい!」
そう言って、子供は再び迷彩服の女性の胸に顔を埋めた。子供は彼女が機械だということを疑いはしなかったようだ。ひょっとしたら子供なりに機械だから強い、などと勘違いしたのかも知れない。
子供を抱いた迷彩服の女性は舗装された幹線道路を逸れ、彼女が配備されている部隊が拠点としている場所へ向かった。彼女を追いかけてくる文字通りの送り狼である狼型の魔を迎撃する体勢は既に整っていた。迷彩服の女性は、体内に搭載された通信機で受信した命令に従い、速度を落として道の両脇に設置された機関銃座の間を通り抜ける。
二つの銃座から一斉に銃弾が放たれる。小型の魔に対してなら銃器も威力を発揮する。人間相手ならかすっただけで致命傷を与えることが可能な機関銃弾が命中して、狼型の魔は地面に倒れ込む。致命傷を負ったかに見えた狼型の魔だが、傷がすぐさま回復し始める。しかし、回復するより先に機関銃弾が次々と命中する。数十発の銃弾を浴びてボロボロになった狼型の魔はあっけなく消滅した。
迷彩服の女性が速度を落として数分進むと、拠点である天幕群が現れた。歩哨の敬礼を受けながら、彼女は通信で命令された通り、軍医が居る天幕に直接向かった。
子供を抱いたまま、未舗装の足場の悪い道を高速走行したために、迷彩服の女性の駆動システムには想定以上の負荷がかかっていた。予定に無い行動を取ったために燃料の消費も激しく、ただちに整備と燃料の補給を受ける必要があった。しかし『新型偵察車両』として開発された彼女のような存在が、実際に軍の部隊に配備され、運用されたのは今回が始めてだ。なんらかのトラブルが発生するのは想定内の事態だった。不具合があった部分は今後、改良していけば良いのだ。
『新型偵察車両』である女性は、衛生兵に子供を預けると、子供と別れ、整備を受けるために、彼女の製造元の企業から派遣されている技術者の元に向かった。
子供は意外なほど元気で、怪我もなく、出された食事をぺろりと平らげた。しかし、身元に関する質問をされると不思議そうな表情で判らないと答える。完全に記憶を失っているようだった。汚れた衣服を脱がせた時に、意外な事実が判明した。髪が長く、綺麗な顔立ちをしているのでてっきり女の子だと思われていた子供は、実は少年だったのだ。
明らかな急性ストレス障害の症状を示している少年に、軍医は精神安定剤と睡眠導入剤を与え寝かしつけた。救助された時の状況から考えて、少年は孤児になっている可能性が高いと軍医は考えた。場合によってはこのまま記憶を戻さない方向で治療をした方が良いかもしれないとカルテに記した。軍医の所属するこの部隊は『新型偵察車両』の運用を行うために編成された特殊な部隊だった。少年をこのまま保護することはできない。軍医は正規の救助部隊へ連絡し、少年の身元の確認と、緊急援助医療チームへの引渡しを行うべく手配した。
翌日になって、無事に避難出来た人数は街の総人口の五割を切っているであろう事が判明した。最近の魔の襲撃事件の中では犠牲者の比率が異常に高かったが、今回初めて投入された『新型偵察車両』による調査の結果、街の人口を上回る数の魔が出現した事が既に判明しており、五割も生き残ったのは奇跡に近いと判定された。恐らく街全体で魔に対する避難訓練を欠かさず行ってきたことが功を奏したのだろう。
避難民を受け入れた近隣自治体の避難所には医療施設もすぐに併設された。重傷者や急病患者は病院に搬送されるが、避難した人々の殆どが魔によって人が喰われる凄まじい光景を目の当たりにしている。この医療施設は避難民に心理的な治療やケアすることを主目的に設置されたのだ。
