トキヲコエテとの3年間が過ぎた。
今日は週末明けということでいつも通り、彼女とトレーニングの内容と今後のレースについて話し合おうと思っていた朝だった。
たづな「トレーナーさん!」
たづなさんが大急ぎでこちらにやってくる。
トレーナー「そんなに急いでどうしたのですか?」
たづ「それが…実は…トキヲコエテさんとの連絡がつかないんです!休学届は提出されているのですが、理由の欄が空欄でして。トレーナーさん、何かご存知ないですか?」
たづ「それが…実は…トキヲコエテさんとの連絡がつかないんです!休学届は提出されているのですが、理由の欄が空欄でして。トレーナーさん、何かご存知ないですか?」
トキヲコエテとの連絡がつかない⁉何があったのだろうか、彼女は無事なのだろうか、思考が頭を巡る。
トレ「わ、私もわからないです!ご両親に連絡は?」
たづ「もちろんしました。しかし、ご両親にもトキヲコエテさんからの連絡は来ていないみたいで…。」
たづ「もちろんしました。しかし、ご両親にもトキヲコエテさんからの連絡は来ていないみたいで…。」
普段ちゃんと報連相する彼女が勝手に消えることはないはずだ。
トレ「そうですか…、ありがとうございます。手がかりが無いか探してみます。」
手がかりを探してみるとは言ったものの、手始めに何処から探せば良いのかわからない。そもそも彼女が手がかりを残しているとは限らない。とにかく話しかけてみることにした。
トレ「ねぇ、トキヲコエテ見なかった?」
ウマ娘1「トキさんですか。うーん、見てないですね。」
ウマ娘2「先週末くらいから見てないよね。だいたいいつも見かけるんですけどね」
トレ「そうか…。教えてくれてありがとう。」
ウマ娘1「トキさんですか。うーん、見てないですね。」
ウマ娘2「先週末くらいから見てないよね。だいたいいつも見かけるんですけどね」
トレ「そうか…。教えてくれてありがとう。」
本当に何処にいるんだろうか。消えるわけがないからなぁ。
マイブリッジシネマ「すみません、トキさんのトレーナーさん?」
トレ「おお、マイ!トキヲコエテが何処に行ったか知らない?何か彼女から聞いてない?手がかりとか残してないかな?」
マイ「私も探しているんですけど、何も知らないですね。手がかりですか……あ、そうだ!思い出した!この間トキさんが『休み明けに私のトレーナーに渡しておいて』って唐突に渡してきた封筒がありました!これです!」
トレ「おお、マイ!トキヲコエテが何処に行ったか知らない?何か彼女から聞いてない?手がかりとか残してないかな?」
マイ「私も探しているんですけど、何も知らないですね。手がかりですか……あ、そうだ!思い出した!この間トキさんが『休み明けに私のトレーナーに渡しておいて』って唐突に渡してきた封筒がありました!これです!」
マイブリッジシネマが渡してきたのは茶色の少し大きめの封筒だった。
トレ「これを私に?」
マイ「はい。どういった意図なのかは分からないですが...。 おそらくこれが手がかりになると思います。」
トレ「そうか、ありがとう」
マイ「はい。どういった意図なのかは分からないですが...。 おそらくこれが手がかりになると思います。」
トレ「そうか、ありがとう」
マイブリッジシネマと別れてトレーナー室で彼女からの封筒を開けた。そこには1通の手紙といつも彼女が使っている旅程表の用紙が入っていた。しかし、その表には何も書かれていない。何はともあれ、手紙を読んでみることにした。
「拝啓 私のトレーナーさんへ
まずは突然連絡も無しに消えてしまいごめんなさい。言うべきであることは重々承知でしたが、やむを得ず静かに去りました。今、私は過去を見に行っています。旅というものの始まりを、この目で確かめてみたいと思い単身で向かいました。トレーナーさん、どうかお元気で。後輩達にもよろしく言ってください。またいつの日か何処かで会いましょう。
旅の始まりより愛を込めて トキヲコエテ」
まずは突然連絡も無しに消えてしまいごめんなさい。言うべきであることは重々承知でしたが、やむを得ず静かに去りました。今、私は過去を見に行っています。旅というものの始まりを、この目で確かめてみたいと思い単身で向かいました。トレーナーさん、どうかお元気で。後輩達にもよろしく言ってください。またいつの日か何処かで会いましょう。
