四箇会


「遠慮なんかあかんよ、自由に、自在に、自分らしく、それが『世界』を知るすべなんやから」


 日本の中で呪術系統に近い魔術師(修験道、日本仏教、陰陽道などを収斂する魔術師)は西洋のそれよりも倫理に対い重点を置く傾向が強い。
 故に、西洋魔術師の中では黙認されるような非人道・非倫理的な研究法を行う魔術師は排除される傾向にある。
 四箇会はそのようなもの達の中でも排除から生き残った者たち、日本の魔術師の中ではもちろん異端であり、西洋の術師たちの中でも危険の域に入る者たちによる研究機関、あるいは呪いの巣窟。
 所属者は異端な魔術特性を持つ故に排斥された者や神秘漏洩すれすれの非倫理、非人道的な方法による魔術研鑽を行う者、因習由来の魔術基盤を使用する者などである。
 彼らの魔術特性は既存の理論や性質と共通項を持ち、魔術基盤も既存のそれに則ってはいるものの、独自の解釈や本質的に既存の者とは異質であるものが大半となり、その在り様は西洋魔術で言うところの混沌魔術に近い。
 故に彼らの探求は「己の世界の理解」という方向に収束する。
 事故や他社の肉体、精神の変質による人間理解、所属者同士での問答や組手などによる精神理解、『筐庭』を使用した疑似的な心象投影による自己理解が主な研究手法であり、組織はその過程で発生する数多の問題――即ち殺人、誘拐を含む数多の犯罪の実行や隠蔽、魔術師、賞金稼ぎの魔術使いなどの処理、忌物、封印指定礼装の強奪などのバックアップを行う。
 表向きは宗教法人として活動し、薄暗い経歴を持つ権力者や資産家などから資金を得ている。

所属者


壱○漆:蕁麻 菫
壱弐陸:ソノエさん
漆壱○:ジェームズ川井
陸壱玖:竿谷 久助
肆肆肆:百々廻誤芽
漆漆漆:柴 摸歩
伍弐肆:“鮫島”
壱○肆:祝 施無
肆捌肆:菱川 浮世
漆壱肆:石雨 リク

関連人物



関連用語


  • 開祖

「空虚に畏敬は存在し得ない、実体に恐怖は抱き得ないんだよ」

 四箇会を開いた人物とされる存在。
 いつから生存し、いつから四箇会を開いたかは不明であるが、時計塔が日本に対して調査を行った際には既にその存在が確認されていた。
 会に所属している人間すらも開祖がどのような存在か知る者はいないとされるが、「いる」という確信だけがある。
 かつて開祖について深く知ろうとした者は「アレは我々が触れていいものではない」と言い残し自害した。

  • 層庭園

「あそこの処理に爆弾を使う? お前は国一つを滅ぼせる爆弾の解除に銃を使うのか?」

 日本の山林に開かれた四箇会の本拠地、呪術師たちの大工房。
 外観はいくつもの寺社が集まった施設であり、一般人に対しての開放も行われている。
 魔術師に対しては幾重にも侵入防止の結界が不正なルートでの侵入を阻むと同時に、正規の道からの侵入についても数多の監視が付き纏う。
 内部は寺社群から地下に広がる、さまざまな呪物や怨霊の影響によりほとんど異界と化した迷宮のような作りで在り、当然のように致死性の呪詛が罠の如く点在し、悪霊、怨霊、異形の怪物が徘徊している上、内部の術師たちの研究の影響で常にその形状が変化し続けている。
 所属者には専用の『鍵』が配布されており、『鍵』を持つ者や『鍵』の所有者に許可を得た者は目的の区域に迷うことなくたどり着くことができる。
 数多の呪詛が絡み合い、干渉し合い、増幅し合っている結果、巨大な呪詛の坩堝となっており、迂闊に大規模な破壊を行うなどによってそれを解放しようものなら国家規模の神秘の暴露が行われかねない。
 個人区画の工房のほかに、共有区画として食堂や各種娯楽の揃った談話室、組手のための道場などが存在する。

  • 筐庭

「御覧ずれ! これが僕の『世界』だ!」

 四箇会の術師たちが持つ礼装、疑似的な心象風景の投影、持ち歩き可能な結界。
 四箇会に所属したものは最初に筐庭を開祖より授けられ、この内側に己の心象風景を投影しつつ、その改良や理解を通して自己の世界を知る。
 開祖に授けられると言っても、「開祖より直接授けられたが、授けられた際の記憶がない」「『開祖から君に』と渡されたが、誰に貰ったか覚えていない」「起きたら枕元に置いてあり、開祖からもらったという確信だけがある」など授けられた際の記憶は得てして曖昧である。
 筐庭自体の機能は「内側と外側を仕切る」というだけのものであり、内部への心象風景への投影の手段は所有者によって違い、魔術的な投影によるものであったり、物理的なパノラマによるものであったりまちまちである。
 外見は基本は手の平大の立方体の木箱であるが、内部の変化に伴ってその外見も変化する。
 筐庭は一時的に内部の一部を現実に映し出すことが可能である。
 それはつまり己の呪詛の開放であり、疑似的な「心象風景による現実の侵蝕」である。
 完成度の高い筐庭であれば本来のそれに近くあるが、魔法に最も近いとされるそれとは異なり、筐庭の内部が心象風景と大きく異なる場合はそれ自体の効力を引き出すことができず、発動時間も極めて短く、そもそも発動しない場合すらもある。
 また、映し出した内部は激しく損傷するため、連続の使用は不可であり、再び内部の構築をし直す必要がある。
 そのため、筐庭を使用することを躊躇う術師も少なくはない。
 層庭園は開祖の筐庭であるという噂が実しやかに囁かれている。

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最終更新:2021年02月14日 18:21