特殊部隊から医療施設に移された少年の身元は、あれだけ特徴的な容姿であるにも関わらず数日たっても判明しなかった。医療施設の医師は、特殊部隊の軍医がカルテに記した通りの方針で少年に心理的な治療を施す事を決意した。
それから更に数日後、今回の魔による襲撃事件で孤児となったと思われる子供達は、各地の施設などに引き取られることになった。『新型偵察車両』に保護され生還を果たした少年は、この国で最大手の製薬会社の経営する児童保護施設に引き取られる事になった。
その製薬会社は、魔の体液などを元に新薬を作り出しているなどという後ろ暗い噂が絶えない企業だった。少年の受け入れ先となる児童保護施設も人体実験を行なっていると、まことしやかに噂されていた。
その噂を裏付けるかのように、少年を引き取るために医療施設に現れたのは、社会常識も知らないような、白衣を着た若い研究者だった。全国を巡り魔に痛めつけられた避難民を治療することを生業に選んだ医療施設の人々と、後ろ暗い噂の絶えない大企業をバックに研究を行なっている研究者の男は相容れない存在だった。何故なら医療施設を訪れた研究者は小型の魔さえ一匹たりとも出現することがなく、それ故、住人の誰もが魔と無縁の生活を送ることが出来る……聖域(サンクチユアリ)とも呼ばれ金持ちの集まる街と噂される、清陵(せいりよう)市で生まれ育っていたからだ。
医療施設の人々はそんな男に少年の身柄を引き渡して良いのだろうかと考え、だが同時に命令には逆らえないことも判っていた。研究者が持っていたのは正式な身柄引き受け書類であり、それはもう既に少年の行く先が決まっていることを意味していたからだ。
こうして少年は、白衣の研究者と共に清陵市へと旅立った。

【第1話】とりあえずはカラオケで

隣のクラスのとある女子……同じ学校の生徒だけじゃなく、他の学校の生徒も密かに狙っているという噂の美少女が、手ひどく振られたという話で教室は賑わっていた。と言っても、卒業式を間近に控えた教室にはクラスメイトはまばらにしかいない。
中高一貫に近い制度を持つこの私立中学の生徒の大半は、内部受験で高等部に進学するため、オリエンテーションだの説明会だの部活動の見学だので高等部の校舎に通うことの方が多いためだ。
教室に残っている生徒の七割ほどはスラックスを穿いている。別に男子生徒が多く残っている、という訳ではない。この学校の女子制服はスカートだけでなくスラックスも用意されており、とても寒い二月の半ばともなれば、女子生徒でもスラックスを穿(は)いてくる者が増える、という訳だ。
憂鬱な気分で机に突っ伏していた大塚(おおつか)陵(りよう)はのろのろと頭を起こした。
「やけにテンション低いな、アヤちゃん」
「何度も言うが、俺の名前はアヤじゃなくて陵! 綾(あや)って字は糸偏(いとへん)だ!」
前の席のクラスメイトが言うことにむきになって言い返してから、陵は深々とため息を吐いた。えー、と不満顔をしたクラスメイトが陵の頭を何故か撫で回す。陵は不機嫌な顔でその手を邪険に振り払った。
「なでるな!」
「いやほら。威嚇してる猫は逆に構いたくなるという習性が」
訳の判らないことを言いながらクラスメイトが笑うのを見て、陵は更に不機嫌な顔になった。アヤちゃんだの猫だのと好き放題に言うのは、目の前にいるこいつだけじゃない。友人のほとんどは陵のことをまるで女の子のように扱ってはからかうのだ。陵はふて腐れて横を向き、ため息を吐いた。
「それで? あいつ、何で振ったんだよ」
