スピリット(エカイユ)
●PHASE 1
メ:どうです、エカイユさん。
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
エ:命令に従うだけの存在……
少しかなしいお話、ですね……
少しかなしいお話、ですね……
メ:……そうですね。
ネイティアルの幸不幸も、
マスターによるのかもしれません。
ネイティアルの幸不幸も、
マスターによるのかもしれません。
さあ、参りましょうか。新たなる地へと……
●PHASE 2
メ:ご覧なさい。眼下に広がる大地を。
野をえぐった傷跡は、大戦が残した人々の憎悪……
野をえぐった傷跡は、大戦が残した人々の憎悪……
憎悪は何も生み出しはしない。
ただ他のものを傷つけるばかりです。
ただ他のものを傷つけるばかりです。
エ:胸が、痛い……
大気が、裂けるように響く……
大気が、裂けるように響く……
……わたしはもう疲れました。
ジェード様、早くあなたに会いたい……
ジェード様、早くあなたに会いたい……
メ:(やはり、人の気ではありませんね。)
(彼女はおそらく、精霊の類……)
●PHASE 3
メ:力は戻りましたか?
エ:はい、これで
しばらくは動けると思います。
しばらくは動けると思います。
…すみません。
わたしは、時々森に入らないと
眠くなって寝てしまうのです。
わたしは、時々森に入らないと
眠くなって寝てしまうのです。
メ:気にすることはありませんよ。
それは、私たちにとっての
食事のようなものなのでしょう。
それは、私たちにとっての
食事のようなものなのでしょう。
(メルレット、前進して)
この森の霊気は、
普通の人でも傷を癒す効果があります。
この森の霊気は、
普通の人でも傷を癒す効果があります。
あなたには、きっと
気に入ってもらえると思ったので
立ち寄ったのです。
気に入ってもらえると思ったので
立ち寄ったのです。
エ:はい、とても澄んだ空気……
(辺りを見回して)
何でしょう、この感じは……
何でしょう、この感じは……
メ:これは、闇の気配……
そろそろ移動した方が良さそうですね。
エ:?
●PHASE 4
メ:やはり、戦争が始まってしまいましたね。
あの軍隊は、大陸の統一を目指す
覇者ギド・カーンのもの……
恐らく、彼がこの闇の根源なのでしょう。
覇者ギド・カーンのもの……
恐らく、彼がこの闇の根源なのでしょう。
戦いと憎悪の連鎖の中で、
闇が世界を覆いつくそうとしています。
闇が世界を覆いつくそうとしています。
……エカイユさんには、
この光景は見せない方がいいかもしれませんね。
この光景は見せない方がいいかもしれませんね。
人が持つ憎悪や混沌は、
エカイユさんにとっては
毒となってしまうようですから。
エカイユさんにとっては
毒となってしまうようですから。
(外界の影響を強く受けてしまう、
とても純粋な存在……)
とても純粋な存在……)
(もしかすると、彼女は……)
●PHASE 5
エ:わたしはずっと、殻の中で眠っていました。
でも、外の世界に
わたしのマスターがいることは
ぼんやりと見えていたのです。
わたしのマスターがいることは
ぼんやりと見えていたのです。
その方は、わたしに声を掛けたり
力を分け与えたりしてくれました。
とてもやさしい方でした。
力を分け与えたりしてくれました。
とてもやさしい方でした。
わたしが覚えているのは、それだけ……
目覚めたとき、もうその方の姿は無かったのです。
目覚めたとき、もうその方の姿は無かったのです。
(崖の方へ行き)
会いたい……
会いたい……
ジェード様……
わたしのマスター……
わたしのマスター……
●PHASE 6
メ:見事でした、エカイユさん。
もうわたしが教えることはありません。
もうわたしが教えることはありません。
・・・・・・まだ、旅を続けるつもりですか?
