I を おしえて、ください。
主な登場人物
+ | シュウマツノカジツ |
+ | トレーナー |
+ | 姉 |
+ | 妹 |
※姉妹の名前は本編登場後追加します
本編 i = I
+ | 第1章「走りたがらない」女の子 |
+ | 第2章 No us |
+ | 第3章 それ行け!目指せよ みんなのスプリンター[仮題] |
+ | 第4章 未定 |
+ | 第5章 未定 |
+ | 第6章 未定 |
+ | 第7章 未定 |
+ | 第8章 未定 |
+ | 第9章 未定 |
+ | 第10章 未定 |
+ | エピローグ 未定 |
+ | シュウマツノカジツ |
トレセン学園に所属する、デビュー前のウマ娘(高等部)。ラーメン大好き。
短距離路線を志望しているようだが…… |
+ | トレーナー |
今年サブトレ→トレーナーへ昇進?した新人トレーナー。ラーメン大好き。
「クラシック」路線への憧れがあるようだが…… |
+ | 姉 |
シュウマツノカジツの姉。地方所属のウマ娘。
|
+ | 妹 |
シュウマツノカジツの妹。実家暮らしのウマ娘。
|
+ | 第1章「走りたがらない」女の子 |
気がつけばわたしは、どこかに立っている。よく見れば、子どものころ駆けたあの景色のようだし、ただ暗い光のようでもあり、どこまでも明るい闇のようでもある。
目の前には、大好きなお姉ちゃんがいた。けれど、お姉ちゃんはわたしに「行くね」って呼びかけて去っていく。わたしの前を駆けていく。 わたしは追いかける。走って、なお走っていると、後ろからかわいい妹がやってきて、眩い笑顔ですれ違ったかと思うと、わたしをスッと、追い抜いていく。 わたしは追いかける。走って、それでも走って、どんどんと追いつかぬ間に駆けていく、去っていく二人に、追いつこうと、走って、走って、走って。 それでも二人はずっと速くて、走って、走ってっ、待って、待ってよ、待って……っ! 「おいて、か……ない、で……」
*
春は出会いの季節だと言う。桜が咲き、新入生がやってくる。昼過ぎには、デビュー前のウマ娘たちが模擬レースに挑み、時に勝ち、担当するトレーナーと出会っていく。 春は別れの季節だとも言う。桜は散り、卒業生は去る。また、トレーナーと別れ、もしくは、そも出会うこともないままに、この時期に「引退」していくウマ娘も多い。……もっとも、卒業したウマ娘と共にいつの間にか「いなくなる」トレーナー(サブトレ含む) もわずかにおり、先輩曰く、毎年ではないものの数年に1,2人はドナドナされていくそうだ。幸い、サブトレとして2年勤めてきたが未だにそういう事案を見ることはないし、自らが対象となることもなかった。過去連れ去られた諸先輩方には、素直に合掌。幸せならOKです。 さて、今年から自分もトレーナーとして辞令が下り、一人のウマ娘を担当に持つことになった。色々不安ではあるのだが……それはそれとして、現在模擬レースが行われているグラウンドに来ている。 トレーナー、と一口に言っても色々な人がいる。ダートレース専門のトレーナー、ステイヤー育成に熱心なトレーナー、短距離の超高速レースに魅せられたトレーナー……あと、太ももを触っただけでウマ娘の状態を把握するトレーナー、坂路の鬼、「お兄ちゃん」や「お兄様」を名乗る修行僧……。まぁ、なんだろう、そんなイロモノ、もとい色々な人の中でもより多いのは「クラシックレース」に魅せられたトレーナーだろう。学生時代トレーナー志望だった同期たちも、ほぼほぼ、やはりというか「クラシック」ウマ娘のトレーナーになりたい、という者ばかりであった。 とはいえ、まぁ、自分もその口なわけで。正直なところ(選り好みしていい立場ではない、とはわかりつつも) 自分も芝、とりわけ「クラシック」志望のウマ娘を持ちたい、と思う。一応、今から行われる模擬レースは短距離から順に行われていくようだし、俺が「目当て」とするウマ娘も、きっと後半のレースに出場する中にいるのだろう……。
*
次は1600mのレースが行われるそうだが……出走者を見た周囲のトレーナーが、ぽつりぽつりと、悩ましいような、ある種愚痴のようにも聞こえる言葉を吐き出す。 「うーん……あの子がいるのか……」 「ん? ……あぁ、前回も出てたんだっけ?」 「あぁ。……悪くはないんだが、いつもどうにも一着を取らないんだよなぁ」 「えー……この子か、シュウマツノカジツ。ふーん、前回は3着、その前も3着」 「人の記録勝手に見るなよ……まぁいい、とにかく逃げて、2着とか3着なんかは安定して確保する子なんだけど、どうにもなぁ……別に相手が飛びぬけて強いわけでもなさそうなんだが、最終直線での伸びがどうにも悪いように見えるんだよな……」 「でも伸びしろはあるんじゃないか? スカウトとか誰かしないのか?」 「してるよ。まぁ、ただなぁ……」 少し後方から話を聞いている限り、よく模擬レースに出るものの未だ未勝利の子らしい。最後に伸びてない、と言っていた限り、恐らくスタミナ不足かパワー不足か……なんにせよ、他の子を中心に見た方が良さそうだ……。
模擬レースは八人立て、第4コーナーまで差し掛かり概ね前目に走る中、後方に二人……だいたい六バ身ほど差がついているが、ここから巻き返せるかどうか……一方先頭集団は……あぁ、レース前に言ってた……確かシュウマツノカジツだったか、あの子が先頭で、ここまでスローペースで走ってきているように見える。さて、問題の最終直線での加速だが……?