「あー。何かブスだから振ったとか言ってるらしいけど?」
「ぶ……す?」
信じられない言葉を聞いて陵は目を丸くした。頷いたクラスメイトがさりげなく教室の隅に目をやる。そこには陵たちとは別の男子のグループがいた。その中に噂の少女とデートしたらしい問題の男子生徒を見つけ、陵は顔をしかめた。
「あいつ、清陵(せいりよう)行くって噂だけど」
「うえ。マジで?」
「あの野郎、成績だけは良かったからな」
潜めた声でそんなことを話している間に、問題の男子生徒が席を立ち、さっさと教室を出て行ってしまう。男子生徒の名前は名倉(なぐら)隆史(たかし)という。授業中に堂々と寝ていたり、エスケープしたりするため、クラスでも問題児扱いされている生徒だ。一部のクラスメイトは触らぬ神にたたりなし、といった感じで隆史のことを完全に無視していたりもするのだが、当人はそうされることを別段何とも思っていないらしいとも聞いたことがある。
うえー、と舌を出してから陵は目の前の席のクラスメイトに向き直った。
「名倉が行くんなら、俺、進学先変えようかなあ」
「え、そりゃもったいないだろ」
驚いた顔で言われ、陵はそうだよなあ、と小声で言ってため息をついた。私立清陵高等学校は全国的なレベルで最難関校のひとつと言われている全寮制の私立高校だ。
この学校で内部受験に落ちるほど成績が低い陵が受かるはずがない。専願なら確実に受かる別の私立高校を受けた方がいい。などと渋る担任教師を拝み倒して、陵は清陵高校を受験した。両親はそれで気が済むなら構わない、と受験を許してくれた。
最初は反対していた担任教師も、陵が真剣に受験勉強を始めたのを見て協力してくれるようになった。本音は、これだけ真剣に勉強しているなら、学力が上がって公立高校の受験に落ちる事はないだろうという考えだったようだが。
だが奇跡は起きた。試験結果発表の日、清陵高校のサイトに陵の受験番号が記載されていたのだ。そして昨日、陵の自宅に入学手続きに関する書類が郵送で届いた。その書類には学生寮の案内パンフレットも入っていた。間違いない、本当に合格したのだ、と陵はパンフレットの入った封筒を見て改めて実感した。
「清陵なら学生寮に入ったら地下鉄乗らなくて済むし」
「おまけに結衣ちゃんとも一緒だし?」
にやにやと意味ありげに笑いながらクラスメイトが言う。陵はふて腐れた顔をして横を向いた。結衣(ゆい)ちゃん、というのは教室内で噂の的になっている美少女の名前だ。フルネームを及川(おいかわ)結衣(ゆい)という。
「死ぬほど勉強してやっと受かったんだし?」
「ああ、そうだよ! 悪かったな、バカで!」
「いや、アヤちゃんはバカじゃなくてやれば出来る子だったんだよ」
よしよしと笑いながらクラスメイトがまた頭を撫でようとする。陵が憮然(ぶぜん)として立ち上がって避けると、タイミングよく休憩の終わりを報せるチャイムが鳴った。
班ごとに決められた掃除場所に向かいながら陵はため息を吐いた。オリエンテーションで内部進学組がいない今日も、なぜ、わざわざ掃除までしなければならないのだろう。西校舎の階段に辿り着き、陵はさっそくほうきでごみを掃き始めた。
そもそも地下鉄がいけないのだ。今朝の登校時もまた阿呆な痴漢が勘違いして触ってきたことを思い出しつつ、陵は淡々と掃除を進めた。踊り場でいったん、ごみをちり取りで集めてごみ箱に突っ込む。おしゃべりをしながらモップで階段を拭く女子生徒をちらりと見やってから、陵はまたため息を吐いた。
