●PHASE 1
メル:どうです、マルフィールさん。
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
マル:いいからいいから。
そんな面倒な話は後でいいから。
そんな面倒な話は後でいいから。
ちゃっちゃと先に行きましょ、
メルレットさん。
メルレットさん。
メル:……まあ、
基本は分かっているようですね。
基本は分かっているようですね。
メル:それでは参りましょうか。新たなる地へと……
●PHASE 2
マル:……やめる。
あたし、もうやめる。
メル:それはまた、突然ですね。
まだ修行を始めたばかりですよ?
まだ修行を始めたばかりですよ?
マル:だってさ、毎日毎日
基本の練習ばっかりなのよ?
基本の練習ばっかりなのよ?
思ってたよりゼンゼン地味だしさ、
ちっとも新しいことを教えてくれないし。
……はあ、もう飽きちゃった。
ちっとも新しいことを教えてくれないし。
……はあ、もう飽きちゃった。
メル:そうですか。
メル:私は入門者を拒まないのと同様に、
去る者も引き止めないことにしています。
去る者も引き止めないことにしています。
ですが、貴女は物事を
感情だけで捉えているようですね。
感情だけで捉えているようですね。
本当に修行をやめるのかどうか、
一度ゆっくりと考えてみてください。
一度ゆっくりと考えてみてください。
メルレット、去っていく。
マル:フン、もう修行なんてやんないわよ。
こんなの、屋敷で爺やの小言聞いてるのと
何にも変わらないじゃない。
それがイヤで抜け出してきたのに……
何にも変わらないじゃない。
それがイヤで抜け出してきたのに……
マルフィール、ペットのチュウチュウを構い出す。
チュ:ム、ムニュニュニュ……!?
マル:チュウチュウも、つまんないと思うでしょ?
もっと好きにやらせてくれたら
それなりに楽しいんだけどさぁ……
もっと好きにやらせてくれたら
それなりに楽しいんだけどさぁ……
はあ、どこかに面白いことでも
転がってないかなぁ……
転がってないかなぁ……
マルフィーユ、さらにチュウチュウを弄る。チュウチュウは悶絶している。
●PHASE 3
メルレットが独り呟く。
メル:……最近、この辺りで
ネイティアルマスターばかりを襲う
娘がいるという噂です。
ネイティアルマスターばかりを襲う
娘がいるという噂です。
その娘は、倒した相手から
根こそぎ召喚具を奪っていくとか。
根こそぎ召喚具を奪っていくとか。
確かにネイティアルマスターには、
敗北した相手に召喚具を一つ譲る風習があります。
敗北した相手に召喚具を一つ譲る風習があります。
しかし彼女は、そういったものとも違うようですね。
メル:…もしやとは思うのですが……
●PHASE 4
ファイターが倒れている。マルフィールが戦利品を奪おうとしている。
マル:《瓶入りの船》……
《勝利の鉢巻》に《降魔の数珠》……
《勝利の鉢巻》に《降魔の数珠》……
チェッ、つまんないわね。
どれもこれも見たことのある召喚具ばっかり。
どれもこれも見たことのある召喚具ばっかり。
もっと新しいネイティアルを
試してみたいのにさ。
試してみたいのにさ。
背後よりメルレット登場。
メル:やはり、貴女だったのですね。
マルフィール、メルレットに気付き、慌てる。
マル:わっ、あなたは……
しまった、ばれた!?
……に、逃げろ~っ!!
……に、逃げろ~っ!!
チュ:チュ、チュウ~!
マルフィール、逃亡。
メル:ふう、修行もしないで
何をしているのかと思えば……
何をしているのかと思えば……
しかし、中途半端な力は
自分自身を傷つけてしまうもの。
自分自身を傷つけてしまうもの。
……仕方ありませんね。
メルレット、ファイターの介抱に向かう。
●PHASE 5
画面外からマルフィールが走ってくる。
マル:はあ……はあ……
よし、ここまで来れば追いつけないはず……
よし、ここまで来れば追いつけないはず……
でも、この前のことを
爺やに言いつけられたらマズイわね。
早めに何とかしないと……
爺やに言いつけられたらマズイわね。
早めに何とかしないと……
メル:待っていましたよ、マルフィールさん。
驚くマルフィール。背後からメルレットが現れる。
マル:わっ、また出た!!