*
「結局最後方のウマ娘が差し切ったな」 「まぁ残りは順当に前残りだったとはいえ……ちょっとあの子声かけてみようかな」 「ん? どの子だ?」 「2着の子だよ2着の子、最後抜かされたとはいえ再加速してたし結構根性ありそう」 「お前意外と根性論好きだよな……」 「そういうお前はどうなんだよ、ほら、レース前に言ってたあの子とか」 「いや、俺は前断られた、というか俺から断ってるというか……」 「初カノに振られた童貞みたいな言い訳してるじゃん」 「はり倒すぞ。……お、言ってたら……あれ新人の子か? スカウトしに行ってるな」 言われて見れば、同期の女子(と言っていいのかは知らないが)がシュウマツノカジツ?の下へ向かっている。……んー、俺は素直に一着の子に声かけようかな。直線での上り、いい脚してたし。
*
「あなた! えー……っと、シュウマツノカジツさん!」 「えっ、ハイ、シュウマツノカジツッスけど、どうしたんスか?」 「いい走りだったわ! 負けちゃったとはいえ、最後まで諦めることなく最後まで喰らいつこうとする姿勢! とっても良かった! 逃げを主体にするの? いえ、悪いことじゃないわでも最後の伸びから見るにまだスタミナが……うん、先行策なんかもいいんじゃないかしら? それから」 「あーちょっとちょぉーっと待ってもらっていいッスか? ほら落ち着いて落ち着いて……」 「え? あ、あぁ、ごめんなさいね、大興奮しちゃって」 「だい? いや、何でもいいッスけど。えーっと、その、もしかしてスカウトとか……」 「えぇスカウトよ!!!!!!!」 「うわうるさっ」 「例え今は負けるようなことがあっても、そう! 私と一緒にトレーニングしてみないかしら!? そうすれば、先行……いや逃げ続けて、勝つことだって!」 「あー……その、いや、買ってくれるのは嬉しいんスけど……」 「レースを見る限りスタミナやスパートの時の最高速自体はまだ足りてないかもしれないけれど、走り方を見てもスタミナさえ整えばもしかしたら重賞、いえクラシックレース、ダービーだって狙えるかもしれない! いえ獲らせてみせるから!」 「……あー、ハッハッハ……その、あ、どうどう。落ち着いて聞いてほしいんスけど……」 「うん? どうしたの? あ、もしかしておやつ? 食べる?」 「いやそれはいらないッス……その、クラシックじゃなくて……」 「えっ、もしかしてティアラ路線? まぁだったら……やることは変わらないわね! スタミナ鍛えて坂路、ヨシ!」 「良~くないッス、何も良くない……えーと、がっかりさせたら申し訳ないんスけど……クラシック登録はしない、というか……クラシック、走りたくないんス」 「……え?」 「んー、……端的に言うと、アタシ、できれば短距離走りたいんスよ」
*
断られたわけですが。うーん、まぁ、成績がいい子はちゃんと実績のあるトレーナーに見てもらいたいよな、まぁそういうもんだよな。と、自身の至らなさに納得させつつ、夕飯のためトレセン学園から少し離れたラーメン屋に向かっている。 やはりラーメンである。ラーメンは概ね全てを解決する。今から行く店はラーメン+半炒飯のセット、いわゆる「チャーラ―」を売りにした店であるのだが、時たま夜限定で味噌ラーメンを提供することがある(ウマッターで確認)。これがかなり不定期に提供されるため、心待ちにするファンも少なくない……自分もその一人である。 と、自分ともラーメンとも向き合いつつ店へ辿り着いたところ、店の前でウマ娘の子がなにやらメモをとって……うん? この子模擬レースで走ってた子じゃないか? そうだそうだ、レース前後で先輩(であろう人たち)が話してた子だ。名前は忘れたが、どちらにせよもうトレセン学園の門限は過ぎている。……あんまり厳しくしたくないけど、一応(扱いとしては教育者だし) 確認は必要だよなぁ……。
「……」カキカキ
「えーっと、そこのウマ娘の子?」 「! ……はい、えー、なん、でしょうか?」 ……めちゃくちゃ耳が荒ぶっている……もしかしなくても警戒させちゃったな。 「急に声かけて悪いんだけど……、あぁ、俺トレーナーね。んで、君トレセン学園の子だよね? 」 「えっ? あぁ、ハイッス」 「うん、んでね。一応俺も……まぁ、まだ担当も持ってない新人だけど、トレーナーだからね。言わせてもらうんだけど……門限過ぎてるよね? 寮長の許可とってる?」 「……」 「……君もしかして」 無許可で来てやがるなこの子!!! 「……あー、えとー……トレーナー、さん?」 「何さ」 「ラーメン、お好きッスか?」 「……好きだけど」
*