今朝は最悪だった。痴漢に遭遇し、いつものごとく勘違いしている奴に向かって怒鳴りつけようとしたところに、たまたま結衣がいたのだ。どうやら痴漢被害を受けた現場を目撃されてしまったらしく、結衣は真っ赤になっていた。今朝のことを思い出しながら陵はぎりぎりと歯軋りをした。ちり取りを持って構えてい男子生徒が怪訝そうな顔をする。
「おい、アヤちゃーん」
「アヤじゃない! 俺は陵だ! 綾は糸偏だ! ちょっと背が高いからっていい気になるなよ!」
我に返った陵は喚き返してわざと乱暴にほうきを動かし、ちり取りにごみを叩き込んだ。うわ、と慌てた声を上げた男子生徒が恨めしそうに陵を見おろす。
「いや、オレもそんなに高くねーだろ。普通じゃん。それにアヤちゃんは、それくらい身長あれば充分だろ」
「そこ。騒いでないでさっさとしてよ。拭けないでしょ」
階段にいた女子生徒が文句を言う。陵は、春の身体測定から三ミリだけど伸びたもん、と呟きつつ涙目になりながら、男子生徒から離れて仕方なく掃除を再開した。
担当教師に掃除が終了したことを報告し、教育用(スタディー)端末(タブレツト)に電子はんこをもらってから陵は帰途についた。地下鉄に乗らなければならないと思うとうんざりする。最寄り駅に向かう陵の足取りは自然と重くなった。この時間帯の車両は朝ほど混雑しているわけではない。主な乗客は学生だというのに、何故か陵は痴漢の標的にされる事があるのだ。
ふと足を止めて南の方に目をやる。そこには小高い丘があった。その丘に建っているのが清陵高校だ。小高い丘の上にある清陵高校を仰ぎ見て陵は目を細めた。立ち止まった陵の傍を同じ中学校の生徒が通り過ぎる。
三月末までに寮に入るんだっけ。入学手続きの冊子に書かれていたことを思い出し、陵は思わず表情を緩めた。
清陵高校の建つ丘の斜面には、高級マンションのような外観の真新しい学生寮が建っている。以前は一棟しかなかったのが、数年前に全寮制へと移行するにあたって増設されたのだという。今では男女別、寮費のランク別で数棟あるらしい。
学生寮に入ってしまえば、もう不快な痴漢にあうこともない。そしてその現場を結衣に見られることもないのだ。陵はぐっとこぶしを握りしめて一人で頷いた。
一人で力を込めて頷いていた陵は、ふと視線を感じて目を上げて硬直した。何故か傍に結衣が立っている。
「おっ、及川さん!?」
陵は驚きの余り、ひっくり返った声で言った。
「あなた、大塚くん、よね?」
澄んだ声で結衣が問い掛ける。陵は緊張に身をかたくしつつ、慌てて何度も頷いた。まさか名前を覚えてもらっているとは思わなかった。嬉しさに舞い上がりそうになりつつ、陵は慌ただしく周囲を見た。幸い今は、陵を熱心にからかってくれる悪友連中の姿はない。よし、と心の底で気合いの声を上げ、陵は改めて結衣に向き直った。
今日の結衣は長い髪をポニーテールにまとめている。目はぱっちりとしているし、顔立ちだって悪くない。いや、それどころか。どこから見ても可愛いと言っていいだろう。今はコートを着ているため目立たないが、スタイルも抜群に良い。手足もすらりと長く伸びて、黒いソックスにくるまれた足首は手折れそうなほど細い。レディスコートの裾とニーハイソックスの間にちらりと覗く数ミリの絶対領域が眩しすぎる。
なのに何で隆史は結衣のことをブスなどと言ったのだろうか。教室で聞いた話を思い出しつつ陵は内心で首を捻った。
「う、うん。そうだけど、なに?」
思い詰めたような表情をしている結衣に陵は自分からそう訊ねた。
「あの……!」
思い切ったように言ってから結衣がうつむく。それを見た陵は目を丸くして息を詰めた。
このパターンは!