もう、あなたもしつこいわね!
ここんとこずっと追いかけまわして
話しかけてきて……
ここんとこずっと追いかけまわして
話しかけてきて……
い、いっておくけど、召喚具は返さないわよ?
ちゃんと勝負には勝ってるんだから。
ちゃんと勝負には勝ってるんだから。
その、最近は貰うのだって
1個だけにしてるんだし……
1個だけにしてるんだし……
マル:あ、あなたの話は
こうしちゃ駄目とか、いちいちうるさいのよ。
こうしちゃ駄目とか、いちいちうるさいのよ。
あたしだって、
ネイティアルたちのことなら
ちゃんと分かってるつもりだし。
ネイティアルたちのことなら
ちゃんと分かってるつもりだし。
それ召喚具だって丁寧に使ってるんだから、
……少しぐらい好きにさせてくれたって……
……少しぐらい好きにさせてくれたって……
メル:……どうやら腕前の方は上達しているようですね。
それならこういうのはどうでしょう。
私と手合わせしてみて、あなたが勝てたら
もう追いかけない、というのは。
私と手合わせしてみて、あなたが勝てたら
もう追いかけない、というのは。
もちろん貴女のお祖父様に
いいつけるようなこともしません。
いいつけるようなこともしません。
マル:爺やはウチの執事長よ。
……まあいいけど。
……まあいいけど。
マル:その話、本当なのね。
よ、よしいいわ。
その勝負、受けてあげる。
よ、よしいいわ。
その勝負、受けてあげる。
●PHASE 6
マル:や、やった!?
まさかあなたに勝っちゃうなんて……
ひょっとして、あたしって天才!?
ひょっとして、あたしって天才!?
メル:……ええ、見事な腕前でした。
マル:ってことは、もうあなたなんかより
ネイティアルの事に
詳しいってわけね。
ネイティアルの事に
詳しいってわけね。
フ、フフン……
実はずっと、そうじゃないかと思ってたのよね。
実はずっと、そうじゃないかと思ってたのよね。
マルフィール、上機嫌。
マル:ま、約束は約束だし?
一番強いのはあたしなんだから。
もう誰の指図も聞かなくていいわよね~。
一番強いのはあたしなんだから。
もう誰の指図も聞かなくていいわよね~。
ふっふっふ……
これからは、あたしの好きにやらせてもらうわよ?
これからは、あたしの好きにやらせてもらうわよ?
メル:……それは構わないのですが……
マルフィールさん、実は
この世で最もネイティアルの扱いが上手いのは
私ではないのですよ。
この世で最もネイティアルの扱いが上手いのは
私ではないのですよ。
マル:! あ、あれっ、そうなの……?
いつもエラソーだから、てっきり……
いつもエラソーだから、てっきり……
メル:ギド・カーンという名前を知っていますか?
彼こそ最強のネイティアルマスターと呼ばれています。
彼こそ最強のネイティアルマスターと呼ばれています。
貴女が私を負かしたと知れば、
彼が戦いを申し込んでくるかもしれません。
……強くなったとはいえ、貴女一人では心配ですね。
彼が戦いを申し込んでくるかもしれません。
……強くなったとはいえ、貴女一人では心配ですね。
マル:ムッ……
あたしはそいつに勝てないっていうの?
あたしはそいつに勝てないっていうの?
フン、どこの誰だか知らないけど、
このあたしを差し置いて最強を名乗るなんて
随分と生意気ね。
このあたしを差し置いて最強を名乗るなんて
随分と生意気ね。
いいわ、あたしの方から白黒つけてやる。
あたしが勝ったら、召喚具は全部貰ってやるから。
あたしが勝ったら、召喚具は全部貰ってやるから。
マル:行くわよ、チュウチュウ!
チュ:チュウ~!
マルフィールが走り去る。メルレットの傍らで、黒猫が喋り出す。
黒猫:相変わらず手際がいいね。
途中だって、あの子が
危ない真似をしないように面倒を見ていたし。
メルレットって、結構お節介?
危ない真似をしないように面倒を見ていたし。
メルレットって、結構お節介?