「いやー、ちょっとピリ辛でよかったッスね……味噌の味が濃厚かつただ塩辛いわけではなく、なんでしょうガツンとくるというか、それでいてクドくなくって……あとやっぱ炒飯に合うッスねぇあそこのスープは」 「それなんだよな、正直ラーメン単体では他の店の方がいいかな? と思わせておいてチャーラーとしての完成度は俺の中で一番だねあそこは」 「いやー単体でもレベル高いと思うんスけど?」 「いやそれは前提として……」
「じゃないが?」
「何がスか?」 「いや何がじゃなくて、結局どうすんのさ君」 店の前で事情聞いてても迷惑だし、あとせっかくの味噌ラーメンがなくなるかもしれないしということで。まずは入店し、食べてから続きを話しましょう、とのことだったので納得しつい釣られてしまったが、よくよく考えれば夜間無断外出の問題が何も解決していないんだよなこの子。 「え? いやーハハ……どうしましょうね?」 「無策かよ……」 「いやー実はもう何回かやってるんスよね、夜にラーメン食べに行くの……」 「しかも常習犯かい。君なぁ、それくらい許可とればいいだろ……」 「まぁそれは、ハハ……そうだ! トレーナーさんってトレーナーさんッスよね!」 「……バカみたいな質問だけどそうだね」 「アタシ今日模擬レース出てたんすけど、例えば……それを見ていたトレーナーさんが声かけてー、意気投合―、気が付いたら夜だったからご飯食べに行く―、その時にー、寮長に話通し忘れたー、的な、シナリオで……どうッスか!」 「なるほどなぁ! それだったら俺のうっかりミスで済むから君に責任が行かないってことだな!」 「そ~うッスそうッス! 多分これならギリギリ見逃してもらえると思うんスよ!」 「ハッハッハ!」 「ハハハ……!」
「先に帰るね」
「待った待った待った!」 全力で裾を引っ張られた。やめなさい、ウマ娘の力は強いんだぞ。 「なんで俺が責任被る方向で話を進めてくるんだ君は……っ!」 「頼むッスよ本当……っ! ちょっと寮に着いてきてくれるだけでいいんスよ……!」 「俺のメリット0じゃないか……っ!」 「いや本当申し訳ないんスけど……っ! 次無断外出バレると反省文だけじゃ済まなさそうで……っ!」 「前々から無断外出してるクセに懲りてないのが悪いんじゃないか……っ!」 「それはそうなんスけどぉ……! っそうだ、ほら、トレーナーさんさっき担当持ってないって言ってましたよね……! なんならアタシどうッスか……契約する代わりに……っ!」 「新聞についてくる洗剤じゃねえんだぞ君……!」 「今なら月々4980円……ッス!」ドヤガオ 「ッス、じゃねえ!」 あと微妙に高ぇ!
*
閑話休題。若干ヒートアップしたが、少し落ち着こう。それに、ようやく思い出した。 「ハァ……ハァ……とりあえず、外出の件はなんとかするから……落ち着こう……」 「……えっ、いいんスか? 正直自分で言っててだいぶ図々しいお願いだと……」 「分かってるなら最初からしなさんな……それよりちょっと気になってることがあるし」 「……気になってること? あれ、ッスか、契約のことッスか?」 「ん? あぁそれもそうだけど……」 「あー……あのー、契約に関しては少し条件が……」 「待った、その話は一旦後で……いやこの上条件あんの? 条件によっては……まぁいいか、それは後だ後。とりあえずは……今から一つ質問するから、それに正直に答えてくれさえすれば……まぁ君の条件は出来るだけ飲もう」 「えっ、はい何かすみません……ぶっちゃけそんなんで済むならアタシとしては万々歳ッスけど……で、その質問ってなんスかね……?」 「……シュウマツノカジツ」 「はい……いや、なんでアタシの名前知って……」
「君、なんで最後手を抜いたんだ?」
了
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+ | 第2章 No us |
+ | 第3章 それ行け!目指せよ みんなのスプリンター[仮題] |
+ | 第4章 未定 |
+ | 第5章 未定 |
+ | 第6章 未定 |
+ | 第7章 未定 |
+ | 第8章 未定 |
+ | 第9章 未定 |
+ | 第10章 未定 |
+ | エピローグ 未定 |
+ | Part1~100 |
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+ | Part101~110 |
+ | Part111~120 |
+ | Part121~130 |
+ | Part131~140 |
+ | Part141~150 |
+ | Part151~160 |
+ | Part161~170 |
+ | Part171~180 |
+ | Part181~190 |
+ | Part191~200 |
+ | Part201~210 |
+ | Part221~230 |
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