これまでに見たアニメや漫画、それから悪友連中から仕入れた情報を参考に陵は一つの答えを出した。このパターンはもしかして恋の告白なのではないだろうか。そう考えた陵は緊張しきり、耳まで真っ赤になった。
「え、えっと! あの、ここで聞いてもいい話?」
周囲を慌ただしく見回して陵は口早に言った。何しろここは道のど真ん中で、帰宅する生徒もたくさん居る。
「そうよね! ご、ごめんなさい。その、一緒にカラオケでも行かない?」
一緒にカラオケ! 陵は内心で全力で叫び、がくがくと何度も頷いた。陵につられたのか、結衣の顔も赤くなっている。ぎこちなく歩き出し、陵は上ずった声で問い掛けた。
「いっ、行く! 行きます! ええと、清陵センターでいい? 歩いて行けるし」
清陵センターはその名の示すとおり、この清陵市の中心にあたる駅がある繁華街だ。近年の社会情勢の変化により、都心の繁華街並みに発展している。
地下鉄の路線は公園を避けるように道路に添って遠回りしているため、中学校の最寄り駅からは三駅先になる。そのため遠く感じるが、公園を突っ切れば実際には歩いて三十分ほどしかかからない。
陵と並んで歩き出しながら結衣がこくんと頷く。
「二人っきりになれればそれで……」
恥ずかしそうに俯いて結衣が小声で言う。陵は今すぐにでも結衣に抱きつきたい衝動を堪え、笑ってみせた。

【第2話】カワイイ系と綺麗系

今日はカラオケ屋も暇なのか、二人だというのに案内された部屋はかなり広かった。おしぼりを持ってきた店員が部屋から出て行ったところで、陵はええと、と話を切り出した。
「あの、それで? 話って?」
テーブルを挟んで陵と向き合い、おしぼりで手を拭いていた結衣が顔を上げる。少し照明の暗い部屋でも結衣の頬が赤くなっていることが見て取れる。陵は内心、どきどきしながら結衣の返事を待った。
「大塚くんって、二組よね?」
「え? う、うん。そうだけど」
ちなみに結衣は隣のクラスの一組で、担任の教師は英語担当だ。結衣のことは出席番号も知っている。結衣の情報を思い浮かべつつ陵は頷いた。
「その……」
小声で言った結衣が口ごもって俯く。陵は緊張しつつごくんと唾を飲んだ。やっぱりここは自分から告白した方がいいのかも知れない。そんなことを陵が思った矢先に結衣ががばっと顔を上げる。
「あたしのこと、噂になってない? もしなってたら教えて欲しいの!」
「俺も及川さんのことが! って、はい?」
結衣が、あなたが好きです、と告白するのだと思いこんでいた陵は、そう言ってしまってから顔を強ばらせた。無意識に手から力が抜け、握っていたおしぼりがぽとりとテーブルに落ちる。少しの間、硬直した後、陵は言葉を強引に絞り出した。
「え、ええと? 噂?」
混乱する頭を押さえて陵は小声で訊ねた。
「やっぱり……噂、流れてる?」
鬱々とした表情で結衣が言う。陵は眉を寄せてしばし考え込んだ。どうやら結衣は告白するために話しかけてきたのではないらしい。そのことに気付いた陵はぐったりと身体の力を抜き、ソファの背もたれに寄りかかった。
「噂っていうか……及川さんが振られたらしいっていう話は聞いたけど」
脱力しつつ陵は素直に答えた。
「……みんな、知ってるの? 遠慮はいらないから、男子の間でどんな話になってるか、大塚くんの知ってる限りで構わないから、教えて欲しいの!」
急に勢いよく言って結衣がテーブルに身を乗り出す。そう、結衣はあの問題児に振られたという話だったのだ。振られたということは、結衣はあいつに告白したということだろう。冷静に考えればそんな結衣が自分に告白してくるはずがない。ははは、と疲れた笑いを浮かべて陵はがっくりとうなだれた。
「知ってるっていうか、及川さんが名倉とデートしたらしいって話だったかな」
陵はのろのろと顔を起こして小声で言った。
「それって、あいつが、言ってまわってるってこと?」
「うーん。俺は本人から直接聞いたわけじゃ無いからわからないけど、名倉から聞いたって言ってた奴が居たな。あと、その……」
ブスって言ってたらしい。そう言いにくくて陵は言葉を濁した。