エ:・・・・・・はい。
あの方が見つかるまで、進みたいと思います。
私が覚えている、
たった一人のマスター・・・・・・
あの方に出会うまで、どこまでも、どこまでも・・・・・・
たった一人のマスター・・・・・・
あの方に出会うまで、どこまでも、どこまでも・・・・・・
メ:そうですか。
あなたの旅が、
どこまで続くのかはわかりません。
どこまで続くのかはわかりません。
ですが、今は悲しみと苦痛が満ちている時代。
純粋すぎるあなたにとって、危険もあるでしょう。
純粋すぎるあなたにとって、危険もあるでしょう。
私にも、もう少し付き合わせてください。
エ:はい。
ありがとう、メルレットさん・・・・・・
ありがとう、メルレットさん・・・・・・
●ENDING
ギド・カーンは膝を突いている。
エ:そんな・・・・・・あなたは・・・・・・
その目、間違いありません。
あなたはわたしのマスター、ジェード様・・・・・・!
あなたはわたしのマスター、ジェード様・・・・・・!
ギド・カーン立ち上がる
ギ:ジェード・・・・・・懐かしい呼び名だ。
お前は・・・・・・
そうか、エカイユか。
お前は・・・・・・
そうか、エカイユか。
メ:ギド・カーン・・・・・・
エカイユさんのマスターというのは
貴方だったのですか・・・・・・?
エカイユさんのマスターというのは
貴方だったのですか・・・・・・?
それではやはり、
エカイユさんは・・・・・・
エカイユさんは・・・・・・
ギ:フフ・・・・・・私は以前
新しいネイティアルの研究をしていたことがある。
24種以外の、新種のネイティアルだ。
新しいネイティアルの研究をしていたことがある。
24種以外の、新種のネイティアルだ。
そして呼び出したのが、
このエカイユだ・・・・・・
このエカイユだ・・・・・・
ギド・カーンは夜空を眺めながら語り始める
ギ:だが、私の研究には間違いがあった。
殻に閉じこもったまま目覚めない、
不思議な精霊を呼び出したに過ぎなかった。
殻に閉じこもったまま目覚めない、
不思議な精霊を呼び出したに過ぎなかった。
・・・・・・エカイユよ。
おそらくお前はネイティアルではない。
人格を持った、一つの生命体なのだ。
おそらくお前はネイティアルではない。
人格を持った、一つの生命体なのだ。
私のネイティアルなどではない・・・・・・
エ:・・・・・・そんな・・・・・・
ジェード様、わたし・・・・・・
ジェード様、わたし・・・・・・
ギ:しかし、てっきりあのまま
目覚めることもないだろう思っていたが。
ここまで成長し、私を超えてしまうとは・・・・・・
目覚めることもないだろう思っていたが。
ここまで成長し、私を超えてしまうとは・・・・・・
フフ、この手には既に
光があった、ということか。
・・・・・・無様だな・・・・・・・・・・・・
光があった、ということか。
・・・・・・無様だな・・・・・・・・・・・・
ギド・カーンが体を震わせ膝を突き、消滅する
エカイユは近づくが言葉を発することはできない
エ:・・・・・・わたし・・・・・・は・・・・・・・・・・・・
わたしは、これから
どうしたらいいのでしょう。
わたしは、これから
どうしたらいいのでしょう。
マスターに会えば、きっと
何をすればいいのか教えてもらえる。
何をすればいいのか教えてもらえる。
わたしに用がないのなら、
この身を消滅させてもらうこともできる。
そう思って旅をしてきたのに・・・・・・
この身を消滅させてもらうこともできる。
そう思って旅をしてきたのに・・・・・・
何も言ってくれなくて、
残酷な真実だけを伝えて、
・・・・・・マスターが消えてしまうなんて・・・・・・
残酷な真実だけを伝えて、
・・・・・・マスターが消えてしまうなんて・・・・・・
メルレットは沈黙し、エカイユに近づいて語りだす
メ:ギド・カーンも言っていましたね。
あなたは人格を持った一つの生命だと。
あなたは人格を持った一つの生命だと。
誰の意思でもない、自分の意思で・・・・・・
考え、行動し、そして生きるのです。
考え、行動し、そして生きるのです。
あなたの本当の人生は、
ここから始まるのですから。
ここから始まるのですから。
エカイユはメルレットを見る
エ:・・・・・・・・・・・・生きる・・・・・・・・・・・・?
エカイユは夜空を眺める
エ:私は、生きていく・・・・・・
夜空に流れ星がきらめく
虚ろな存在として、旅をしてきたエカイユ。
目的を失ったことと引き換えに、
今、おのれの生命を全身に感じていた。
目的を失ったことと引き換えに、
今、おのれの生命を全身に感じていた。