メル:これも私の仕事……
ネイティアルを伝える者としての役割よ。
ネイティアルを伝える者としての役割よ。
それに、たまには
あんな子を見るのもいいでしょう。
あんな子を見るのもいいでしょう。
きっと、今までずっと退屈していて
ネイティアルたちと触れ合うのが
楽しくて仕方がないのよ。
ネイティアルたちと触れ合うのが
楽しくて仕方がないのよ。
黒猫:ふーん、まあいいけどね。
黒猫:あーでも、あの子が連れてる
丸っぽいペットはイケてるかも。
今度、食べていい?
丸っぽいペットはイケてるかも。
今度、食べていい?
メル:……駄目よ、ネロ。←黒猫の名前らしい
我慢しなさい。
我慢しなさい。
メル:さあ、行きましょう。
もう少し彼女を見守らなくてわね。
もう少し彼女を見守らなくてわね。
●ENDING
マル:よしっ、ギド・カーンってやつも
あたしが倒してやったわ!
あたしが倒してやったわ!
さてさて、紫のメルレット。
次はどこで誰と勝負すればいいのかしら?
次はどこで誰と勝負すればいいのかしら?
メル:……今倒したギド・カーンこそが
最強のネイティアルマスターだったのです。
もう、貴女より強い人物は存在しません。
最強のネイティアルマスターだったのです。
もう、貴女より強い人物は存在しません。
マル:ほーら、見なさい。やっぱりそうでしょ?
マル:チュウチュウ聞いた?
随分長かったけど、あたしが本物の一番になったのよ。
これでようやく文句を言う奴もいなくなったわ。
随分長かったけど、あたしが本物の一番になったのよ。
これでようやく文句を言う奴もいなくなったわ。
チュ:チュチュウチュウ!
マル:フフン、その通り。
もう召喚だってなんだってやりたい放題よ!
もう召喚だってなんだってやりたい放題よ!
ま、まあ……もう戦う相手も
いなくなっちゃったわけだけど……
いなくなっちゃったわけだけど……
マル:あ、そうだ。
一度屋敷に帰って、召喚術で
爺やを驚かせてやろっかな~?
一度屋敷に帰って、召喚術で
爺やを驚かせてやろっかな~?
終始浮かれているマルフィール。
メル:マルフィールさん、
本当に強くなりましたね。
本当に強くなりましたね。
これからは、最強となった貴女を倒すために
たくさんのネイティアルマスターが
挑戦してくることでしょう。
たくさんのネイティアルマスターが
挑戦してくることでしょう。
マル:えっ……?
ちょ、ちょっと?
それって、何の話……?
それって、何の話……?
突然、ファイター、ソードマン、シャドウが現れる。皆戦闘体制。
マル:な、何なの、この人たち!?
メル:ですから、挑戦者です。
貴女はまだ戦い足りないようですし、
丁度いいでしょう。
頑張ってください、マルフィールさん。
丁度いいでしょう。
頑張ってください、マルフィールさん。
マル:え、ええっ!?
三人に迫られ、うろたえるマルフィール。
マル:あ、あのね?
あたし、もう引退しよっかな~?
あたし、もう引退しよっかな~?
だ、だからさホラ。
そんなに怖い顔しなくたって……
そんなに怖い顔しなくたって……
三人、さらに詰め寄る。
マル:きょ、今日のところは見逃して。
……お願い!!
……お願い!!
マルフィールが逃げ出す。三人、それを追いかける。
メル:さて、無事に
弟子の修行も終わったことです。
弟子の修行も終わったことです。
そろそろ帰るとしましょうか。
黒猫:(じゅるり……
ああ、惜しいなあ……)
ああ、惜しいなあ……)
(あの丸っこいの、
美味しそうだったのにさ……)
美味しそうだったのにさ……)
さらに逃げ回るマルフィールを見つめながら、メルレットが去っていく。
気ままに生きてきたマルフィール。
ネイティアルマスターの道に
入ったのもまた、気まぐれであった。
彼女の安息は、どこにあるのだろうか……
ネイティアルマスターの道に
入ったのもまた、気まぐれであった。
彼女の安息は、どこにあるのだろうか……