「あたしにへんに気を遣う必要無いから。っていうか、本当の事が知りたいの! どういう噂になってるのか、自分のことなのに、誰も、ちゃんと教えてくれないし……」
おしぼりをぎゅっと握りしめ、結衣が真剣な顔をして言う。陵はどう言えばいいのか困ってしまい、結衣からさりげなく目を逸らした。
「あの……気にしなくていいと思う。みんなは名倉が酷い奴だって言ってたし、及川さんのこと悪く言ってたわけじゃないから」
頭をフル回転させて考えた挙げ句、陵はそう答えた。だが結衣の反応は陵が思っていたのとは違っていた。
「気にしなくていい、はもう沢山なの! 知ってるんだったら、本当の事教えてよ! あたし、あたし……」
震える声で言った結衣がいきなり泣き始める。陵はうろたえて慌てて制服のポケットを探った。だがこんな時に限ってハンカチがない。
「あっ、あの、俺が聞いたのは、及川さんが、その……ブスだって」
泣き出した結衣をどうしていいか判らず、陵は正直に言った。俯いて顔を覆って泣いていた結衣が上目遣いに陵を見る。
「他には無い? その……、あの……男子の間でしか話さないような感じの話題とか、そういうのは?」
「男子の間で? いや、この話って男子も女子もなんか盛り上がってたけど? 名倉の感覚って変だ、実はヤバイ趣味持ってるんじゃないの? とか、そういうの」
教室でのうわさ話を思い出しながら陵は真顔で答えた。どうやら結衣はブスと言われたことは特に気にしていないらしい。それ以外のことを気にしているらしいが、陵には意味がよく判らなかった。
「大塚くんが知っているのは、名倉君があたしの事をブスだって言って振ったってそこまでなのね?」
少し安堵したような顔で結衣が言う。だがその顔はどことなく不安そうだ。陵はうん、と頷きながら唇を尖らせた。
話がうますぎると思った。どうやら結衣は噂の真相を確かめたくて話しかけてきたらしい。残念な気持ちになって陵はこっそりとため息を吐いた。そのため息が聞こえたのか、焦ったように結衣が謝る。
「ごめんなさい。わざわざこんな不快な話で時間をとらせて。でも、誰も、何も教えてくれないし、どこまでどういう噂になってるのか、わからなくて」
「そうだよな。噂されてる当人って判らないもんだと思うし。でも俺が聞いたのはそれだけだから。女子の中には、あれだけ可愛くても振られるんだ~。みたいなことを言ってる奴もいたけど」
自分の持っていたハンカチで涙を拭い始めた結衣をちらりと見てから陵はそう言った。中には結衣の可愛らしさをやっかむような発言をしていた女子もいた。そのこともついでに陵は話して聞かせた。
「あたしも自惚れてたかもしれないし、案外、そのコたちの言ってること正しいかも」
自嘲するように結衣が言う。それを聞いた陵は慌てて首を振った。
「そんなことないって! 及川さん、マジ可愛いし! 男子の間で凄く人気あるし!」
今度は陵がテーブルに身を乗り出して力説した。目元をハンカチで拭っていた結衣が少しだけ口許を緩める。
「ありがとう。でも、大塚くんに言われるとちょっと微妙」
いたずらっぽい笑みを浮かべた結衣を見つめ、陵は耳まで赤くなった。泣きやんだ結衣の目元はちょっと赤くなっている。
「び、微妙ってどういうこと?」
引き込まれるように結衣を見つめて陵はそう訊ねた。
「えっと、なんて言うか、その、男女の枠取っ払って考えて、うちの学校で一番の美人って大塚くんじゃない?」
少なくともあたしはそう思うけど。結衣が首を軽く傾げてそう続ける。陵はびしりと表情を強ばらせ、首を力一杯横に振った。
「ないない! そんなことない! ぜったい、及川さんのが可愛いって!」
「そう、そこなのよ。人の好みはそれぞれとしても、あたしは、可愛いって言われるでしょう? 綺麗、じゃなくて」
「え?」
急に真顔になって言った結衣を凝視し、陵は言葉を詰まらせた。これまで陵はそのことを疑問に思ったことはなかった。だが指摘されて初めて判った。確かに結衣の噂はよく聞くが、大抵は可愛いという話だ。
だがそれがどういう意味なのかまでは判らない。可愛いは可愛いでいいのではないだろうか。陵は腕組みをして首を傾げた。