旅の始まりより愛を込めて トキヲコエテ」
旅の始まり。その言葉を目にした時、たった一つだけ身に覚えがあった。そう、彼女が以前、こんなことを言っていた。
トキ「トレーナー、私いつか行ってみたい場所があるんですよ。旅の始まりの場所。旅というのはなにも我々人間やウマ娘だけがするものではありません。物だってするんです。ある場所で誕生して別の場所で活躍する。それも旅と言えるのではないでしょうか。そしてその旅を支えるものといえば色々ありますが、近代に入ってからだと鉄道が代表的ですよね。その鉄道の旅の始まりはそう、駅ですね。ちなみに一番古い駅ってどこにあるのかご存知ですか?どうやらイギリスにあるみたいなんですよ。ふふ、いつか行ってみたいものです。」
トキ「トレーナー、私いつか行ってみたい場所があるんですよ。旅の始まりの場所。旅というのはなにも我々人間やウマ娘だけがするものではありません。物だってするんです。ある場所で誕生して別の場所で活躍する。それも旅と言えるのではないでしょうか。そしてその旅を支えるものといえば色々ありますが、近代に入ってからだと鉄道が代表的ですよね。その鉄道の旅の始まりはそう、駅ですね。ちなみに一番古い駅ってどこにあるのかご存知ですか?どうやらイギリスにあるみたいなんですよ。ふふ、いつか行ってみたいものです。」
恐らく、いや、間違いなく彼女はそこにいるに違いない。そう決心した私は急いで身支度を整えて向かった。日本から飛行機を乗り継ぎ、列車に揺られ、何十時間もかけて「旅の始まり」へ向かった。
私が駅に着き、くたくたの足でプラットフォームに降り立つとトキヲコエテが駅のベンチに腰掛けていた。
トキ「トレーナーさん!」
彼女は嬉しそうにでも少し寂しそうに私に言った。
トキ「ふふ、来てくれたんですね。……。まずは謝らないと。迷惑かけてごめんなさい。」
トレ「そうだよ、心配したんだから!」
トキ「そう…ですよね。やっぱり心配しましたよね。」
トレ「そうだよ、心配したんだから!」
トキ「そう…ですよね。やっぱり心配しましたよね。」
しばらく2人の沈黙が続く。
トキ「私、今凄く嬉しいです。トレーナーさんが私の為にこんな遠くまで来てくれて、心配したんだって怒ってくれて。私、愛されていたんだなぁ。幸せです。」
トレ「当たり前でしょ、コエテは私の大切な愛バなんだから。」
トレ「当たり前でしょ、コエテは私の大切な愛バなんだから。」
私は彼女の頬に手を添えながらそう言った。
彼女は思いがこみ上げたように泣いていた。私がそっと抱きしめると彼女も抱き返してくれた。無事で何よりだと言うと、彼女は小さく頷いた。
しばらくして彼女は涙を拭いて私に言った。
トキ「あの…、トレーナーさん、少しお散歩しませんか?駄目…ですか?」
トレ「いやいや、駄目なんて言うわけがないじゃない。一緒に歩こう!」
トレ「いやいや、駄目なんて言うわけがないじゃない。一緒に歩こう!」
私達は駅を出て静かな空間を一緒に歩いた。お互い、特に語ることなく時折顔を見ては微笑んでいた。

木々を抜け、私達は駅の名を冠した村に辿り着いた。そこは私達が知っている中で最も平和で美しい空間だった。
トキ「『旅の始まり』の名を冠した村はとても静かで平和な空間ですね。」
トレ「ふふ、同じこと考えてた!良いところだね、ここ。」
トキ「はい。トレーナーさんの心のように素敵な場所です。」
トレ「そんなこと言っちゃって!照れちゃうよ///」
トキ「いっぱい照れてください、それだけ素晴らしいお方なのですから」
トレ「ふふ、同じこと考えてた!良いところだね、ここ。」
トキ「はい。トレーナーさんの心のように素敵な場所です。」
トレ「そんなこと言っちゃって!照れちゃうよ///」
トキ「いっぱい照れてください、それだけ素晴らしいお方なのですから」
照れながら私は彼女としばらく村を散策した。
トレ「そろそろ戻る?」
トキ「ええ、そうしましょう。」
トキ「ええ、そうしましょう。」
私達は行きに通った道を戻り、駅まで来た。
トキ「戻ってきましたね。」
トレ「うん、戻ってきたね。そういえばなんだけど、今封筒持ってきているんだよね。そこに入っていた手紙はわかるんだけど、この何も書かれていない旅程表は何?」
トレ「うん、戻ってきたね。そういえばなんだけど、今封筒持ってきているんだよね。そこに入っていた手紙はわかるんだけど、この何も書かれていない旅程表は何?」
