7.異文化の中で
イスファハンにはジョルファ地区と言うアルメニア人の住む地域があります。ザーヤンデ川を越えた川向こうにありますが、そこを訪れたことがありました。ペルシア最盛期のサファビ朝の中でも最も建築や美術工芸品に力をそそいだと言われている、シャーアッバスの時代に器用で絨毯作りにも伝統のあるアルメニア人をコーカサスあたりから呼び寄せて、絨毯や様々な工芸品作りに従事させたといわれています。
しかし、彼らの多くはキリスト教の信者です。イスラム教がほとんどを占めるこの地域で、暮らしていくのは決して楽ではなかったと思います。最も印象に残っているんは、寂れた地域にあったキリスト教会のとその当時の資料室にあった、顔を消されたキリストの絵や隠れキリシタンのように大事にされたであろう聖書などでした。
歴史的にもそしてたった今でも宗教に関する争いや対立が絶えません。とくにこうした圧倒的なイスラムの中にいる異教徒の人たちがどんな暮らしをしてきたのかを思うと、心が押さえつけられるような気がしました。パキスタンにいるヒンズー教の寺院なども訪れましたが、同様の信仰の強さとひたむきさを感じかえって純粋な意味での宗教とはなにかを考えさせられました。もともとは人間を救済するために興った宗教が現在では最も深刻な対立を引き起こしているという、矛盾が今日また今後の大きな人類の課題となっているのです。
特に先進国では、キリスト教やユダヤ教、イスラム教などの同根の一神教世界とその淵を接するインドのヒンズー的多神教の溝は深まるばかりです。
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