「どう違うんだ?」
「感覚的な問題だから難しいけど、アイドルとか女優とか見てて、この人って可愛い系だなあとか、綺麗系だなあとか、違いあるのわからない?」
どうやら話している間に落ち着いてきたらしい。穏やかな表情で結衣が言う。内心、ほっと息を吐いて陵は正直に首を振った。
「よく判らないかも。俺が可愛いって思うことあんまりないし、綺麗……綺麗はもっと判らないなあ……」
考えながら口許に手を当て、陵は顔をしかめた。綺麗、綺麗、と口の中で何度か呟いてみる。だが記憶を辿っても人の顔とか体つきを見て綺麗と思ったことがないのが判る。
「絵とか、風景とか、そういうの見て綺麗っていうのは判るような気がするんだけど」
必死で考えを巡らせてから陵はそう答えた。
「あたしは大塚くんって綺麗系だと思うよ。ビジュアル系のバンドでボーカリストとかしたら人気出そうな感じ」
笑い混じりに言われ、陵は渋い顔をした。それと似たようなことを、クラスメイトの男子や悪友連中にも言われたことが何度もある。その時はどうせからかわれているのだと思っていたが、結衣までがそんなことを言うとなると、実は正直な感想だったのかも知れない。思わず陵はため息を吐いた。
「何か、ほら。今朝も恥ずかしいとこ見られたじゃん。だから、俺のことを女だと勘違いするアホがいるってのは知ってる」
鼻の頭にしわを寄せて陵はぼそぼそとした声で言った。
「えっと! ああいう時は、びしっと反撃したほうがいいよ! 抵抗しないと勘違いするし!」
急に焦ったように結衣が言う。陵は苦笑してうん、と頷いた。
「いつもは怒鳴りつけるんだ。でも今日は及川さんがいて驚くのが先で、だからその隙に痴漢に逃げられたんだよ」
「減点1! 事実だとしても、女の子のせいにするのはダメ!」
そう言いつつ、結衣の顔は笑っている。つられて笑いながら陵は肩を竦めた。
「仕方ないだろ。さすがに好きな女の子にそんなとこ見られたら、冷静じゃいられないって」
一緒にいられることが嬉しくて、陵はついつい本音を零した。言ってしまってから慌てて口を手で覆う。
「もしかして、今、さらっと告ってみたりした? 大塚くんってば?」
それまではしゃいだ笑い声を上げていた結衣が、潜めた声で言う。ばつの悪さに横を向きながら、陵はそうかも、とぼそりと言った。
「……大塚くんって、女の子のこと可愛いって思うことあんまり無いって言ったよね?」
額を押さえて結衣が呻く。どうやら混乱しているらしい。だがそんな結衣の態度に注意を向けることが出来ないくらいに陵もしっかり混乱していた。
「仕方ないだろ。及川さんは可愛く見えるんだからっ」
ふて腐れた顔で言ってから陵は耳を触ってみた。やっぱり思った通り、耳まで熱くなっている。陵は真っ赤な顔をして恐る恐る結衣を見やった。
「……今は、返事待ってもらえるかしら?」
真面目な顔をして結衣が言う。成り行きで告白する格好になった陵は、赤い顔をしたままこくんと頷いた。
不意にドアがノックされる。緊張に身を固くしていた陵はびくんと震えて慌ててドアの方を見て、思わず返事をしてしまう。のんびりとした挙動でドアを開けた店員の男が軽く会釈をする。
「お取り込み中すみませーん。えー、当店はワンオーダー制でしてー、ご注文してもらわなきゃ困るんですけどー」
やけに間延びした喋り方で店員に言われ、陵は慌てて何度も頷いた。にやにやと意味ありげに笑った店員が、備え付けのタブレット端末を使った注文方法を説明してから、来た時と同じようにのんびりとした挙動で去る。陵は何度か瞬きをしてから首を傾げた。どうも今の男に見覚えがあるような気がする。
「あ、注文、どうする?」
ふと我に返って陵は慌ててテーブルに乗っていたメニューを開いた。
「あたしはグレープフルーツジュースで」
一緒になってメニューを覗き込んだ結衣が言う。うん、と頷いてから陵はタブレット端末を操作してグレープフルーツジュースとホットミルクを注文した。

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