私はおもむろに鞄から封筒とその中の旅程表を取り出し彼女に見せた。
トキ「ああ、それですか。それは『私たちの未来はまだ決まっていない』ということを伝えようとしたんですよ。遊び心ってやつですよ」
トレ「あー、なるほどね!」
トキ「私の好きな映画の感じを少しアレンジしてみました。あ、そうそう、トレーナーさんにプレゼントがあるんです。」
トレ「あー、なるほどね!」
トキ「私の好きな映画の感じを少しアレンジしてみました。あ、そうそう、トレーナーさんにプレゼントがあるんです。」
そういって彼女がショルダーバッグから取り出したのは少し小さな箱だった。
トキ「どうぞ、開けてみてください」
トレ「あらありがとう!ん、これってまさか...!」
トレ「あらありがとう!ん、これってまさか...!」
箱の中にはトキヲコエテが勝負服で身に着けている懐中時計と同じものが入っていた。
トキ「ええ、お揃いということです。よかったら着けてみますか?」
トレ「え、いいの?」
トキ「もちろん、私がトレーナーさんの為に買ったのですから。私が服に着けてあげますね。」
トレ「え、いいの?」
トキ「もちろん、私がトレーナーさんの為に買ったのですから。私が服に着けてあげますね。」
彼女にそう言われ、私は懐中時計をチェーンで着けてもらった。
トレ「どう...かな?」
トキ「とても似合っていますよ。ふふ、とてもお洒落です。」
トレ「ほんと?これからたくさん使おうかな。買ってくれてありがとう!」
トキ「そう言ってもらえるとプレゼントした甲斐があって嬉しいです。」
トキ「とても似合っていますよ。ふふ、とてもお洒落です。」
トレ「ほんと?これからたくさん使おうかな。買ってくれてありがとう!」
トキ「そう言ってもらえるとプレゼントした甲斐があって嬉しいです。」
(互いに静かにほほ笑む)
トレ「あの、もし私がここに来なかったらどうしてたの?」
トキ「トレーナーさんがここに来なかったら?そんなの最初から考えていませんよ。私はトレーナーさんの『愛の力』を信じていたのですから」
トレ「愛の力か~。コエテらしいといえばらしいね。」
トキ「私らしいってなんですかwww あ、もう列車が来そうですね。乗っちゃいます?」
トレ「そうね、そろそろ帰ろうか」
トキ「トレーナーさんがここに来なかったら?そんなの最初から考えていませんよ。私はトレーナーさんの『愛の力』を信じていたのですから」
トレ「愛の力か~。コエテらしいといえばらしいね。」
トキ「私らしいってなんですかwww あ、もう列車が来そうですね。乗っちゃいます?」
トレ「そうね、そろそろ帰ろうか」

そうして私達は列車に乗り込んだ。
トレ「この場所ともお別れか。数時間だけだったけどちょっと寂しいなぁ」
トキ「私も同じくです。また機会があったら一緒に来ますかね。」
トレ「そうだよ、勝手に消えたりとかしないでよ。」
トキ「それくらい私だって分かってますよ。トレーナーさんのこと大好きなんですし。」
トレ「まったくもう。それで、この先はどうするの?また過去の世界へ?」
トキ「いや、もう行ってきましたよ。今度は未来を見に行かないと。想いを受け継いだ後輩達の活躍を見に行きましょうよ」
トレ「いいね、楽しみだね!」
トキ「はい!」
トキ「私も同じくです。また機会があったら一緒に来ますかね。」
トレ「そうだよ、勝手に消えたりとかしないでよ。」
トキ「それくらい私だって分かってますよ。トレーナーさんのこと大好きなんですし。」
トレ「まったくもう。それで、この先はどうするの?また過去の世界へ?」
トキ「いや、もう行ってきましたよ。今度は未来を見に行かないと。想いを受け継いだ後輩達の活躍を見に行きましょうよ」
トレ「いいね、楽しみだね!」
トキ「はい!」
彼女はそう返事をしたあと、少し考えてこう続けた。
トキ「我々はずっと昔から先代から後代へと想いを受け継いできました。別世界の名前と魂を受け継ぐという運命と共に。そういったことがあって今の私達が作られてきたんですよね。うん。私達の想いというのも伝えていけばきっと必ずその先へと脈々と受け継がれていくのでしょうね。何十年、何百年、何千年という『時を超えて』。」
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